2018年09月11日

慢性頭痛に長年悩む人に、葛根湯証が見逃されているケースが意外に多い

2009年10月11日の茶トラのボクチン(5歳)
2009年10月11日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 いまさら始まったことではないけれど、西洋医学治療はもとより、保険漢方のみならず、自費の漢方薬局などで相談しても、繰り返し頻繁に生じる慢性頭痛が、まったく治らなかったという人達。

 しかも、吐き気を伴ったり、実際にしばしば嘔吐する重度の頭痛の中にも、呉茱萸湯証ではなく、葛根湯であっさり快癒するタイプが意外に多いのだが、各地の漢方薬を取り扱うクリニックや漢方薬局でも、気が付かないまま、都落ちして遠路はるばる村田漢方堂薬局に訪れ、葛根湯であっさり快癒するケースが珍しくない。

 これがフィットする場合、吐き気や嘔吐に配慮した葛根湯加半夏、エキス剤では葛根湯+小半夏加茯苓湯などの小細工は無用。

 葛根湯だけでも十分に吐き気や嘔吐は、頭痛が生じなくなるので、必然的に治まってくる。

 但し、エキス製剤を用いる場合、葛根・麻黄・甘草の配合比率が、4:2:1であることが望ましい。

 なお、最も重要な葛根湯証の見分け方は、過去、このブログで繰り返し書いているので、再述はしない。

 ところで寒熱が葛根湯証とは真逆のケースでは・・・これ以上、営業秘密を明かすわけには行かない(呵々。

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2009年10月11日の茶トラのボクチン(5歳)
2009年10月11日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:葛根湯

2017年02月02日

久しぶりにアイスクリームを2つ食べたら、さっそくムカムカして藿香正気散(かっこうしょうきさん)

2011年02月02日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年02月02日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 この世には、様々な領域で、色々な誘惑が多過ぎる(苦笑。

 昨今は滅多に口にしなくなったアイスクリームを、この寒い冬にうっかり魔が差して2つ食べてしまった。

 以前は、このくらいのことではあり得なかったはずが、ムカムカと悪心が生じて、大柴胡湯+藿香正気散で即効を得たが、現実には藿香正気散だけ十分である。

 大柴胡湯を併用したのは、昨今は大柴胡湯を常用すべき体質となっていたからに過ぎない。
 もしもこのまま大柴胡湯+藿香正気散を常用すると、食欲過剰になる可能性があるので、藿香正気散は必要に応じて適宜使用するだけである。

 逆に言えば、胃腸が冷えやすい人で食欲不振に悩んでいる人は、あまり難しく考えずに藿香正気散を常用するとよい。

 但し、藿香正気散には乾燥させる力が強いので、微量の麦門冬湯を併用するなどすれば、長期間常用できる可能性が高い。

 蛇足ながら、大柴胡湯証を呈する胃弱な人も多いが、大柴胡湯+補中丸(補中益気湯製剤)や藿香正気散、あるいは香蘇散やオルスビー錠などを長期間併用することで胃弱が解消する人達がとても多い。

 といっても、大柴胡湯証の確証がない人には使用すべきではないので、必ず専門家と相談すべきである。

 胃弱に大柴胡湯を使用するケースが多いのは、決して意外ではなく、しばしば男性よりも女性にも多い現実がある。

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2012年02月02日の茶トラのボクチン(7歳)
2012年02月02日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母

2015年01月11日

40年前に当方の漢方薬で治ったという人からの問い合わせ電話

2009年01月11日の茶トラのボクチン(4歳)
2009年01月11日の茶トラのボクチン(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 慌しい土曜日の問い合わせ電話は、40年前に村田漢方堂薬局の漢方薬を利用された人だった。
 お名前を告げられても、受付嬢もヒゲジジイも俄かには思い出せない。
 紋切り型で、土曜日は新規相談者をお受けできないことを告げると、相談カードは残ってないのでしょうか?と。

 たとえ相談カードが残っていても、40年前とは体質が異なり、別人と同様だから、直接通ってもらはないとなりません、詳しくはHPやブログをご覧下さい、とお答えして電話を終わった。

