2014年07月19日

漢方に堪能な内科臨床医からの意味深長なおたより

2014年7月18日のスコちゃん(1歳半)
2014年7月18日のスコちゃん(1歳半) posted by (C)ボクチンの母

おたより:東海地方の内科医師

5年の経過の気管支炎
 59歳 男性 C型肝炎で肝硬変になり定期通院なさっている患者さんです。

 「5年まえから乾いた咳がでるようになり、かなり沢山の病院へ受診して、いろいろな検査を受けてきたが、一行に良くならない。くすりもありとあらゆるものを飲み、ステロイド吸入をしたこともあるが、全く効かなかった。なんとかして欲しい」という訴えで受診されました。

 「咳はどんなふうにでますか」と質問したところ、「痰はあまりでないが、でるときは絡む。疲れてくる出る。最近やけに疲れる」と返答されました。

 肺気虚あり、肝硬変が背景あって陰虚もあると考えて、黄耆建中湯合六味丸合麦門冬湯(2包、1.5包、1.5包)を処方しました。

  1週間後に再診されました。
 「内服して二日で楽になり始め、すっかり咳なくなりました。体の倦怠感も改善しています。このまま継続したいです。ありがとうございます」とおっしゃってくださいました。

 個人的には結構良く遭遇する病態でパターン的に処方していますが、ここまで喜んでいただけると嬉しくなってしまいました。
しかし、5年間もこのような漢方で比較的対処しやすい病状で苦しんでいる方がみえるのはなんとも情けない状態です。

 話が変わりますが、今回のサッカーW杯で日本は優勝を掲げて参戦しましたが、1勝もすることなく敗退しました。選手達は世界と対峙して世界的物差しで自分たちのレベルというか立ち位置が分かったのではないかと思います。今後は、肌で実感した世界との差を詰めるために励むのではないかと思います。

 翻って、サッカーとは全く無関係の西洋医学の分野についてちょっと夢想してしまったのですが、ガイドラインにある治療を機械的に行って効かなければ診療内科受診を勧めたり、MRの話を盲信して投薬したり、西洋薬で治らない病状が漢方薬で改善すると「たまたま自然治癒力で治ったのでしょう」と訳の分からない評価をしたり、と今は、西洋医学に対する根拠のない信頼を医師が抱いている気がします。

 はからずも、最近の新聞の紙面を賑わせている、論文の捏造問題をみますと、西洋医学がガイドラインの基盤としている論文の信頼性に疑問が投げかけられています(物差しが信頼できない状況)。

 統計処理の医学が現在の医学を牛耳っている感じがしますが、それはそれとして、目の前にいる病態に焦点を当てて考える医学(当たりまえのことで医学あるいは医療の基本と思います)をして個々の患者さんにお役にたてていただくしかない、と愚行してます。

2014年7月19日のトラちゃん(1歳未満)
2014年7月19日のトラちゃん(1歳未満) posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:

 このたびは、とても貴重な治験例のみならず、西洋医学出身の臨床医の先生から、現実的な西洋医学の問題点のご指摘、まったく同感するものであります。

 エビデンスが事実上、ほとんど不可能に等しい漢方医学や中医学に対して、そのことをしばしば西洋医学の医師たちは、あからさまにエビデンスのない医学は医学にあらず、と軽蔑され続けて来ました。
(ヒゲジジイは若い頃には、年下の身内の医師からも、このような軽蔑的な揶揄を受け、ずいぶん歯痒い思いをしたものですが、その身内の医師は、いつの間に宗旨変えしたのか、保険漢方を嬉々として投与する毎日。)

 ところがご指摘の通り、西洋医学のガイドラインとはその程度のもので、とんでもない論文捏造問題もさることながら、厳密な唯物論的科学による検証こそ、西洋医学の西洋医学たる所以であるはずなのに、厳密な検証作業が行われているとは、決して言いがたいレベルのものと想像されます。

 厳密な作業不足が推測される根拠として、ヒゲジジイの41年の漢方専門薬局従事歴からして、しばしば遭遇したことで、西洋医学治療で効果がないために、当方の漢方薬に頼って服用したところが、急速に好転したケースにおいて、漢方薬の服用を知らない主治医が誤解して大喜び、さっそく医学界に発表されるとなった事例は枚挙に暇がありません。

 これはまずいことなので、患者さんに漢方薬を服用した事実を主治医に報告するように強く促しても、皆さんはほとんど頑強に拒否されます。主治医のご機嫌を損ねては申し訳ないという理由。
このような笑えない話は日本全国で収集すれば、膨大な数に上ると思われます。

 実際には漢方薬の手柄である部分が、大きく下駄を履かせたエビデンスやガイドラインとして反映されているとしたら、とてもじゃないが、笑えない話です。

 実生活上では唯物論的科学の手法による検証で十分なのですから、少なくとも西洋医学の医師の先生方はいやしくも科学者集団であると自認されるのであれば、同じ医師であるアメリカのヴァージニア大学精神科のイアン・スティーヴンソン教授が「生まれ変わりの研究」で行ったあらゆる角度からの検証作業を見習って、彼の行った半分くらいの厳密さでもよいので、あらゆる角度から検証を行ったうえで、エビデンスやガイドラインを作成して欲しいものです

 ともあれ、この度は本当に貴重な感慨を吐露して頂けたこと、それがこうしてブログに掲載させて頂けることを本当に嬉しく存じます。

 それにしても5年来の気管支炎に対する超即効例は、実に奇跡的ですねっ!
 ありがとうございました。

2012年7月19日のボクチン(8歳)
2012年7月19日のボクチン(8歳) posted by (C)ボクチンの母


posted by ヒゲジジイ at 00:07| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2014年06月14日

年余に亘る慢性疾患でも10日以内に即効が得られることは日常茶飯事だが・・・

2009年6月14日のボクチン(5歳)
2009年6月14日のボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母

 数年以上続く慢性疾患の場合でも、適切な漢方薬を服用すると、多くは明らかな即効が得られる。

 そういう意味では世間で迷信のように信じられている「漢方薬は直ぐには効かない」というのは間違いである。

 かといって、即効が出たからといって、年余に亘って苦しみ、西洋医学治療はもとより保険漢方や地元の自費の漢方薬でも効果が無かった人たちの場合、遠路はるばる来られた甲斐あって、思いがけず即効が出たからといって、そのまま根治する筈もない。

 即効と言わないまでも、10日以内に体感的に明らかに効果を感じたとしても、短期間で明らかな効き目があったからといって、そのまま数ヶ月続けたくらいで根治するはずも無い。

 まだまだ体質改善を伴った根治的な配合を得るには折々の点検が必要であり、標治の後の本治を行うべき時期の見極めや、あるいは標本同治で押し通すべきかなど、実際には一年間の季節変化もしっかり観察しておく必要がある。

