2017年12月21日

下痢に繁用される五苓散や胃苓湯が、体質によっては真逆の便秘治療が行える場合があるのはなぜか?

2011年12月21日の茶トラのボクチン(7歳)
2011年12月21日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母

 昨日の杞菊地黄丸による便秘という常識的には真逆の反応も、もう一つの解釈として、杞菊地黄丸や六味丸や四物湯など、強力な滋陰薬である地黄などが配合された方剤が、体質によっては、気津の通り道である少陽三焦の流通経路を阻害してしまう結果、腸管に水精を散布できなくなって、却って便秘を生じさせることもあり得る。

 逆に、ノロウイルス感染に限らず、下痢にしばしば使用される五苓散や胃苓湯にしても、体質によっては便秘症を治す作用を発揮することも決して珍しくはない。

 過去、便秘と腹満のために、精神的にも落ち込んで、会社を休職していた男性に、水分代謝が悪いことを見抜いて、五苓散を飲んでもらったところ、当日には排便があり、数か月後には社会復帰できるまでになった例もある。

 この男性の場合、腎の気化機能が失調したために水精が満遍なく体内を流通出来なくなっているところに、腎陽を温めて化気行水の作用を発揮させる五苓散により、全身に隈なく分布する少陽三焦のルートを通じて腸管内に水精が十分に行き渡るようになった結果、即効的に便秘が解消した例である。

参考文献:2009年04月15日 猪苓湯や五苓散が、時に常習便秘に効果が出ることがあるのはなぜか?

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2010年12月21日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年12月21日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

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2016年01月12日

3錠ではスッキリ出ないし、4錠では出過ぎるという排便の苦情に対して

2011年01月12日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年01月12日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 数十年前、大黄製剤の服用量の効果について、常連さんからタイトルのような苦情の電話がかかったことがあった。

 「だったら3.5錠にすればよいじゃないのっ!」

 実に的確な回答に、唖然として言葉を失くした常連さん。

 その後は一切何の苦情も出ることなく、現在93歳になっても頗るお元気。

 腎臓にも有効性のある大黄製剤だから、多種類の目的に応じた漢方製剤の長期連用のお陰も相俟って、きっと百歳を超えてもお元気で過ごされることだろう(呵呵。

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2011年01月12日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年01月12日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2011年01月12日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年01月12日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2011年01月12日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年01月12日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年01月12日の茶トラのボクチン(7歳)
2012年01月12日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母

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2016年01月03日

通導散に頼る過食の日々

2009年01月03日の茶トラのボクちん(4歳)
2009年01月03日の茶トラのボクちん(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 昨年から常連さんの便秘症に評判がよい通導散。

 中には抗癌剤治療中の膵臓癌(肝転移あり)の便秘にも喜ばれている通導散。

 尾篭な話だが正月前後から、運動不足と過食によるものか、排便不如意となったヒゲジジイも日々愛用することとなった。
 1回1包で1日1〜3回で排便具合によって調節している。
 個人的には1日2〜3回排便があるほうが、スッキリする。
 常連さん達の中には1日1包の服用で十分という人や、2〜3回の服用が必要な人など様々。

 一般の便秘症に人には、比較的安価な麻子仁丸エキスを奨めるケースが多いが、よりがん予防を兼ねたい人で腹部に実邪が蔓延している人には通導散が最適なよう。

  中島髄象先生が山本巌先生に「癌に対して通導散を使え」と遺言されたといわれる逸話が有名なこの通導散。

 上記の抗癌剤治療中の人では、通導散のみならず、牛黄製剤や補気建中湯など四種類の製剤以外にも、排便が通導散だけでも弱いときには適宜、麻子仁丸も併用してもらっている。

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2009年01月03日の茶トラのボクちん(4歳)
2009年01月03日の茶トラのボクちん(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2009年01月03日の茶トラのボクちん(4歳)
2009年01月03日の茶トラのボクちん(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2010年01月03日の茶トラのボクちん(5歳)
2010年01月03日の茶トラのボクちん(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2011年01月03日の茶トラのボクちん(6歳)
2011年01月03日の茶トラのボクちん(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
 
