2018年03月25日

まったく無症状なのに、検診で高血圧を指摘されて降圧剤を投与されると

2011年03月25日の茶トラのボクチン(6歳半)
2011年03月25日の茶トラのボクチン(6歳半) posted by (C)ボクチンの母

 以前、下腹部の持続的な不快症状が通院しても改善できないという中年男性に、猪苓湯+大黄牡丹皮湯などで快癒したのだが、薬局内に設置している血圧計で、毎回190前後が続いていた。

 心配して、病院で投薬を受けているかを問いただすと、まったく無症状なのでまったく服用してないが、家系的に皆同様に190前後ながら、90歳以上長生きする長寿の家系であるので、放置しているということだった。

 血圧が高くて、そのために不快症状を伴っている場合は、即刻治療を受けるべきだが、まったくの無症状である場合はどうなのだろう?

 上記の男性の場合は例外的なこととはいえ、高齢者が無症状であるのに、150〜160だからといって、降圧剤が投与されて、そのために次第にボケ症状が顕著にあらわれはじめたとしか思えないような事例を多数思わざるを得ない昨今。

 というのも介護に追われている中年女性達が体調を崩されて、当方の漢方薬で次第に元気になるにつれ、ご両親の様子を相談される折々、もしかして不必要な降圧剤によって長い年月、血圧を下げ過ぎたために、脳の代謝が低下して、ボケ症状を誘発したのではないかと疑われる事例が、かなり多いように思えてならないのである。

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2011年03月25日の茶トラのボクチン(6歳半)
2011年03月25日の茶トラのボクチン(6歳半) posted by (C)ボクチンの母
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2015年04月25日

降圧剤やコレステロール低下薬を常用される人達

2015年04月25日撮影のツバメ
2015年04月25日撮影のツバメ posted by (C)ヒゲジジイ

2009年04月25日の茶トラのボクチン(もう直ぐ5歳)
2009年04月25日の茶トラのボクチン(もう直ぐ5歳) posted by (C)ボクチンの母

 西洋医学で用いる降圧剤ほど便利なものはない。
 様々な疾患を携えて漢方相談に訪れる人達で降圧剤やコレステロール低下薬を常用中の人はとても多い。

 1日に1回服用するだけで血圧をコントロールできる便利さ。これだけは漢方薬では太刀打ちできないのが現実だから、降圧剤でしっかりコントロール出来ている人は、一生続けることになっても構わないから、主治医の指示通りに続けるようにアドバイスすることが多い。

 ところが問題は、スタチン製剤のコレステロール低下薬である。中には総コレステロール値が、スタチン製剤によって200以下を維持している人がしばしば見られるが、ここまで下がると免疫力を低下させ、神経障害を引き起こす危険性がある。

 スタチン製剤による免疫抑制作用によって、感染症のみならず悪性腫瘍の発生率を高める危険性すらある。
 総コレステロール値が300を超える人であれば止むを得ないのかも?しれないが、とりわけ女性の場合で250前後でこれを服用するのは、あまりにも問題が多過ぎる。
 
 とくに女性の場合は疫学的調査でも、200〜280の範囲内が発ガン率も、循環器系疾患などの罹患率が最も低い。200以下でも280以上でも次第に罹患率が上昇するものの、280以上よりも200以下の方が、統計的には罹患率が相当に高まるという統計がある。

 だから過去に、四十歳代で主治医が良性の大腸ポリープと診断して内視鏡で切除したところ、細胞検診では悪性であったため、切除方法に問題があるのでヒヤヒヤの五年間を過ごした女性の場合、定期健診時に、コレステロールがやや高いからといて(250以内だったと思う)、スタチン製剤が投与されたので、そのような無謀で無知な医師のところに通うべきではないとアドバイスして、主治医を変えるように強くアドバイスしたことがあった。
2006年02月03日 スタチン製剤の服用を強く奨められる初期ガン摘出後の患者さん

 あれから10年以上経つが、もちろんまったく問題なく御健在である。

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2011年04月25日の茶トラのボクチン(もう直ぐ7歳)
2011年04月25日の茶トラのボクチン(もう直ぐ7歳) posted by (C)ボクチンの母

2011年04月25日の茶トラのボクチン(もう直ぐ7歳)
2011年04月25日の茶トラのボクチン(もう直ぐ7歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年04月25日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳)
2012年04月25日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年04月25日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳)
2012年04月25日の茶トラのボクチン(もう直ぐ8歳) posted by (C)ボクチンの母