 その辺の事情を理解されず、短期間に即効があったのだから、そのまま短期間で根治するものと誤解される人も多い。
 だから、いつも強く注意するのは「効くのと治るのは大違い」ということである。

 それゆえ、最初から即効が出ない人のほうが、しかたなく長期戦を覚悟されるので、結果的には最終的にかなり理想的な体質改善が得られているケースが多い。
 即効が出た人の中には、ちょっとでも病状がぶり返すと根気が続かなくなる人も見られる。

 ともあれ、昨今稀なことだが、わざわざ遠方から来られたのはよいが、まだ数年来の地元の漢方薬で何の効果が得られてもないのに、強い未練を残してやって来られる理解に困しむケースもあった。

2014年06月14日 効いているかどうか分からないという不思議な人達

 このようなケースでは、弁証論治にもとづいた漢方薬のデリケートな配合の邪魔になるというのに、そのような優柔不断と取られてもしかたがないケースでは、きっぱりと漢方相談をお断りせざるを得ない。
 その辺の事情は上記のブログで詳細に記した通りである。

2010年6月14日のボクチン(6歳)
2010年6月14日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年6月14日のボクチン(8歳)
2012年6月14日のボクチン(8歳) posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 22:24| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2014年04月29日

病気は何の為にあるのか?

2008年8月24日のボクチン4歳
2008年8月24日のボクチン4歳 posted by (C)ボクチンの母

 先週の月曜日。
 その前日の日曜日に竹葉石膏湯に中草薬類の併用によって気管支炎を伴った風邪がすっきり治って、午前中の仕事を難なくこなして、午後も続いて普通にやっているところへ、夕方の漢方相談を受けている最中に、やけに身体が冷えてきた。
 その割には冷たい水がアイスクリームなどが心地よい。

 途中、体温を測ると38度。久しぶりにやって来られた九州のお馴染みさんに、とってもお元気そうですねっ!とお世辞を言われるが、「そうでもないんですよっ」と苦笑い。

 午後6時の閉店時には血圧も異常に上昇して上が175、体温もますます上がって38度8分。
 身体が冷える割には冷たい飲み物が気持ちがよい。

 まるで表寒裏熱の防風通聖散証の如くで、急性疾患では滅多に見られないと高を括って我が薬局には防風通聖散など遠の昔に廃棄処分している。
 蛇足ながら、防風通聖散が肥満治療の薬として有名になっているのは都市伝説で真っ赤なウソである。

 そうこうするうちに座っているのも難儀なほど気分は絶不調で、ますます血圧も体温も上昇を加速し、測るのが怖くなる。

 残尿感が強く腹部の違和感などその他の諸症状から急性の腎盂腎炎であろうと思われるので、猪苓湯を主体に抗菌中草薬を各種大量に併用して、ふらふらしながらベットに潜り込む。
 足元ではじゃじゃ馬のトラちゃんが寄り添って温めてくれる。

 頭の中ではうなされるように、絶望的な苦しさに耐えられず・・・もうこれをきっかけに早く憧れのあの世に行かせてくれよっとばかり、ボクチンが早く迎えに来てくれることを念じていると、

「まだ早い、そのうち全身に回りかけている細菌類を抗菌中草薬で活性化された白血球がせっせと食い殺すから」

 という久しぶりに背後霊のお告げ(苦笑)があって、全身の細菌類を白血球が食い尽くすイメージが鮮明に見える。
 と、同時に急速に身体がポカポカと温まり始め、大いに発汗して夜8時には体温が38度に戻ってかなり楽になった。血圧も上が100にまで下がっている。

 そこでまた起き出して、同じ漢方薬を服用して今度はかなり気持ちよく熟睡して夜間12時に目覚めたときには体温36度8分。

 翌朝は35度8分にまで下がって平熱となり、その後今日まで6日間、まったく再発の兆候もない。
 あの高熱を半日で完治させたことになる。

 味わったことのない絶望的な病苦に、これをきっかけにあこがれのあの世を期待したところが、見事に裏切られた(苦笑。

 朦朧とする頭に突然鮮明に浮かんだ白血球が全身に回りかけた細菌類を食い殺す映像が続き、それが終わると同時に発汗がはじまって38度まで下がる。
 その数時間後には6度8分まで下がり、翌日はまったく痕跡も残さず治ったのは、あながち漢方薬の効果だけとは到底思えない。

 「病気は何の為にあるのか?」というタイトルの結論は、言うほどのものではないが、生き方が間違っているよという警告であるように思われるのである。

 要するに、体力と精神力の限界を考えて、もっと仕事量を減らせ、という意味かっ?

2008年8月24日のボクチン4歳
2008年8月24日のボクチン4歳 posted by (C)ボクチンの母 

posted by ヒゲジジイ at 18:25| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2014年03月11日

慢性疾患でも10日以内に速効が出る場合が多いが、それで治った訳ではないので誤解するなかれ

2008年8月10日のボクチン(4歳)
2008年8月10日のボクチン(4歳) posted by (C)ボクチンの母

 二月中旬頃から新人さんが毎日のように続いているが、その多くは10日以内の速効が出ている。

 ほとんどの人達が既に病院の漢方や地元の漢方薬局などで様々な種類の漢方薬を長期間服用していた経験がある人が多いが、こちらで10日以内で明らかな効果が出たことに、とても驚かれることも日常茶飯事。

 こんなに漢方薬が短期間で効くなんて、信じられないと言われることも珍しくはないが、速効があったからといって、それで治った訳ではないので、重々誤解のないように。

 今後は季節や環境変化による変転が十分に考えられるので、慎重に経過観察して、時宜にかなった配合変化が必要になることが大いにあり得る。

 当然のことながら、皆がみな10日以内の速効が出るわけではなく、少数の人達ではほとんど無反応というケースもある。

 このような人達こそ、あらゆる角度から弁証論治を10日毎に慎重に繰り返し、配合の調整を怠りなく、互いの根気が必須となるが、遅かれ早かれフィットしはじめる頃には、このような遅効の人達の中から、真の漢方ファンが生まれるのだから不思議と言うほかはない

トラちゃん(メス6ケ月)
トラちゃん(メス6ケ月) posted by (C)ボクチンの母


posted by ヒゲジジイ at 23:28| 山口 ☀| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2014年02月27日

速効例を書くと誤解されるが、それには侮れない意味がある

姿はボクチンに似ていても性格がじゃじゃ馬娘で真逆の性格のトラちゃん
姿はボクチンに似ていても性格がじゃじゃ馬娘で真逆の性格のトラちゃん posted by (C)ボクチンの母