ラベル:通導散
posted by ヒゲジジイ at 08:59| 山口 ☁| 常習便秘症 | 更新情報をチェックする

2015年01月01日

新年から尾篭な話題:村田漢方堂薬局では大黄甘草湯製剤は最も評判が悪いので早くから廃盤

2009年01年01日のボクチン(4歳)
2009年01年01日のボクチン(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 新年を迎えたからといって、あまり幸福ではない人も多いと思う。茶トラのボクチンが亡くなって2年以上も経つというのに、相変わらずヒゲジジイ自身がそうだからという訳でもないが、人間は「四苦八苦」で一生を終わる。

 後ろ向きであろうが前向きであろうが、一生を通じて試練に晒され続けるのが、地球上の人間の宿命なのだろう。
 悲観的なことを考えれば際限がないし、夢と希望に燃えても現実には限界がある。
 それでも、この三次元世界では不自由極まりない「肉体」という重荷を背負って生き抜かなければならない。

 そうすると、何のための人生か?ということにもなろうが、分かる人にはわかるのである。

 
 ヒゲジジイ自身の直感的体験を別にしても、この仕事を通じて、様々な超常現象に遭遇した多くの人達や、本来の原初的本能で感じている人達との交流から、のみならずヴァージニア大学の故イアン・スティーヴンソン教授等の「生まれ変わり」の研究論文など、過去の膨大な資料から得られる証拠類などからも、はっきり見えて来るものがある。

 ともあれ、「四苦八苦」のうちの一つ、様々な病気に見舞われるのが人間の宿命であるように、単なる便秘症でも、人によっては相当に苦痛なものである。
 そこでようやく本日のテーマとなる。

 便秘症で悩む女性達は世の中に大変多いが、ありきたりな症状で訪れる人は少ない我が薬局でも、便秘症に悩む人達が、病院や薬局・薬店・ドラッグストアなどで購入する薬ではスムーズに排便できない人や、腹痛の副作用を生じて飲むに耐えないという人達の相談は、意外に多い。

 そんなに苦しまれているようだったらと、具体的な症状を根掘り葉掘り聞き質すと、中には驚愕されて怪訝な顔をされるので、こちらの方は驚愕を通り越して呆れてしまい、馬鹿バカしくなって、お帰り願うケースもある。
 こちらが親切に適切な便秘薬を見つけて上げようとする職業意識として必須の善意を解さないバカな人に折々に遭遇するのである。
 だから、常々書いているように、人間は猫にも劣る、とても付き合いにくい動物なのである。

 ともあれ、以前、某漢方メーカーさんに強く奨められて、その会社が製造する大黄甘草湯の丸剤を、従来使用されていた麻子仁丸製剤や単味の大黄に変えて、使用してもらったところ、全員から激しいブーイング。

 かなり相当な人数に試してもらったが、全員が全員からブーイングを受けて以後、完全に廃盤にしてしまって久しい。

 世の中でしばしば宣伝されている漢方系の便秘薬の多くは、大黄甘草湯を原方とする製剤のようであるが、あれで満足される人達がいるとすれば、個人的には、実に信じられない話である。

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2010年01年01日のボクチン(5歳)
2010年01年01日のボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2011年01年01日のボクチン(6歳)
2011年01年01日のボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2012年01年01日のボクチン(7歳)
2012年01年01日のボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2012年01年01日のボクチン(7歳)
2012年01年01日のボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ


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2014年01月23日

常習便秘症には麻子仁丸

2008年6月8日ボクチン4歳
2008年6月8日ボクチン4歳 posted by (C)ボクチンの母

 今日も可愛い猫ちゃんたちの写真を貼るため目的を果たすためのリップサービス。
 なんだけへんてこりんな言い回しではあるけれど・・・

 タイトルの如く、頑固な常習便秘には断然、麻子仁丸製剤である。
 某漢方メーカーさんでは大黄甘草湯製剤が超人気でよく売れるという。数十年前、その評判にあやかって村田漢方堂薬局でも便秘に悩む人たちに奨めた全員から苦情が出た。
 ぜんぜん効かないというのである。

 そこで火の入らない原末の大黄だけで服用してもらったら、断然こちらの方が良いと喜ばれ、何十年も使用していた人たちの中に、ちらほら、今までのように効果が出なくなったという人が出現した。

 もしかして原料高騰中のさなか、品質が低下してきたのかもしれないと危ぶんで、麻子仁丸製剤に切り替えてもらうと翌日からすんなり排便があった。

 もともとこの麻子仁丸、過去にも40日間排便が無く、病院のあらゆる治療でも効果がない90歳の老人に、これを使用してもらったところ3日目から気持ちの良い排便が始まって、大いに喜ばれたものである。