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2015年03月14日

人生にプッツンしたお陰で高血圧が完治した奴もいる

2007年03月14日の茶トラのボクチン(2歳)
2007年03月14日の茶トラのボクチン(2歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 やっぱり今年は、癌サポートの新規相談者が常に過半数を占める。
 昨日の新人さんも、半数がそうだった。
 しかも30〜40代の男女がやはり過半数を占める。

 それはともかく本題である。

 同じプッツンといっても、良い意味でのプッツン。
 今週は月火水の三日連続、休む暇も少なく、老体を鞭打って頑張らざるを得なかったが、急転直下、一昨日の木曜日はのんびりとした日々。

 リラックスできた木曜日は、心地よい睡魔に何度も襲われかけるので、血圧を測ると100も満たないこともあるほどで、110〜120を維持している。
 その前日の水曜日の疲労困憊の時間帯に計ったら150ということも一時的にあったものの、直ぐに130以下に落ち着いていた。

 これに味をしめて塩分が多く含まれる明太子をたらふく食ってみたが、ほとんど影響なし。
 こってりしたアイスクリームもシコタマ喰ってみたが、これも影響はほとんどなし。

 但し、こんな危ない真似は決してヒゲジジイ以外にはやってはならないっ!

 今年になってお邪魔虫の問い合わせも、クレーマー予備軍の訪問者も、ほとんど皆無となっているのは、ホームページやブログに明記した効果が絶大で、これらによるストレスがほとんど無くなったことも与って力があることとはいえ、猫社会にも遥かに劣る人間社会に絶望を通り越して、完全にプッツンしてしまったことで、自律神経が大いに安定したものと思われる(呵呵。

 昨日も、通常の仕事レベルの忙しさに戻っても、やはり高血圧とは完全におさらばとなっている。
 人生に対するプッツンと高血圧の因果関係を科学的に実証することは難しいかもしれないが、状況証拠としては十分に説明がつく。

 ところで、プッツン人間の仕事は、伝統ある中医学と漢方医学を融合した中医漢方薬学を最大限に活用して、人間に備わった自然治癒力を全開させる強力な助っ人として活躍することにある。
 42年間のキャリアは、プッツンすることによってよりパワーアップしているはずであるが、フルに発揮できるか否かは、相談者の心構え次第。

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2009年03月14日の茶トラのボクチン(4歳)
2009年03月14日の茶トラのボクチン(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2011年03月14日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年03月14日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2011年03月14日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年03月14日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2012年03月14日の茶トラのボクチン(7歳)
2012年03月14日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ



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2014年11月26日

高血圧の最大の原因は濃い味の食習慣

2008年11月26日のボクチン(4歳)
2008年11月26日のボクチン(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 病院の血圧の薬が効かなくなったから、漢方薬で治してほしいという中年男性が来られた。
 
 ふくよかなお腹を見れば、あらゆる面で想像が付く。

 案の定、日々濃い味の食事だが、もともと結婚する前の家庭では、薄味だったのが、親切な?奥様が、濃い味の食事ばかりを作ってくれて、時には濃すぎて困るほどだという。

 原因はそれだから、薄味に切り替えるようにアドバイスすると、最近では以前より薄くはなっているが、それでも結婚する前の実家での食事とは雲泥の差であるという。

 このようなケースは意外に多く、濃い味になると必然的に塩分が増えるので、早晩高血圧になっても不思議はない。

 もともと慢性蕁麻疹に茵蔯蒿湯が適応していた人だから、今回は茵蔯蒿湯+猪苓湯として、食事を徹底的に改善するようにアドバイスして様子を見るようにしてもらうことにした。

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2008年11月26日のボクチン(4歳)
2008年11月26日のボクチン(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2008年11月26日のボクチン(4歳)
2008年11月26日のボクチン(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2009年11月26日のボクチン(5歳)
2009年11月26日のボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2011年11月26日のボクチン(7歳)
2011年11月26日のボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ



ラベル:高血圧
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2009年11月12日

医者嫌いの高血圧患者の漢方相談

ムクドリ
ムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ

 これまでの最高記録は280で五十代の女性。数年前のこと。
 今年の最高記録は260で六十代の女性。

 もちろんいずれも即、病院送り。
 病院嫌いな人達だから、漢方治療を望んで来られたとはいえ、漢方薬を服用されるにしても、このような尋常ではない高血圧ではのんびりしておれないので、強引に病院送りである。