 昨今、県内から来られる新人さんが多いが、いずれの人もブログを見ていて、県外が多いのが信じられないといって怪訝顔の人が多い。

 今週は火曜日と水曜日は連日多忙で、本日などは昼食が午後3時を過ぎてしまったが、それほど忙しかった日ではなかった。

 それでも本日の外来と送りの人達で思い出すだけでも挙げてみると、偶然にまったく他人同士の関東地方の同じ県の人が2名。東海地方1名、九州地方1名。県内2名。

 直接来られている人達は、当然たっぷり時間をかけて弁証論治を行うことが通例であるから、意外に心身ともに疲労が蓄積する。
 火曜日・水曜日・木曜日と同じように相談時間をかける日々が続いているからでもあるが、合間にメールの返信は日々十通以上は軽く超える。

 それはともかく、本題の速効例。
 
 二年間近く咽喉に痰が絡んで不愉快であるという地元の人。
 根掘り葉掘りの弁証論治に呆れ顔であったが、こちらが熱心にやっているのに聊かムッと来たが、なんとか我慢してようやく見つけたのが、潜在的な蓄膿症をかかえていて後鼻漏が原因であろうことを発見した。

 怪訝顔の人であったから、基本の辛夷清肺湯のみを10日分渡しておいたところ、昨日やってきて予言(苦笑)通りに大量の濃厚な鼻汁があふれ出て、それですっかり気分がよくなったところで、気が付いてみると、咽喉の不快症状が完璧に百パーセントすっかり治ってしまったとか。

 極めて品質優良な辛夷清肺湯製剤がものをいう。

 念のため、あと10日分だけもらって行きたいと初回とはうって変わって大いに喜ばれていたが、もしもその後に再発することがあれば、蓄膿症というのはとても根深いのだから、そのときは再度しっかり漢方薬を続けるべきことを伝えておいた。

 先日も、県外の遠方から通って来られていた女性では、10日毎に通ってもらって、ある自己免疫疾患が1ヶ月以内でほぼピントがあって明らかな改善の兆しが出たところで、もう一つの目的である不妊症も同時にちょうど1ヶ月でめだたく懐妊された。

 数種類以上のやや複雑な配合がともによく効を奏したのである。

 速効例ばかり挙げていたら、皆がみなが速効が出ると誤解されても困るのだが、このような速効が出ることも決して珍しくはない。

 ところが注意しなくてはならないのは、速効が出たからといって、それで直ぐに根治する訳ではない。

 むしろ遅効であるほうが、止むを得ず地道な努力が必要となるので、却って結果的には根治に到達しやすいのだから、現実というのはちょっと皮肉な部分がある

 実は、もっとも再発率が高いのは初期に速効が出た人たちなのである。

 その理由は、ほかでもない、服用者がどうしても油断して服用を怠り、四季折々の弁証論治の重要性を認識できずに、たまにでも念を入れた点検にやって来るのを完全に怠るからである。

2008年8月5日のボクチン4歳
2008年8月5日のボクチン4歳 posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 21:38| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2013年12月04日

12月に入った途端に11月に続いた新人さんたちの速効は脆くも崩れた(泣

2007年12月15日のボクチン(3歳)
2007年12月15日のボクチン(3歳) posted by (C)ボクチンの母

 左腕全体がジンジンと痺れてかなり激しい疼痛を伴う七十代の男性には、初回の補陽還五湯10日分で上腕部に明らかな一定の効果があった。
 さらなる他方剤の補強を考える前に、一定期間、同方をしばらく続けて観察する必要がある。

 さいさきがよい12月と思っていたら、脂肪肝による肝機能障害(GOTやGPTなどの異常値)に、激しい両膝関節痛を伴う人に対して、かなりな自信を持って飲んでもらった防己黄耆湯・茵蔯蒿湯・田七人参の10日分では、脂肪肝はともかく、肝腎な膝関節については、左膝は無症状とはなっているが、ひどかった右膝が不変。

 毎週一回打っていた整形外科における注射を中止したことの影響があるにせよ、防己黄耆湯レベルでは効果が弱いことが明らかであった。
 腎虚も明らかに認められるところであるから、六味丸系列などの不足する方剤の検討が必要であった。

 12月に入る前に、もっとも喜ばしかったことは、以前にも少し記した肺腺癌ステージ4の男性で急速に転移巣が縮小した男性。以前とは打って変わってまったく垢抜けてスッキリした顔色となって、漢方薬類の補充に来られたことであった。
 来週にはまた検査があるということであったが、最近は見違えるほど健康的な顔色と生気を取り戻しているので、職場でも健常者と同じ扱いをされているので、嬉しいやら難儀やらと苦笑されていた。

2007年12月15日のボクチン(3歳)
2007年12月15日のボクチン(3歳) posted by (C)ボクチンの母

ラベル:肺腺癌
posted by ヒゲジジイ at 08:25| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2012年09月11日

3年間続いた頑固な後鼻漏が党参配合の補中益気湯製剤のみで速効

FSC_9651a
FSC_9651a posted by (C)ヒゲジジイ

 いつも書いているように後鼻漏の原因が蓄膿症の場合は治療期間が長くかかることはあっても、その多くは着実に快癒していく。
 ところが耳鼻咽喉科で蓄膿症や鼻炎などの問題はないと診断される原因不明の後鼻漏は、一部の人は様々な漢方薬を駆使しても、おいそれと治ってくれないケースがある。
 
 といっても透明希薄なサラサラした後鼻漏の場合は、しばしば藿香正気散(カッコウショウキサン)で速治するケースも珍しくない。
 やや粘度の高い後鼻漏ではしばしば荊芥連翹湯で着実に治っていくケースも多く、現在進行形でも数名が明らかな改善を得てる。

 ところが比較的希薄透明なサラサラした後鼻漏であり、冷たい食事を取ると明らかに後鼻漏が増えるという特徴のある人に、藿香正気散や半夏厚朴湯を主体に様々運用しても一向に効果がみられないタイプの女性が来られていた。
 子供の頃から後鼻漏の傾向があり、成人して以後もしばしば後鼻漏に悩まされていたが、中年以降になってここ3年以上、劇的に悪化して毎日生きた心地がしない最悪の苦しみが続いているとの申告であった。
 多くの耳鼻咽喉科にかかってみたが、いずれもまったく無効で鎮静剤が出される始末。
 気分も落ち込んで、後鼻漏も落ち続け、舌体も痛みかけた明太子のようにどんよりして弾力に乏しい外観である。

