2006年10月06日

とっても歯ガユイ話! ますますどこもご紹介できない。ご自分達でさがして下さい。

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
ご職業 : 医療・福祉関係
簡単なご住所 : 関東地方
お問い合わせ内容 : 数ヶ月前に癌性腹膜炎の母のことで質問させていただいたものです。
 その節はご丁寧なご回答ありがとうございました。

 実はあの後早速●●●●漢方薬局に連れて行き、相談しました。
 が、処方されたのは小柴胡湯でした。
 しばらく服用していたのですが、腫瘍マーカー値が上昇ししたり、抗がん剤の副作用で口腔内がひどく炎症を起こしたりで、本人が飲むことを苦痛に感じて休んでいました。

 私自身は五苓散と補中益気湯が効果があると感じていましたので(マーカー値も落ち着いていた)●●●●の先生に伝えてみましたが、五苓散はやはり急性の吐き気などの時に飲む薬だからと取り合ってもらえませんでした(無理強いすることもできないので)。

 最近抗がん剤もだんだん効果がなくなりつつあり、おなかの辺りも少し硬い感じらしいのですが、抗がん剤を中止すれば口腔内炎症も治まってくるようなので、頑張って漢方も飲むといいます。

 この段階でまだ五苓散と補中益気湯は効果的でしょうか?実は別に買って飲めるときは飲むように言ってあるのですが。
 本人は倦怠感はあるのですが、今のところ普通の生活を十分に送っています。ただここ数週間は口のせいで食事が満足に取れず、マーカー値もかなり上がってしまいました。ご指導のほどよろしくお願いいたします。


歯がゆい気分でお返事メール:拝復

 メールの内容を拝見して、絶句するのみです。

 その漢方薬局さんは老舗のはずが、その程度の知識だったのかと愕然とします。
 まったく漢方の基本中の基本、といっても中医学のですが、その基礎が全然分かってない様子が伺えます。
 癌性腹膜炎に何の根拠があって小柴胡湯のような甘草・大棗・人参など、水分を保持させる作用のものばかりを出されるのか、中医学の世界では常識以前です。

 この調子では扶正去邪という基本中の基本の常識もご存じない、漢方を販売する資格すら疑いたくなります。

 二ヶ月前にも偶然、同じ漢方薬局さんで風邪をこじらせ後、重度の咽喉腫痛で悩まれる方が一年間も通い詰めて、いろいろ処方してもらうのに、首尾一貫してこともあろうに、小青竜湯ばかりが出されており、偶然、当方の小青竜湯乱用問題のサイトを御覧になって、お問合せがあり
小青竜湯誤投与の典型例

 このようなやってはいけない誤投与を一年、悪化させる為の漢方薬を出されていたようなもんです。

 頂いたメールの内容といい、あまりにも基礎的な問題以前の話で、お返事することすら腹立たしくなります。

 貴女ご自身も医療関係者であるなら、もっと知恵を出すことができなかったのでしょうか?

 実際に服用していて調子が良いものなら、なおさら扶正去邪というバランスの保てた五苓散と補中益気湯の配合で、何が問題があるのでしょうか?

 もしも問題が出るとしても、これまで服用してやや調子が良かったものが、効果がいまひとつ弱いなあ〜〜と感じることがあるかもしれませんが、少なくとも小柴胡湯のようなほどんど腹膜炎には、しかも腹水が貯留するような状態には、中医学ではありえない方剤を投与される学識とキャリアを疑わざるを得ません。

 ご職業には医療関係者とされておられますが、どうして貴女ご自身がそのような判断力が出せなかったのか不思議です!

 あの悪評高い小柴胡湯をこのような重大な疾患に頑として出される神経が理解できません。

 当方に遠方から押しかけるようにして、やや強引にやって来られる人達も、それぞれの地で、とんでもない漢方処方が出されており、その漢方をやめるだけでも半分は軽くなりますよという例ばかりですから、もう、本当にこの世の中、ウンザリしています。

 ただ、このような人達もシロウトさんながら、気がつくだけましですが、クロウトに近い場所におられる貴女がこれまで、小柴胡湯のようなトンデモナイ処方に甘んじていたこと事態が信じられません。

 ただ、今思い出しましたが、その漢方薬局さんは老舗だから良いのではないか?と、お伝えした記憶があり、これはあくまで先代の先生までのイメージだけの話でしたので、少しこちらも責任を感じないわけではありません。

 貴女ご自身の問題でないだけに、歯がゆいばかりですよ。

 その漢方薬局さん以外にも、大きな町ですから何軒も漢方専門薬局やクリニックがあるはずです。ハシゴして相談してみるのが最善でしょう。

 いずれにしましても、当方では御本人みずからによる御相談と、御本人みずからの意志で行動される方以外は、直接的なタッチは出来ませんので、悪しからず御了承下さいませ。

 いずれにせよ「五苓散はやはり急性の吐き気などの時に飲む薬だからと」いうレベルの知識しかないようでは、漢方薬局の看板を下ろすべきではないでしょうか。

                          頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介


編集後記: いわゆる専門家とされる人の無知ほど恐いものはない。
上記で引用した「小青竜湯の誤投与の典型例」の全文を引用する。
 サイワイこの方は、遠路を一泊二日で直接、村田漢方堂薬局に来られ、二ヶ月目の服用で7割ほど緩解していることは、既に数日前にこのブログでも述べている。残りの3割は意外に期間がかかるかもしれない。(東京の超美人のオバサマも現在7割緩解となり、一時良かった8割緩解にもう少し?)
御意見や御質問をどうぞ : はじめまして。●●に住む38歳の主婦です。
 私は慢性気管支炎(乾燥した咳で痰が出ません)と咽喉痛で苦しんでいます。病院で検査をした結果「気管支炎と咽頭炎です。繰り返しますよ。」と言われました。医師に処方してもらう消炎剤や咳止め薬は効きません。

 昨年7月から1年間漢方薬を続けてきましたが思うように治りません。
 その漢方薬局では、「体の冷えが原因です。」と言われまして小青竜湯を中心にした漢方薬を服用していました。
 現在、咳の症状は軽いのですが、口がカラカラに乾いて咽喉痛や咽喉から胸にかけて不快症状(痛痒い)が続きます。

 以上、典型的な小青竜湯の誤投与の文面である。
 肺寒停飲の証候を呈するのであれば、確かに小青竜湯は素晴らしい効果を発揮するが、昨今の社会風潮では「肺寒停飲」を確かめもせず、あるいはその基礎理論に無知なまま、不適応者に対する鑑別能力のないまま、あまりにも乱用が目立ち過ぎるのである。

 今回のケースはたまたま漢方薬局で出されていたが、小生の地元ではもっぱら医療用漢方での誤投与が顕著で、言葉は悪いが、その尻拭いばかりをさせられている。(今年は珍しく、ほんの数例に減少している。)

 また、昨今ブームの「冷えが原因」とする余りにも短絡的な病因論も大いに問題である。ネコも杓子も「冷え」に帰するというのだから、稚拙極まりない論法である。
 最初の原因が何でアレ、炎症性疾患を抱えている場合に、過度な温熱的治療方法は逆効果になることを知る専門家が、意外に少ないのに些か驚いている。

折り返しのメール: 村田先生へ

 早速にまた的確なご回答ありがとうございました。

 実は、叱られるかな・・・と思いながらご質問したのでやっぱりでした。
 言い訳では在りませんが、小柴胡湯と聞いたのはしばらくしてからで
 本人も体調がひどく悪いわけでもなく、逆に私自身に気を遣って効いてるような気がする、と言うようなわけで
 でもやはり、私の勉強不足です。反省しています。

 近くに在住であれば、的確な弁証論治をしてくださる先生を捜して連れて行くのに、と暗中模索状態です。
とにかくは、五苓散と補中益気湯を真剣に飲むよう申します。
 ありがとうございました。


編集後記の追加!:五苓散合補中益気湯で効果が無くなったら、多くの場合、補気建中湯加梅寄生かわらたけを考慮すると良いだろう。
posted by ヒゲジジイ at 00:49| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年10月03日

前回の記事に関して、超美人の江戸っ子オバサマより流石(さすが)のコメント

東京の超?美人のオバサマ、メールでコメント:村田先生。

 今日はブログを拝見し、ちょっと思い出し笑いをしていたのでメールしてます。

 私が始めて先生の所にお電話さしあげたのは(●●先生をご紹介して頂いた時)です。

 まつこ先生とお話していたのですが、その最中、村田先生のお声が電話越しに聞こえてきました。
 確かに!! チョッピリだけ怒鳴り声のように受け取れる感じであったように思われますが・・・。

 こちらは真剣・大真面目でしたので、ひるんでいる場合じゃありませんでした(笑)
 却って頼もしくさえ思えたものですよ。
 
 案外 先生の嫌いな患者さん撃退法(?)になるかも?なんちゃつて。
posted by ヒゲジジイ at 13:14| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

いつも同じパターンの怪訝なお問合せ電話「それじゃ〜〜いいです」の捨て台詞

 昨日の昼にもあった不思議なお問合せ電話。
 中年前くらいの女性の声で、
 「ちょっと漢方薬のことでお訊きしたいのですが、いつ行ってもよろしいですか?」
 というお問合せに女性薬剤師のお返事は毎度同じで、
「はいっ、構いませんが、どのようなご用件ですか?」
当然、単に話が聞きたいだけで遊びに来られたんじゃ〜カナワナイから、しっかり用件を訊いてからの話ですよ、実際!