 五十代の女性はこれが縁で、一家中で当方の漢方薬ファンになられているし、六十代の女性と縁があったのも、もともと四十代の子供さんが当方の十数年前からの漢方ファンであったから、薬局内に設置する血圧計で発見できたことだった。

 前者に至っては診て下さった医師の方が完全にフリーズしていたという(苦笑。現在は漢方薬と併用しながら数年、順調に経過している。

 後者においては、最初に診てもらった医師の投薬内容が余りに不適切な薬が多く出されて副作用も生じたので、直ぐに病院を変えることで必要最小限の投薬となり、不快症状もなくなり、漢方薬と相俟って順調に経過している。

DSC_8148
DSC_8148 posted by (C)ヒゲジジイ

ムクドリ
ムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ

ムクドリ
ムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ

ムクドリ
ムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ

ラベル:高血圧 漢方薬
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2008年07月29日

神経を消耗する中高年世代の悲哀(苦笑⇒ストレスによる高血圧

おたより:東海地方の内科医師

 蒸し暑い日が続くなかでアトピーの患者さんなど新規の受診者が増えていますが、村田さんからのアドバイスに基づいた治療がお役に立っているようです。患者さんに変わって感謝いたします。

 過日、個人的に内服について見直しのご助言を頂きまして、杞菊地黄丸のみにしました。多少不安もありましたが、多彩な症状は改善し、血圧も低下してきました。
(後略)


お返事メール:おたよりありがとうございます。
 メールを頂いて、小生も慌てて杞菊地黄丸を服用しましたっ!

 日頃常用している製剤ですが、月曜日の朝寝坊してコーヒーを半分飲んだだけで、朝から薬局がやや混雑し、新人さんも交えて午前中6人続いたくらいのところで久しぶりにフラツキを感じてしまいました。

 どうやらブログに書いた通り土日の睡眠不足が応えてしまったようで、治っていたはずの高血圧が再発したようです。風呂上りには115〜70前後、昼でも仕事が無い日は120〜130で安定していたのですが・・・仕事中は上がっても一時的に150前後で直ぐに下がって来ていた筈が、油断して漢方薬の服用をおろそかにしていたら、この通りでした。(一時的に160をはるかに超える。

 杞菊地黄丸と茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)に丹七粉(丹参と雲南田七の混合粉末)に牛黄製剤などで調子がよいものだから、最近は朝と晩で、朝寝坊した日は服用しない日は夜一回だけになったり、逆に朝一回だけで終わっていたり、服用を怠る人には自己責任だよっというのは灯台下暗し、自分自身のことでした(苦笑。

 ところで、やはりこの温暖化の時代、八味丸のような桂皮、附子が配合された方剤は、たとえ必要があっても短期間に止めておくべきで、高血圧体質の場合はなおさら補陽薬を用いるのは慎重でなければならないようです。
 世間では八味丸のみならず大建中湯の乱用が目立ち、それらによる温補過剰による弊害は、折々に書いている通りです。

 小生も仕事上では繁用する五苓散でさえ、体質によっては桂皮(本来は桂枝であるべき)にあたって痒みが生じたり、ツムラの五苓散で蕁麻疹を悪化させてしまうケースも稀ではないようです。
 といっても必要な時には五苓散などでは、常連さんの場合、痒みが生じかけたら止め時よっと、運用がとても上手な人が多く、彼女たちはいつの間にか玄人はだしです(笑。
posted by ヒゲジジイ at 00:54| 山口 ☀| 高血圧 | 更新情報をチェックする

2008年05月22日

高血圧における人参配合上の注意点について

御質問者:東海地方の内科医師

前略 いつもお世話になります。
 小生の血圧が一時落ちついていましたが、この1週間ほどですが上昇傾向にあります。
 患者さんの数からいってさほど忙しくはなく仕事の要因は考えにくいかと思っています。

 舌はごく薄く黄色苔でしょうか(微妙です)。排便はちょっと硬い時期があり潤腸湯を夕食のときに1包飲んでいて、多少やわらかい排便です。
 ほかに釣藤散2包(朝夕)啓脾湯2包(朝 夕 おなかの具合を壊して下痢になったときに服薬してつづけています)を服薬してます。
 それから八味丸を10丸飲んでいます。