 これらを中気下陥の証拠と解釈して、落ち込むものを昇提させる作用を持つ補中益気湯製剤のみに切り替えてみたところ、服用初日は却って大量の後鼻漏が流れ出て苦しく、てっきり合わない漢方薬だよと思案しているのもつかの間、翌日からはもとの後鼻漏レベルに戻り、三日目になるとかなり減って来た。
 その後は日毎に後鼻漏の量が減る一方で、10日も経つとほとんど出なくなった。少なくとも9割以上は寛解した感触を得てこんなに嬉しいことはないとの報告であった。
 
 こちらも同様に難治性の後鼻漏が、補中益気湯製剤に切り替えた途端に速効を得られたことは、何よりも嬉しいことであった。

 この補中益気湯製剤は朝鮮人参のかわりに党参が配合され、また生姜と大棗は配合されない本来あるべき理想的な補中益気湯製剤を飲んでもらったことで速効が得られたものと思われる。

IMGP5059
IMGP5059 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 23:12| 山口 ☀| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2012年09月06日

大腿骨頭壊死の疑い濃厚だった同業の某薬剤師さんが三ヶ月で完治したとのご報告

IMGP5748
IMGP5748 posted by (C)ボクチンの母

 さきほど同業の某薬剤師さんからご報告があったばかりだが、数ヶ月前からご相談を受けていた。

 こちらでは過去僅か2名ながら、経験例があったので血行を改善する適切な漢方薬ばかりでなく、ビタミンD前駆物質が含まれるキノコ系の中草薬に出来る限り大量のイオン化カルシウムを併用することこそ重要であろうことをアドバイスしていた。

 過去(20年前?)地元の高校生が同じ病気で、血行改善する能力のあるキノコ系統の中草薬とともにイオン化カルシウムの併用だけで、手術を宣告されていたものが、比較的短期間で骨が完全に再生して手術を免れ、根治した実例がある。

 とはいえ、いとも簡単に根治しただけに、ご両親が医師の診断名として大腿骨頭壊死を言われていたが、もしかしてペルテス病ではなかったのかと今になって疑いたくなる気持ちがないでもないが、専門的にはどうなのか、医者でもない身では知る由もない。

 また和漢薬誌357号 1983年2月には、イオン化カルシウムを主体に大柴胡湯など、その人の体質に応じた方剤とともに服用してもらって、大腿骨頭壊死の手術後の骨が崩れずに極めて経過良好の話を、率先してご自身が手記を書かれ、和漢薬誌に載せて欲しいというたっての依頼で、当時の社長さんに無理をお願いして掲載してもらっている。

 翻って今回の同業の薬剤師さんご自身の大腿骨頭壊死の根治例はしっかりとした病院の検査と診断とともに治癒していく過程をメールでご報告頂いており、ほんの三ヶ月の連用で速治例としては素晴らしい結果であった。
 ご自身の熟慮により服用された内容はイオン化カルシウムをはじめ補腎剤や活血化瘀剤などの漢方処方など合計すると9種類を併用されたというご報告であった

 だから上記の高校生の例でも、まったく後遺症を残さず根治されていることと併せて考えれば、大腿骨頭壊死に対する適切な漢方薬や中草薬とともにイオン化カルシウムの併用こそ、再現性のある治療方法として期待できるかもしれないと思うのである。

IMGP4979
IMGP4979 posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 10:37| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2012年08月26日

補気建中湯の著効例のご報告

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ノスリ posted by (C)ヒゲジジイ

おたより:東海地方の美人薬剤師

ヒゲ先生

残暑が大変に厳しいですが、お元気でお過ごしですか?
長引く暑さで、夏バテなど体調を崩している方が多いですね。
この度、補気建中湯の著効例が出たので、報告させていただきます。

 81歳になる女性ですが、お盆にひ孫などが押し掛け、あれもこれもと料理を作ったり、お世話をしすぎて、お盆後の疲れが出たようです。
 普段から、体調が良いとセカセカ動き回るタイプで、その場でセーブすることができず、後になって気が抜けると、ド〜ンと疲れが出て寝込む方です。
 いつもお腹のトラブルがあり、一日でも排便がないと、お腹が張って苦しまれます。

 今回も、お腹がパンパンに張って、脂汗がでるほどの腹痛が出ました。
 便がスッキリでないばかりか、尿も10CCほどが一日数回出る程度、尿の色は透明。

 お腹が苦しく、食欲もなく、お粥を一口食べると、腹痛が始まるとのことで、腸閉塞を心配して病院にて検査されましたが、異常はありませんでした。
 お腹は、按ずると気持ちが良く、温めると気持ちがよい。
 手で押さえると振水音と、ガスが溜まったような音がします。
 舌は、赤くひび割れがあり、典型的な陰虚舌ですが、手足が氷のように冷たい感じで、部屋の温度が33度あるのに、電気毛布で足を温めたい・・・と言われる。

 この方に補気建中湯を使用したところ、3回の使用で尿がザーザー出始め、尿が出ると、詰まっていた便も出てお腹がスッキリし、痛みも和らぎました。
 飲んでおられると調子が良いのですが、私の頭の中に膵臓ガンの疑いがあり、検査されることをお勧めいたしました。

お返事メール:
 補気建中湯の見事な速効例のご報告、ありがとうございました。
 お陰さまで有意義なブログ記事となるものと心から喜んでいます。
 
 ご報告頂いたような補気建中湯の著効例が積み重なることは、どの会社にも断られた続けたものが、小太郎さんの英断によりようやく実現したエキス製剤だけに、お陰さまで少しずつ肩の荷が下りて行くように感じています(苦笑。

 ヒゲジジイの過去の経験では各種の末期癌で生じる腹水や胸水に、タイミングがよいと速効が得られることをしばしば経験しているものの、そのいずれもキノコ系のプラスαあってのものばかりでした。

 しかしながら昨今では、補気建中湯のエキス製剤が実現したお陰で、それほどの重大な疾患ではなくとも、浮腫を生じやすい胃弱の人にも多用してしっかりした効果が得られることを経験しています。

 また、脾肺腎に作用する配合のお陰で、今後は一部のアトピー性皮膚炎にも応用が利くであろうことを予測しています。
 補気建中湯が脾肺腎に作用する方剤であるということは重要で、応用範囲が無限に広がる予感を禁じえない昨今です。

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ノスリ posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 15:57| 山口 ☀| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2012年06月15日

以前ご子息(乳幼児)の心疾患でご相談を受けていた(ブログへは不掲載)親御さんからのお便り

IMGP5708
IMGP5708 posted by (C)ボクチンの母

ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 30歳〜39歳の男性
簡単なご住所 : 九州地方
具体的な御職業 : 調理師
お便り : 村田先生の御サイト、毎日拝読させて頂いております。

 以前、先生が乳児の漢方薬相談に非対応なのを承知の上で、愚息(現在1歳3ヵ月)の先天性心疾患(心室中隔欠損)について御相談差し上げ、先生の御助言を後押しに手術を受ける事を決し、現在術後6ヵ月、お陰様で予後は良好であります。

 現在、息子は足のみに慢性湿疹及び喘息(夜間〜朝方に発作)が見られますが、先生の患者様に比べたら蚊に刺された程度の症状です。

 しかし、小児科のお決まりのステロイドや新薬の処方、また地元漢方薬局の処方では、数ヶ月服用しても改善せず、辟易しておりました。

 先生が幼児対応であるなら…と身勝手に思いますが、御サイトの処方例よりヒントを得て、痒みを取ってやりたいと茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)を服用させたところ、当日より掻き癖が止まり、驚きました!