 と、しばらくして思い出したような気がする。
 おそらく当時、激しい常習頭痛に、桃核承気湯エキス製剤で、帰宅中の車中で、即効があったという人だったように思われる。

 42年前に開業して以来、初期の数年間の即効例は意外に記憶しているものだが、その後になると、ここ10年くらいは覚えていても、残りの30年近くの間は、滅多なことで思い出せない。

 ともあれ、連休前の土曜日とて、店頭では昨日に続いて、新旧様々のアトピーの人達の来訪が多く、その他、各地からの補充の送り注文も続いて、荷造りの方も繁忙を極めた。

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2010年01月11日の茶トラのボクチン(5歳)
2010年01月11日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2011年01月11日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年01月11日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2012年01月11日の茶トラのボクチン(7歳)
2012年01月11日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2014年12月01日

先週の疲れを癒すべき日曜日は、仕事を離れて他分野の読書に専念していると、久しぶりに閃輝暗点がやってきた

2008年12月01日のボクチン(4歳)
2008年12月01日のボクチン(4歳) posted by (C)ボクチンの母

 昨日の日曜日は、仕事のことを忘れて、他分野の読書に専念していたから、月曜日のブログは、必然的に空っぽのものになる。

 ところが夜になって、久しぶりに閃輝暗点に襲われ、しばらく読書を中断せざるを得なかった。
 芥川龍之介も晩年、これに悩まされて『歯車』という小説を書いている。
 
 閃輝暗点が消えたら、同月同日の天界で暮らす可愛いボクチンの写真を貼って英気を養うのみ。

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2008年12月01日のボクチン(4歳)
2008年12月01日のボクチン(4歳) posted by (C)ボクチンの母

2009年12月01日のボクチン(5歳)
2009年12月01日のボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母

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2010年12月01日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2011年12月01日のボクチン(7歳)
2011年12月01日のボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母


ラベル:閃輝暗点

2013年02月07日

市販の加味逍遥散エキス製剤は慢性頭痛や偏頭痛の効能を記載できないほど粗悪品ばかりなのかっ?!

IMGP0809
IMGP0809 posted by (C)ボクチンの母

 綿密な弁証論治にもとづいて、しばしば偏頭痛や慢性頭痛に使って良好な結果を得ることが日常茶飯事だが、久しぶりに市販される添付される効能・効果の記載内容に目を通す機会があり、何度も読み直して頭痛関連の記載が一切ないのに驚愕した。

 だらだらと不統一な多くの記載が書かれているにも関わらず「頭痛」という単語の記載が一切見当たらないのであるっ!

 どのような立派な学者さんたちが各漢方製剤の効能・効果の記載を決めているのか知らないが、まったくもって理解に困しむものである。
 これほどの常用方剤に、頭痛の効能が一切記載されない摩訶不思議。

 重度の偏頭痛や常習頭痛で大学病院を紹介されて何年も通いつめてもほとんど軽減しないレベルの女性でも、加味逍遥散に猪苓湯と茵蔯蒿湯の各エキス製剤の併用で、次第に回復。

 このようなケースは日常茶飯事であるが、巷で販売される加味逍遥散エキス製剤は、頭痛の効能の記載を許せないほどのよっぽどの粗悪品が出回っているということなのか?

 保険漢方の加味逍遙散エキス製剤には頭痛の効能が記載されているものがある?ようだが、それらを既に服用していても頭痛に効果が不十分だった人が、当方に移って弁証論治の結果、市販品の頭痛の効能の記載がない加味逍遙散エキス製剤で頭痛に対する効果がしっかり得られたケースこそ日常茶飯事という摩訶不思議。

 こうなって来ると、白朮であるべきところを蒼朮で代用した保険漢方と、正しく白朮を配合した市販の加味逍遙散エキス製剤と、どちらが粗悪品であるのか、疑問を持つまでもないこととはいえ・・・
 補中益気湯の場合とは違って、加味逍遙散レベルの方剤では白朮と蒼朮を錯誤した配合であっても、方剤の構成生薬すべてに粗悪品を使用しない限りはそれほど効果に違いが出るはずもないのだが・・・。
(補注:補中益気湯の場合は、補益薬の白朮を祛邪薬である蒼朮で代用するのは大問題である。)

