2021年06月16日

中島随象先生の遺訓による呪縛

 ネットで乳癌によい漢方薬を検索していると、牡丹皮が含まれる加味逍遙散が推奨されていることが目に付くことがある。

 ところが、一貫堂医学の中島随象先生は、1970年前後に開催された第21回日本東洋医学会総会研究談話会『癌と漢方治療』の中で、先生ご自身の経験から、乳癌や乳腺症には牡丹皮の入った処方は、増悪させることがあるので注意を要する、と警告されている。

 ところが、この発言の前に、相見三郎先生が、過去、乳癌を桂枝茯苓丸(牡丹皮含有)で治癒せしめた経験を数例紹介してきたなどと、ハリー・エドワーズもびっくり仰天の様々な各種癌の臨床経験を他にも多数紹介されていた。

 また、渡辺武先生も、生薬の制癌作用の動物実験で人参・柴胡・黄芩・黄連・芍薬・牡丹皮・薏苡仁・藤瘤・猪苓など、牡丹皮にも延命効果と細胞効果が認められたと述べられている。

 ただ、その後も中島随象先生は、乳癌に牡丹皮は使用するなとお弟子さん達に強く言い残されている。

 中国医学の各種書籍では、乳癌治療の筆頭に「逍遥散加減」と記載されるものが多いが、証侯によっては牡丹皮を用いた配合が、まったく無いわけではない。

 とはいえ、ふと思い出してみると、この中島先生の遺訓を知る前までは、ホットフラッシュ的な症状のある人には、乳癌でリンパ節転移のある人にも、肝臓転移の末期癌の人にさえ、あるいは石灰化の沈着により癌化の心配を指摘されている人にも、加味逍遙散を主体に各種中草薬を飲んでもらうことで、十分な成果を得ていたのだった!

 中島先生の指摘されているような不都合は、一度も経験するどころか、むしろ素晴らしい経過を辿った人ばかりを思い出す。それには多種類の中草薬類の併用、たとえば男性ホルモン様作用のあると言われる麝香などの配合薬などの貢献も大きかったかもしれない。

 ともあれ、最初に述べたように、昨今、ネットで乳癌によい漢方薬を検索すると、加味逍遙散が紹介されることがあるのも無理もない話かもしれないのである。

 しかしながら、高名な中島随象先生のお弟子さんに代々伝わる「乳癌に牡丹皮は使用するな」という遺訓を知ってからは、私自身、加味逍遙散は使わず、逍遥散や四逆散を主体に各種中草薬を加えることで、その後も、加味逍遙散の使用時より以上の、かなり優れたサポートを実現している。

 すなわち、私自身は、中島随象先生の呪縛が解けないまま、乳癌サポートにはここ長い間、中医学の書籍でも推奨される逍遥散主体の配合や、あるいは四逆散などを薦めても、子宮癌や卵巣癌に加味逍遙散を薦めることがあっても、乳癌にだけは加味逍遙散は推奨しないのである。

 ところで、考えてみれば、上記のように牡丹皮が含まれる桂枝茯苓丸で数例の乳癌の治験を報告されていたという相見三郎先生にしても、制癌作用の動物実験の報告をされておられた薬学系の渡辺武先生にしても、当時は中島随象先生に負けず劣らず高名な漢方家でおありだったのに、中島随象先生の遺訓だけにここまで拘泥するとは、もしかして、あらずもがなの呪縛なのかもしれない。
応援のクリックをお願いします 健康・ダイエットランキング

2009年6月16日のボクチン(5歳)a
2009年6月16日のボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母
ラベル:中島随象

2019年03月13日

悪性腫瘍のサポート相談で、最も多い肺腺癌と乳癌の最近の事例から

2012年03月13日の茶トラのボクチン(7歳)
2012年03月13日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母

 昨年後半の新たな相談者の中では、比較的初期の乳癌ながら、HER2陽性、ホルモン感受性強陽性、増殖率は中等度などで、術後の各種抗癌剤を行いながらも、次第に腫瘍マーカー(CEA)が上昇気味で、やや異常値をしめしているところで、例によって逍遥散を主体に、様々な中草薬類の数ヶ月で、体調も良好となり、CEAが3,5まで下がった。

 肺腺癌では昨年末の相談者。
 再々発の疑いとて、肺に再び疑われる影があるとのことで、感染症の痕跡かもしれないというので、従来の漢方サポートを再開されて経過観察すること数ヶ月以上、いつまでたっても消えないので、心配されてかなり本格的な中草薬を追加すること2ヶ月。

 その結果、やや影が薄らいだ程度ゆえ、念のためペット検査を受けたところ、反応はなかったという。

 数年前、再発を疑われた時も、同様に村田漢方堂薬局の中草薬類を多種類利用すること半年で、影が完全に消滅した過去がある。

 その時も再発か?感染症の痕跡か?を疑われていたが、いつまでたっても消えないので、強力な漢方サポートを求めて来られたのだった。
 もともと10年以上前に肺腺癌の診断で手術を受けていた人である。