 この前天気が悪かったときにひさしぶりに頭が重かったです。
 何かお気づきの点があればご助言ください。素人知識的にニンジンは血圧に影響を及ぼすと理解していますが、あまり影響はないと思いますがいかが、この点もお教えいただけますと幸いです。


お返事メール:人参は血圧を上昇させる作用が優れているっ!ので高血圧の人には慎重に用いる必要があります。

 釣藤散の場合でも本来は党参(トウジン)を配合すべきだと愚考していますが、融通性の無い日本の漢方業界では軒並み人参が配合されています。
 ですからどうしてもこの人参が釣藤散の降圧効果を弱めているのは明らかです。

 そのお陰で、昨今、血圧が正常な二十代の男女にも杞菊地黄丸と併用してもらう機会が多く、好評を得ていますが、中年以降の高血圧患者さんに使用する場合には、配合中の人参は邪魔で、血圧上昇作用のない党参のほうが無難であり、この方が血圧降下作用をより発揮しやすいようです。(追記:煎じ薬中心の仕事をしていたころに、しばしば確認済み。

 また、併用されている啓脾湯(ケイヒトウ)中にも人参が含まれていますので、人参がダブった分、血圧に対する効果を相殺してしまっていると感じます。

 小生などは、以前から愛飲していた朝鮮人参入りの医薬品ドリンクを、某メーカーが訪問する度に、HP制作のアドバイスの謝礼として置いて行ってくれるのですが、昨今、それを服用すると一気に血圧が上昇してふらつき、服用することが出来なくなりました。

 なお、ブログにも書いたことですが、夜食を止めるだけでも小生は血圧がかなり安定し、10日間で2Kg減量できたほどです。食事量の減量の絶大な効果を感じています。

 下関でも月曜日は雨で、そのときはさすがに頭が久しぶりに重かったのですが、釣藤散をやや多めに服用することで翌日には治りました。
 先生の場合も、釣藤散は1回に1包として1日3回服用とし、啓脾湯は中止されるべきかと思います。
 八味丸も腎の陰陽両虚が明らかであれば必須でしょうが、地黄は意外に腸を緩める場合があるので、猪苓湯(これも下痢を治すことがあるのは傷寒論にも記載があるほどですっ!)や五苓散など、他の処方を探してみられてはいかがかと思います。

 釣藤散合猪苓湯というのも味のある配合です。腎陰陽両虚があきらかであれば、八味丸の少量を釣藤散などと同時に併用するほうがバランスが取れやすいものと思います。

 人参はやはり、人によっては少量でも血圧を上昇させますが、例外は釣藤散や半夏白朮天麻湯、牛黄と人参の配合など、これらのケースでは人参の血圧上昇作用を打ち消していますので無難なようです。


折り返し頂いたメール:さっそくのご助言ありがとうございます。ニンジンを控えるかたちで考えてみます。
posted by ヒゲジジイ at 18:36| 山口 ☁| 高血圧 | 更新情報をチェックする

2007年08月26日

早朝高血圧の人に対する柴朴湯投与の問題点

性別 : 男性
年齢 : 40歳〜49歳
ご職業 : 自営業
簡単なご住所 : 関東地方
お問い合わせ内容 : 現在パニック障害の薬ルボックスの減薬のため柴朴湯を処方箋で1ヶ月前より飲み始めました。
 また早朝型高血圧の治療としてブロプレスを約2ヶ月飲んでいます。

 別の医師より安定剤を長い期間投与されていたためかスタミナもなく中性脂肪値がなかなか安定値に入りません。仕事もデスクワークが多く運動もままなりません。代謝が悪いようで体重も増加気味です(舌苔は中央奥に白く厚く・身長164・体重68)
 ここ2ヶ月で3キロ以上増えました。

 パニック障害自体はかなり治っています。ただ抗うつ剤の副作用らしくすぐに眠くなり運動もコンスタントにはできません。
 先月の血液検査でも中性脂肪320.総コレステロール233.ALT73.γ-gt89と出てしまいました。

 私のようなものに効果がある漢方薬をアドバイスいただければありがたいです。よろしくお願いいたします。


お返事メール:お問合せの内容だけで適切な処方を提示するのは困難ですが、すくなくとも現在服用されている柴朴湯にはやや問題があります。

 早朝型高血圧ということですので、柴朴湯は小柴胡湯と半夏厚朴湯を合わせたものですから、半夏厚朴湯は問題がないとしても小柴胡湯には朝鮮人参と甘草がタップリと含まれており、血圧を上昇させるに充分な配合量が使用される方剤です。
 血圧が正常な人には問題なくとも、すでに高血圧である人には、軽々しく使用すべき方剤ではないと思います。