 とはいえ、加味逍遥散だけに頼っていても正確な弁証論治とはならないケースがほとんどなので、他方剤との併用が必要であることが常識といっても過言ではない。

IMGP8399
IMGP8399 posted by (C)ボクチンの母

2012年10月05日

頭痛と生理痛の悩み

IMGP7160
IMGP7160 posted by (C)ボクチンの母

【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 年 代 】:10〜19歳 女性
【 地 域 】:東海
【 具体的なご職業 】:高校生
【 お問い合せ内容 】:
  頭痛、生理痛、低血圧で困っています。 どうぞよろしくお願いいたします。
(症状)
 3年程前から(初潮開始半年前頃から)頭痛が悪化。
 ここ半年はほぼ毎日頭痛が起こり、
 寝込むくらい強い頭痛です。

 月経困難症(月経中)もあり、腹痛のため寝込みます。
 また低血圧(90/60)で寝起きがかなり悪いです。

(その他)
・幼少の頃から頻繁に腹痛がありました。
・家族は兄が頭痛もちです。
・痛む場所は右横から後頭部にかけて痛むことが多いです。
・痛み方は締め付けられる痛み、時々ズキズキ痛みます。
(病院では片頭痛と緊張型頭痛の混合頭痛と診断されています)
・朝から頭痛が始まることが多いです。
・吐き気は頭痛の時にたまに起こります。
・頭痛時に光に非常に敏感になり、動くと頭痛は悪化します。
・横になった方が楽ですが痛みは軽くならないです。
・頭痛の予兆はわからないですが、前触れとして肩や背中がこってくることが多いです。
・立ちくらみをすることがあります。
・人いきれ(人ごみ)で時々頭痛が起こります。
・ストレスに弱いです。
・寝不足で悪化します。
・気圧の変化で悪化します。
・雨の日は調子が悪いです。
・いつも肩こりの自覚あります
・のどがよく渇きます。
・汗かきです。
・体力はあまりないです。
・手足、お腹が冷えます。
・寝つきが悪くよく夢をみます。
・顔色はどちらかというと赤ら顔です。(白っぽくないです)
・便秘気味です。(便がすっきりと出ず、出た後は、下痢になります)
・尿はあまり出ないです。
・夕方になると足がむくみます。
・子どもの頃は鼻血がよく出ました。
・舌は紅色、苔は薄いです。

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IMG_7967 posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:

 お返事が遅くなりましたが、諸症状を総合的に考えると水分代謝が悪いために頭痛が生じているように思われます。
 頭痛に関してはおそらく五苓散(ゴレイサン)という漢方薬で軽くなると思われます。

 その他の生理痛に対しても五苓散で効果を発揮する場合もないわけではないのですが、最終的には少なくとも2〜3種類の漢方薬を併用する必要がありそうにも思えます。
 体質と病状に合った適切な漢方薬を見付けるには、直接通える人でなければ正確なことはいえません。

 でも、さいわいそちらは●●市に近いのではないでしょうか?
●●市◎◎町に美人の女性薬剤師さんが経営される★薬局さんに直接行かれてみてはどうでしょうか。

 漢方薬や中医学の知識と経験が豊富で、とても信頼できる薬局さんです。
 きっと親身になってご相談に乗ってもらえると思います。
 取り急ぎ、お返事まで。

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IMG_7970 posted by (C)ヒゲジジイ

2007年11月04日

むかつき感に対する漢方薬の御質問

薬局店内の書棚にようやく少しずつ書籍を搬入

御質問者:東海地方の内科医師

 いつもお世話になっています。
 本日は私のことでご相談です。1週間ほどまえにむかつき感を覚え、六君子湯を内服して一旦軽快しました。
 今朝になってむかつき感が再燃しました。関係はないかもしれませんが、この数日好きなコーヒーを止めていましたが、昨日にまた飲み出しました。
 ゲップがおおいこと、生唾も沢山でます。常時みぞうちから前胸部にかけての痞えた違和感があり、腹部がゴロゴロしています。以上です。
 現在の常用薬は釣藤散、八味丸(大晃生薬)です。それからお恥ずかしい話ですが、すこしストレスがあります。
 ご助言いただけますと幸いです。 お休みのところを恐縮です。