 ところで、ペットで反応は出なかったとはいえ、さらに安心を得るべく、村田漢方堂薬局で煎じを多用していた時代に、しばしば加えて評判のよかったキノコ類3種類をエキス化した新製品(ウチダ和漢薬製)も、数日前にさらに追加したことだった。

1日1回、今日も応援のクリックをお願いします

2012年03月13日の茶トラのボクチン(7歳)
2012年03月13日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母

2017年08月21日

乳癌の手術前後から漢方サポートを10〜15年以上、続けている人達

2010年8月21日のボクチン(6歳)
2010年8月21日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 本日も補充購入に来られた人のように、乳癌で手術後、すでに10年以上再発はみられず、大きな区切りを過ぎている人たちでも、漢方サポートの服用頻度は減っているとはいえ、根気よく継続されている人もおられる。

 乳癌の漢方サポートを求めて来られた人達の中には、ヒゲジジイのように?かなりナイーブな人も多かったので、詳しい病期や手術内容を詳しく聞けなかった人達も、いつの間にか10〜15年以上、再発は見られないまま、それでもひっそりと補充購入に来られている人達。

 日々、転移癌や進行癌の人達ばかりに意識が行ってしまうのだが、乳癌に限らず、様々な領域の悪性腫瘍であっても比較的初期で、手術前後に漢方サポートを求めて来られた人達こそ、当然のことながら、根治率は非常に高い。

 それゆえ、どうしても、ステージ4の人達ばかりに意識がそちらに集中してしまい、また記憶が強く残りやすいとはいえ、上記のような比較的初期のケースで、いつの間にか完治を告げられた人達でも、お守りのように、長期間続けられている人が相当数おられることは、45年近くも漢方薬局を続けていたら、当然と言えばトウゼンなのかもしれない。

1日1回、今日も応援のクリックをお願いします

2011年8月21日の茶トラのボクチン(7歳)
2011年8月21日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母

2017年07月20日

乳癌の漢方サポートの中には

2014年7月20日の茶トラのトラちゃん(1歳未満)
2014年7月20日の茶トラのトラちゃん(1歳未満) posted by (C)ボクチンの母

 乳がん検診が広く喧伝される割には、年々増え続ける時代。だから当然のように村田漢方堂薬局でも漢方サポートを求めて、県内の人達ばかりでなく、遠路はるばるやって来られる若い年齢層の人もおられる。

 昨年、病院治療が始まる前にやって来られた人の中に、既に疼痛を発していた人が、4泊5日?で来られていたので、一日目の配合で、即疼痛がかなりなレベルまで軽減できた。

 それに気をよくされたのか、宿泊ホテルから村田漢方堂薬局まで、かなりな距離があるというのに、無謀にも!若さに物を言わせて、自転車をレンタルして、元気に通って来られた。ところが、こちらは内心ハラハラで、胸筋を酷使する自転車を漕いでいると、疼痛が再発するのではと思ったので、二度と自転車を使わないように強く注意をしていたと思う。

 案の定、明くる日にはバスで通って来られ、やっぱり疼痛が再発したので、さらに行気活血・消腫止痛の中草薬類を増強したところ、次の日には疼痛も軽減してホッとしたことだった。

 昨年秋の出来事だったが、ご本人はこのブログを折々に目を通されているかもしれないので「とうとう書かれてしまったか!」と、ご立腹かもしれない(苦笑。

1日1回、今日も応援のクリックをお願いします

2014年7月20日のクロちゃん(2歳半)
2014年7月20日のクロちゃん(2歳半) posted by (C)ボクチンの母

2010年7月20日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年7月20日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母
ラベル:乳がん 乳癌

2017年05月07日

乳がんの骨転移に対する漢方サポートを求めるには

2011年05月08日の茶トラのボクチン(7歳)
2011年05月08日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 年 代 】:50〜59歳の女性
【 地 域 】:関東地方
【 お問い合せ内容 】:お世話になります。

 お忙しいところ、申し訳ありません。
 私は乳がんで、骨転移に対してランマークという薬を使っていましたが、左上の顎骨壊死の副作用があり、膿が出てしまいましたので、中止しました。

 現在は「漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記」というブログを参考いたし、
半枝蓮+白花蛇舌草、玉屏風散、荊防敗毒散補気建中湯(腹水予防のため)の5種類の漢方薬を飲んでいます。

 膿も少なくなり、かなり効果が出ているようです。心から感謝しております。

 ただ、ランマークを中止したため、骨転移が進むことが心配です。
 何か骨転移対策の漢方を一つ追加したいのですが、牛車腎気丸はよくないのでしょうか。

 骨転移に効果的な漢方を1つだけでも結構ですので、ご指導いただけますでしょうか。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