 つまり貴方のような早朝型高血圧でやや肥満型の人には、柴朴湯は使用すべきではないだろう、まだ半夏厚朴湯単独の方が無難であろうと愚考します。
(より適切な方剤までは提示することは不可能ですので悪しからず。)
posted by ヒゲジジイ at 10:57| 山口 ☀| 高血圧 | 更新情報をチェックする

2007年05月12日

高血圧と肝風内動(肝陽化風)

御質問者:北陸地方の鍼灸師

 前略いつもご教示ありがとうございます。今朝先生のブログを見てビックリしました。実は私も昨日の朝起きてからふらつき感があり、血圧を測ると180/110と異常に高く気分が悪い感じでおります。
 偶然とはいえ何か気候的な影響もあるのかと考えております。

 最近忙しく連休中も徹夜の日もあり、甘い物が異常に食べたくなったり、おなかがいっぱいにもかかわらず食べてしまったり、ちょっとの空腹感もあまり我慢できないといった感じがしばらく続いており、太っているうえに更に最近増加傾向という悪循環を招いておりました。

 そこでお教えいただきたいのですが、まず舌なのですが白滑膩苔で舌質自体は赤みがないようにみえます。ただし薄く黄色味がかっております。
 そこで昨日の釣藤散などが考えられると思いますが、その場合肝陽化風なら舌質に赤味がみられないといけないと思いますが、苔の黄色味などは熱の反映とみていいのか、色も薄いので日頃の運動不足や仕事がら気虚の反映とみるべきでしょうか。
 そういうことから考えると単に風痰上優と考え半夏白朮天麻湯だけでいけばよいのでしょうか。 またそれに玉屏風散などをプラスして考えてもよいのでしょうか。
 それとは別に黄色味を湿熱ととらえインチンコウ湯を考えればいいのでしょうか。

 あと私ばかりでなくうちに来る患者さんにも最近共通して心下満や苦満がみられます。大柴胡湯も考慮してよいのでしょうか。
まだまだ貧弱な中医学もどきです。舌診もあまりじしんがありません。
ご指導よろしくおねがいいたします。


お返事メール:拝復
 舌象のご報告からは、ご提案どおり半夏白朮天麻湯を主方剤として釣藤鈎を粉末で併用する程度の方が無難ではないでしょうか?
 たしか、とても寒がりのようにおっしゃていたと思いますので・・・
 寒がりの人の場合のわずかな黄膩苔は、上記方剤の黄柏(オウバク)や沢瀉(タクシャ)などで対応できます。
 もしも、あきらかな湿熱による黄膩苔なら、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)が効果的なことはご指摘の通りです。
 胃部に痞え(ツカエ)があり、脇胸苦満があれば当然大柴胡湯が考えられます。
 こちら中国・九州地方では、大柴胡湯証を用いる機会は柴胡桂枝湯証の人よりも遙かに多いものですが、どうも関西以北は、体格はよくとも見掛け倒しの虚証気味の人が多いように思いますので、どうも文面だけでは当方での繁用方剤、大柴胡湯や茵蔯蒿湯をお奨めするのは、ちょっと気が引けてしまいます。
 実際、こちらでは血圧には無関係で、痩せていようが太っていようが、大柴胡湯を用いる機会は滅茶苦茶に多いのです。

 但し、ご報告の朝のフラツキ症状はあきらかに肝風内動・風痰上擾的ですので、半夏白朮天麻湯に釣藤散の合方のほうが無難で、大柴胡湯を加えると疎肝の柴胡が肝風内動を抑えるのに邪魔になる可能性も高いと思います。(追記:明らかな大柴胡湯証が並存している場合は当然用いるべし)まだ茵蔯蒿湯の合方のほうが無難なように思います。

 小生の場合は、大柴胡湯も併用したのはいつもこの方剤によって胃の調子が良いので併用したまでのことでした。


【編集後記】 高血圧症に用いる時の釣藤散や半夏白朮天麻湯における人参は、本来なら党参(とうじん)であるべきだ。朝鮮人参を用いると、どうしても釣藤鈎(ちょうとうこう)などの降圧作用にブレーキをかけてしまう事が歴然としている。
 このような漢方製剤の規格そのものにも、日本の漢方レベルの低さが露呈している。
 そもそも党参が日本薬局方にも記載されないのだから、漢方後進国と言われてもしかたがないだろう。