お返事メール:少なくとも八味丸は中止されたほうが良いです。吐き気にはマイナス効果です。
 中医学的には、吐き気の原因の多くは肝胆系統で、脾胃系統が原因となることは比較的すくないものです。

 しかしながら六君子湯が一時効果があったことを考えますと、寒熱にもとづいて考慮しなければなりません。寒熱が並存していれば、舌の奥に黄色味がかった苔がかかっておれば、御報告頂いた症状からはいかにも生姜瀉心湯(半夏瀉心湯の親戚)の正証に思えますが、血圧が高いことを思えば大柴胡湯や茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の可能性が高くなります。

 胸脇苦満があり、黄色い苔がかかっておれば、大柴胡湯や茵蔯蒿湯およびこれら両者の併用です。
もしも白い苔ばかりで、多少ともめまいふらつき感があれば、現在服用中の釣藤散に半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマ湯)を併用すると効果的です。
 小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)という方法もありますが、上記をヒントに、やはり舌象がとても重要です。

 ご報告の症状からだけみれば、いかにも生姜瀉心湯らしいのですが、人参や甘草の配合量が多いために、高血圧への悪影響が心配です。生姜瀉心湯の代用としては半夏瀉心湯エキス製剤に料理用のひね生姜を少し加えると近似します。


折り返し頂いたメール: いつも速やかにお返事くださいましてありがとうございます。
 舌象ですが(ご報告がおそくなりました)、自分で鏡を見て評価しますと中央からやや奥にかけて薄い黄色調の舌苔がのっていました。

 ”寒熱”についてもうすこしお教えいただけませんでしょうか。勉強不足で申しわけありません。極めて基本的質問にあたるかもしれませんが。


ヒゲジジイのお返事メール:舌の奥にかかる黄色味がかった苔は中焦や下焦に熱邪が存在することを意味します。理論的には舌の奥は下焦の位置ですが、現実的には中焦の熱邪の存在を示唆することが多いものです。(追記:消化器系統に関連する肝胆は中焦とみるべきであろう⇒肝は下焦だけでなく中焦にも属する

 消化器系疾患の場合、たとえ熱邪(胃熱や肝胆の湿熱など)が存在しても、同時に消化器能力の機能低下による中寒を伴うことが多いもので、それゆえ寒熱錯雑証としての半夏瀉心湯は、黄連や黄芩(オウゴン)によって心熱や胃熱を除去し、半夏や人参・乾燥生姜によって中焦の虚寒(機能低下)を改善します。

 このような寒熱併用の配合処方である半夏瀉心湯は脾虚によって水湿の運行が正常に行われなくなった升降失調(吐き気や下痢や胃の痞えなど)の状態を改善する優れた方剤です。
 半夏瀉心湯は心熱や胃熱がある場合の消化機能低下を治すものですが、その応用として小柴胡湯や柴胡桂枝湯を肝胆の熱邪に脾虚(脾虚寒)を伴うものとした発想から方意を考えることが可能です。

 一方、大柴胡湯は少陽陽明の実熱に適応する胆胃実熱に適応するものですが、生姜や大棗が含まれることからも、多少の脾虚寒が伴っている状況にも十分適応します。
 このため、半夏瀉心湯証(生姜瀉心湯証も含め)と大柴胡湯証は往々にして見分けにくい場合もあります。

 先生の場合、血圧が高い傾向にあることから、まず大柴胡湯を服用してみられたほうがよいように感じます。飽食の時代ですが、これまで過食傾向があったとすれば、この可能性は大きいと思います。
 もしもやや便秘傾向にあれば、たとえ寒がりや冷え性でも、舌の奥に黄色い苔がかかっている場合は、茵蔯蒿湯も必要な場合があります。