2011年05月08日の茶トラのボクチン(7歳)
2011年05月08日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:

 残念ながら、メールで安易にお返事できる問題ではありません。
 メールだけで、ことが簡単に済めば、これほど楽なことはありませんが、そのようなことは現実にはほとんど無理難題です。

 当方でも、直接通える状況の人達だからこそ、微妙で複雑な配合によって実現できる場合があるのであって、かといって全員に完璧な効果が得られているわけでもありません。

 関東地方こそ、立派な自費の中医学専門のクリニックや漢方薬局が多数存在するはずです。
 お近くで直接受診しやすいクリニックや漢方薬局に直接出向かれるべきです。

 ご希望の効果を僅か一つくらいの中草薬で実現できるとも思われず、複数の微妙な組み合わせが必要となるはずですので、病状と体質そのほか、詳細に直接出向いて相談や受診できるところで、綿密にフィットしそうなものを求められるべきです。

 体質と病状に応じた中医学的に綿密な配合をやってくれる専門家を見つければ、相当程度の効果が得られる場合も多いはずです。

 取り急ぎ、お返事まで。

1日1回、今日も応援のクリックをお願いします

2011年05月08日の茶トラのボクチン(7歳)
2011年05月08日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2017年01月09日

乳癌による転移癌のご相談とはいえ、メールアドレスが不正確で返信不能!

2009年01月09日の茶トラのボクチン(4歳)
2009年01月09日の茶トラのボクチン(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 年 代 】:50〜59歳の女性
【 職 業 】:会社員(事務系)
【 地 域 】:関東地方
【 お問い合せ内容 】:

 10年前に乳癌になりました。
 その後4年後 脊髄と骨盤に転移してガンの影が段々こくなりました。

 現在は治験の新薬の試してをしてます。最初の新薬は錠剤でしたが、あまり効き目がなくて1年半位で止めて、新たな新薬を4年近く 抗がん剤を71回投与してますが、今現在腫瘍マーカーが毎回上がり少しガッカリしてます。

 副作用は手のしびれと足裏がゼリー状みたいな感じだけでも、後は食事力も日常生活は普通に家事も出来ました。

 私にあう漢方をお願いします!

2010年01月09日の茶トラのボクチン(5歳)
2010年01月09日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:

>私にあう漢方をお願いします!

 とのことですが、メールの短文の報告だけでは不可能なことくらいは、実際にはご承知の上と存じます。
 
 このような実際には無理なご依頼でも、「メールや電話相談でどこにでも発送致します」という商売丸出しの漢方薬局も多いようですので、そちらをお探しになればよいかと存じます。

 当方ではブログやHPにも明記しているように、一度も直接来られない人には、詳細な情報が得られないので一切お断りしています。

 必然的に重大な疾患では、当方に一定期間、直接通える体力が維持できている人、に限られます。

 ましてや関東地方という遠方であれば、当方にこのようなメール依頼をされるよりも、常識的に考えても、そちらには大都会が控えているだけに、近隣を探せば、いくらでも直接相談に乗ってもらえる漢方薬局や漢方クリニックがあるはずです。

 乳癌は各所に転移があっても、貴女のように比較的経過が緩い進行であるタイプもありますので、近隣で直接相談に乗ってもらえて、相性の合いそうな漢方薬局か漢方クリニックを探されるべきかと存じます。

 取り急ぎ、お返事まで。

1日1回、今日も応援のクリックをお願いします

2010年01月09日の茶トラのボクチン(5歳)
2010年01月09日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2016年12月13日

主治医が替わったら、ようやく漢方の使用を許可されたというが・・・

2008年12月13日の茶トラのボクチン(4歳)
2008年12月13日の茶トラのボクチン(4歳) posted by (C)ボクチンの母

 乳がんの手術後前後から、漢方薬類を服用されていた女性が、その後の再発や転移の予防の化学療法を開始するにあたって、主治医に漢方薬類の使用の許可を求めたところ、絶対にダメだと強く禁止されたという。

 手術前後の漢方薬類の服用によって、食欲や体力の向上に大いに効果を感じていたので、抗がん剤治療時こそ継続したかったが、あれほど強く否定されるので中止したまま、化学療法を何クールか続けるうち、髪は全部抜け、食欲はガタ落ちして、ガリガリに痩せて来たので、不安になったという。

 ちょうど主治医が替わったので、恐るおそる相談したところ、やはりやや否定気味だったが、前医ほどケンモホロロではなかったので、しばらく間をおいて、雑誌を見せながら相談したところ、渋々ながらも許可を得たという。

 ところがこの人、困ったことに、どこで仕入れて来たのか、トンデモない迷論。
 「漢方薬といえども第2類医薬品は薬だ」から「抗がん剤と併用すると副作用が出るのではないか?」と、真逆のあり得ない愚問を発するのである。

 抗がん剤こそ毒薬や劇薬であり、これ自体で副作用が付き物であることを忘れているのだろうか?