 ところが、この応対に対して「それじゃ〜〜もういいです」ガチャリ!

 これっ、以前からシバシバあるパターンだが、いつも女性薬剤師は狐につままれている。
 丁度このお電話の時、HPを御覧になって村田漢方堂薬局に通い始めて4〜5回目の方で、少し親しくなっていたので、あれ、一体何なんでしょうね?と訊ねてみたが、不思議な顔をされるばかり。

 とっ、女性薬剤師が思い出したように、そういえば丁度その電話の最中にヒゲジジイの大声が聞こえたのよ、それと同時に「じゃあ〜〜もういいです」になったようだ、ということだった。

 それにしても以前から、シバシバ多いケース。まったく単純な電話のやりとりのはずが、特別な御愛想やオベンチャラを言わない女性薬剤師の応対が気に食わないのだろうか?

 同じ応対でも30前後の女性からは、とても親切に応対して下さったのでますます頑張ろうと思ったと、親しくなって述懐された人も多いのだが、十人十色の世の中、何がなんだか、サッパリ分かりませんね〜〜〜〜つ。

 同様なケースがしばしばあるから、怪訝なんですよ。

 まっ、自国の国旗や国歌に敬意を払えない教師達 というようなまともな常識が通用しない世の中に成り下がっているのだから、まともな会話が成り立たない人ばかりの日本国になったて〜〜〜こってしょうね、きっと。
 自国の国旗や国歌に敬意を払えない先生方に、大事な子供をあずけるわけには参らぬ。

 父や母、祖父や祖父母、曽祖父や曾祖母をはじめとしたみずからのご先祖様に敬意を払えない不遜な輩と非難されても致し方ないのではなかろうか?

 そんな不遜な輩にどうして大事なわが子を託すことが出来ようか!?

 実に不倶戴天と表現するに相応しい。
 価値観の相違で済まされる次元とは到底思えない。
posted by ヒゲジジイ at 00:08| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年10月01日

秋の乾燥肌には湿熱を除去するインチンコウトウや黄連解毒湯・猪苓湯などは乾燥肌に悪影響しませんか?という御質問

 関東から二泊三日で来られた方から、とても有益な御質問があり、それにお返事した回答を一部引用してここに掲載する。

 質問の趣旨は、タイトル通りの内容「秋の乾燥肌には湿熱を除去するインチンコウトウや黄連解毒湯・猪苓湯などは乾燥肌に悪影響しませんか?という御質問」である。

お返事メール:

 湿熱を除去する漢方薬は、皮膚表面までは乾燥させません。

 寒湿を除去する漢方薬の場合は、ときに肌まで乾燥させてしまう場合もあり得ます。
 単にシナモンの入っている五苓散でさえそうですが、とくにカッコウショウキサンなどはその傾向があります。

 ところが湿熱を除去するインチンコウトウや黄連解毒湯、膀胱炎の漢方薬、猪苓湯などは、肌の表面までは乾燥させません。むしろ体内の湿熱を解消しながらバランスを取って、乾燥肌を潤す作用を発揮することすら珍しくありません。

 たとえば尋常性乾癬という難治性の皮膚病は、患部がひどく乾燥する病気でもありますが、

http://murata-kanpo.seesaa.net/article/24572671.html

 このブログの後半に書いているように、膀胱系から湿熱を除去する猪苓湯とヨクイニン・板藍茶の併用10日足らずで八割以上、消えてしまいました。

 ヨクイニンというのは、肌に潤いを与えるので一般にも有名ですが、実は中医学の世界では湿熱を除去する重要な生薬でもあるのです。

 人間の身体は体表が乾燥しているからと言って、体内までが乾燥しているのではないのです。乾燥したでこぼこ状の発疹の直ぐ下は湿熱の膨らみなのです。

 ですから、湿熱を除去する適切な漢方薬を使用すれば、膨らんだ発疹の湿熱が乾燥している表面と調和が取れて、発疹が消失すると同時に、その湿熱が体表に出てきて乾燥肌を潤してくれるのです。

 人間の身体はこういう複雑さがあるので、短絡的に湿熱を除去する漢方薬は、肌を乾燥させると思いがちですが、逆なのですよ!!!

 寒湿を除去する漢方薬の場合は、すべてではないですが、先にあげたようなかっこうしょうきさんでは、肌を乾燥させてしまう場合もあり、シナモンという辛温性の生薬が配合された利水剤の五苓散なども同様です。

 ここが、寒湿と湿熱の大きな違いです。

 漢方の世界は、世間的な常識の裏の裏を読めるヒネクレ者でないと理解しにくい複雑な理論体系で成り立っているようにも思われます。
 とりわけ中医学の世界では、すべて実際上の現象を鋭く解明出来る指針となる基礎理論がしっかり構築されています。

 人体で起こる現象は、世間で思っているのとは逆なケースが多々あります。体表がトテモ乾燥している人なのに、体内はむくみぼくて水分でだぶついている人も多いのですが、このような人は、体内の水分が体表に回ってくれてないだけです。体内の水分調節をしてやれば回復するのですが、このような人が潤い成分のサプリメントなどを服用すればするほど、体内ではますます湿熱毒邪を貯留停滞させてしまうために、体表では保湿機能がいよいよ阻害されて乾燥肌がますます悪化する場合すらあり得るのです。
posted by ヒゲジジイ at 02:05| 山口 | 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年09月27日

他店で電話相談で購入した某サプリメント?の安全性の御相談

年齢 : 20歳〜29歳
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 : 関東
お問い合わせ内容 : 身内ががんで漢方〇〇〇〇〇〇に電話で相談したところ・・・・・・・・を購入しましたが亡くなったため必要がなくなってしまいました。
 それを伝えたところ個人輸入になってしまうため返品等はできないとのこと。
 残った・・・・・・・・は免疫力をあげるだけだから健康体の人間が飲んでも全然かまわないといわれましたが本当に何も害がないのでしょうか。
 教えていただけたらと思います。


お返事メール:拝復

 当方では該当製品の取り扱いが一切ありませんので、何ともお返事のしようがありません。
 もう一度、購入されたところに、念を入れてお訊ねになるのが最善だと存じます。

 以上、簡単ながらお返事まで。
                             頓首


編集後記: 同類の御質問は、メールに限らず、しばしばお電話を通じて、以前からとても多い質問なので、今回の例を代表として掲載することにした。

 他店において電話相談やメール相談だけで購入された場合の不安や問題点等を、無関係な当方に質問されるお気持ちも分からぬでもないが、一旦は信頼されて購入された筈の販売店に、念を入れて確認されるのが筋というものであろう。
 些かの不安等が生じて、他店や他の薬局に確かめたくなるお気持ちも分からぬでもないが、これが責任者と直接お会いせずに、お電話やメールの相談のみによる通信販売の落とし穴のように思われる。
 つまり、直接一度もご本人様やご家族にさえ一度も会わずに販売すると、後々の信頼関係は構築しにくいので、特別な条件が揃わない限りは村田漢方堂薬局では滅多に行わないことである。
 というのも、こういう方面だけは人一倍、石橋を叩く方だから。



posted by ヒゲジジイ at 00:13| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年09月15日

黄斑円孔

女性
年齢 : 50歳〜59歳
簡単なご住所 : 東海地方
お問い合わせ内容 : ご相談申し上げます。
 今年2月に大学病院で右目が黄斑円孔と診断され、3月に手術をしました。
 半年経過した現在、網膜の剥がれ、1mm弱の孔は元の状態に戻りつつありますが、視界のゆがみ、物が小さく見える等の症状は改善されておらず、視力はマイナス1.15です。

 医師からは手術前に「とても厄介な病気で症状等の改善、視力も元の状態には戻らない」と言われていました。私自身は手術は成功と考えておりますが、この辺が西洋医学の限界かなとも思っております。
 そのため後は何とか自身で少しでも良い方向にいけばと考え、日常の規則正しい生活は勿論のこと、ルテイン・ブルーベリー等のサプリメントを摂っています。

