2022年10月26日

腸管免疫とは何ぞや

 何年か前にも書いたことのある胃苓湯に慢性下痢の男性の話だが、今回の話の方向は腸管免疫。
 さきほど訪れたのを機会に忘れない内に書き留めておきたい。

 数十年以上のお馴染みさんの中には、当時は慢性下痢があらゆる西洋医学治療で効果がなく、漢方に頼って来られたものの、当時はこちらの知識と技量が乏しく、それらしい方剤を様々に工夫しても一向に効果がなかったのだった。

 それでも熱心に通われるうち、ふと思い立ったのが胃苓湯であるが、エキス製剤は手元になかったので、某社のエキス錠を取り寄せて試してもらうことになった。

 これまであらゆる治療に抵抗していた長年の慢性下痢が、この胃苓湯エキス錠によって超即効を得た。

 その後10年以上は続けていたが、ほぼ完治した模様で、ごくたまに常備薬として数年に1回購入される程度だった。

 ところが最近、2回連続2箱ずつを購入されるようになったが、相変わらず背筋はピンと伸びて、我が薬局から下関駅まで難なく徒歩で通えるのだという。

 現在の年齢をきくと驚くことに90歳。
 どうみても70代としか思えない風貌であるが、当初からかなり背が高く痩身の体躯であることに変わりがない。

 この男性に限っては腸がこれだけ弱かったというのに、腸管免疫はどうなっているのだろかと不思議である。

 腸の弱い人は、経験上、膵臓系が弱い人が多い印象なのだが、昨今重要視される腸管免疫との関連は如何?

 この男性が80歳前半の頃、散歩仲間が数人いたのが、三々五々、全員がいなくなったと嘆かれていたのを思い出す。

 いずれにせよ、腸が弱いからと言って、免疫系が劣るとは限らないという証左だろう。
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2017年07月26日

いつまでも病院治療で治らない、食欲不振を伴った慢性下痢症でも、補剤は必要ないこともある

2010年7月26日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年7月26日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 入梅の1ヶ月前頃から、食欲不振に慢性下痢が続いて、やややつれ顔の初老の女性。病院治療では治らないのといえば、中医学の講習会で学んだレベルの人達は、往々にして参苓白朮散が出されて、日本漢方でしばしば使用される胃苓湯(平胃散+五苓散)を奨められることは滅多にない、というよりもこれらの方剤の知識がない人も見られる。

 さらには月経前症候群に対して、あきらかに加味逍遙散で済まされるべき証候(一連の症候)に対して、逍遥散+天王補心丹という手の込んだ製剤に消化剤的な健康食品などを組み合わせて出されていた例もある。まさか加味逍遙散のような普遍性のある方剤を知らぬはずもなかろうに、中医学を知らない専門家も困ったものだが、日本漢方を知らない専門家も困ったものである。

 閑話休題(「それはともかく」という意味)、本題に入ると、上記の女性は補剤を使わずとも、胃苓湯のエキス製剤のみで、一週間もしないうちに食欲も下痢も順調に回復しているが、年齢も年齢だから、念のため強いて諸検査を受けるように奨めて、病院から投与された効かない啓脾湯は服用せずに、そのままこちらの胃苓湯を続けながら、渋々諸検査を受けている。
 漢方薬で即効が出たからといっても、もしも重大な疾患が隠れていては、困るからである。

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2010年7月26日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年7月26日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2015年12月27日

日本漢方の体力で判断する実証・虚実中間・虚証という概念ではあり得ない配合で

2010年12月28日の茶トラのボクちん(6歳)
2010年12月28日の茶トラのボクちん(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 華奢で痩身で少食の70代の女性。
 激しい便秘と腹満と腹痛を繰り返すので、ご家族が病院に行くことを奨めても、絶対にイヤだという。

 もしも大腸癌だったとしても構わない。病院だけは絶対に御免蒙るから、自己責任で、漢方薬でなんとかして欲しいというたっての依頼。

 病院で診断を一度も受けてない人は絶対にお断りであるが、常連さんのご家族だから例外的に、病院検査を何度も奨めながら、止むを得ず漢方薬を飲んでもらうことになった。

 しばらくは柴胡疏肝湯、大柴胡湯・茵蔯蒿湯・桃核承気湯の4種類で一定の効果が出ていたが、もう一つ、服満と疼痛が完全には取れ切れないものの、かなり改善した状態が一年も続いた。

 もう一歩がどうしても改善できないので、さらに通導散を加えると、しばらくは排便が多過ぎると苦情を漏らしていたが、他の漢方薬も含めて、服用回数の調整によって、しだいに良好なペースを掴んで、いつの間にか、あらゆる症状が改善して既に数ヶ月以上が経過する。