 健康食品なら安心だ・・・と、トンデモナク馬鹿げた論理をどこから仕入れたのだろうか?

 漢方薬や中草薬類は、抗がん剤の副作用を軽減するばかりでなく、それ以上の効果を発揮することが多いのは言うまでもない。

 当初はいくら説明しても、なかなか正論を理解されようとしないので、あまりにも無知蒙昧な論理に呆れ果て、「これが新規の相談者なら、きっぱりと相談をお断りするところですよ」と何度も繰り返し、遠回しにおかえり願う。

 どうしても理解してもらえないからには、いよいよクレーマーに豹変されるのを怖れて、君子(ならぬヒゲジジイは)危うきに近づかず、の教訓を守ろうと、いかにお帰り願うか、努力の果てに疲労困憊。

 結局は飲んでいた時の方が、断然不安感もなく、食欲や体力も向上していたということで、同じものを持って帰られた。

 ぐるぐると同じ話で空回りする相談のおかげで、昼食が夕方5時前にまでずれ込んでしまった!

 今回の驚くべき事例こそブログ掲載もので、ご本人にも伝えているが、世の中の無知蒙昧な医師や一般人の誤解も甚だしい。

 とはいえ、主治医の場合は、ただプライドが許さないだけ、というケースの方が多いのかもしれない。

 もしもそうだとしたら、決して患者さん本人のためを思ってのアドバイスでないだけに、無知よりもはるかに始末が悪い。

1日1回、今日も応援のクリックをお願いします

2011年12月13日の茶トラのボクチン(7歳)
2011年12月13日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母

 

2016年10月06日

NHKのドクターGを見ていると、男性医師よりも女医さんのほうが

2008年10月7日のボクチン(4歳)
2008年10月7日のボクチン(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 毎回見ているわけではないが、ドクターGを見ていると、多くは男性医師よりも女医さんのほうが診断能力が高く、頼りになりそう。

 乳癌末期の患者さんで、2度目の肝臓転移で骨転移や腹満なども生じているのに、1度目の転移の時の抗がん剤治療の苦しさに辟易されていたため、抗がん剤を断乎拒否しても、最期まで温かく見守ってくれた素晴らしい女医さんもおられた。

 数年前、かなり疲労困憊の状態で、当方の常連さんのご家族の紹介。

 状況的に無理かもしれないので何度もお断りしていたものの、それをおして来られた人だけに、やや躊躇したものの、やや控え目の漢方薬でも幸いに劇的に効果を発揮して、即効的に体調を回復された。

 腫瘍マーカーも劇的に下がって、その年の年内にはほとんど根治に近づくのではないかと期待されるほどで、主治医の女医さんも大いに喜ばれ、配合内容をご覧になって「とても良いものを飲まれているのね!」と患者さんを励ましてくれていた。

 しかしながら夏休みに子供さんと思い出作りとて、海外旅行や日本各地を旅行して回ること1ヶ月以上、さすがに体調を崩された。

 すかさず補気建中湯を追加することで、今度も劇的に体調を回復したものの、腫瘍マーカーがやや後戻りし始めた。
 
 それでも漢方薬を始めて以後の丸2年間は、とても元気で過ごされていたし、亡くなられる2週間前までは、遠路はるばる車を運転して直接通われていたし、疼痛が最期まで皆無で、亡くなる半日前まで、食事を美味しく食されていた。

 ご家族の報告では、主治医の先生方は、
「西洋医学も考えないといけない。漢方薬だったら最期まで普通の生活ができるのだから・・・」
 とつくづくと述懐されたとか。

 半年以上も前の出来事だが、次のステージを信じておられたので、あちらでも明るく元気に過ごされていることだろう。

 その証拠に、親友の夢の中に、折に触れて訪れているといわれる。

1日1回、今日も応援のクリックをお願いします

2008年10月7日のボクチン(4歳)
2008年10月7日のボクチン(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2016年09月01日

気が付いてみると、コタロー製の「逍遥散」エキス製剤は

2010年9月1日のボクチン(6歳)
2010年9月1日のボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 加味逍遥散を製造している製薬メーカーさんは多いが、逍遥散を製造されているメーカーさんは、知る限りではコタローさんとイスクラさんとホノミさんの3社だけだと思う。

 その「逍遥散」、村田漢方堂薬局では、もっぱら乳癌関連の漢方サポートの主方剤としているのが実情である。

 乳癌による様々な転移で来られる人も多いが、将来は乳癌に移行するかもしれないと疑いをかけられている人達にも、主方剤としてこの逍遥散を主体に、各種の中草薬類の併用である。

 中医学書籍にも、肝鬱タイプの乳癌サポートの主方剤として、逍遥散が記載されていることが多いが、確かに弁証論治を行えば、乳癌関連の体質者の多くが、逍遥散適応体質である。