 そんな折、友人がサイトで村田漢方堂さんのHPを見つけ、教えて頂き、メールをしている次第です。希望があることを願い、お返事お待ちします。宜しく御願い致します。


お返事メール:拝復

 地元の常連さんにも、貴方とほとんどソックリの病気の方がおられます。

 現在70代の男性ですが、60代後半の5年以上前だったか・・・・・

 その方も、県外の眼科では評判の良い大学病院で手術したのですが、不運にも?穴はまったく塞ぐことも出来ず、物がゆがんで見える症状も、何もかにも改善は見られず、そこでもともと、当方の常連さんでもあったので、御相談に見えたのでした。

 そこで、しばらくは熱心に続けておられましたが、服用していたら何となく良いようだと言われて、2年間は続けていましたが、その後、社長業の激務から呼吸器系の疾患や帯状疱疹など、高齢者特有の症状に見舞われししまい、いつの間にか、黄斑円孔に関連する眼科症状改善のために続けていた漢方薬類がおろそかになってしまいました。

 ただし、急性疾患も含めて、あらゆる病気を漢方中心で治されたい方ですので、その都度、呼吸器系疾患も帯状疱疹も、当方の漢方薬で改善しながら、同時に免疫力を維持するためのオリジナル(三点セット)などを続けるうち、いつの間にか、目のことは気にならなくなったそうです。(この方の親戚・身内は各科の医師が沢山おられるのに、いつも主軸は当方の漢方薬です。)

 視界のゆかみも変わらずあるのですが、慣れっこになったようです。眼科の定期健診でも円孔は相変わらずあり、ただし、まったく進行の兆しがないということで、最近では、眼の悩みよりも、激務による急性感染症(風邪など)の予防と呼吸器疾患の再発予防を兼ねた体質改善の複雑な配合に専念している情況です。

 そのまま眼科系統の漢方薬を続けていたらどうなっていたか不明ですが、その常連さんの「黄斑円孔」のことは、この御質問のメールを頂くまで、すっかり忘れていたほどです。
 月に2度はやって来られる常連さんですので、あらためて質問してみることにします。

 以上のように、アラユル疾患にタッチできる立場にいる超常連さんであるがゆえに長期観察できる立場だから、上記のようなややのんびりした話になってしまうのですが、
黄斑円孔の疾患に限らず、多くの眼科疾患による手術後の後遺症の改善のために、地元でもしばしば依頼されて、漢方薬をお出ししてきましたが、どのようなケースにおいても、完璧なことは無理だと思いますが、多かれ少なかれ改善効果が得られていることは間違いありません。

 蛇足ながら、いつも心臓がドキドキするので、あまり扱いたくはないのですが、手術不能な黄斑変性症などでもかなりな改善効果があり、いずれも失明を免れ、視力がぐんぐん改善した人も多く、いまのところ無効例はゼロであるなど、漢方と漢方薬関連では、正確な弁証論治と臨機応変の融通性があれば、多くの場合、一定レベルの成果が得られるものと思います。

 もちろん、病気によっては、なかなか根治は望めるものではなく、いつも書いている8割改善どころか、5割改善したら「御の字」という場合もあります。
 貴方の場合も、当方の常連さんと同様、5割の改善が得られれば最高と考えても良いのかもしれません。

 そのためには、必ず7〜15日毎に通える範囲の場所で、いい先生(いい先生というのは、相談に時間をかけてくれて、その都度確認しながら、微調整を考えてくれる人。一か月分を最初から出すような所は、まず信用できないように思います。)

 そちらは幸い都会近辺ですので、探せば必ず研究熱心な先生にめぐり合えると思います。
 一定レベル以上の病気の場合、専門家の知識と経験の問題ばかりでなく、お互いの信頼関係とたゆまぬ努力、および一定レベルの経費の問題等、それらの要因がうまく合致したときにはじめて、良好な結果が得られているように思います。

 以上、簡単ながらお返事まで。(仕事のアキ時間に書き殴ってしまいましたので、誤字脱字はご容赦下さいませ!)
頓首

村田漢方堂薬局 ヒゲ薬剤師


折り返しお礼のメール:早速のお返事ありがとうございます。
少し希望が持てそうです。
 病院や医師にとっては、ごくありふれた病気でも本人にとっては一大事、まだ30年は生きようと思っていましたので、考えると絶望的にもなりそうでした。

 市内でお店を探してはみますが、場合によってはお伺いしようとも思っております。その時はお電話で予約を取ってから参りますので、宜しくお願い
いたします。
 ご多忙のところ、ありがとうございました。


折り返し一つの方法を伝授:拝復

 漢方薬によって、スムーズな即効が得られる内容でもありませんし、数年以上の気長い服用が必要なものですから、わざわざ下関にまで来られる必要はないと思います。

 ワザワザ来られても、うまくいって五割の改善といったところかもしれませんし。

 そちらでまず出来そうなヒントだけ述べておきますので、お近くの専門薬局を訪問されて、杞菊地黄丸が適応する体質かどうかを相談して見られることです。

 専門家に直接会って相談すれば、通常なら30分もすれば、適、不適の判別がつくはずですので。

 もしもこの方剤が適応する体質でしたら、気長く続ければ、これだけでも多少の改善効果が得られるかもしれません。適応する人は、同時に様々な老化現象の改善効果が得られることが多いのです。

 この方剤一つでも、体質に合っているようでしたら、得るものは少なくないかもしれません。

以上、簡単ながら追記としてお返事申し上げます。
                           頓首

村田漢方堂薬局 無
posted by ヒゲジジイ at 13:09| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年09月13日

地元の実力のある漢方専門医を御紹介して欲しいというメールはしばしばだが・・・

 遠方の人からのお問合せが多いので、通える範囲のところで専門家を見つけるようにアドバイスすれば、きまってその方の近くの漢方医を紹介してくれというメールが折り返し帰ってくることが多い。

 大概は、漢方薬局を望まず、漢方専門医を紹介してくれという方が多い。 保険のきく漢方専門でいいところはないだろうかという御質問をされる方すらある!
 
 これらのお返事は、すでにこのブログでも繰り返し書いたことなので、もはやあまり繰り返し書きたくない部分である。
 それが分かればこちらだって苦労はしませんや、というところで、保険はきかないところだから、同じ保険がきかない漢方の場合は、むしろ漢方薬局の漢方より経費はかかるかもしれないが、ここなら大丈夫だろうと思ってご紹介したところが、残念ながら・・・ということばかりが続くので、迂闊に御紹介できないし、ましてや極端な遠方となると、こちらには皆目見当もつかないのだから、ご自分達で地元を探す以外にはないだろう。

 遠隔地の方でも、東京でもいいから紹介して欲しいと望まれる人も多いが、それが分かれば苦労はないし、下関くんだりまで関東地方から来られる人が一番多いという不思議な現象は、雲散霧消するはずである。

 ということで、御紹介するのはコリゴリしているので、その依頼だけはしないでほしい。親切心を出してご紹介したあげくに、駄目だったじゃないか〜〜と詰め寄られて困り果てた経験もあるのだから、見ず知らずの遠方の人に、お気楽に御紹介してくれなどと依頼されても困るのである。

 蛇足ながら、お問合せでは遠近にかかわらず、ご家族によるご心配によるものがとても多く、地元近辺でもかなりご両親からのお問合せがあるが、いつも問題になるのは、御本人自身が本気かどうか、漢方薬に賭けてみるという熱意と情熱があるかどうか、ということなのである。

posted by ヒゲジジイ at 02:02| 山口 ☔| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年09月12日

脳腫瘍治療後の後遺症に対する漢方薬の御相談


性別 : 男
年齢 : 50歳〜59歳
簡単なご住所 : 北海道
お問い合わせ内容 : すみませんが私の子供の病気のことについてご相談させてください。
 私の子供は現在大学3年生ですが 高校2年生の時脳腫瘍を患い 札幌の大学病院で手術を行ないました。腫瘍の場所は小脳の近くで手術後放射線治療と抗がん剤の投与を行ないました。

 現在は以前から比べれば少しは良くなりましたが腫瘍のできた場所が悪かったのか 発音がすらすらと出来ず又歩き方もふわふわした状態で左右にゆれて歩くような感じです。目は白内障と診断されましたが 今のところ手術は不要と診断されましたがちょっと暗い所では視力は極端に落ちるみたいです。

 全てが良くならないまでも漢方薬の力を借りて症状が軽減できないものかとご相談申し上げます。
 宜しくお願いします。


お返事メール:拝復

 漢方薬でかなり改善する可能性は高いように思われます。

 中医学的な考え方を簡単に説明すれば、

 あくまで中医学的に五臓六腑のバランスの乱れを把握して、
 その五臓六腑の機能失調の状況や、
 体内に流通する気・血・津液・精の盈虚通滞(量的に過剰か不足か、流通が過剰が停滞かなど)の情況を把握した上で、