 茵蔯蒿湯は蕁麻疹や黄疸のみならず、原因不明の吐き気で、何を服用しても、消化器内科を歴訪しても、どんな漢方薬を服用しても治らないという人に、しばしば茵蔯蒿湯単方で著効を得てきました。
 いずれも舌の奥には黄色がかかっているのが絶対的な条件です。
 ただ、稀には寒邪が鬱積しために黄色い苔がかかる場合がありますが、これは例外的なことのようです。


折り返し頂いたメール:早速の詳細なお返事に深く感謝いたします。


【編集後記】 むかつき感は吐き気や嘔吐に類縁する同じく昇降失調に関わる問題であるから、上記のメールではむかつき感も含めてすべて「吐き気」に総括して論じている。

2007年07月22日

筋肉のピクツキ・吐き気・アトピー 三名の御質問へのそれぞれのお返事

筋肉のピクツキ
性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
ご職業 : 公務員
簡単なご住所 : 関東地方
お問い合わせ内容 : 平成17年9月出産後から、寝入りばなとか起きがけに体が大きくびくんと動くようになり、11月からはまぶたのけいれんでその後なったり止まったりしていました。その頃は微熱も出たり下がったり、のどが痛かったりもしていました。
 
 平成18年5月より体の色々な所(ほほや口、手、おしり、にのうで、首筋、ふくらはぎ、背中など)がぴくぴくします。
 手の親指が一日中毎日1ヶ月以上続くこともあります。毎日どこかしらぴくつき気持ち悪く、急に出るので精神的にも本当に参っています。
 先日は風邪をひき熱はほとんど出なかったのにのどの痛みがひどく、咳、最後は鼻水がすごくなり1ヶ月近く長引いてしまいました。
 その後片側の耳の鼓膜がつばを飲んだりあくびをする度ぽこっと動いて大きな音が聞こえます。これも気持ち悪いです。

 近くの漢方薬を出す心療内科でみてもらっていますが、効いてきません。足先の冷えもあります。半年前からは煎じ薬にして余計な物が重ならないようにしていただいています。
 低血圧、時々頭痛、身体動揺感、耳鳴りもあります。平熱は36、5分位、汗は出にくく少ないです。

 ぴくぴくや耳の違和感を治したいです。心療内科では、脈診や舌診もしています。
 今までに抑肝散陳皮半夏や芎帰調血飲、半夏百白朮天麻湯、桂枝竜骨牡蠣湯、加味帰脾湯等他にも多くの種類の種類をためしてもらいましたが、症状が良くなりません。
 こういう私のような症状に合う漢方薬はないのでしょうか。

 周りにこういう症状の人がいなくて家族にも理解してもらえず、治らないことへの焦りや不安でいっぱいです。顔に出るときは本当に嫌で、仕事復帰できるのか心配です。
 また、育休中なのに7歳と1歳の子の育児に集中できず、周りの元気な母子を見ると切なくなります。合う漢方薬があれば何かアドバイスをお願いします。長文ですみません。


ヒゲジジイのお返事メール:甘麦大棗湯はすでに使用されたのでしょうか?
 もしも貴女が涙もろく、しばしば生あくびが出る体質であれば、この処方で不随意運動(ピクピク)が解消する可能性が高いのですが、それでも効果がない場合は、甘麦大棗湯加芍薬です。体質によっては甘麦大棗湯に半夏厚朴湯を併用すべき場合も大いにあり得ます。

 もしも抑肝散が適応するイライラ眉間に皺がよるような短気な性格であれば、抑肝散加厚朴芍薬などが充分に考えられます。

 甘麦大棗湯を既に使用していたとしても、これに半夏厚朴湯を併用すべき体質であったとしたら、それが不足していたために効果がなかったのか、さらには芍薬を加えるべき体質だったのかもしれません。

 抑肝散加陳皮半夏は使用されておられるようですが、厚朴や芍薬が不足していたということも考えられます。

 多少とも難治性に見える疾患では、通常の方剤の運用ではなかなか効果が出せないことも多いものです。煎じ薬の場合も却って途中で配合比率の変化が行いにくかったりということもあります。