 寝たっきりのご老人を家庭で介護される人にも、便秘でいつも苦しんでいたのが、この麻子仁丸製剤を使うようになってスムーズな排便が得られて非常に助かるといつも感謝されたものである。

 また特筆すべきは、老若男女いずれの年齢層であっても、あらゆる便秘薬(病院の薬も含めて)で七転八倒の腹痛が生じて続けられないという人たちには、いずれも麻子仁丸単独でも、あるいはこれに開気丸などの行気作用のある製剤を併用してもらえば、いずれも腹痛を伴わない軽快な排便が得られたケースは数知れない。

 但し、他の便秘薬のように1日1回ではなく、1日3回の服用が必要なことが多いが、安価な製剤であるから文句は言えないだろう。

 1日2回の服用でも排便可能な人も珍しくはないが、それでも文句がある人たちは、服用する資格はない(呵呵。

 いずれにせよ、タイトルが魅力的だからといってもシロウト療法は禁物!
 必ず漢方専門の薬剤師に相談して、適応があるかどうかをしっかり相談すべきである。

 医師の場合でも、必ず漢方診療を専門としている医師に相談すべきで、西洋医学専門の医師に相談するのは危うい。

シロちゃんとトラちゃん
シロちゃんとトラちゃん posted by (C)ボクチンの母

シロちゃんとトラちゃん
シロちゃんとトラちゃん posted by (C)ボクチンの母



ラベル:麻子仁丸
posted by ヒゲジジイ at 21:03| 山口 ☀| 常習便秘症 | 更新情報をチェックする

2008年03月25日

やや特殊なタイプの増水行舟法常習便秘に増水行舟法の応用の可能性

おたより兼お問合せ:東海地方の内科医師

 茵蔯蒿湯(インチンコウトウ) ですが、舌の所見を評価して処方していますが、なかなかいい感じです(花粉症)。
 もちろん、患者さんによっては追加の方剤が必要な場合があるようです。 麦門冬湯、真武湯、苓甘姜味辛夏仁湯、辛夷清肺湯などが補助となってくれます。

 本日の本件ですが、30台半ばのご婦人ですが、幼少期からの頑固な常習性の便秘に悩まされて受診されました。
 舌は紅で無苔、脈は尋常です。腹部は両側下腹部にお血を認めます。

 排便がないとき(数日にわたり)、下剤を使用され排便が出るそうですが、そのようにして数日排便が順調にあると(下剤を使用して)のどが必ず数日してヒリヒリするそうです。
 そして常時水分を一日2L以上飲まないと体がだるいそうです。

 便秘のときはのどの症状は全くないとのことです。一応、教科書的に通導散、牛車腎気丸を処方しましたが、ご助言くださいますと幸いです。


ヒゲジジイのお返事メール:茵蔯蒿湯は本日も速効の報告を得ました。
 10日ごとに通って来られている方のご家族がベテランの看護婦さんで、この時期、花粉症で仕事に差し支えるので点鼻薬と点眼薬が離せないのに、黄膩苔が確認できたことから直ぐに服用してもらったところ、速効をえて点鼻薬と点眼薬の使用が激減したそうです。
 不思議なことに雨降りの日だけは一時必要なときがあったとか。
 それでも著効に間違いないとて茵蔯蒿湯を今回も余分に買って帰られました。

 お尋ねの便秘症の女性の舌像において苔がなく紅色であることから、陽明熱実し津液枯燥の状況が推測され、典型的な陰虚による便秘症と思われます。
 この場合、中医学的には増水行舟法を行うべきで、代表的な方剤は増液承気湯(玄参・麦門冬・生地黄・大黄・芒硝)です。

 しかしながら、増水行舟法を「常習便秘」に応用する場合、エキス剤で行うには潤腸湯に滋陰降下湯や養陰清肺湯のいずれかを加えることでも十分に代用になるのではないかと思います。
 あるいはこの女性のように津液欠乏を起こしやすい陰虚体質者では、下剤の入らない滋陰降下湯だけでも十分に常習便秘を改善できる可能性もあり得ることだと思います。


【編集後記】 生来の陰虚体質者の体質改善剤としては六味丸が基本であるから、上記の方剤とともに八仙丸(麦味地黄丸製剤)などを根本体質改善剤として長期間続ける必要があるだろう。
posted by ヒゲジジイ at 20:22| 山口 ☁| 常習便秘症 | 更新情報をチェックする