 五臓六腑の機能を調整する漢方薬および体内に流通する気・血・水(津液)・精の疎通あるいは補充を行う漢方薬によって、かなり改善する可能性はあり得るわけです。

 敢えてこのような一般の人にとってはやや理解しにくい要点を述べましたのは、漢方と漢方薬の世界は構造化された理論と法則によって、どのような困難な病状に思える場合でも、中医学理論の常と変を知って対応すれば、期待される結果が多かれ少なかれ得られるであろうという期待が大いに持てる過去の膨大な実績と成果があるわけです。

 現実に当方では、ご子息のケースと異なるものの、根治不能な血液ガンや転移ガンの人達が、あくまでクオリテー・オブ・ライフの向上目的で綿密な漢方相談と配合により、10年以上バリバリの現役で社会生活を送っておられる方が複数おられます。

 もっとくだけて言えば、漢方と漢方薬の常と変を知って臨機応変の漢方処方の運用により、きっと8割程度の改善は得られるのではないかと思われます。
 それには、かならずお近くで10日毎くらいにピントがシッカリ合うまで通える範囲のところで、相当高度な知識と経験をお持ちの専門家を見つけるのが最善ですが、次善の策としては、その専門家を育成するくらいのつもりで勉強熱心な先生を見つけて、喰らい付いてでも通い詰めれば、可能性は高いものと思われます。

 ただし、トテモ重要なことですが、ご本人が本気で漢方に賭けてみるという熱意と情熱と根気が無ければ、可能性は大変低いことになると思います。

 以上、簡単ながらお返事まで。
                               頓首

posted by ヒゲジジイ at 17:50| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年09月11日

生理前のイライラに効く漢方薬

 村田漢方堂薬局のHPを御覧になったという高校生の生理前のイライラに効く漢方薬はないだろうかという親御さんからのお問合せの電話である。
 例によって、御本人が本気で漢方を服用する意志があるのかどうか、多少遠方でも直接来られないことには確実なことは言えないので、その程度の問題なら、そちらの地元の漢方薬局で十分間に合うはずだからと、経費を気にされるようなので、このようにお伝えしてお電話を終えた。(応対は女性薬剤師)。

 実際の所、よくある女性の生理前のイライラや落ち込み等は、漢方では比較的得意分野であるから、漢方入門当初の十数年間は、それこそお気軽に相談にやって来られる多くの人に、面白いほど奏効する適切な漢方処方を販売し続けたものだ。誰もが知る「加味逍遙散」や山梔子・牡丹皮を去った「逍遙散」などが代表的で、近頃は「加味逍遙散」のほうは医療用漢方にもあるから、あえて当方まで来られる必要もない。

 漢方専門薬局でなくても置いているかもしれない。ところが、簡単なお電話だけでは簡単にアドバイス出来ないことが多いのは、典型的な加味逍遙散タイプばかりとは限らず、直接詳細に相談すれば、激しい生理痛が伴っていて内膜症・チョコレート嚢胞の問題が合併するなり、お気軽に相談できるほどの内容ではなかった場合も多々存在するから、及び腰の可能性の高いお電話での相談は皆お断りするのである。

 もしも単に、生理前のイライラがひといとか、精神的な落ち込みがひどいというレベルで、裏に隠れた問題がそれほどでもなければ、加味逍遙散や八味逍遙散あるいは四逆散などのいずれかが適切な場合が多く、経費も大したことはない。

 漢方の難しさというのは、たとえば本日実際に遭遇した例を挙げると、頭鳴・耳鳴りの重症者に釣藤散製剤と耳鳴丸の併用10日で、運よく頭鳴は完全に消失し、耳鳴りも僅かに軽快したのだが、変形性脊椎症による腰痛と膝関節炎も同時に治してほしいという追加要求されるのである。
 その理由が、当方の漢方で病院で治らなかった変形性膝関節炎を治してもらったら、同時に耳鳴りも治ったので、膝も一緒に治してもらうようにと、御紹介者にアドバイスされたというのである。

 確かに一理あることで、一人の身体で起こる病態は、予想外のところでつながりがあることが意外に多いので、常に全体を眺めながら綿密な弁証論治を行わなければ、万全とは言えないのである。

 ところが、万全にやればどうしても経費が嵩むので、耳鳴りから順番にして、それが治る都度、次は膝、次は腰という風にやって欲しいという西洋医学的な要求を出された場合は困ってしまうことも多いのである。
 一見正統に見えるこの要求は、腰痛が腎虚から来るものであれば、すでに耳鳴丸の中に入っており、膝関節炎がボウイオウギトウ証であるばあいは、湿邪の停滞と耳鳴りが連動していることは実際にあり得ることなので、順番にやるよか、バランスよくすべてを組み入れて初めてすべてが緩解することもある。
 すなわち、バラバラに西洋医学的に、これが頭鳴や耳鳴りの漢方薬、これが腰の漢方薬、これが膝の漢方薬として、順番にやっていくことではあまりうまく事が運ばず、結局はすべてがカバーできるように同時にバランスよく配合するのが唯一正解であったりするから、漢方と漢方薬の世界は奥が深く難しいものなのである。

 これらの見分けは、やはり基礎理論を含めた豊富な知識のみならず、長年の実践的な経験を積まなければなかなか分析力と判断力がつかないものである。
 あらゆる方向から、様々な可能性、すなわち五臓六腑、四肢百骸の連係情況を把握できる能力がなければ、適切な選薬をアドバイスすることは到底できない。
 だから、詳細綿密なご相談によって、理想的には10日毎に可能性の高い部分から試してもらって、より適切な配合に近づけなければならないのである。

 といっても、生理前の不調や、変形性膝関節炎、あるいは腰痛などありきたりな疾患ではその9割以上の人は、一発でピントが合ってしまうものなのである。
 ところが、他にも様々な疾患が合併してしまい、こじらせて病院治療で思わしくなく、また各地の漢方薬を試みても治らずに困って来られることが多いので、当然ピンと合わせにしばらくかかることは止むを得ないことだろう。

 ヒゲ薬剤師は自他ともに認めるイヤミジジイだから、西洋医学でも他の漢方薬の専門家でも治らなかった人達を8割緩解に導くお手伝いをして、お互いに苦労しながらも期待通りの結果が出ることにのみ、大いに快感を覚える。
 だから、どこでも同じ結論に至るであろう加味逍遙散証や、単なる膀胱炎の猪苓湯証などは、村田漢方堂薬局で相談されるまでもない。
 とは言え、一見大したことない症状でも、どこに行っても治らなかったと困惑して悩みぬき、村田漢方堂薬局のイヤミジジイのところに賭けてみようという奇特な方だけが来られれば良いと思っている。
 歳とともに次第に体力・気力が衰え、人の運命というのは分からないもので、エラッソウにこうやって嘯いているヒゲジジイ本人こそ、いつまで吠え続けていられるか分かったものではない。

 だから自分に向いた仕事、本気で賭けてくれる人、最低限のマナーを身に着けている人、クレーマーとは程遠い人、お互いに人のイタミが分かり合える人でなければ、壊れかけたコンピュータが作動してくれない。

posted by ヒゲジジイ at 21:20| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年09月05日

大学病院など最高の医療機関で長年の諸検査と治療によっても病名が付かず治療法もお手上げの時に漢方では・・・

 漢方相談では常にタイトルのような御相談が後を絶たない。診断も付かず、アラユル治療に抵抗し、出される医薬品が却って逆効果であったり、副作用ばかりが前面に出る例など、このために仕方なく漢方に救いを求めて来られるのである。
 漢方に救いを求める前にも、針灸・整体あらゆるものが逆効果であったというから尋常ではない。

 服用者に漢方に賭ける熱意と情熱があるかどうか? 西洋医学で完全にお手上げ状態だからといって加持祈祷に救いを求める人も多い。ところが、その救いを求めた加持祈祷所から紹介されて来られる人も意外に多いから、縁というのも不思議なもの。

 この個性の強すぎるヒゲジジイと相性が合うかどうか?こちらは患者さんが真剣で本当に漢方に賭けてみられるつもりがあれば、全精力を傾けて8割緩解まではあらゆる努力を厭わないが、相手あっての問題だから難しい。

 病気のために随分苦しまれているのを理解しているだけに、こちらが真剣勝負で全精力を傾けているのを漸く理解して、素直になってくれた方がある。通常ならもっと早くお断りするところだったのに、ご紹介者の手前、逆質問攻めに珍しく耐え抜いていたら、漸く漢方と漢方薬の深遠さと奥深さを理解されたらしい。

 あらゆる分野の治療方法で逆効果を示すのだから、正攻法で考えても埒は明かない。中医薬学の「常と変」を知って、裏読みすることでようやく糸口が見つかった。

 裏読みするのはヒネクレ者の逆説オヤジの得意分野とは言え、やはり実にシンドイ作業の繰り返しなのである。だから哲学のケムリが離せない。


 
posted by ヒゲジジイ at 21:38| 山口 | 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月29日

やっぱりインチンコウトウは必要だった!