IMGP5690
IMGP5690 posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:

 茵陳蒿湯はとても便利な漢方薬です。

 最近のことですが、大人たちが愛用しているはずの当方で販売している茵蔯蒿湯をアトピーの子供たちに親の判断で飲ませたところ、よく効いたよ!という報告を2例もらっていますが、大人たちが自己責任でやることなので文句も言いませんが(笑。
 
 結果オーライですねっ!

IMGP5685
IMGP5685 posted by (C)ボクチンの母

折り返し頂いたメール:お返事恐縮致します。

 先生の過去の記事に、インチンコウトウは舌が黄色、黄疸に適用と記述があり、愚息が生後間もなく黄疸だった事を思い出し、素人の山勘で試したところ、大変良い結果だった訳です。

 先生のブログのお陰様で、私のような漢方の門外漢に、息子の治療が出来ました。

 勝手ながら、今後も御ブログを参照に、自己責任の上での息子の治療をさせて頂きます (笑)

 ありがとうございました。

IMGP5631
IMGP5631 posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 07:19| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2011年12月02日

再現性の乏しい特定の漢方処方による思いがけない効果

IMGP5621
IMGP5621 posted by (C)ヒゲジジイ

 もはや老体だから、本日のように適当に忙しく、適当にヒマになるのが身体に応えない。

 それぞれお一人の相談時間をタップリ取るやり方だから・・・といってもそのうち、漢方薬の想像以上の価値を認めた人達は、長期の体質改善や折々の急性疾患にまで活用されるようになるから、常用方剤や常備すべき方剤が決まって来る。

 そうなると1〜3ヶ月分をまとめて購入するようになる人も多いので、初期の互いの苦労が稔って、とても能率のよい仕事となる。

 そんな人達が、ご自身やご家族の中に、再現性の乏しい特定の方剤や中草薬の意外な効果を報告されるケースが多々あってとても興味深い。

 たとえば激しい腰痛が藿香正気散で的確にフィットし、比較的短期間で治癒し、その後、腰痛の常備薬となっているご家族がいるとの報告。

 ピロリ菌が原因で生じた胃の悪性リンパ腫が、病院治療で二年間様々な工夫されてもピロリ菌を除去できずに胃の全摘を宣告され、手術日まで決められていた人が、当方の漢方薬で運よく一ヶ月足らずで除菌し、同時にリンパ腫の消失をみた。

 その数年後、足の静脈瘤が悪化し、手術を予定されたが、胃の悪性リンパ腫の時に服用した多種類の配合中草薬の一種類だけがたくさん残っていたので、それのみを服用したところ、実に短期間で急速に凸凹の血管が吸収されて雲散霧消したとの意外な報告を得た。

 以来、数年間これだけを連用されているが、胃の悪性リンパ腫のみならず足の静脈瘤も消失したまま。この現実こそ、最も再現性に乏しいと思われる清熱解毒の中草薬であるから不思議というほか無い。

 イワシの頭も信心か?

 そのほか、血行障害と無月経が激しいので、生薬製剤二号方を飲んでもらったところ、アトピー性皮膚炎が急速に治癒した珍しいケース。

 顔面に生じた赤味の強い湿疹がある女性に、不妊症治療の目的で飲んでもらった芎帰調血飲第一加減製剤で短期間で消失した例。

 手足の重度の冷え症のあるアトピーの女性が二名、いずれも配合方剤中の黄連解毒湯と茵蔯蒿湯を服用を開始した途端に、手足の冷え症がほぼ完璧に治癒してしまった信じられないケースもある。

 このように漢方薬は弁証論治を超越した不思議な効果を発揮することもある。

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BSC_3449 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 21:25| 山口 ☔| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2011年10月31日

漢方薬で驚異的な速効が出ると止めてしまう人達

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FSC_7863 posted by (C)ボクチンの母

 傷寒論や金匱要略の古方、あるいは経方と呼ばれる方剤群は、的確に使用すれば時には信じられない速効が得られる。

 だから古方派時代の青二才の分際でも、驚くべき著効を得て喜んでいたら、服用者が効いて当たり前と思う人もいれば、驚異的な効果に却って驚いて、合成医薬品のような副作用が出てきたら困るからと即、中止されるおめでたい人もいた。

 現在も古方派であることに違いは無いが、日本古方派ではなく「中医漢方薬学派」であり、言い換えれば「中医古方派」でもある(苦笑。

 それはともかく、速効が出る人ほど油断しやすく、長期間の慢性疾患では最初の速効や著効がいつまでも続くとは限らず、まだまだ見落としている証候が存在していることが多いので、補強する追加方剤が必要となることが多い。

 しかしながら最初から速効や著効が出てしまうと、どんなに難病であっても喜びのあまりどうしても病人さん自身が油断してしまい、服薬がおろそかになったり、継続服用の根気がなくなったり、急に経費が惜しくなったり、様々な理由で突然無音となるケースがある。

 あるいは初期の著効がだんだん薄らいで、症状が次第に戻り始めるケースでは、すかさず微調整が必要なのに、それが待てずに止める人や、微調整に納得しても直ぐに効果が戻らないと、やっぱり短期間で止めてしまう人。

 その場合、いつの間にか無音となるのは自己責任の問題だから、お好きにどうぞで済まされるが、わざわざ電話やメールで様々な言い訳の弁を聞くほど歯がゆいものはない。

 止めたくなったら黙って止めればよいので、自己責任の問題だから止めるための連絡は一切不要

 速効や著効が出ている人ほど、その後も真面目に継続しつつ四季折々の体質傾向に応じた微調整を行えば、大変見通しが明るいのに、ここでも人間心理のタナトスの仕業としか思えない。

 長期間に亘る慢性疾患の場合、最初の著効や速効も一時的なものであるケースもあり、当然ながら更に補強する追加方剤が必要になったり、最初に使用した急性症状を抑える清熱剤を中止するなど、臨機応変の処置が必要なケースも多い。