 ともあれ、コタローさんは他にも延年半夏湯や補気建中湯、分消湯など、他社にはない特殊で重宝な方剤を多数製造されているので、薬系漢方業界の希望の星である。

 蛇足ながら、ヒゲジジイの要望で製造が実現したものを数えてみると、既に8種類にのぼる。

1日1回、今日も応援のクリックをお願いします

2010年9月1日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年9月1日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2010年9月1日のボクチン(6歳)
2010年9月1日のボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2016年06月22日

乳がん手術後の点滴による抗癌剤治療時に漢方薬の併用は・・・

2010年6月22日のボクチン(6歳)
2010年6月22日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 手術後の抗癌剤治療時に漢方薬を併用することに不安を抱く不思議な人達。

 昨日もそのような相談があった。

 手術前には多種類の漢方薬を一ヶ月服用することで、様々な体調不良が改善して喜ばれ、手術も問題なくクリアできたものの、あまり性質のよくない癌細胞であることから、点滴による抗癌剤を行う必要があるのだそうだ。

 固形癌であるだけに、抗癌剤がどれだけ有効性があるものかは近藤誠医師でなくとも、誰しも疑問を抱くものであるが、同じ乳癌で、友人は手術後の点滴による抗癌剤の副作用に耐えられず、途中で拒否したまま、再発や転移の兆候もなく元気でおられるという。

 ただ、性質のあまりよくない乳がんであれば、抗がん剤をしようが、しまいが抗癌剤だけで固形癌が根治する可能性はほとんどないのが医学的常識だといわれる。

 運が悪いと抗癌剤の毒性によって、逆効果になることも珍しくない話で、将来は命にかかわる問題だけに、患者さんたちにとっては深刻な問題である。

 それだけに、抗癌剤の副作用を少しでも軽減できるようにと漢方薬を求めて来られる人も多い中、漢方薬を併用しても大丈夫だろうか?と不安がって相談に来られる人には、いつもこちらのほうが戸惑ってしまう。

 毒薬や劇薬である抗癌剤の方に大きな問題があっても、フィットした漢方薬類になんの問題があるのか?逆にこちらが訊きたいくらいである。

 主治医に相談したところ、無反応の応対で、よいともわるいとも返事がなかったといわれるし、そうこうするうち、主治医が他の医師に交代していたという。

 主治医公認で当方の漢方薬を併用されている人も多い反面、隠れて併用している人も多く、その数は半々くらいである。

1日1回、今日も応援のクリックをお願いします

2010年6月22日のボクチン(6歳)
2010年6月22日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2010年6月22日のボクチン(6歳)
2010年6月22日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2010年6月22日のボクチン(6歳)
2010年6月22日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2010年6月22日のボクチン(6歳)
2010年6月22日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2014年01月27日

衰弱と食欲不振が目立つ段階での進行癌は「移動による体力消耗と服用困難」の問題が大きなネック

2008年6月8日ボクチン4歳
2008年6月8日ボクチン4歳 posted by (C)ボクチンの母

ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 60歳〜69歳
お問い合わせ内容 :

 妻が再発乳ガンの治療を受けて5年目となりホルモン療法が効かなくなりました。

 よって抗がん剤治療を受けておりますが食事もあまりとれず衰弱する一方です。

 病院に頼んで六君子湯を出して貰ったところ、やや食事ができる様になりました。

 相談にお伺いしますのでよろしくお願いいたします。

トラちゃんとスコちゃんとボクチンの写真
トラちゃんとスコちゃんとボクチンの写真 posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:

 衰弱と食欲低下が進んでおられるご様子。
 距離的な問題から考えまして、移動による疲労の問題と服用困難となる可能性の問題が大きく、そのためお役に立てないように思います。

 当方で改善が得られている例は、たとえステージ4の段階でも、十分に体力と食欲が維持でき、ご本人みずからの強い意欲で通える体力と食欲が維持できいる人達ばかりです。

 逆に過去、衰弱と食欲低下がみられ、なおかつやや遠距離の場合、移動による体力の消耗によって衰弱と食欲不振が進行し、まったくお役に立てなかった例ばかりが目立ちますので、昨今では、食欲と体力が維持できてない人達は残念ながらお断りさせて頂いております。

 ましてや六君子湯でようやく食事が取れるというところから逆算しますと、当方の苦い漢方類の服用は難しいと思います。

 是非、地元近辺で楽に通えるところをお探し頂きたいと存じます。

 お断りするのは大変心苦しいのですが、40年間の経験から、距離的な体力の消耗と服用困難の問題により、お互いに後悔することになる可能性が高いことがほとんど明白に思われますので、体力の消耗しない地元近辺でお探し下さいませ。