 昨日の続き。このブログを見られる前に、次のようなメールが入って来た。

村田先生。
早速なのですが、インチンコウトウを服用せずと言うことにしてから2日目より多少のフラツキが出てしまいました。
現在までも続いており・・・(中略)・・・

 フラツキは以前ほどのキツさではありませんので、8割治まっていたのが6割に落ちてしまったかな?という程度です。

追伸

先生!!!
 メールをお送りしてからブログを拝見し、慌てて追伸メールを書いております。

うううっ。
返す言葉もなく・・・。
舌の状態(苔)はなんか又厚くなっているようで、でも黄色はやはりコーヒーなどの色が付いただけかとも思われますし。
・・・(後略)

編集後記 :上記の二つのメールの後、直ぐに電話がかかってきたexclamation 年内には再度、下関へ直接来られるとのことで、いんちんこうとうを他薬(柴胡加竜骨牡蠣湯と牛黄製剤)とともにお送りすることになった。
 多分これで8割緩解状態に直ぐに戻ることと思われる。

posted by ヒゲジジイ at 01:53| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月24日

転移ガン(原発:肝臓)に対する漢方薬について、遠方のご家族からの御質問は最もお返事が困難

ご質問者の性別 : 女性
     年齢 : 30歳〜39歳
ご住所:関東方面
お問い合わせ内容 : ●●県×××市在住の70歳の父。
 7月に検査。肝臓に4センチの腫瘍と小さいのが2つ。癌が骨に転移、腰椎の神経を圧迫。
 足にしびれがきたので、急に来週圧迫を取り除く手術をすることに。●●大医学部付属病院です。
 手術の後、放射線治療を行う予定です。
 良い治療法、漢方薬があれば教えて下さい。よろしくお願いします。

ブログ上のみでのコメント: このような重大な疾患に対して、しかもご質問者がご本人ではなく、遠方にご在住のご家族からの御質問というのは、申し訳ない事ながら迂闊にお答えは出来ない。

 こういう重大な疾患で、しかも骨転移などがある段階では、漢方薬を利用されるにしても、あくまで「クオリティー・オブ・ライフの向上」を目指すことに尽きる。

 ところで問題は、御相談者は遠方だが、ご病人さんは当方に比較的近い場所だけに、もしもこの遠方のご家族の奨めで、御本人の意思とは裏腹に、当方で直接的な御相談という事態になった場合、御本人やその他のご家族等のお考えとも齟齬する事態が往々にして生じるのである。

 だから、申し訳ない事ながら、お返事メールはお送りしなかった。きっとこのブログを御覧の方だと思うから、これを御覧になって当方の深意を汲み取って欲しい。
 こういうケースの御相談は、慎重に慎重を期してお返事したとしても、万が一にも当方が御本人様や複数のご家族との板挟みにあわないとも限らないということである。

 そこまで深く考えてしまうのが、遠方のご家族からの上記のような超重大疾患の御質問なのである。
posted by ヒゲジジイ at 01:46| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月21日

自費の漢方でも病気によっては月額経費が1万円前後

 

自費の漢方薬は月額換算すれば3万円を超えるていることを書いていたら、以前もそうだったが、今回も、そんなに高いと数ヶ月なら続いても、それが長期となると二の足を踏んでしまうという慨嘆するメールが入っている。

 どうしてそうなるかと言えば、やはり当方のホームページを見て、しかも遠方から来られるくらいの人は、既に地元で有名な先生方の漢方薬を服用されていたり、しかも数軒以上の漢方薬局やクリニックに通い詰めた挙句、地元近辺の漢方薬では殆ど無効だった人たちばかりだから、単純な漢方薬では太刀打ちできないからであろう。
 そういう有名な先生方で服用されていた漢方薬の価格を訊けば、多くは当方でかかる経費の2〜3倍はかかっていたので、当方での10日毎の1〜2万円の経費は、これまでよりも安いので良かったと喜んでもらえていることのほうが、実際には多い。

 上記のように、既に都会地などで比較的高額な漢方薬を試みられて治らなかった人たちにとっては、当方の漢方で次第に軽快して行っているのだから、しかも以前よりも安いということで、脱落する人は少ない。(一回ポッキリの人もおられたが、比較的単純な方剤の配合であったので、地元で簡単に手に入り、後の相談は不要と考えたに違いない。)

 ところで、あらゆる病気の漢方薬に、それだけの経費がかかる訳でもないのは当然のことで、たとえば、
重症化しかかった蕁麻疹の人などは、茵ちん蒿湯エキス剤と、後にイオン化カルシウムを加えた程度だから、それでも月額換算したら、1万円前後の世界である。

 比較的得意分野の関節リウマチにしても、一番シンプルなパターンに嵌ってくれれば、やはり月額1万数千円で済んでいるし、関節リウマチではこのタイプが半数弱を占めている。
 その他、単純性の坐骨神経痛や膝関節痛なども同程度の経費である。

 ところが、最初から複数の病気が複合している人が大変多く、またそうでなくともあの症状にもこの病気にも効く漢方薬が欲しいということになりがちだから、直ぐに軽く月額3万円を超えてしまうのが現実なのである。

 さらには牛黄製剤や麝香製剤を必要とする常連さんたちでは、特に牛黄製剤の最も高級品を使用されている常連さんなどは他の漢方薬とあわせて月額10万円前後かかっている人はザラにあって、その方達が村田漢方堂薬局を支えているという現実がある。だから、一度来られた人ならご存じのように、新人さんにはあのように十分な時間を取って御相談を受けることが出来るのである。

posted by ヒゲジジイ at 01:49| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月19日

目の下のクマ

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
お問い合わせ内容 : 困っていることは、「目の下に隈ができる」ことです。
 十分な睡眠をとっても、朝起きて1時間もすれば、隈ができます。夜になると、真っ黒になりかなり酷い状態になります。

 蒸しタオルなどで蒸らすとその時だけは良くなります。

 このような症状は、漢方薬で改善できますでしょうか?教えてください、よろしくお願いします。
 この情報だけでは足りないと思いますので、必要なことがありましたら聞いてください。


お返事メール:拝復
 中医学的には少なくともおけつが絡んでおり、それが血虚血オであったり、気虚血オであったりと、おけつの問題一つにしても、
http://blog.livedoor.jp/cyosyu1/archives/50581046.html
http://murata-kanpo.ftw.jp/u20727.html
 というように複雑多変ですので、本当に治されたいお気持ちがあれば、何年がかりで体質を変えるつもりでやらないと、8割略治は無理なのではないかと思います。

 体質改善に完全ということはなく、何でも8割と思ったほうが無難です。

 体質改善というのはソウソウは簡単に行えるわけではなく、
 たとえば小生の薬局で20代の頃から脂漏性体質で目の下にクマもあり、体質改善をして欲しいと来られた小生と同年代の男性がおられ、体質的には荊芥連翹湯が適応していたので、この処方を中心に茵?蒿湯やイオン化カルシウムなどを併用してもらって20〜25年?くらいだったか続け、続けていると体調も良いので、漢方薬が完全に習慣となっていたようですが、イメージとしては8割改善を維持していたという感じでした。
 その後は膝関節の病気などで常連さんとして三十数年間、折々に漢方薬を利用されていますが、目の下のクマなどが完全に体質化してしまっている場合は、8割程度の軽快、それも数年越しに漢方薬を継続して初めて実現したことで、ですからかなりな根気と努力を要するものだと思います。

 実のところ、小生の薬局では貴方のような半健康に伴う美容的な問題を扱うことは、近年激減しております。根気が続かない人が多いので、よほどの覚悟を表明されない限りはすべてお断りしているからです。

 ところで遠近の問題はともかく、当方のHPを見て直接来局され熱心に相談されて漢方を頑張る!と最初は勇んでいても、ちょっと統計を取ってみたら、美容的なものから難病まで含めて、半数近くの人は数ヶ月も頑張れないで脱落しているのですよ!(数ヶ月で治った人は例外ですが・・・・)数ヶ月も頑張れないようなら、最初ッから来ないで欲しいと思っているのですが・・・・

 幸か不幸か貴方も関東方面、実に関東方面からのお問合せは頻繁ですが、貴方がもしも本当に体質改善したいという根気がおありでしたら、地元の漢方専門薬局などでも十分に体質改善をしてもらえるはずですので、漢方に賭けて頑張られる気力と意欲が本当におありかどうか、それだけが問題だと言えるかもしれません。