 一方では最初から、ゆるい効果しか発揮できずに互いに長期間に亘って苦労する「通常のパターンとは異なる病型の人達」では、弁証論治に苦労に苦労を重ねるが、それらの人達の方がむしろ頑張りがきいて、頑張りぬいてくれたお陰でしっかりと安定した寛解状態に持ち込めることが多い。

 人間の深層心理のエロスとタナトスの問題が大きく関わっているように思われる。

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FSC_8118 posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 07:35| 山口 ☔| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2011年08月14日

連休前に嬉しい報告:少ない方剤による速効例

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ASC_1983 posted by (C)ヒゲジジイ

 前回のブログのような極めて理不尽な暴言を浴びたことは十数年ぶりだったが、いずれも暴言者は男性である。
 十数年前のケースでは、こちらもまだ若かったから「ふざけるなっ!」と激しく応酬したものだが、最近はとっても穏やかなジイサンになったものである(苦笑。
 
 ともあれ、連休前には不愉快なことよりも嬉しい報告がたくさん続いた。
 その中でも、珍しく極めてシンプルな配合で速効を得たものも数例みられた。

 職場が節電のために30度の職場環境で、慢性的な熱中症のようで、めまいやふらつきが止まらなくなった人には、通常なら牛黄製剤を奨めるところが、明らかに適応証に間違いない兆候がみえたので、葛根黄連黄芩湯に茵蔯五苓散の併用で速効があり、直ぐに纏め買いに再来された。

 アトピー性皮膚炎で、暑い季節になってますますいよいよ激しい乾燥と痒みにたまらなくなって新たに来られた人。
 病歴の長いアトピーでは、通常は速効が望めないことが多が、典型的な三物黄芩湯証を呈していたので、珍しく単方で10日間様子を見てもらったところ、9日目にやって来られて患部の熱感も痒みも乾燥も7割は軽減。

 7割の軽減といえば、重症の人たちの中にはその段階に到達するまでに半年〜1年かかることも珍しくないのに、とても運のよい人である。但し、油断大敵で、速効があった人ほど、服薬を怠りやすいので却って要注意。
 今後も季節変化を慎重に見極めていく必要があるが、三物黄芩湯は黄連解毒湯のようなやや対症療法的な方剤とは異なるので、かなり期待がもてるはず。

 重度の蜘蛛膜下出血で幸運にも手術が成功して九死に一生を得たものの、頭内朦朧感が執拗に付き纏う。
 まずはシンプルに牛黄単味で様子を見てもらったところ、服用後は症状は完全に雲散霧消。

 超速効であるが、おそらく服薬を怠ると再発する可能性も大きいので、各種脳血管障害の再発予防と年齢も考えて一生涯続けるのが望ましい。

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IMGP9520 posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 12:37| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2011年01月22日

電気屋四肢厥冷事件

メジロ
メジロ posted by (C)ヒゲジジイ

おたより:東海地方の美人女性薬剤師

 大寒の名の通り、厳しい寒さが続きますね。
 こちらでは50センチほどの積雪がなかなか溶けず、毎日雪かきに追われています。

 年明け早々、私も熱病?にやられました。
 薬局のマルチプリンターが壊れたので、新しいのを探しに主人と電気屋巡りをしていて、”電気屋四肢厥冷事件”を起こしました。

 うちの主人は、電化製品を購入するとき、あ〜でもない、こ〜でもないと吟味し、値段や機能等を比較して数軒の電気屋を巡る人種で、こちらはスポンサーでついて回りなのですが、電化製品音痴の私にとっては大変に苦痛な時間・・・。

 この日も2時間ほどグルグルと回り、脾気下陥し、頭がクラクラとしてきました。
 しばらくすると、動悸が激しくなり、何だか息が詰まって苦しく、手足から冷や汗が出て、その場に座り込んでしまいました。
 体の中は火照った状態で、ノドも乾きとても息苦しいのです。

 結局、電気屋のお勧め品を購入し、家にもどって四逆散を飲んで落ち着きました。
 まさしく、肝気が欝結して気機不通となり、陽気が抑圧されて四肢に到達できない状態だったのでしょう。

 最近、更年期を迎えてこのようなことが頻繁に起こります。
 朝から清陽が昇らず、濁気は降りないので、午後からになると体に熱が籠もってきます。

 昨日も特に、喉の痛み、鼻水、咳などの風邪症状はなく、37度8分くらいの微熱と手足の抜けるようなだるさで、”早く横になりたい・・・・早く一日終わってほしい・・・”と思いながら仕事。
 臨時の薬剤師は喜寿を迎えた叔母なので、そうそう頼むこともできず・・・。

 朝から柴胡剤系列で様子をみていましたが、午後に症状が顕著になり、”あっ・・・そうか”と、竹茹温胆湯+黄連解毒湯で症状がキレイにとれて、今日は元気一杯に働けました。

 年齢に伴う脾肺の弱り+肝腎不足に伴うホルモン系の変化が、疏泄の中枢の少陽経に負担をかけているのだろうなぁと思っています。
 先日亡くした友人のように、突然死する年代に入ったのだから、無理はできないですね・・・。

ヒヨドリ
ヒヨドリ posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:おたよりありがとうございます。

 この度の処方運用、とても興味深く拝見しました。
 この極寒の季節に、何とナントっ!四肢厥冷の原因が厥陰虚寒や少陰陽虚ではなく、陽気内鬱の四逆散証だったとは、とても参考になりました。

 さらには竹筎温胆湯+黄連解毒湯の適応証とは・・・しばらく考え込んでしまいました。

 面白い使い方をされるものだと関心するやら考え込むやら・・・そういえば、数年前、寒いさむい東北地方から、日本流で言えば典型的な虚証の女性が来られましたが、村田漢方堂薬局にたどり着くまでには数年毎に高名な先生方の漢方を続けられていました。

 ところが不思議なことに、どの先生も気付いておられなかったことは、この女性には黄連解毒湯証が合併していることでした。
 日本流の虚証概念が災いして、補剤中心の配合ばかりが出されているために、もう一歩の体質改善が出来なかったわけです。

 本日、常連さんの奥さんから興味深い報告がありました。
 先日、ご主人が寒い寒いといって会社から帰って来られ、咽喉腫痛とひどい悪寒を訴えるので、涼解楽(銀翹散製剤)に藿香正気散を合わせてしこたま飲ませたら、明くる日にはケロッと治ってしまったそうです。

 日頃から常連さんには処方運用のヒントを繰り返しアドバイスしているので、咽喉腫痛や悪寒に対する対処方法でも、葛根湯を使用すべきときや藿香正気散が適切なとき、あるいは参蘇飲を併用すべき時など、よく学習されれる人は、並みの専門家よりも上手です。