 なお、質問中の肝陽化風と舌質の色調とは無関係の問題であろう。
 なぜなら!?
 肝陽化風は肝風内動の一種であり、一般的には陰津不足による肝陽偏亢から風陽上翔が生じるものを肝陽化風と呼んでおり、教科書的にもここまでで終わっていることが多い!。この場合は明らかに舌質は紅で鎮肝熄風湯(ちんかんそくふうとう)などが適応する。

 しかしながら、暴飲暴食などによる脾失健運による湿聚生痰や、あるいは肝陽旺盛でそれが脾に横逆してしまい、このために脾不運湿から痰濁が生じ、少陽三焦で阻滞する結果、肝の筋膜を障害する「風痰」の病変も肝風内動の一種なのである。半夏白朮天麻湯や導痰湯などが適応するが、釣藤散もこの範疇に属するものである。
 この場合には、肝風内動を引き起こす原因が脾不運湿によって生じた痰濁であることが大きなきな違いがある。それゆえこの場合は舌質は紅〜淡紅〜淡白など複合する証候によって様々である。


 なお、教科書的には肝風内動は病因の違いによって肝陽化風・熱極生風・陰虚動風・血虚生風の四つに分けられている。
 教科書的な肝陽化風の実体を探れば肝陽上亢の進展して生じるもので肝腎陰虚による陽の亢進の制御不能による生風を指している。
 しかしながら、風は肝木が主(つかさど)るのであるから、熱極生風であれ、陰虚生風、血虚生風であれ、実質的には肝陽化風の現象には変わりないのであるから、教科書的な分類というものは、イヤハヤ!もっと上手な分類をしてくれないかと、歯がゆい思いをすることがある。
  教科書的な分類のアヤフヤさをさらに指摘すれば、陰虚生風こそ代表的な肝風内動の原因であるはずが、少し前までは教科書的な分類には見られないことが多かったのである
 だから肝陽化風の中にこそ陰虚風動が含まれていた筈だが、最近ではいつの間にか肝風内動の原因の一つとして陰虚生風(動風)が堂々と記載されるようになっていた。
 つまり、以前は肝風内動の分類には陰虚動風は存在せず、肝陽化風・熱極生風・血虚生風の三つだけだった!のである。

 なお、半夏白朮天麻湯や釣藤散あるいは導痰湯などに関連した「風痰」、つまり脾湿生痰によって引き起こされた肝風内動の場合では、上記の教科書的な分類上では当然、肝陽化風であるはずだ。
 といってもやや不自然な感も無きにしも非ずであるから、肝風内動の分類をもう一つ増やすべきではないだろうか。
 つまり、五番目に風痰の病変を四字熟語でうまく表現して追加すべきではないか!?


posted by ヒゲジジイ at 00:39| 山口 ☀| 高血圧 | 更新情報をチェックする

2007年05月11日

高血圧と釣藤散

性別 : 男性
年齢 : 60歳〜69歳
ご職業 : 自営業
簡単なご住所 : 関東地方
お問い合わせ内容 : ある病院で漢方医であるという医者から、高血圧の薬として漢方薬の「チョウトウサン」を処方してもらい、約6ヶ月ですが、いまだに血圧はさがらないのですが、医者に下がらないというと今に下がるというのですが?
 このまま続けてもいいのでしょうか。
 他の漢方薬にしてくれというのですが、これでいいのだ。というばかりです。


ヒゲジジイのお返事メール:拝復
 頂いた御質問の文面だけでは、貴方に釣藤散が合っているかどうかまでは判断できませんが、たとえ釣藤散が適応する体質であっても、釣藤散製剤そのものの問題もあります。
 釣藤散製剤中の釣藤鈎(ちょうとうこう)にもっとも優れた高圧作用があるのですが、とてもデリケートな生薬で、煎じ過ぎると効果が一気に損なわれる性質があります。それゆえ、使用されている釣藤散の製造方法の杜撰さによる効果の激減ということも大いに考えられます。釣藤散の製剤を他のメーカーに変えてもらうだけで、効果が出て来ることも大いに考えられます。