 (たとえば、地元で見つけられないからといって、下関までワザワザやって来ても、結局は根気の無い人は、直ぐに脱落するので、どこへ行っても元の木阿弥というのが落ちなのです。)

 以上、簡単ながらお返事まで。
                            頓首


村田漢方堂薬局 村田恭介


編集後記:半数近くの人が脱落するというのはチョット大袈裟で、実際にはもっと真面目な人が多い。
 実際には早めに止める人の半数は一回ポッキリなのだ。

 ピントが既に殆ど合っていても継続服用して僅かずつ回復するのを気長に待ち耐えることが出来ない人や、せっかくもうちょっとでピントが合いそうという時に止める人など、結局はよくよく考えれば経費的な面が一番大きなネックになっているように思えてならない。
 10日毎に様子を見るといっても、ピントを合わせていく段階で次第に方剤も種類が増え、一ヶ月分に換算すれば3万円を超えるくらいはザラのようで、したがってピントをあわせる段階でも10日分が一万円を超えるようになっていることも珍しくない。

 最初からピントが合わせやすく一部の方剤が最初から確実な場合は早目から20日分や一ヶ月分になるケースもあるが、そういう人は却って真面目で継続する人が多い。

 もう一方剤を加えればこれでしっかりピントが合いそうだという時に中断されるのは惜しい限りだが、数ヶ月以内に脱落する人の多くは、不可避な経費の問題が最も大きな理由かもしれない、きっとそうだろうという結論のように思われる。
 それゆえ、ついつい方剤の追加を遠慮してしまうケースがあるが、この辺がいつもジレンマに陥るところである。
posted by ヒゲジジイ at 14:55| 山口 ☔| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

成長(特に身長)を助長する漢方薬

性別 : 男性
年齢 : 10歳〜19歳
御職業 : 学生
漢方と漢方薬の真実より⇒ご意見やご質問をどうぞ : 中国、韓国の地域には成長(特に身長)を助長する漢方薬があるときいたことがあります。教えてくれた台湾の方はすでに他界され、それ以上の詳しい情報がわかりません。

 成長時期の今、是非情報が知りたいと思います。


お返事メール:拝復

 御質問のそのような具体的な漢方薬の製品は存じません。

 ただ、漢方と漢方薬の性質上、その人その人の体質に応じた適切な方剤を見つけるのが本筋であり、その薬に適応しない人が必ずいるものです。

 身長などの成長が遅延している場合の漢方的な原因は腎虚・腎精不足や穀精不足などが関連していることが多いので(それ以外にも個人によって様々な要素が関連しますが)、その人その人の体質によって、六味丸や海馬補腎丸などとともに補中益気湯や補中益気丸を併用するケースなど、様々な体質が考えられます。
 それも、あくまで個人個人の体質に応じて適切な漢方処方を組み合わせるべきですから、皆に効くような特効薬的なものを求めるのは、些か疑問に思う次第です。

 以上、お役に立てずに恐縮ですが、世の中、そうそう単純には行かないものだと思いますので、このようなお返事をお送りした次第です。
                            頓首
posted by ヒゲジジイ at 12:27| 山口 ☔| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

腰椎変形すべり症による、坐骨神経痛の漢方薬

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
ご意見やご質問をどうぞ : ホームページを読ませていただきました。初めてアクセスさせていただきます。

 私は、昨年5月より腰椎変形すべり症による、坐骨神経痛を患っております。整形外科にかかりMRI検査による確認もし、椎間板ヘルニアもみうけられておりますが、症状としてはすべり症による坐骨神経痛だけが出ている状況です。半年程ロキソニン・メチコバール・プロレナール・ムコスタを飲み、牽引と暖めのリハビリの結果、今は、朝の痛み(息子の弁当作りと朝食の準備の時に椅子に座ってしまう痛み)と長い時間(20分以上)立ちっぱなしでいる時の痛み(しゃがみたくなる程腰のまわりと臀部がつるように痛みだし、1度しゃがむと、しばらくはよくなる痛み)が主なものになりました。

 7月からは、ヒーリングオフィスに通って体操を習い、ロキソニンも痛いときだけにして毎日出来るだけがんばっているのですが、左足中指にあった感覚障害が少しよくなってきた程度でなかなかすぐには効果が出ていないという状況です。
 昨年は、走ることも出来なかったことを思えばずいぶんよくなってきたと考えればよいと思うのですが、この大変な体操を(10種類以上あり、そのうち3種類は3セットを1日5セット)続けることが時間的にもなかなか困難な生活を送っている現状があります。
 腰椎変形すべり症からくる坐骨神経痛に効く漢方薬がありますでしょうか?

 以前、尿道管結石を患った際、病院からは痛み止めしかいただけなかった時、漢方薬がよく効き、お産んよりひどい転がるような痛みが楽になり、1週間で結石が出ました。漢方薬がすごいものであるということを実感しておりますが、すべってしまった骨による病気が根本的によくなるのか、漢方薬が臀部のつりや、立っていられなくなる痛みを緩和してくれるものなのか教えていただけると幸いです。
 お忙しいと存じますが、よろしくお願いいたします。


お返事メール:拝復

 腰痛関係では、どんな立派な病名がついていようとも、過去三十数年間の経験から言えば、かなり得意分野のような気がしています。
 その人の体質に合ったものを漢方理論の法則に従って忠実に適切な組み合わせを工夫することで、過去の経験で言う限りは、素晴らしい成績であったと自負しているほどです。
 もちろん、皆さんが簡単に短期間でピントの合った漢方薬が見つかったわけではなく、しっかりした配合が決まるまでには、相当に苦労した人もあるにはありましたが、あらゆる治療方法で無効だったりして、行き場を失っている人が多かっただけに、ピントがしっかり合うまで我慢して頑張られた人が多かったという面もあるかもしれませんが。

 ところが、手術以外に方法がないと言われた何人もの腰痛関連疾患(様々な西洋医学的な病名をもらっておられましたが)を意外に短期間でピントが合い、あとは漢方薬を真面目に続けるだけ、といったケースも大変多かったと思います。
 体格の立派な警察官でさえ拳銃が腰にぶら下げられないほど重症化して、手術前の入院時に病院を抜け出して、当方の漢方薬で手術を免れ、あっさり短期間で治り、それっきり服薬を中止していたら、10年ぶりに再発して、現在またやって来られているというケースもあります。
 
 頂いたメールにもご自身が尿管結石の折に、漢方薬の優れた効果を経験されているように、世間で思われる以上に、漢方と漢方薬は素晴らしい威力を発揮するものです。

 但し、問題はいかに適切な漢方薬を得るかが問題で、簡単に適切な方剤が見つかることもあれば、意外になかなか良い配合が見つからず、考察と工夫を凝らしてはじめて、ようやくピントが合うということがあるなど、ケース・バイ・ケースで、多少の偶然的な運も関係するかもしれませんが、ピントがシッカリ合うまで、10日〜15日くらいの単位で様子をみながら微調整すれば、遅かれ早かれ現象的には殆ど無症状となることと存じます。

 たとえ検査上はどうであれ、苦痛がほぼ完全に解消すれば、治ったも同然なわけですから、しばしば手術を嫌って様々な腰痛関連の患者さん達が当方に訪れていますが、ほんの一二回で諦めるような根気のない人でない限りは、高確率で、殆ど全員がかなり満足の行く状態に漕ぎ着けている例が殆どでした。

 現在も予防で服用されている人や、休んでいる人など様々ですが、西洋医学的にどのような診断を受けようとも、やる気でやれば、漢方と漢方薬で遅かれ早かれ改善できる確率は大変高いものと愚考します。

 貴女の症状よりも遙かに重症な人が何人も漢方薬で改善して行った例は、ザラにあるということです。

 要はご本人の漢方に賭ける情熱と、それに対応してくれる漢方の専門家を見つけることが大切です。(関東方面は日本の人口の1割なのに、相変わらず関東からのお問合せが最も多いようです。)

 なお、重要なことは直接通える範囲の場所で専門家を見つけるべきです。上述した当方での好成績も、皆さん苦しい中をピントが合うまで直接通い詰めた人たちばかりなのです。
 2〜3回目でピントが合った人は幸いで、時に一発で合った人など様々ですが、時に難航することもあるので、通える範囲のほうが断然有利だということです。
 
 以上、腰痛関連は、意外に漢方と漢方薬の得意分野であるということを述べましたが、どのような分野の疾患でアレ、服用者の根気と専門家の方の腕(技術と知識および経験)があれば、かなりなことが可能なのが漢方と漢方薬の世界ではないかと愚考しています。
                         頓首