 以上、大変申し訳ない次第です。

2008年6月8日ボクチン4歳
2008年6月8日ボクチン4歳 posted by (C)ボクチンの母

折り返し頂いたメール:

 早速のお返事ありがとうございます。
 近所で探してみようと思います。

 無理なお願いと承知の上ですが、村田様●●市近郊で安心して相談できる処をご存知でしたらご教示お願い出来ませんでしょうか。

追伸
ポクチンかわいいですね。
うちにも白猫がおり、妻を癒してくれてます。

2008年6月8日ボクチン4歳
2008年6月8日ボクチン4歳 posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:

 残念ながらそちらの薬局の状況はまったく不案内です。
 申し訳ありません。

 どうぞお大事になさって下さいませ。

シロちゃんとクロちゃん
シロちゃんとクロちゃん posted by (C)ボクチンの母


ラベル:乳癌

2012年07月25日

乳癌による肺転移で漢方薬の中止を主治医に依頼された理由は臨床試験データ取得目的だった

ZZZ_5861
ZZZ_5861 posted by (C)ヒゲジジイ

 当方の漢方薬類の服用のお陰か、乳癌による肺転移の病巣は大きくならずに良好な状態が長く続いていた。主治医もこれを認めて奨励して下さっているのでご本人も安心して続けていた。

 2012年02月27日ステージ4で薬局漢方を奨励される人と中止を勧告される人の違いは・・・の中で記した実例の1人は実はこの肺転移を生じていた乳癌の女性のことで、あれから既に10年以上が経過しようとしているのだが、

製薬会社から依頼された健康食品まがい(βクルカンの類)のものを大学病院の教授から患者さんが実際に依頼され、漢方薬の中断を勧告または依頼された実例もある。

 この依頼に応じてしまい

承諾して体調が良くなっていた漢方薬類をすべて中止して数ヶ月、一気に転移が拡がって涙ながらに後悔した女性もおられた。(その女性に健康食品まがいのものの臨床データ取得のために漢方薬を一時中断させた某大学教授はその後、ほどなく遠くへ移動となった。)

 幸いにこの女性、当方の漢方薬を再会したら雲がかかるように拡がっていた転移巣が元のレベルに縮小して来た。その喜びようはたとえようもなかったが、大学病院という組織の得たいの知れない非情な仕打ちに愕然とした気持ちは患者さんばかりではなかった。

 人間不信にますます陥るばかりで、ヒゲジジイが依怙地になるのはこのような実例にしばしば遭遇するからに他ならない。

 ところで、この患者さんは当時、自分が飲んでいるものがネットでも売られていると盛んに訴えられていたが、こちらはインターネットがどこに向いているやら皆目検討が付かない時代。パソコンすら置いてなかった当時である。

 しばらくして無音となるに及んで、ようやく気が付いた。この頃から次第にネットでは安売り競争が勃発していたのだった。それゆえ、彼女がどうなったのか、このケースばかりは追跡調査不能である。

ZZZ_5845
ZZZ_5845 posted by (C)ヒゲジジイ

2012年07月11日

乳癌手術までに医師を選り好みされ、ようやく気に入った4人目の医師に切除してもらったお話し

IMG_0583
IMG_0583 posted by (C)ボクチンの母

 現在も一部の漢方薬や中草薬類を続けられているので追跡調査が可能な女性。
 乳癌が見付かったときは左側に2cm、右側に怪しい小さな腫瘤が数個。子宮付近にも怪しい腫瘤が数個見付かった。

 切除するに当たって乳癌を見つけてくれた医院が個人病院で設備(麻酔医がいないなど)で不安だからと、切ってくれる医師を変えるといわれる。
 その間に当方の漢方薬を良いものなら何でも服用したいとのこと。
 昔からのお馴染みさんのよしみで、四逆散を案内役として様々な中草薬類のエキス製品を多種類併用してもらうこととなった。免疫力を強化する中草薬と抗癌中草薬とされるものなど多種類の併用である。

 しかしながら、この女性の気に入る医師がなかなか見付からず、各総合病院を歴訪してようやく4人目に気に入った医師が某総合病院で見付かった。
 それまでに一ヶ月以上も経過してしまったが、その時点で幸いにも2cmあった乳癌が7mmまで縮小していた。

 これを知ったご本人が、このまま消えそうだから手術は断って来ると言い出す始末。
 とんでもないことで、そんな不確実性をあてにしてはいけないと、切除すべきことを懇々と諭してようやく手術の運びとなった。

 その後も熱心に多種類の中草薬類を常用されていたら、右乳房や子宮内部にあった小さな腫瘤は経過観察されているうちに、いずれも半年もしないうちに完全に消失してしまった。

 乳癌切除後から現在に至るまで約十年近く。
 お馴染みさんとしては既に35年近くのお付き合いである。

DSC_2339
DSC_2339 posted by (C)ヒゲジジイ

2007年07月07日

乳癌患者さんに対する漢方薬の考え方(東海地方の女性薬剤師のおたより)