 上記の方法でも効果がない場合は、牛黄製剤を使用することで初めて効果が得られることもあります。

 中には様々な処方を少量ずつ、かなり繊細微妙に複雑に組み合わせないと効果が発揮できない方もおられます。(注:多くの疾患で一定レベルこじれると、そのような繊細微妙な配合が必要となることはシバシバ

以上、僅かでもヒントになれば幸いです。


吐き気
性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
御職業 : パート・アルバイト
簡単な御住所 : 東北地方
御意見や御質問をどうぞ : 高校3年(16歳)の息子のことで相談します。
 朝方、ほとんど毎朝吐き気を訴えます。実際に吐いたことはありません。先日、感染性胃腸炎にかかり、本人もそれがトラウマになっていると言うので、精神的なものかと思うのですが、漢方薬で治るなら、飲ませてみたいと思いますが、効果はいかがなものでしょうか。

 今は、具合が悪くなったら、すぐに迎えに行くからと行って、学校に送り出しています。学校で、吐いてしまったということは一度もありません。学校でも、軽い吐き気は、1、2回あるらしいですが、辛くて学校にいられないほどではないようです。
 病院を受診するほどではないけれど、毎朝辛そうな姿を見るのも心配なので困っています。


お返事メール:そのお考えは逆だと思いますよ。
 まずは病院で診察を受け、本当に精神的なものかどうか、実際に内臓に疾患がないかどうか正しい診断を受け、適切な治療をされてからのことではないでしょうか?

 たしかに状況的に考えれば、書かれている通りトラウマになって吐き気が続いている可能性は高いと思います。
もしもその場合は、安易に合成医薬品の安定剤などに頼らず、適切な漢方薬を利用された方が、今後のためにも遙かに有益です。
体質に応じた漢方薬が得られれば、次第に回復していくものですが、地元近辺でシッカリした漢方の経験を積んだ専門家に御相談されるべきです。

 といっても、まずは近くの漢方専門薬局で御相談されれば、案外簡単に手軽で適切な漢方薬が得られるかもしれません。可能性としては、柴朴湯・半夏厚朴湯・小半夏加茯苓湯・六君子湯・苓桂甘棗湯など、体質によって様々な可能性がありますので、しっかりピントの合ったものを選んでもらうべきです。


アトピー性皮膚炎
性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
御職業 : パート・アルバイト
簡単な御住所 : 関西地方
御意見や御質問をどうぞ : こんにちは。私は3?歳の主婦です。アトピーで悩んでいます。
 小さい頃から、ステロイドを使い湿疹を治していました。季節の変わり目に、関節の内側が痒くなり、手の湿疹は年中消えません。

 子どもが出来てから、ステロイドは良くないと思いやめて漢方薬を飲んだり、沸かしてお風呂に入れたりしていましたが、近所の人に化粧水を教えてもらい8年前からは、そちらを使い治療していました。完全に治ることは無く、良くなったりひどくなったりの繰り返しです。

 最近、兄に会い私の手を見て驚き先生を紹介してくれました。
 今は首や指先から脇の辺りまで痒く湿疹から赤く火傷の様な湿疹ができています。過食症になっておりピーナッツを山程食べたり、ご飯やお菓子やパンを腹一杯食べる習慣になっているのが悪化させる原因の一つなんですよね。
 最近は紫外線に当たるとてき面に悪化します。

 まず、私が今すべきことは、食生活を直し、紫外線対策をして外出し規則正しい生活を送る事だと思っています。湿疹を悪化させる食べ物などはあるのでしょうか?白砂糖や刺激物は良くないことはしっています。私のような湿疹にはどのような漢方薬がよいのでしょうか。教えてください。宜しくお願いします。


お返事メール:貴女の場合、アトピーを悪化させる悪い条件が揃い過ぎているので、現在の食生活を続けられる限りは不可能だと思います。
 暴飲暴食はアトピーの敵です。それらの食生活を改善することを前提に、そちらにも漢方専門の病院や薬局は多い筈ですので、直接出向いてご相談されることです。

 また、漢方薬でアトピーを治すには、その人の体質と病状に合わせた綿密な配合と微調整を常に繰り返すなど、臨機応変の配合変化を必要とすることもあり、このようなメールで簡単にかけるほど簡単なものではありません。服用者も漢方をお出しする側も、お互いの根気良い苦労を必要とします。

2007年05月14日

漢方薬が頭痛とふらつきに速効を得ても高血圧の漢方治療は?