 研究熱心な常連さんには荊防敗毒散と銀翹散製剤(涼解楽や天津感冒片)の使い分け、適応証の研究をしてもらっているほどです(笑。

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IMGP4734 posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 15:31| 山口 ☀| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2008年09月13日

今週の漢方薬による速効例

 速効例の話でも書かないとブログが続かない。
 実際の本業としては、むしろこじれまくった難治性となった慢性疾患を苦労に苦労を重ねてようやく複雑な配合が整い、次第に寛解に向かうという神経をすり減らす消耗戦を勝ち抜いた時の快感は、何とも言えない充実感を味わえる。

 しかしながら、そのような難治性の複雑な疾患を持つ人ほど、意外に根気に乏しいことがあるので、歯痒くなるときもないではない。
 こちらが必死で頑張ってるのに、本人が数ヶ月も経たないうちに根を上げてしまったらどうしようもない。根気が続く人ばかりではなく、愚痴ばかりが多くて努力が足りない人もないわけではない。
 それゆえ、根性があるかどうかは最初に選別させて頂いているつもりだが、見誤ることもある。

 ともあれ本題に入ると、仕事上の酷使から両手が紅く腫れて浮腫んで辛い。このまま行けば仕事を止めざるを得ないという、かなり重症の腱鞘炎の中年女性が、正しい白朮が配合された五苓散料エキス製剤と地竜エキス製剤およびイオン化カルシウムなど10日間で8割以上の寛解という速効は、ステロイド注射も真っ青であろう。
中医学的には、このケースの様に筋肉や腱に関連した疼痛に利用する五苓散では、白朮の代りに蒼朮が間違って配合された製剤でも、むしろこの方が有効性が高くなる場合もある。
 但し、基本方剤としての五苓散には白朮が配合されていなくてはならない。


 先日も少し書いたアトピーで、珍しく加味逍遥散を主軸に、計画的に一週間ごとに処方を増して行く。茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)を加えて赤みが半減。皮膚の凸凹を解消するために精度の良い猪苓湯製剤を加えて一週間でほとんど消える。
 このわずか合計三週間の服用で既に見かけ上は8割寛解。

 次に六味丸を加えるべきところを、故意に保留して三種類の方剤でどこまで改善されるかを見届けた後、ステロイド離脱を促進する六味丸を遅かれ早かれ加える予定である。
 計画通りに理想的に運んでいる喜ばしい例。

 極め付きは、80歳前後の女性が半年前より両足がこわばって重く足を運ぶのに難儀する。へなへなのへたり足になりそうな不安に慄いている。何とか漢方薬で治らないかと相談にみえた。
 弁証論治により六味丸系列のやや特殊な製剤を服用してもらったところ、僅か2〜3日で速効を覚え、10日足らずで半年前の無自覚な症状に完全回復した。

 この超速効に喜ばれて、ご近所のご老人達を次々に御紹介下さるが、正直言って紹介されるこちらのほうは、ありがた迷惑。
 お義理で来られる人も混じるので、そのような義理が絡む仕事はしたくないので、懇ろにお断りしてばかりいるのが実情である。

 実際のところ、初めて来られるご高齢者の漢方相談は、後々トラブルの元であるからお断りするのが通例である
 この女性の場合は幼少の頃から良く知る女性であり、またこれまでも何度か当方の漢方薬の利用経験者であったからこそ、ご高齢者であっても漢方相談もスムーズに行えたという事情があった。
posted by ヒゲジジイ at 00:40| 山口 ☔| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2008年09月02日

みずからも稀に味わう葛根湯の絶大なる恩恵(苦笑

 昨夜から続いてメールの返信が重なる途中にはブログ類の更新を続けながら、今朝の起床後も続いてメールの返信および送り注文の数々の伝票打ちが続く。
 
 朝の開局後はしばらくぶりに訪れた安定期に入っているアトピーの方、一年半経過して環境変化の好転もあってまずまず順調でホッとする。
 次に訪れたお馴染みさんはご家族数人で漢方薬を利用されているだけに常備薬が各種様々、補充購入のついでに女性薬剤師と、各個人に応じた食事療法の重要さについて花が咲いている模様。

 その喧騒(笑)の中で、引き続き沢山の返信メールを認めながら、電話注文やメールで入る補充注文類の伝票発行を続けるヒゲジジイ。
 薬局店頭では月曜日ほどの来客は多くないので、たくさん溜まっていた送り状発行と返信メールが能率よくはかどる。

 この季節、クーラーが気持ちよいとは言え、気がついてみると長時間眼球を酷使し過ぎたためか、血圧が上がっている訳でもないのに、いやなフラツキと首の真裏から後頭部にかけてのヒドイ凝り。
 揉んでみると気持ちが良いし、温めても気持ちが良い。

 もともと葛根湯証には滅多にならない体質だが、一年に1〜2回、急性の首凝りと眼精疲労が合併して生じることが稀にある。
 今回は歴然とした葛根湯証に間違いない。息苦しいほどの苦痛であるから、早速服用すると5分もしない間にほぼ雲散霧消っ!

 急に気分がよくなったので、すべての送り注文や返信メールを終わったところで、このブログを書いて報告する気になった。

 精度の良い葛根湯エキス製剤を用いれば、こんなに速効が得られることをみずから味わってみると、シンプルな疾患に対する漢方薬の優越性をあらためて実感するのであった。

 ところが、複雑に錯綜する慢性疾患では、こうもうまくは運ばないことが多いのは当然で、様々な要素が合併しているケースが多いので、一方剤や二方剤の併用くらいではビクとも動かないことが多い。

 といってもあらゆる西洋医学治療や漢方治療で難航を極めた人が、思いがけない少ない方剤の配合で、超速効が得られるケースも、それほど稀でもないので、ま〜〜ケース・バイ・ケースということでしょうねっ(笑。
posted by ヒゲジジイ at 14:55| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2008年08月07日

最近の超速効例の数々

 8月に入ってようやく新人さんの来局率が落ち着いて来たが、先々月から二ヶ月間というもの、ほとんど毎日、遠近様々なところから新しい人が続いた。

 数ある中には超速効例が必ず出て来るもので、中でも目立ったのが超真面目系の女性達の落ち込みの救済である。本当に著効が目立った二ヶ月間だった。(このことは先日も書いたばかりである。)
 人生観も変えるほどの効果がでるケースがあるので、ヒゲジジイの毒舌も快い音楽に聞こえる風情である(苦笑。

 処方は今回は明かさない。
 へんに真似されて効果が出なかった場合は、またまた電話で馬鹿な女性達からヒステリックな抗議を受け兼ねないからであるパンチ
 こちらで相談して購入した訳でもない連中に客ヅラされてたまるかっダッシュ(走り出すさま)
 純情可憐な大和撫子でもないのに効果が出なくて当然da。そもそも図々しく電話でイッチャモンつけるような女性には無縁な方剤である。