 先日頂いていた東海地方の女性薬剤師さんからの貴重なおたより。

 お返事メールをお送りした後にブログに掲載させて頂こうと思いつつ、そのままになっていたところ、思いがけず昨日直接お電話を頂いた。
 土曜日に直接、村田漢方堂薬局に伺って宜しいか、との丁重なお問合せであったが、直接会ってますます幻滅されるのは御免だから、無遠慮にも即座にお断りした(笑)

 そのかわりに例によって余計なことを一言(ひとこと)フタコト三言(みこと)捲くし立てててしまった。これが長州人のもっとも悪い欠点である。
 返信メールをお送りした後にはブログに掲載させて頂くということでご快諾を得たが、すでにこうしてお電話でお話したのだから、ブログに掲載する方が先ではないかと考え直した。

 こういう即興的な変更で、周りをしばしば困惑させるのがヒゲジジイの身勝手なところである(笑)
 人には厳しく自分には甘い、それが人間の共通した性(さが)というものであろう(呵呵大笑!)
 前置きが長くなったが、参考価値の高い東海地方の女性薬剤師さんの乳癌患者さんに対する漢方薬の考え方である。


 村田恭介先生

おはようございます♪
 お便りをいただいていたにもかかわらず、出張でお返事できなかったご無礼をどうぞお許しください。
 梅雨に入ってから、外湿が高く、今まで調子がよかったにもかかわらず、腹水、胸水が溜まる方が増えています。

 先生からご教授いただいた、五苓散+補中益気湯をスプーン1杯からでも摂っていただく方法を行ってゆこうと思っています。
 ガン末期は、ご家族に対して言葉ひとつからとても気を遣う上、いろいろな方がおられるので、私も人を選んでいます。

 先生がおっしゃるように、補気健中湯がエキス剤にないのが、本当に残念です。
 これを必要としている方は大勢おられると思いますのに・・・。

 また、アトピー性皮膚炎の手の水疱に関する、猪苓湯の使い方・・・とても勉強になりました。
 猪苓、茯苓、沢潟で、利水をすると同時に、滑石で清邪熱、阿膠で復陰を果たすこと。

 猪苓湯を用いたことがなかったので、これも目から鱗でした。
 また、茵蔯蒿湯、六味丸、玉屏風散、大黄、イオン化カルシウムの微妙な配合は、本当に匙加減ですね。
 私も、トライしてゆきたいと考えています。

 お話はまた変わりますが、乳ガンのことについても、非常に興味深く勉強させていただきました。
 先生がおっしゃるように、乳ガンの方には、肝欝がみられますね。
 そしてまた、私の経験では、他のガンに比べ、気滞胆欝、痰湿などがあり、竹茹温胆湯を、加味逍遥散と併せる例が多々あります。

 経絡的にみても、足少陽胆経の臨泣、帯脈に強いシコリがあり、手少陽三焦経の外関を押さえると殆どの方が痛みで手を引っ込められます。
 やはり少陽のお薬と、三焦経の痰湿を通すものが必要で、特に胆経と三焦経の共通の引経薬である柴胡、青皮ははずせないと思います。
食事を聞いてみると、夜遅い食事、卵や酪農製品、動物性脂肪の摂りすぎの方が多く、痰湿を溜める上、ストレスが入りやすい性格傾向やライフスタイルがあります。

 乳ガンでは、抗ガン剤等を受けておられるかどうか・・・で勿論処方が大きく変わってきますが、私はむしろ、転移、再発を防ぐことに力を入れています。
 特に乳ガンは督脈上に骨転移しやすく、せっかく乳ガンそのものは落ち着いたのに、首に転移して、首の骨が砕けて動けなくなった・・・では目もあてられません。
 督脈を補陽する、肉桂、鹿茸、兎絲子、肉蓯蓉(にくじゅよう)等の薬味も状態に応じてプラスし、大椎をよく温めてもらっています。

追伸
 これだけの質の高いブログを毎日継続されるご苦労は、並大抵ではないと思います。
 日常のご相談がお忙しい中、どんな質問にも丁寧にお答えくださる先生を尊敬しております。
 どうか、嫌気がさしたときは、ちょっと足をのばされて、まつ子先生とこちらへご逃亡ください。(笑♪)
 喜んでご案内申し上げます。
                 かしこ



【編集後記】 補気建中湯を補中益気湯合五苓散で代用することは、方意の上からは共通性があるが、臨床の現実において、とりわけ超末期状態においてはすべて同様の効果が発揮できるとは限らないので過信は禁物である。
 もちろん、補気建中湯とて絶対に効果を発揮するというわけではない。