おたより:北陸地方の鍼灸師

村田先生

 拝復
 早速ご教示ありがとうございます。半夏白朮天麻湯と釣藤散を服用しました。昨日はずっと頭痛がでてひどかったのですが、今日の午後からだんだんすっきりしてきて今は全くふらつきも頭痛も治まっています。
 服用2日目にして治まるなんて改めて漢方の凄さを実感しています。自分で感じてみるとより感激です。
 今は首から肩にかけての凝りを感じています。

 もしかして先生ご自身が辛夷清肺湯をご使用されたのは凝りにたいしてなのかと思いましたが・・・
 最近デジカメを購入したので舌の写真を添付させていただきました。
 写真でみてみると赤味もあるような、舌先に瘀点もあるような?
 是非先生のご意見を教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。
                   頓首


お返事メール:拝復
 ブログには「編集後記」としてメールのお返事では書き足りなかった問題点も追記していますので、御覧下さい。
 ところで、画像には確かに瘀血の存在は歴然としています。滑苔も見えるようで寒湿の邪気が並存しているようにも見えます。
 自覚症状軽快とともに血圧も少しは下がったのでしょうか?
 瘀血に対する適切な方剤は、生薬製剤二号方と言いたいところですが、肝風内動の兆候がある時には使用しない方が無難だと思います。川芎(センキュウ)の配合がまずいと思います。
 小生が辛夷清肺湯を使用したのは、いつになく鼻づまり加減であったからです。
 首から肩にかけての凝りは、そこを冷やした方が気持ちがよいか、温めたほうが気持ちがよいかによって方剤がまったく異なります。冷やして気持ちよければ辛夷清肺湯、温めて気持ちよければ、やっぱり生薬製剤二号方か冠元顆粒の少量を加えるか(笑)、ですが、牛黄も併用しておいた方が無難だと思います。
                     頓首
   村田漢方堂薬局 村田恭介拝


折り返しの頂いたメール:拝復
 詳しいご説明有難うございます。大変参考になりました。
血圧ですが180/110です。上は下がってきているのですが下がなかなか下がりません。ちょっと今日は目の奥が重い感じがしております。手元に杞菊地黄丸がありましたのでプラスしてます。
やはり凝りは依然としてあり、朝起きると余計に凝っている感じがします。やはり瘀血の対処をしなければいけないのかと思っています。
例えば六味丸系列のものを用いて瘀血剤を使用する場合は牛黄の使用はどうなのでしょうか?
 それとも六味丸系列のものを用いず牛黄とセットで使用したほうがよいのでしょうか? よろしくお願いします。
頓首


ヒゲジジイのお返事メール:拝復
 やっぱり血圧の方はあまり下がってないのですね。
 ご報告の内容からはどうしても各臓腑経絡の寒熱の実体の推測が不可能ですので、アドバイスの手がかりがほとんどありません。あきらかな熱証がみられる風でもなく、かといって肝腎陰虧が明らかとは言えません。
 やや推測可能な問題は脾虚による水湿の停滞から発展した風痰が強く推測されるだけです。このような場合は、半夏白朮天麻湯や釣藤散を合方するにしても、配合中で重なる朝鮮人参が問題で、降圧作用にブレーキをかけるものです。少なくとも党参が使用されているものならまだしも、日本の製剤は何でも朝鮮人参を配合しているので製剤としての効果をワザワザ激減させているように思われます。それゆえ、開竅化痰の牛黄で補強するなり、猪苓湯を加えるなりして強力に補強しなければ風痰による高血圧には効果は弱いと思われます。
 オケツの問題は、痰湿阻滞による気機失調が発展して生じた気滞血瘀と推測されます。丹参と霊芝を加えるなど・・・