 結局、一度も病院で受診しないままで、以前よりも食事量も増えて、元気で家業に専念されている。

 日本漢方特有の体力の有無で適応方剤を振り分ける虚実論、虚証や実証あるいは虚実中間証など、実にあやふやな定義を当てにしていたら、上記のような配合は絶対にあり得ない。

 虚証の女性だからということで、せいぜい麻子仁丸に六君子湯の併用くらいが関の山だろう。

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2010年12月28日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年12月28日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2010年12月28日の茶トラのボクちん(6歳)
2010年12月28日の茶トラのボクちん(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

ラベル:通導散

2015年08月31日

多量のガスを伴った激しい水瀉性下痢に藿香正気散+五苓散+板藍茶で即治

2010年8月31日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年8月31日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 些か尾籠な話で恐縮だが、土曜日の朝から食欲不振で胃の不快感も続いて、体調不良。
 それでも冷蔵庫で冷えたノンアルコールの梅酒を飲んでいたら、夕刻から腹痛を伴わない多量のガスを伴った激しい水瀉性下痢。
 出るわ出るわ、こんなに激しい水瀉性下痢は何年ぶりだろう。

 もしかしてノロウイルス感染かもしれないので、念のため板藍茶に藿香正気散を服用。
 通常なら五苓散+板藍茶というのがノロウイルスや帯状疱疹などヘルペス類の共通した常套手段だが、あまりにも気持ちがよいほどガスを伴っているので、駆風作用の生薬もたくさん配合された藿香正気散を敢えて選んだが、念のために五苓散も併用しておいた。

 服用後は、まだ時々ガスが溜まるので、トイレに2度くらい行ったが、下痢は二度と生じなかった。
 翌朝の日曜日には、通常の快便が少量出て治癒。

 昼はこってりした豚入りの焼き飯を食べるも、いつもほどの食欲は出ないので、藿香正気散と板藍茶は続けて服用。

 そして本日月曜日は新人さんの受付がない日だから、神経を消耗することもなかったので、胃腸はすこぶる快調となり、閉店後は鳥の唐揚げを少なくとも2人前食べて、もりもり元気。

 だから常連さんは、急なときに役立つ五苓散や藿香正気散、板藍茶のみならず、胃苓湯・天津感冒片・涼解楽・葛根湯や麦門冬湯・地竜・衛益顆粒に白花蛇舌草・牛黄製剤・オルスビー錠や莪朮製剤などを常備されている人達が多いのです(呵呵。

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2010年8月31日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年8月31日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2010年8月31日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年8月31日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母
 

2015年04月29日

泥状便の下痢が流行っているという話しだが・・・

2009年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ5歳)
2009年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ5歳) posted by (C)ボクチンの母

 本人の意思ではない人達や子供さんの漢方相談を受け入れていると、薬局が完全にパンクしてしまうので、いずれもお断りしているが、常連さんの御家族に限っては例外で、漢方相談を受けている。

 その常連さんの4歳くらいのお孫さんの保育園で下痢が流行っていて、そのお孫さんも、食欲があるものの、食べる都度、泥状便の下痢があり、1日5回くらいの日々が続いているという。

 ノロウイルス感染も疑って五苓散に板藍茶を飲ませたが、やや効果が弱いようだという報告である。

 詳細を聞くと、気温の上昇に伴って、保育園では皆が冷たい飲み物をガブガブやっているという。

 それなら冷飲過多によって脾陽を損傷し,脾が水湿を健運できず、湿濁が中焦に阻滞するために生じた泄瀉にまでならない軽症の泥状便と見て、五苓散と板藍茶はそのまま続けながら、藿香正気散をさらに加えるようにアドバイスしておいたところ、1日で通常便に戻ってすっかり快癒したとのことだった。

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2011年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ7歳)
2011年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ7歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳)
2012年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳)
2012年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳)
2012年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳)
2012年04月29日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳) posted by (C)ボクチンの母


2012年09月16日

数十年来の慢性下痢症が胃苓湯(イレイトウ)製剤で根治

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KSC_7299 posted by (C)ヒゲジジイ

 数十年来の慢性下痢が胃苓湯で根治したというタイトルなど、実にありふれた内容ではあるが、数十年前の経験例。
 当時、無い頭を振り絞って半夏瀉心湯、六君子湯、桂枝加芍薬湯、あげくは真武湯など、考えられるあらゆる漢方薬を飲んでもらっても一向に効果が出ない。
 それでも治りたいが一心で、立派な身なりをされたその中年男性は、あらゆる病院治療でも治らなかったので、是非とも漢方薬で治して欲しいと頑張り続けてくれた。