 それはともかく、同じ女性でも四十代の女性でメニエール氏症候群で、高血圧気味となり160以上が持続しているのに、弁証論治により、釣藤散と半夏白朮天麻湯と杞菊地黄丸の三種類の併用が必須とみたが、初回なので前の二種類だけで様子をみてもらったところ、服用直後から血圧が130代に安定し、体調も頗る良好ゆえ一週間後に喜んで報告に来られた。

 一年間の病院治療も空しく頑固に続いていた蕁麻疹が、カルシウムと漢方処方の単方の併用によって明らかな瞑眩(めんげん)⇒好転反応を起こした直後にほとんど緩解してしまった。

 瞑眩(めんげん)⇒好転反応が実際に生じるのは超稀なことであるが、このケースの詳細は⇒漢方薬による瞑眩(めんげん)⇒好転反応は超稀にはあるっ!:漢方薬局経営薬剤師の一喜一憂

 アトピー性皮膚炎の例では黄連解毒湯と猪苓湯に血行障害改善剤の併用で一定の効果が出ているところへ暑さによってやや痒みが出てきたところで、舌証に基いて茵蔯蒿湯と六味丸を加えたところ、痒みがほとんど解消するのと同時に、ステロイドの長期間塗布による酸化コレステロールが原因と思われる色素沈着が半月もしないうちに驚くほど薄らいでいる。

 この最も多い配合パターンに該当する体質者では、比較的短期間(半年くらい)でかなりな寛解が得られることが多い。
posted by ヒゲジジイ at 00:07| 山口 ☀| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2008年08月01日

女性の落ち込みを救う漢方薬

 真面目人間なるがゆえに精神的に落ち込んでいる女性を救う漢方薬がある。35年間の血が滲むような?研鑽が実って「まじめ」人間、言葉通りの真面目人間であるがゆえに落ち込んでいる多くの女性の人生観に変化をもたらすほどの改善を得たケースは数え切れない。

 もともと心の問題の御相談は、本音で言わせてもらえば、ほんとうは不得手である。歯の浮くようなやさしい言葉を投げかけるテクニックなど持たないからである。

 ところが、それをカバーするかのように弁証論治に基づく漢方薬の成果が大いに実っている。

 但し、真面目人間で女性的なナイーブさを持った日本的な人達ばかりが速効を得る傾向が強いように思われる。
 とりわけこの三ヶ月間だけでも、劇的な効果を示した例が20例近い。

 毒舌男に見えても、実際には来られる人が真摯でかつ謙虚でさえあれば、古びた頭脳がフル回転してくれるので、煌めくような名案が浮かぶのであろう。
 その秘伝的な方法論を公開するつもりもあったが、オルスビーなどでもチャッカリとパクリをやられて公開されているのを見るにつけ、まだまだあと20年は仁術兼算術の生活を続けねばならないので、秘匿しておくことにした。

 それにしても落ち込んでいた女性達が、急に明るく活き活きとしてくる様子を拝見するのは、仕事冥利に尽きるというわけである。

 実に思わせぶりな宣伝となってしまった(苦笑。でも、マナーの悪い女性はお断りである。
posted by ヒゲジジイ at 02:06| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2008年07月19日

本人不在で漢方薬を販売する特殊例

 ガジガジ頭に見えるヒゲジジイでも、内容如何によっては柔軟に対処できることがあるのが常連さんからの依頼である。まさに特別待遇することがあっても当然であろう。二十年以上もどっぷりと中医漢方薬学に嵌って漢方薬の何たるかを体感的に熟知されている人達である。

 常連さんのお孫さんが遠くに在住ではあるが、来れる状態ではないので何とかならならないかとの依頼は、これが初めての人であったり、多少のお馴染みさん程度であっても、すべて絶対的にお断りすることは常日頃から徹底している。
 
 ところが常連さんともなると心得ていて、かなり的確な情報を収集して詳細な報告があり、一部の配合薬もみずから示唆するほどの知識を持っているから話が早い。
 二方剤の提案は常連さんからあり、もっとも主軸になる方剤はこちらから提案し、併せて三方剤。

 早速、送って服用後の反応は(信頼感というバックアップの薬が後押しするのか)的確な著効を得たのである。
 新人さんで著効があっても、稀には先日書いたように逆に大きな態度をされるのとは大違い、常連さん達からは心から感謝してもらえるから、また頑張らなくちゃ〜という意欲も湧くというものである。

 巷では、漢方はやさしいとか、漢方薬は効かないとか、様々に言われているが、決してやさしいとは思わないし、一昔前の多く医師たちがのたもうていたように「漢方薬なんて効くわけがないっ!」とも思わない。

 時に難問の数学を解くように、一定期間、お互いに難行苦行を強いられることもあるが、想像を絶する著効を奏することも決して珍しくないのが中医漢方薬学なのである(笑。
posted by ヒゲジジイ at 18:24| 山口 ☁| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする

2008年02月15日

今月の超速効例の快感

 慢性疾患や難治性疾患が、短期間の服用で速効を得る時の快感は何ものにも換えがたい。
 中医漢方薬学の精華がフルに発揮出来たものとして幸せの絶頂感を味わえるのである。

 折々にウンザリするほど辛気臭い仕事(苦笑)に逃亡したくなる時もあるが、これがあるからこそ廃業できないのである。

 深刻で重度の月経前期症候群が、四逆散と加味逍遥散の併用で一ヶ月以内に手のひら返すがごとく雲散霧消。

 パーキンソン病による震顫(しんせん=ふるえ)が抑肝散加陳皮半夏と六味丸の併用、わずか10日間で急速に軽減。

 激しい鼻炎症状(クシャミ・鼻水・涙目など)が藿香正気散(カッコウショウキサン)の1回の服用だけでピタリと止まる。←これは実に日常茶飯事で、継続服用の必要を認めない。
 弁証論治により、たとえば例の体質改善三点セットを用いるか、あるいは辛夷清肺湯や八仙丸などで体質改善を行いつつ、発作が出ればまた藿香正気散を頓服で1回使用すれば止まり、次第にその必要もなくなる例は多い。
 もしも藿香正気散が効かない人でも、例の体質改善三点セットのみの服用で激しい鼻炎症状が一発で止まった例も多い。


 以上、敢えてブログ継続の為に、些かの自慢話を記して終わる(苦笑)。
 
posted by ヒゲジジイ at 00:47| 山口 ☀| 漢方薬および生薬・中草薬・漢方の即効例 | 更新情報をチェックする