 これが常連の人なら、実際にあったことですが、当時80歳の婦人、一ヶ月も塩鮭に凝って毎日食べ続け、明らかな塩分過剰により血圧が200となった人に、直ぐにその食習慣を中止してもらい、同様の方法で一週間で150〜160に戻したことがあります。
 強引に病院に行ってもらい、せっかくアルダクトンをもらって来たのですが、もともとあらゆる合成医薬品がまったくダメな人で、1回服用しただけで却って頭痛がするので二度と服用しない、ヒゲジジイがちゃんと治せと命令(笑)するので、上記方剤と牛黄製剤に沢瀉湯製剤をしっかり併用してもらい、利水効果を高めて1週間で元にもどしてあげたことがあります。
 小生自身のことや常連さんの体質のことならよく分かっているので、即座の対応とアドバイスが可能ですが、これ以上のアドバイスやヒントを差し上げることは不可能です。

 あまり血圧が下がらないいようでしたら、上記をヒントにされるだけでなく、明日にでも病院に行って一時血圧を下げてもらった方が安心ではないでしょうか?
                          頓首    


折り返しのメール: 拝復
 いろいろご親切にアドバイスしていただき本当に有難うございます。牛黄を使ってやってみようと思います。 それでもだめなら病院に行きます。
  また今後ともよろしくお願いします。
                          敬具    

               

2007年03月16日

苓甘姜味辛夏仁湯が頭痛や頭部ふらつきに著効を得た中医学的分析

御質問者:東海地方の内科医師

 夜分に失礼いたします。一件、村田さんの解釈を伺いたいケースがあります。
 30台の女性です、頭痛、頭部ふらつき、耳鳴り、めまい、むかつき感、生理の前に体調が思わしくない、など多彩な症状をもっているかたです。
 基本的に、脾虚と腎陽虚があると考え、八味地黄丸・六君子湯を中軸として処方してきたのですが、最近寒いときに頭痛と頭部ふらつきが増悪され、手元にあった119を内服したそうです(花粉の頓服として処方していた)。
 ほかにもいろいろ頓服を試したが全くだめで、119が著効したそうです。

 私のような浅学ではちょっと理解困難ですので、村田さんのお知恵を拝借できれば幸いに存じます。


ヒゲジジイのお返事メール:119番は、苓甘姜味辛夏仁湯のことですね。
 日本古方派では小青竜湯の裏の処方として珍重されており、小生も古方派時代には盛んに使用したものです。
 この方剤を用いて、中年女性の喘息を根治、文字通り根治させた経験が三十年近く前にあり、確か「漢方の臨床」誌にも発表した記憶があるのですが、手元の自著を探すと見つかりません。
 また、苓桂味甘湯や苓甘姜味辛夏仁黄湯など、この系列の加味方のすべての関係を「漢方の臨床」誌に発表した記憶があるのですが、いずれ書庫にいって探しておきたいと思います。
 ともあれ、

>寒いときに頭痛と頭部ふらつきが増悪され

た状況に苓甘姜味辛夏仁湯によって効果が得られた仕組みは、辛温の性質の「細辛」にはかなり強力な去風止痛作用がありますので、ひとえに細辛の止痛作用のお陰であろうと推察します。また、もともと本方には吐き気や眩暈にも有効な半夏や茯苓が配合されておりますので、痰濁上擾による眩暈にも有効に作用したものと思われます。
 
 漢方処方は一般で解説される効果効能以外の領域にも、広く応用可能なことは、猪苓湯においても既にご存知の通りです。葛根湯などについても葛根と麻黄・桂枝の配合比率次第では、各種の頚椎症など広い範囲の疾患に応用できるなど、配合中の薬味ひとつひとつの性質を深く研究されればされるほど、計り知れない応用力が付くものと思います。

 と、エラッソウなことを書いた小生こそ、難問がなかなか解けずに思案し続ける御相談者が常時数名以上、毎日考え込んでは不眠症の日々を送っております(笑)

以上、取り急ぎお返事まで。
                    頓首

 村田恭介拝

折り返し頂いたメール:早速のお返事ありがとうございました。
 119のお陰で漢方処方の引出しが増えました。ありがたいことです。