 ようやく胃苓湯を思いついて、これを飲んでもらったらさしもの頑固な慢性下痢症がピタリと止まった。その後、体質改善のつもりで数年続けられて以後、服薬を止めても再発はなかった。
 このことがきっかけで風邪薬も天津感冒片(銀翹散製剤)と参蘇飲に板藍茶(板藍根エキス)の三つがしっかりフィットして、折々にこの風邪薬だけを購入に来られることが10年近く続いていた。

 その後、いつの間にか10年近く音沙汰がなくなっていたが、先日ひょっこりとやって来られた。既に80歳を超えると言われる割には矍鑠とされ、どうみても六十代に見える若々しさである。
 ともあれ、数十年来の慢性下痢は、その後も完全に根治され、二度と再発を見ないということだった。

 今にして思えば、実にありきたりな胃苓湯を思いつくのに随分と回り道してしまったが、情けないほどヘッポコ薬剤師の漢方薬を懲りずに続けてくれる奇特な人達がたくさんおられたお陰で、少しは熟練することが出来たのだろうと感謝するばかりである。

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KSC_7240 posted by (C)ヒゲジジイ

2008年05月25日

腹中雷鳴に効く漢方薬

性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 : 西日本
お問い合わせ内容 : お腹の音が気になります。学生の頃から。
 そんなにお腹がすいているわけではないのに、かなり大きな音でグーグー鳴り静かな場所や会議中、仕事中もそのことばかりが気になります。

 ネットで調べていたらそれにきく漢方薬があると出ていました。
 そちらでお腹の音に聞く漢方薬は処方して頂けますか?
 かなり真剣にいい方法を探しているので教えてください。


お返事メール:拝復

>かなり真剣にいい方法を探しているので教えてください。

 ということですが、メールでわずか数行の文で、一度も来られたことが無い方に対してお教えできるほど人間様の身体は単純ではありません。

>ネットで調べていたらそれにきく漢方薬があると出ていました。

 ということでしたら、その調べたサイトでお訊ね下さいませ。

 上記のお返事では、いかにもお愛想がないので、結論から言いますと、単純性の胃腸の自律神経的な不穏なリズムが原因であることが多いので、体質に応じた漢方処方を組み合わせれば、遅かれ早かれ8割程度の寛解が得られます。

 同様な悩みの人はとても多く、それほど経費がかからないものです。
 よっぽど安上がりで行けば、一か月分三千円以内のやや特殊な漢方薬の錠剤で半分くらいは直ぐに寛解する場合もあります。

 ストレスがらみによる空気嚥下症が絡んでいる場合は、さらに1〜2処方を加える必要がありますので、この場合は10日分ごとに様子を見ながら、効き目が上がるように工夫します。

 結局のところ、治したい意欲があれば、漢方薬のピントがしっかり合うまで7〜10日毎に通う決意と意欲があるかどうかの問題です。

折り返し頂いたメール:メール、ありがとうございました。
 ネットで調べていたのですが、病院などで処方して・・としか書かれていなかったので、お腹の漢方薬が本当にあるのかわからないし、(以下省略)


編集後記:もちろんこの人もその後も永遠に来られることなく無音のまま。

2008年05月20日

強迫神経症に合併する過敏性大腸炎の漢方薬

漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記 漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記 から

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 : 関西地方
ご意見やご質問をどうぞ :  はじめまして、●●と申します。
 漢方医学を現代医学的に再解釈したり、あるいは化学的に効能を分析したり関連付けたりすることに拒絶感を覚える方も多いかもしれませんが、ぜひご意見お聞かせ下さい。

 数年前に強迫神経症・自律神経失調と診断され、今までいろいろやってきながら数年たちました。心理療法・催眠療法も受けています。
 しかし生まれながらにして疳の虫・夜鳴きが激しく、幼いころから身体が硬かった自分は、今思えばそのころから肝気鬱結だったようで、心理療法や現代医学の投薬で症状が大幅に改善されたとは言いがたく、最近になって通い始めた漢方式鍼灸でようやくお腹と背中の頑固な張りが緩和されてきました。

 催眠・心理療法においても、過敏性腸炎の緩和催眠CDを渡されたので、きっと精神の不調と消化器とは、医学的・化学的な関連性があるのだと思っていましたが、ネットで興味深い事実に行き当たりました。

 うつ、強迫症は脳内のセロトニン不足が引き金で起こるもので、逆に過敏性腸炎とは腸内の過剰なセロトニン分泌で引き起こされる下痢などを伴うという。セロトニンとは脳神経伝達物質なので、脳の物質と考えてしまいそうだが、実は腸内のクロム親和細胞で作られている。
 ということは過敏性腸炎とうつ・強迫症とは、実は関連性があるのではないかと個人的に感じるようになった。

 実際、下記のHP記述では、胃潰瘍と精神安定を兼ねた薬(スルピリド:ドクマチール)と抗鬱剤(SSRI選択的セロトニン再取込阻害薬)を投与すると、強迫症に係わっているとされている部位の、前部帯状回皮質が鎮静したとあります。
http://www.ocd-net.jp/column/c_04.html
 そう考えると、うつや強迫症には、過敏性大腸炎に効く薬が良いのでしょうか。
 四逆散はやはりそれに良い薬なのでしょうか。

 事実、鍼灸院では柴胡加竜骨牡蠣湯か四逆散を薦められました。今まで前者を飲んでいましたが、頭を使いすぎた直後の就寝時の不眠には、あまりきいていません。頭が緊張して少し張り詰めたような感じがします。

 やはり肝と脾の不和によってもたらされた、神経のバランス異常なのでしょうか。私も四逆散に処方を変えてみたいと思います。
 いかがでしょう。


お返事メール:本来、適切な漢方薬を求めるには、漢方の専門家に直接相談するべきです。
 それを承知でお問い合わせされているはずですので、すべて当方からのアドバイスはほんのヒント程度にして、お近くの中医学に堪能な専門家のところへ出向くべきです。

 まず、強迫神経症は、意志力があり人生を前向きに考えたい人には、医師が主催する森田療法がもっとも効果的なように思います。

 但し、せっかく漢方薬を考えておられるので、ヒントを述べれば、もしも柴胡加竜骨牡蠣湯で一定の効果を感じられる部分がおありなら、四逆散に切り替えるのではなく、四逆散も一緒に併用することです。
 配合薬物としては柴胡が二重に重なってしまいますが、それぞれの処方の配合比率をやや減らし加減で併用すれば大丈夫です。

 当方では、パニック症候群と鬱傾向が合併している症例では、しばしば両者を併用してもらうケースが多々あります。

 中でも典型例としては、会社に出勤するのはよいが、会社の前まで来ると決まってカラエヅキ(内容物の出ない嘔吐)を繰り返し、この不安神経症というか、強迫神経症がかった発作のために、出勤が甚だ困難となり、離婚寸前まで行ったところで、当方に相談に来られ、柴胡加竜骨牡蠣湯と四逆散の併用で、次第に寛解するに到り、半年後からは奥様が代理で漢方薬の購入に来られるまでになりました。
すなわち離婚を免れた訳です。

 そのほかにも何度も離職せざるを得なかった重度のパニック障害をこれらの配合を主体に、その他の多種類の併用方剤とともに再就職がかない、ようやく長年のパニック症候群から離脱できた人など。

 ところで貴方が悩まれる強迫神経症に合併する過敏性大腸炎は四逆散証の場合もあれば、桂枝芍薬湯が適応するケースや、柴胡桂枝湯が適応するなどの場合もありますが、柴胡加竜骨牡蠣湯と四逆散の併用でも、それらの方剤がすべて含まれてしまいますので奏効する可能性なしとしません。

 また強迫神経症につきましては、内容にもよるでしょうが、パニック症候群のようにうまくいくかどうかは不明です。程度が軽症であれば、漢方で十分寛解できるでしょうが、重症のばあいは森田療法など禅的な厳しい生活指導が必要な場合もあるように思います。

 心の理不尽に矛盾した葛藤の解決というのは、ときに難航するケースが見られるようです。

 メールでお返事できる程度は、せいぜいこれが限界です。ほんのヒント程度にされて、御覧になったブログ http://cyosyu.exblog.jp/ の注意書きにもありますように、
「記載内容はすべて専門家向けです。一般の方がヒントにされる場合は、必ず医師・薬剤師など近隣の漢方薬の専門家に御相談下さい。素人療法は絶対に禁物です!」
という内容を遵守して下さい。

 西洋医学的な分析は、あくまで参考程度のことで、これにあまり深入りすると弁証論治の世界観がいびつに歪んでしまいます。

 以上、取り急ぎお返事まで。


【編集後記】
 科学は錯覚の繰り返しだから、新しい発見というものこそ明日には修正が施されることも珍しくない。
 それにも増して問題なことは、西洋医学的知見を中医学や漢方の世界でこだわりすぎると、弁証論治や方証相対の原則から逸脱してしまうことが多い。

 といっても西洋医学的知見を否定するのではなく、ある程度は参考にはしても、あまり深入りしないほうが無難だということである。


折り返し頂いたメール:●●です。

 ご意見拝見しました。ずいぶんと深みのある内容で、その日の内にお返事下さりまして、大変恐縮です。

 ずいぶんとお手間を取らせてしまいました。
 とはいえ、相当納得するものがあり、その方向で検討したいと思っております。ありがとうございました。