 もう一つの問題は、しばしば遭遇するケースですが、たとえ釣藤散証があるにしても、同時に老化から来る腎虚も併発しているために、補腎薬を併用しなければならないケースです。たとえば六味丸系列の方剤の中から適切な処方を釣藤散と併用すべき体質であるということもあり得ます。
 たとえば、体質によっては釣藤散合六味丸あるいは杞菊地黄丸ということは往々にしてみられるパターンです。さらに降圧効果を高めるために地竜を加えるなど、様々なケースが考えられますが、すべては中医学理論に基づいた弁証論治を正確に行ってはじめて方剤の配合や組み合わせがなされるべきです。

 現実的には釣藤散証が歴然としてあるにしても、高血圧症などのような体質病のばあいには、釣藤散だけで解決できることは少なく、さらに体質的に複合している病機(病理機序)を正確に把握して、貴方に適切な方剤を複数併用することで、はじめて降圧作用とともに高血圧の根本治療が可能となるものです。

 言い換えれば、釣藤散証に間違いない場合でも、釣藤散証を呈するようになった原因を中医学的に遡って詮索することも必要であり、また同時に並存する五臓六腑のアンパランスな連係部分を追及し、それを改善する適切な方剤を見出すことが必要であるということでもあります。

 以上、やや専門的な話になりましたが、六ヶ月間も釣藤散を服用し続けても効果が見られないということは、使用される製剤の品質に問題があるのか、併用すべき方剤が不足しているのか、証がぜんぜん合っていないのか、のいずれかということです。

 上記のことから結論としましては、受診されている病院を変えたほうが無難なような気がします。

 以上、取り急ぎお返事まで。
                        頓首


【編集後記】 実を言うと今月に入る少し前から、ヒゲジジイ自身が釣藤散エキス製剤を服用中である。理由は、仕事が多忙を極めた日々が続き、しかも新人さんが続くので、無い頭を絞りすぎて、あるいは昨日もあったような家族に無理に連れて来られた意欲の乏しい御相談者をお断りする不毛な労力で疲労困憊、無駄な時間を奪われ続けたことから、急に高血圧気味になったようである。
 幸い、現在は130〜70に落ち着いているが、先月末には早朝に後頭部の鈍痛で目覚め、仕事中のいつもとはちがうふらつき感に、サテはと自動血圧計ではかると180〜100。
 乱暴な下げ方だが釣藤散・地竜・辛夷清肺湯・竜胆瀉肝湯・大柴胡湯・茵蔯蒿湯・味麦腎気丸・田七人参・牛黄製剤・麝香製剤を用いて一気に下げたら食欲が無くなった(笑)←こういう派手な配合は決して真似てはイケナイ!
 このまま食欲の無い状態を続ければ、腹部肥満も解消することだろうが、食欲不振は鬱傾向をもたらすので、現在は釣藤散・地竜・大柴胡湯・茵蔯蒿湯・味麦腎気丸・田七人参・牛黄製剤・麝香製剤として、辛夷清肺湯と竜胆瀉肝湯は省略したが、血圧は正常に推移して今のところ再発の兆しがない。

 ともあれ、釣藤散こそ猪苓湯のように各メーカー間によって優劣が大きく分かれる代表的な方剤である。その優劣の鈎(かぎ)は、釣藤鈎(ちょうとうこう)の扱いにあるということだ。


ラベル:高血圧
posted by ヒゲジジイ at 00:12| 山口 ☀| 高血圧 | 更新情報をチェックする

2007年04月19日

高血圧気味の人の場合、海馬補腎丸を素人の独断では使用すべきではない

性別 : 男性
年齢 : 40歳〜49歳
簡単なご住所 : 北陸地方
お問い合わせ内容 : ブログを読みましたが、海馬補腎丸を六味丸に1〜2粒加える、との方法で血圧上昇は大丈夫でしょうか。
 私は少し高めなので海馬補腎丸をどの程度なら許容されるか、心配しています。
 血圧降下剤などは服用しておりません。これだけでは判断は難しいかもしれませんが、よろしくお願いします。


お返事メール:拝復
 血圧に不安がある場合は、海馬補腎丸は使用しないほうが無難だと思います。
 以上、取り急ぎお返事まで。
             頓首


【編集後記】 上記ブログ漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記 には注意書きとして冒頭に「記載内容はすべて専門家向けですので、一般の方がヒントにされる場合は、必ずお近くの医師・薬剤師など専門家と御相談下さい。素人療法は絶対に禁物です!」と銘記している。

posted by ヒゲジジイ at 22:09| 山口 | 高血圧 | 更新情報をチェックする