2007年06月30日

乳癌に対する漢方薬の考え方

おたより:内科医師

前略 いつも適切なご助言を頂きましてありがとうございます。
 先ずご報告から、
 最近になって感じたことですが、アトピーにおける清熱剤の選択についてです。白虎加人参湯を使用する機会が多かったのですが、ある症例から黄連解毒湯に変更し、猪苓湯とか茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)との合方で処方しましたところ(猪苓湯+茵蔯蒿湯+黄連解毒湯)、こちらの方が猪苓湯+茵蔯蒿湯+白虎加人参湯よりも効果が良好でした。
 以前このようなご指摘を頂いた記憶が蘇ってきましたが、あらためて確認するに至った次第です。

 今回は、乳がんの患者さんについてお教えいただけるとさいわいです。36歳の女性ですが、乳がん(浸潤性、リンパ節転移あり)の方で、幼少(1才と4歳)のお子さんをお持ちです。舌は淡紅で、体格は普通、胸脇苦満あり、腹直筋緊張あり、排便一日一回あるそうです。
 とりあえず、41と48を処方しましたが、村田さんの経験上何か示唆的なアドバイスがあればお願いいたします。


ヒゲジジイのお返事メール:アトピーに対する白虎加人参湯は、元近畿大学医学部教授の故遠田裕政先生の治験集などでは盛んに出てくるのですが、小生は白虎加人参湯証のアトピー患者さんに三十数年間、一度も遭遇したことがありません。

 今後、もしも遭遇することがあれば、使用する機会があるかと思いますが、舌先紅で黄苔がかった黄連解毒湯証にはしばしば遭遇して、現在も同方にインチンコウトウと六味丸の合方、あるいは知柏腎気丸製剤と猪苓湯の合方、あるいは補中益気丸(党参配合)と六味丸、あるいはインチンコウトウと黄連解毒湯のみの配合など、いずれも黄連解毒湯を主軸とした配合ばかりで、いずれも順調に寛解しつつありますが、いずれのケースでも白虎加人参湯の発想自体が浮かびません。

 温清飲・消風散も使用しませんし、十味敗毒湯などはもってのほかと考えているほどです。

 本題の乳癌の患者さんに関しましては、中医学的には乳房の疾患のひとつである訳ですから、疏肝解鬱作用のある薬物を主体に、例えば逍遙散や四逆散などを主軸として、適切な不正去邪の方剤を組み立てるのが一般的かと思います。(個人的な見解としては男性ホルモン様作用のある麝香を必ず加えます。)

 ご報告されておられますように、「胸脇苦満あり、腹直筋緊張」があるのであれば、なおさら柴胡・芍薬は必須であると思います。
現在投与されておられる(41)ツムラ補中益気湯には柴胡が少量含まれ、(48)ツムラ十全大補湯には芍薬も含まれますので、その点では必須薬物が配合されていることになりますが、配合分量的には明らかに柴胡の量が不足しています。

 また、医療用漢方では常識となっている(41)や(48)のような温補剤ばかりを重ねて投与されることについては、(あくまで個人的な見解ですが)些か疑義なしとしません。
 少なくとも扶正祛邪の観点から、もっと祛邪の薬物や方剤を併用しなければ、癌や悪性腫瘍に対抗することはやや困難なように思えます。

 但し、以前、先生が述べられましたように、抗癌剤や放射線を強力な去邪薬と考えれば、中医学的にも理に適ったものになるのかな〜〜〜と思っているところです。
 以上、忌憚のない個人的な見解を述べさせて頂きました。


折り返し頂いたメール: 例によって早速お返事くださいましてありがとうございます。
 村田さんのページにたどり着くまでに、温清飲・消風散・十味敗毒湯などを教科書にしたがって投薬していましたが、効果についてはパッとしなかったという印象です。

 本日も、つい最近に黄連解毒湯合猪苓湯合茵蔯蒿湯を処方したかた(児童)が再診されましたが、
「ほんとうによくなってびっくりしています。しかも、こんなに早く。唯一の難点はまずそうです。でも頑張って飲んでいますよ」
 と母親がびっくりなさっていました。

 以前、白虎加人参湯を処方していた方々も良好な効果が現れていましたが、合包の相手である猪苓湯合茵蔯蒿湯の効果による可能性があったかもしれないと愚考しています。
 いずれにしても、清熱剤は黄連解毒湯が中軸となる患者さんが多いかもしれません。村田さんの見識を確認する日々です。

 乳がんのアドバイスありがとうございます。おそらく、乳がんの担当医から、手術後の化学療法、ホルモン療法、分子標的療法などの治療の説明が成されるかすでに行われているかもしれません。おそらく、これらの治療が祛邪の薬物に相当すると思います。
 西洋医薬の副作用を軽減する作用および免疫系を賦活する効果を期待しつつ、柴胡・芍薬・麝香などを考慮して処方に活かしたいと思います。
 モヤモヤしていた頭の中が整理されてすっきりした感じです。
 いつもながらに参考となるご助言に深く感謝する次第です。