村田漢方堂薬局 ヒゲ薬剤師


折り返しのご挨拶:拝啓 村田漢方堂薬局 ヒゲ薬剤師さま
お忙しいにもかかわらず、こんなにすぐにお返事をいただき本当に有難うございました。感激しております。漢方薬の素晴らしさは、経験しておりましたが、腰痛関係に得意な分野であったというお話を伺い地獄にほとけ・・・という気持ちです。たまたま私の読んだ腰痛関連の著名な整形外科の先生方の書かれた書籍のどこにも漢方薬の効果について書かれてはいなかったことが残念です。もしかしたら・・・とインターネットで検索した甲斐がありました。ヒゲ先生は「重要なことは直接通える範囲の場所で専門家を見つけるべき」と仰いました。私の様に、ヒゲ先生の事を心から信頼できる方であるとブログから感じとる方が日本中数え切れないほどいるのだと思います。先生のような方が、関東の何処に居られるのか、どうやって探せばよいのかわからない方たちが、先生の所に相談を寄せるのだと思います。私もわからないなりに、それでも先生のことが載っている日本の名医の本など、かたっぱしから探してみようと思います。でも、どうしても見つからなかったら、意を決して伺います。その時は、是非よろしくお願いいたします。蛇足ですが、薬草園の写真を見てびっくりしたこ・・・(残念ながらこれ以降が文字化けしてしまった!某社のWebメールでシバシバ経験しているので、その後無難なgooメールに変更)

posted by ヒゲジジイ at 01:01| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月11日

神経型ベーチェット病による複視

男性
年齢 : 30歳〜39歳
お問い合わせ内容 : ベーチェット病と診断され、5年ほど経った今年3月前、神経型ベーチェット病が発病しました。

 主に眼症状が現れ、複視の状態です。

 医者では慣れるしかないという判断ですが、漢方である程度は改善できる症例はありますか?可能性はありますか?


お返事メール: 拝復

 「可能性」という表現であれば、複視の改善は漢方によってあり得ます。難病指定とは言え、基礎疾患がかなり特定されている場合は、中医学に堪能な医師で、しかも眼科を専門とされる医師が最も理想です。
 中医学には「中医眼科学」があるくらいですから・・・・。

 但し、日本は中国と違って、眼科専門医師で中医学に堪能という先生は稀かもしれません?
 次善の策としては、そちらは都会地だけに、捜せばきっと中医学に堪能な医師あるいは漢方薬局の薬剤師がおられることと思いますので、そちらの地元で10日毎に通い詰めるつもりで、綿密・詳細な弁証論治を行ってもらい、根気と忍耐・不屈の精神で頑張れば、可能性があるということであり、絶対に改善できるという保障があるわけではありません。

 眼科的に詳細な診断も大いに参考にするのが中医眼科学の鉄則でもありますので、正しい診断を常に参考にしつつ、慎重で繊細な配慮によって適切な漢方薬の配合を工夫して下さる先生にめぐり合わないことには・・・・、まずそれが第一関門です。

 やはり賭けになる部分があると思いますが、漢方と漢方薬の世界では、西洋医学で困難な疾患や自覚症状が、適切な漢方薬によって緩解するケースは、それこそ日常茶飯事でもありますので、漢方に賭けてみる価値は大いにあると思います。
 たとえば、万一目的の複視に対する効果が不十分であっても、基礎疾患がかなり緩解するなど、多くの場合はお互いに苦労し甲斐があるもののように思います。

 もしも漢方にしばらく賭けてみようと思われた場合は、ベーチェットおよび眼科症状には微妙な部分がありますので、必ずお近くの通える範囲で、たっぷりと時間をかけて下さる先生のところを選ぶ必要があると思います。
 
 以上、簡単ながらお返事まで。
                                                              頓首

posted by ヒゲジジイ at 12:59| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月07日

残念ながらかなり深刻な病状であるため、常連さんのご家族でもない限りは、思い切ったアドバイスをすることが不可能という事例

関東地区より、
ご意見やご質問をどうぞ : 甥(17歳)の自己免疫疾患につきご相談いたします。
 昨年秋、目の腫れをきっかけに、膠原病を発症していることがわかり、ステロイド治療を開始、左目の視力は相当落ちたものの、三ヶ月ほどで寛解しました。しかし、その間、激太りし、断薬後、体調不良開始、極端な食欲不振、激ヤセ、ふらつきで、ついには歩行できない状態にまでなってしまいました。この症状に対して、病院では全く対応できす、思い余った父親が、以前、私が父親用に送った補中益気丸を息子に飲ませたところ、劇的に奏効、その後は継続服用、以後数ヶ月、他の薬を服用することなく、普通にすごすことができたようです。

 ところが、先月末、突然足がもつれて歩行できなくなり、眼圧もあがっていることがわかり、地元の病院で再びステロイドの内服治療を始めました。
 ステロイドが奏効しなければ、今度は免疫抑制剤も使用すると伝えられたようで、父親は病気そのものの心配と共に、再び激しい副作用が出現するのではないかと恐れています。
 今はステロイドを内服しているため補中益気丸はやめているようですが、併用してよいやら、また何か他の漢方薬を併用させたほうがよいやらわからす、途方にくれています。
 甥の症状は神経関連のものばかりで、医師からは、脳神経に炎症が起こっていることは確実といわれたようですが、昨年の発病から今日迄、実際、高熱を発したことは一度もないそうです。親子がすんでいるところは、相当辺鄙な場所で、かかりつけの医師は漢方薬に知識がなく、近隣に漢方薬局もありません。

 村田先生のHPで全身性エリテマトーデスでも漢方薬が奏効した例があることを知り、甥の病気の一助となる漢方薬あるいは副作用を軽減できる漢方薬があればぜひともお教え願いたく、メールしたしだいです。
 甥の体格は小柄、ヤセ形、おおらかで活動的な性格でしたが、先日一年ぶりに会った時は、さらにヤセ、血色も悪く、生気がうせて、別人のようになっていました。

 私は今春、老母のアルツハイマー症の件で先生にご相談したものです。その後、母は漢方薬局でせんじ薬を出していただくようになり、物忘れは相変わらずながら、気分と体調は少しばかりよくなったようです。ありがとうございました。


お返事メール:拝復

今回ばかりは、状況的に見て、適切なアドバイスのほんのひとかけらさえ、述べることが出来ません。
お役に立てず、申し訳ありません。


折り返しのご連絡:なんともつかみどころのない病気のことをお尋ねしてしまい、お手を煩わせ、申し訳ありませんでした。
 ご返信くださったことだけでも感謝しております。


編集後記:頂いた文面にも出てくるような全身性エリテマトーデスなどでは、地元にも遠方にも若い女性に複数、現在も漢方薬で緩解状態を維持されている方達がおられ、過去数十年間にも緩解状態に導くお手伝いをした事例はかなりある。

 しかしながら、同様な自己免疫疾患でも各種各様で、比較的重い状態の場合は、遠方から迂闊なアドバイスは出来ないほどデリケートなものである。
 のみならず頂いたメールのような深刻な状況とあっては、地元の常連さんの御家族のご相談でもない限りは、迂闊なアドバイス等を行うことは出来ない内容であった。

 お互いに深い信頼関係を築き上げている状況下においてはじめて、西洋医学的な諸検査等、主治医の見解などに基づき、同時に集中力を発揮できる状況下で綿密詳細な弁証論治を行いつつ、臨機応変の漢方処方のアドバイスがはじめて可能となる。
 
 今回ばかりは、メール相談の限界を大いに感じてひどい無力感に襲われてしまった。僅かなヒントすら差し上げることも出来ない、とてもデリケートな段階の病状だからである。
posted by ヒゲジジイ at 00:24| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年08月03日

有意義な御質問が続いているブログ「漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱」

 ここ数日は本ブログよりも、

漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱

 ここのブログで貴重な質問が続いているので、ちょっと訪問されてみてはいかがでしょうか。


 ところで・・・・・・

 昨今は、とりわけ20〜30代では、完全に「ヤマトナデシコ」は絶滅種になったものと思い込んでいた。

 ところが、今年になって当方のHPを御覧になり、意を決して来られた遠方や地元近くの20代女性の中に、典型的な「やまとなでしこ」に遭遇する機会に恵まれて、まだまだ日本も捨てたものではないかも、と少し嬉しくなっている。

 昨今も遠来の人の中に発見して、愚妻と共に大いに喜んだばかりである。

 このトウヘンボク爺に賭けて意を決して来られるだけに、とても真剣で真面目、だからこちらも集中力がいよいよ高まるのだった。
posted by ヒゲジジイ at 15:55| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする

2006年07月23日

漢方処方を開示しない秘密主義の漢方薬局問題と自費の漢方薬の値段の問題など

お問い合わせ内容 : 私(男性、年齢45才、身長164cm、体重43kg、血圧100/60mmHg、●●在住)は、子供の頃から慢性副鼻腔炎を患っていますが、さしたる治療もすることなく過ごしていましたが、30代半ばに、風邪をこじらせて肺炎となり入院した際に、気管支拡張症であること、また、びまん性汎細気管支炎であると診断されました。

 それ以来、近くの内科医院でエリスロマイシン(200mgx3)、テオドール(100mgx3)、ソロムコ(15mgx3)の投薬をかれこれ、10年近く受けております。もともと、子供の頃から、風邪をこじらせやすい体質で、今でも、2〜3ヶ月に1回くらいは、微熱を出しては、上述の内科医院で、エリスロマイシンではない抗生物質(メイアクト、フロモックス、クラビットなど)を3〜5日間分処方してもらい対処しています。

 最近、耳の聞こえが悪くなったので、耳鼻科に見てもらったら、副鼻腔炎から来る滲出性中耳炎といわれ、週2回程度の通院加療(鼻汁吸引除去と薬液噴霧吸引)と抗生物質(フロモックス)及びダーゼンの投薬処方を受けています。
 しかし、2ヶ月近く通院・投薬治療を受けているのに、副鼻腔炎の症状はなかなか治まっていません。また、私は、結婚しておりますが、子宝に恵まれず、泌尿器科で検査してもらったところ、精子の数が極めて少ないうえに、精子そのものの活動性も極めて悪いとのことでした。

 すなわち、副鼻腔炎、気管支拡張症(びまん性汎細気管支炎)、男性不妊症の3拍子そろった副鼻腔-気管支症候群(immotile cilia症候群)患者です。この頃では、階段の上り下りに、息切れを感じる度合いが強くなり、また、咳や痰もこみ上げてくる頻度や量が多くなったように感じます。
 すなわち、気管支拡張症は徐々に確実に進行しているように思います。エリスロマイシンがなかったら、もっと進行が早かったのかもしれませんが、何か、エリスロマイシンと併用できて、確実に病状進行を食い止める漢方薬処方にめぐり合えないものかと模索しています。

 そこで、今の私の悩みを聞いて下さい。
1) 私が、最近、漢方薬を調合していただいた薬局では患者に処方内容を開示してくださいません。効いている気がしているだけに、私には、それが大いに不満です。もし、処方を明らかにしていただければ、かかりつけの内科医や耳鼻科医に、漢方処方の長期的な投薬効果を医学的に確認してもらうこともでき、日本医療の進歩にも貢献するのではないでしょうか?
 そもそも、副鼻腔-気管支症候群患者にとって、耳鼻科と呼吸器内科とが分かれているのこと自体が不便です。その上、漢方薬局までもが秘密主義ともなるとやるせません。

2) もっとも切実なことですが、漢方薬の薬代が、1ヶ月に5〜6万円もかかります。せめて、その1/4〜1/2程度の費用で処方を受けられないでしょうか?


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復

 副鼻腔炎に気管支関連の疾患や耳管関連の疾患が合併すること等、往々にしてみられることですので、決して珍しいケースではありません。

 もちろん体質と症状にあった漢方薬を適切に配合し、また季節や折々に、臨機応変の配合変化を行いつつ、長期に渡って連用し続ければ、もののたとえとして8割は改善できるものです。

 文面を拝見すれば、さいわいそちらの漢方薬局で出されたものが効いている様に思われるとのことですが、処方名等を開示されないというのは、言いにくいことながらこの秘密主義は、明らかに薬事法違反なのです。

 薬剤師が運営する漢方薬局で直接対面相談販売することは、当然合法的なものですが、医薬品でもある漢方薬の処方内容等は、かならず開示しておく「義務」があります。

 その点では些か信用できない薬剤師さんだと言わざるを得ないでしょう。

 ところで、価格面ではこの自由な資本主義経済国である日本においては自由価格な訳ですから、何とも申し上げにくい問題です。
 たとえ、極めて良心的な価格設定を行っているところでも、合併する症候群を考慮すれば、単一処方だけでは、たとえ一時的に効果があっても焼け石に水程度のようにも思えます。
 言い換えれば、少なくとも複数の漢方処方を組み合さざるを得ず、のみならず、多少とも高度なテクニックを要する病状だと存じます。

 たとえば辛夷清肺湯あるいは清肺湯などの単一方剤だけで治るとかの単純なレベルを通り越しており、複数の方剤が必要であり、しかも時に応じて配合変化の必要があるであろうということです。
 それには、おそらく日本漢方レベルの没理論的なパターン認識漢方では限界があるかもしれず、弁証論治の高度な知識と経験が必要だと思われます。

 それにともなう経費も、やや類似した患者さんを当方でも過去・現在の経験から類推しても、月額に換算すれば3万円から、人によっては5万くらいかかっている人も珍しくありません。
 自費の漢方で、しかも複数の方剤や補助的な製品類の併用などが伴えば、月額にすれば、止むを得ない金額かもしれません。

 但し、単一方剤だけで月額5〜6万円もするとしたら、かなり高価なもので、相当な技術料が含まれているものと思われます。大都会の医師の経営する自費のクリニック等では、単一方剤でも、そのくらいはかかると関東地区から来られている患者さんの情報もありますが、薬代以外にも高価な技術料が含まれているということなのでしょう。

 結局は、経費の削減だけを考えれば保険漢方をご利用されるのが一番だという方向に向かいそうですが、今、通われている漢方薬局さんに談判し、処方を開示してもらい、その処方名を持って、お近くの保険漢方を扱われる病院や診療所を御訪問されるべきかと存じます。

 ここでも「但し」、同一方剤が保険適用になっているかどうかは、大変難しい問題で、運がよければ、一部の方剤は共通したものが使われているのかもしれませんし、ソウでない場合もあるかと存じます。
 言いえれば、保険漢方内での処方で、貴方の諸症状の改善がどの程度まで可能かは今後、保険漢方を処方して下さる医師の漢方知識と経験に大いに左右されることでしょし、相当に知識と経験豊富な先生にめぐり合っても、結局は、保険のきかない処方類の併用が必要にならざるを得ないことも十分に想像されることです。
 でも、まずは保険漢方を試みてみるのが、経費的には最善なことでしょう。

 ところで、当方の薬局などでは、ここ最近の新患さんの場合、ほとんど多くの人が保険漢方も何度か試みたものの、満足が得られず(効かなかったということですが)結局、ほどほど経費のかかる自費の漢方を求めて来られているという現実があります。

 つまり、我々のような漢方専門薬局においては、西洋医学治療のみならず、保険漢方もほどほどやり尽くしたというような段階でなければ、腰をすえて経費のかかる自費の漢方を何年にも渡って継続しようという気にはならない時代のように思えますし、また逆に当方にしても、それほど苦労された挙句でなければ、自費の漢方に賭ける気にはならないだろうと思っていますので、そこまで苦労された人でなければ、歓迎しない傾向があります。

 病院で治るものなら、それに越したことはないのですから!

 以上、散漫なお返事になりましたが、適切な漢方薬の配合が得られれば、長期に渡って連用し、折々に臨機応変の配合変化を行ったとすれば、何年も、あるいは一生涯漢方を続けるつもりでやれば、(必要適切な西洋医学治療も併用するとして)数年後には8割程度は回復し、そのレベルを維持する為にも、多かれ少なかれ、一生涯に渡って漢方を継続すれば、比較的健康な生活が送れるであろう、と思われます。

 以上、お返事まで。
                                   頓首


参考:びまん性汎細気管支炎 (一万人に一人くらいの特定疾患)
 気管支が枝分れして肺胞に入る手前の呼吸細気管支の慢性炎症疾患であり、咳嗽・喀痰に多かれ少なかれ呼吸困難を伴いやすく、特定疾患に認定されている慢性の呼吸器疾患。


編集後記:返信メールをお送りした後、考えて見れば、これだけの合併症と細菌感染が持続している場合は、漢方薬類も相当な種類と分量を要する可能性は高く、自費の漢方による経費的な問題では、やはり5〜6万円も月額要するのは止むを得ないだろうと思われる。
 実際には、経費のこと以上にもっともっと大事な問題は、相当に知恵と技術を要する適切な漢方薬の配合と臨機応変の配合変化および西洋医学治療との上手な連携であろう。

 文面における「確実に病状進行を食い止める漢方薬処方にめぐり合えないものかと模索しています」と述べられているお気持ちは尤もだが、めぐり合えるような固定した処方とは限らないように思われるのである。

 つまり、常に臨機応変の比較的複雑な配合を要することはほぼ間違いないので、単一の方剤を捜すのは相当困難なように思えるのである。
posted by ヒゲジジイ at 00:31| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする