2008年03月19日

注意が必要なメーカー間における製剤原料の大きな違い

 昨日ご紹介した平成7年に、A医師に回答した花粉症の弁証論治。

 実はこの医師から紹介されたステロイド漬けとなっている顔面の皮膚病患者さんを、苦労の果てにようやく茵陳五苓散と猪苓湯製剤で効果を得たことがある。

 そこでA医師にお伝えして患者さんをお戻ししたところ、医療用の漢方では3日で再発するのだった。
 再び、当方の同製剤に戻したら3日で顔面の皮膚病が消失するのである。
 このことは当時ウチダ和漢薬発行の『和漢薬』誌の巻頭随筆に掲載している。

 また成川一郎氏の「漢方製剤の偽装」を読んで感じたことでも書いているように
 たとえば、これは既に十年くらい前に「和漢薬」誌などにも発表したことだが、顔面に生じた慢性の皮膚疾患に、医師の出された医療用の猪苓湯と茵陳五苓散の配合で全く無効であったものが、市販されているエキス量二分の一の猪苓湯とエキスと粉末が混合された茵陳五苓散の併用によって比較的速やかな効果を示した例など、患者さん御本人と、主治医に薬剤師2名によって、何度も確認したものである。

 さらに最近しばしば遭遇することだが、複数の女性が医療用の猪苓湯エキスを出され、小生から見ても適切な投与であると思われるのに、一向に効かないからもっといい漢方薬が欲しいという要求に、濃度は二分の一だが効力の点では長年信頼している某メーカーの猪苓湯エキス製剤を試してもらったところ、速やかな効果を得ている事実をどう解釈すべきだろうか?
 このように医療用で効かなかった理由を猪苓湯製剤の質の問題ばかりにおもっていたが、茵陳五苓散製剤にも大きな問題があったことを今になって気がついた。

 この医療用漢方メーカーのツムラ漢方さんでは、ほんらい白朮(ビャクジュツ)であるべきところをすべて蒼朮(ソウジュツ)に置き換えられた配合なのである。
 ヒゲジジイの薬局では使用しない医療用のツムラ漢方だから、ほとんど関心がなかったのだが、先日、五苓散に蒼朮が使用されている問題を論じて以後、ちょっと気になって調査したところ、あらゆる方剤の白朮であるべきところが、すべてが蒼朮に置き換えられて製造されているという信じ難き事実っ!

 日本漢方の杜撰さがここにあり、補虚の白朮を去邪の蒼朮に置き換えたら、茵蔯五苓散や五苓散など利水系の方剤なら問題にならないこともあるだろうが、とりわけ補虚を主眼とする六君子湯や補中益気湯および十全大補湯など、それら数十処方以上ある方剤類が悉く、本来の方意を微妙に損なうことになる事実を知る医療関係者がどれだけいるのだろうかっ?

 こういう逆鱗に触れることをズバリ指摘できるのは、老い先短いヒゲジジイ以外には出来ないのだろうかっ?
 上述の白朮と蒼朮の問題は、すべて学問的にも臨床的にも中医学的には当然のことで、常識中の常識なのである。
 日本の漢方界は漢方処方に配合する生薬に関して、どうしようもなくデリカシーに欠け、杜撰なのである。
 それに比べれば、エキス濃度の問題なんて二の次ではないだろか。
posted by ヒゲジジイ at 00:02| 山口 ☁| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2008年03月11日

蒼朮(ソウジュツ)配合処方では必ず古立蒼朮(コダチソウジュツ)であるべし

 本日たまたま某生薬メーカーの外交さんが来られ、一昨日の五苓散の蒼朮(ソウジュツ)問題の話題となった。
 そもそも五苓散は本来白朮(ビャクジュツ)を用いるべきであるが、これを論じるのはまたの機会があるあろう。

 日本の漢方界における原料生薬におけるルーズさの問題に話しがおよび、黄耆(オウギ)にしても、30年前までは黄耆といえば、ウチダ和漢薬さんではイワオウギが主流だったので、綿黄耆(メンオウギ)を主流にすべきだと強く主張してヒゲジジイの意見がすんなり実現した昔話を蒸し返した。

 ところがどうしようもない問題が、常々主張する生姜(ショウキョウ)と乾姜(カンキョウ)の錯誤である。いまさら救いようがない絶望的な問題だからこれ以上、触れない。

 ところで平胃散や半夏白朮天麻湯などに配合される蒼朮は、当然、古立蒼朮とばかり思っていたら、そうではないらしい。
 一般的に蒼朮の注文があった場合は、特別に指定されない限りはやや高価な古立蒼朮を販売することはないという。

 とすれば当然、エキス製剤にも良質の古立蒼朮が使用されていない可能性も高くなる。
 なぜだろう? ソウジュツと言えば古立蒼朮だろう。詳細を書くのは面倒だから結論だけを書けば、蒼朮の蒼朮たるゆえんは古立蒼朮(コダチソウジュツ)であってはじめて蒼朮なのである。

 なんともいかにルーズな日本の漢方界であることかっ。
 
 どうせこのブログの訪問者は、同業者や漢方メーカー関連の人達が半数近くを占めているのだから、ここで敢えて苦言を吐きちらしておく。

 蒼朮は古立蒼朮でなければ、蒼朮と言うべきではないとさえ極論したいくらいだ。


 一流大学の看板を背負った肩書きの立派な薬学博士か、どこそこのお医者さんなどでなければ、権威に弱いこの国では、市井の一薬剤師がどんなに吠えたところで何の影響力も無いことは専門誌時代からよ〜〜〜く承知していますがねっ。
posted by ヒゲジジイ at 21:59| 山口 ☀| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2008年03月09日

五苓散(ゴレイサン)の成分に蒼朮(ソウジュツ)を用いるのは間違いである

 最近、ようやく五苓散の優秀な製剤を手に入れることが出来た。猪苓湯と同様、各社それぞれ意外に優劣の大きさを感じており、なかなか気に入った五苓散製剤が見つからなかったのだが、灯台下暗しであった。

 それはともかく、言うもはばかられるが、五苓散製剤の原料に蒼朮(ソウジュツ)を使用している信じられない漢方製剤がこの日本に堂々と存在し、広く流通しているのだから驚愕ものである。
 その製造元の漢方と漢方薬に対する学識レベルを疑わざるを得ない。

 五苓散の薬味は、猪苓・沢瀉・茯苓・白朮・桂枝であると原典の傷寒論に記載されている。
 なにゆえ白朮(ビャクジュツ)のかわりに蒼朮(ソウジュツ)なのか?

 白朮と蒼朮は、中薬学上の薬効は明かに違いがある。類似した点も多々あるが、明かに異なる部分もある。
 脾虚脾湿に適応する白朮と、湿邪の実証に適応する蒼朮である。燥湿健脾を特長とする白朮と、去風除湿を特長とする蒼朮である。

 白朮と蒼朮の最も大きな違いは、白朮は固表止汗して黄耆(オウギ)がないときには一定の代用になるほどだが、蒼朮は逆に散寒解表して発汗作用がある。


 たとえば玉屏風散(ギョクヘイフウサン)は黄耆・白朮・防風の三味で構成されるが、この白朮を蒼朮で代用することがあっては絶対にならない。蒼朮に入れかえられてしまうと、玉屏風散の立方の主旨である表衛不固の治療方剤(益気固表止汗)としては完全に失格してしまう。

 同様に五苓散の立方主旨から考えても、明かに白朮でなければならないのである。

 もともと日本漢方(漢方医学)では白朮や蒼朮の原料に対する考えかたが非常にルーズであったが、その悪しき伝統が平成の御世にまで受け継がれているらしい。
 この国の漢方レベルは未だにこの程度のものであるかっ?

 白朮がないときの代用として古立蒼朮(コダチソウジュツ)を止むを得ず使用するというのなら話はわかるが・・・しかしながら、白朮の流通が途絶えたという話は聞いたことがない。

 実は、蒼朮を用いた五苓散エキス製剤が意外に広く日本で流通している事実を先ほど偶然知ったばかりなのである。
 だから驚き過ぎて眠れず、このブログの投稿も夜中の3時(苦笑)。

 実際には過去、五苓散(1)において
この五苓散ばかりは、色んな意味で、様々な応用方法があり、また、配合生薬中の「白朮(びゃくじゅつ)」が、「蒼朮(そうじゅつ)」を使用する漢方製剤があったり、「桂枝」であるべきところが、日本には腎陽・心陽・脾陽を特に温める作用の「肉桂」が使用されているなど、書こうと思えば、様々な方向から、どのようにもダラダラと書き続けてしまえるほど、話題はつきない。
 と述べていたが、事ここに至ってやや錯誤した製剤が広く流通するのも如何なものかと思って、敢えてここに書いた次第である。



玉屏風散(優秀な製剤は日本では衛益顆粒)の参考文献:アレルギー性鼻炎に対する玉屏風散
          玉屏風散証の見分け方
posted by ヒゲジジイ at 03:17| 山口 | 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2008年02月16日

日本国内における乾姜の錯誤問題についての御質問

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
簡単なご住所 : 東京都
お問い合わせ内容 : 拝啓
 こちら東京よりは暖かいとは存じますが、寒中いかがお過ごしでしょうか。

 当方漢方とは無縁の素人ではありますが、折にふれ楽しく、また興味深く記事を拝見しております。
 拝読していて半夏瀉心湯の項の乾姜の件が気になりました。この正しい乾姜を使用する良心的なメーカーというのはどこなのでしょうか。

 先生は結胸散や銀翹散の項のように良心的な薬剤、メーカーを折にふれ紹介されており、素人ながら胸のすく思いでしたが、乾姜の件ではメーカーをお書きになってお出ででないのはやはり何か差し障りがあるのでしょうか。

 素人療法は禁物とは重々承知ですが、風邪がまず咽喉に来たというときの銀翹散など、やはり助かる便利な常備薬もございますし、具合の悪い時漢方薬店で相談すると複数社のものを提示される場合もあります。

 ならば「正しい乾姜を使用する」ような良心的なメーカーのものを求めささやかながら支持したいと思うのです。

 つまらぬ質問で本当に恐れ入ります。
 ご多忙とは存じますが、先生の記事に度々登場する歯の件など読者としても心配でなりません。

 どうか先生もご自愛の程よろしくお願い申し上げます。敬具


お返事メール:残念ながら、ご指摘の奇特なメーカーを明かすことは出来ません。
 それは以下の理由からです。

 日本国というものは、昔から出る釘は打たれるし、「悪化は良貨を駆逐する」たとえ通り、立派な肩書きの先生方が間違ったことでも正論として指示されれば、嘘も真として置き換えられる。

 永遠に錯誤したまま、その考えが暴力的に強制され、いずれは遅かれ早かれ、煨姜(ワイキョウ)や炮姜(ホウキョウ)もどきの間違った「乾姜」に改悪される宿命にあるからです。
 その改悪を少しでも遅らせるためには、奇特なメーカー名を挙げるなどして、これ以上刺激するのは得策ではないからです。たとえ内密にでも貴方様にお教えすることも出来ません。

 幸い、錯誤した「乾姜」が使用されても、まったく無効ということではないようですので(といっても人によっては無効に等しい場合もあるのですがっ!)。

 現在もたまたま、手術待ちの胃癌患者さんが、さいわいにも正しい乾燥生姜を用いた半夏瀉心湯製剤で超速効をえて自覚症状を完璧に消せており、その人達のためにも、改悪される時期が少しでも遅れて欲しいのです。

 いずれにせよ、「乾姜」と表示される生薬原料は、あくまで乾燥生姜、つまり日本薬局方の「生姜」でなくてはならないのは厳然たる事実です。 

 いかに立派な肩書きのある先生方が、「乾姜」が蒸して加工した煨姜(わいきょう)もどきであると強弁したところで、ひどい錯誤であることに間違いはないのです。

 日本人は肩書きと言う権威に弱い人種が多いので、何をかいわんやです。

 まともに中医学を学べば、常識中の常識なのですが・・・何とも不思議な国の日本としか言いようがありません。

参考文献:日本漢方における生姜と乾姜の錯誤
      意外に重要な!漢方製剤および煎薬の品質問題
      生姜と乾姜の錯誤による無効経験
      日本国内における生姜と乾姜の錯誤問題
      半夏瀉心湯 (はんげしゃしんとう)



折り返し頂いたメール:早々のお返事に恐縮しております。
 記事を拝見した際何か事情があるように感じ引っ掛かっていたのですが、「裏話」を明かして頂き、なるほどと納得した次第です。

>いずれは遅かれ早かれ、煨姜(ワイキョウ)や炮姜(ホウキョウ)もどきの間違った「乾姜」に改悪される宿命

慄然としました。専門領域である以上先生のような志ある専門家のさらなる出現を期待するしかありませんが、何とも歯がゆい話です。

 最後になりましたが、丁寧なご説明心よりお礼申し上げます。これからも興味深い先生の記事を楽しみにしております。

posted by ヒゲジジイ at 17:39| 山口 ☁| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2007年03月28日

漢方薬の品質やエキス濃度の問題

 漢方薬は煎じ薬に勝るものはないという馬鹿げた神話が信じ込まれているようだが、決してそんなことはない。

漢方薬は煎じ薬が一番よいという誤解!
 たとえば眼科系疾患に有効な杞菊地黄丸、あるいはその基本方剤である六味丸などは、わざわざ丸薬と名づけられている如く、煎じ薬としたものよりも、各生薬粉末を混合して丸剤に製したもののほうが、効果的なように思われる。
 エキス剤と粉末薬を比較した場合は、なおさらそのように思われる。
 実際にエキス製剤のものと、純粋に粉末生薬を混合して丸剤に製したものを、同一人物で比較実験した場合は、歴然とした効果の違いが感じられた。
 安中散という胃薬で有名な漢方処方などでは、煎じ薬と原料生薬粉末を混合して製したものの効能比較では、かなり歴然とした差が出る場合が多い。
 もちろん、処方名で指摘されている通り、粉末薬の方が優れている。但し、薬用量が余りに少ない市販品の場合では、二分の一濃度のエキス散(煎じたものをエキスにしたもの)の方が、はるかに有効であった。
 桂枝茯苓丸などは、長期服用の場合は、煎じ薬よりも慢性疾患を改善する上で、様々な面で合理的であり、効果も安定している。
 その他にも当帰芍薬散や四逆散・八味丸、平胃散、参苓白朮散、乾姜人参半夏丸など、本来、煎じ薬とすべきでない方剤意外に多い。
 とりわけ、牛黄や麝香のような高貴薬などは、煎じる意味がほとんど皆無であり、原料生薬をそのまま粉末などに製して服用するのが常識である。
 つまり、漢方薬は煎じ薬が一番だというのは、大きな誤解に等しいということである。


成川一郎氏の「漢方製剤の偽装」を読んで感じたこと
建築業界の耐震強度偽装問題になぞらえて「漢方製剤の偽装」という本の題名であるらしい。
 市販される各種漢方薬のエキス製剤や医療用漢方製剤の偽装問題、すなわち煎薬に比して、一日量があまりにも少なすぎて効力に疑問のある製剤が多いという問題のお話。
 このことには誰も気付いてなかったということだが、小生のような三十五年近い古株?にとっては、まったく常識的なことであって、今更何を、という感無きにしも非ず。
 葛根湯の力価ばかりを云々しても、はたして葛根湯がそれほど風邪に効きますかね〜〜?と、そちらの方に疑問を呈したほどだ。
 確かに漢方製剤の品質問題をこれほど徹底的に研究された成川氏には頭が下がり、この分野ではとても貴重な資料となっていることと思われる。
 それだけに成川氏に、もっと注目して欲しいものが、日本漢方で使用される生薬の錯誤問題である。このためにどれだけ漢方処方の効力を低下せしめているか、ということにも目を向けて欲しいということだ。

 生姜と乾姜と煨姜(わいきょう)モドキの錯誤問題。

 漢防已と清風藤の混同問題。

 桂皮と桂枝の錯誤問題。

 人参と党参と竹節人参の問題。

 蒼朮と白朮の錯誤問題。

 浜防風と漢防風の混用問題。

 これらを正しく使用するか、あるいはこれまで通り錯誤したままの漢方製剤が引き続き作られるとしたら、こちらのほうこそ重大問題であり、偽装問題以上の大きな問題が含まれているような気がしてならないのだが、どうだろう。
 ひるがえって、漢方製剤の優劣は各メーカー間でも、各方剤毎に異なり、また重要なことはエキス配合量が二分の一だからといっても、満量配合の製剤よりも効力が遙かに優れた製剤も多い事実をご存知だろうか?(猪苓湯などで顕著!)

 たとえば、これは既に十年くらい前に「和漢薬」誌などにも発表したことだが、顔面に生じた慢性の皮膚疾患に、医師の出された医療用のツムラ猪苓湯とツムラ茵蔯五苓散の配合で全く無効であったものが、市販されているエキス量二分の一の猪苓湯とエキスと粉末が混合された茵蔯五苓散の併用によって比較的速やかな効果を示した例など、患者さん御本人と、主治医に薬剤師2名によって、何度も確認したものである。
 さらに最近しばしば遭遇することだが、複数の女性が医療用のツムラ猪苓湯エキスを出され、小生から見ても適切な投与であると思われるのに、一向に効かないからもっといい漢方薬が欲しいという要求に、濃度は二分の一だが効力の点では長年信頼している某メーカーの猪苓湯エキス製剤を試してもらったところ、速やかな効果を得ている事実をどう解釈すべきだろうか?

 濃いければ良いという問題でもなく、配合生薬の品質問題にも大きく左右されることを忘れてはならないと思うのである。
 以上、様々なことを考えさせてくれる優れた書籍だけに、絶賛するだけに終わらずに、近接する諸問題にも敷衍させてもらった。

関連サイトの記事:http://m-kanpo.ftw.jp/u50272.html#60806
関連HP:間違いだらけの漢方と漢方薬
 上記の二つのブログを読んでもらえば少しは理解してもらえるかもしれないが、最近経験したことでは、たとえば皆さんご存知の四逆散製剤での出来事である。
 この皆さんというのは、村田漢方堂薬局で多くの人に利用してもらっており、その多くの人がこのブログを御覧になっているらしいので、村田漢方堂薬局で各種の四逆散を利用されている人に対する皆さんのことである。

 四逆散製剤だけでも三種類の製剤を利用しているが、例の最も濃度の薄い某メーカーの甘草(かんぞう)以外の柴胡(さいこ)・枳実(きじつ)・芍薬(しゃくやく)が同比率で配合された顆粒剤である。
 多種類の症状に悩まれるやや高齢の人に、これまでやって来られた間違った温め療法の数々をすべて中止してもらい、この四逆散製剤だけを服用してもらったところ、即座に現れた効果が、長年の不眠症が安定剤なしで寝つきがよくなり熟睡できるようになったこと。さらには快便となったこと。

 まだまだ他にも多種類の症状があるので、今後は次第に適切な方剤を加えて行く必要があるが、さし当たっては体質改善三点セットを追加しているところである。

 このようなアラユル医療の副作用で心身ともに痛めつけられた人には、あえて濃度の薄い漢方処方で対処したほうが、却って効果的なこともあるということだ。
 濃度的にも品質的にも最も優れた某メーカーの四逆散(エキスと粉末を合わせた製剤)を利用するばかりが能ではなく、適材適所で各種の四逆散製剤を使い分けるのも、技術の一つであるはずだ。

 でもやっぱり一番人気があるのは錠剤のエキス剤ですね。臨機応変の増減が出来ることにかけては、四逆散や黄連解毒湯に関しては、漢方薬といえどもヤッパシ錠剤に限るようですね。

 ともあれ、葛根湯であれ四逆散であれ、あるいは黄連解毒湯であれ、名前が同じなら効果・効能に優劣は無いと思ったら大間違いであることだけは知っておいたほうがいいだろう、いくら素人さんでもね。
 つまりエキス濃度が濃ければ濃いほどよいという問題ではなく、適材適所ということであり、濃度問題にも増して重要なことは、使用されている原材料(配合生薬)の品質の優劣と、その漢方処方内の配合比率などは、かなり重要問題なのである。

 ネットでいくら調べても、こんな漢方と漢方薬の真実を暴露するところはヒゲジジイ関連のブログやサイト以外には滅多にないと思いますよ手(チョキ)
posted by ヒゲジジイ at 01:08| 山口 ☁| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2007年03月15日

田七人参の問題点

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
簡単なご住所 : 関東地方
具体的な御職業 : 漢方関連
お問い合わせ内容 : メールといえど夜分のことで申し訳ございません。
 早速ですが、気になる事がありまして、是非先生に教えて貰いたい事がありまして、厚かましくもまた質問の方させて頂きます。
 気になることとは、『田七人参』の事なのです。色んな書籍を読めば読むほど、又色々な症状に使えば使うほど、話を聞けば聞くほどになんとなくその効能にハッキリしたものを見いだせない事が多いのです。(自分の物に出来ないのです)その疑問というのは、最近ある製薬会社の人間と話をしていたのですが、、、田七人参:朝鮮人参=3:1=止血:補気という関係があるというのです。田七には止血の作用が3/4程度で補気の作用が1/4で朝鮮人参はその全く逆の効果があると言うのです。
 また長期的にみると必ずと言っていいほど、田七には血管収縮作用が現れるという話も聞いたことがあります。この血管収縮が「あながち嘘ではないな」と自分が感じた理由は人参の「生津止渇」という作用が、その血管収縮作用によるものなのか?と考えたからなのであります。
 以上のことを自分勝手な妄想で考えますと、補気作用により血小板〜の生成に関与しそれを促し、血管収縮作用によって止血を行うので総合的に考え止血に効果があるのかと考えてしまうのです。また各炎症に効果があるとされていますが、例として肝炎などに有効に作用する場合、肝の亢進している血管に対し収縮を促し機能を正常化させる事と、以上の書いた内容が正しければ何らかの関連があるのか?などど考えてしまいます。(応用が進めばアトピーなどにも効果があるのでは?考えてしまいます。)
 最後に「血管収縮」という事実があるのであれば、「オケツ」があるような場合には使えない生薬ということになり得ると思うのですが、、、しかし「止血活血」という効能が歌われておりますので、その使い道は効能如何によって、オケツに対しては非常に慎重にしなければいけないのか?と思ってしまっています。
 以上なのですが、経験が浅いもので田七なるものを自分のものに出来ていないので、お忙しいとは思いますが、今回も先生に甘えさせていただければと思いメールさせて頂きました。

ヒゲジジイのお返事メール:拝復
 肩透かしのお返事になりそうで申し訳ないのですが、田七人参の中薬学的考察方面においては様々に問題もあり、たとえば温性というのが定説のようですが、温でも寒でもなく、平であるとの論証が中国国内の某氏によってなされているほどです。
 たしかに温性であるとされる従来の解釈では、あまりにも矛盾が多すぎるからです。
 また、残念ながら日本では食品扱いされる状況からは、健康食品分野での過大評価による販売目的の過度な宣伝や販売合戦など、品質問題を含めて、あまりにも問題が多過ぎます。

 田七人参が日本国内にようやく輸入され始めた当初、当時の情報では9等級くらいの品質の幅がありました。現在はどの程度の幅の品質における等級があるのかは知りませんが、品質そのものにあまりにも大きな落差がある性質上、早急に日本国内において、正式な医薬品として厚生労働省に申請する勇気を持った製薬会社が現れないことには、いくら巷の陰で、効果効能を云々詮議立てしたところで、田七人参の本当の姿を解明し、論議することも困難だと思います。
 次善の策としては、中国語原書の中薬学書を広く漁って、中医学的な学習ととともに、現代医学的な解明を学ぶ以外に方法はないと思います。

 中略

 田七人参の医薬品の許可を得ることが出来ない日本の製薬会社は、まことに怠慢極まりないと考えているところですが、日本国内ではまったくの「健康食品」なのですから、コメントする気にもなれません。
 でも、さいわい貴方は様々に考察を巡らされているわけですから、その調子で試行錯誤されることこそ、大いなる学習と思考訓練になるわけですから、今後の発展に期待申し上げると同時に、心からお慶び申し上げる次第です。
                       頓首

ヒゲジジイ


折り返し頂いたメール:
 お忙しいところ、早速のお返事ありがとうございました。
 そのような事情があったのですね。
 これからも勉強を重ねて自分のものに出来たらと思います。

posted by ヒゲジジイ at 23:41| 山口 ☔| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2007年02月02日

東亜医学協会発行『漢方の臨床』誌1月号の「新年のことば」

 http://m-kanpo.ftw.jp/ のトップページに 2007/02/01(木曜日)付けで 『漢方の臨床』誌、1月号のM氏の「新年のことば」の転載(93頁に掲載分) として短い全文を転載している。
タイトル⇒「健康食品>漢方薬」と分類するネット界の迷妄

 新年、おめでとうございます。
 世の中はますます情報源をネットに求める時代が加速する一方で、テレビのコマーシャルでさえ、「詳しくはネットで御覧下さい」という言葉とともに、画面上にURLが大きく映し出される前代未聞の時代が到来しています。
 ところが、このネット上に飛び交う情報というのが、玉石混交! タイトルの問題にしても、世界で一〜二位を争う超ビックなポータルサイトであり検索エンジンでもあるサイト上においてなされる分類ですから驚きます。
 早速、直接メールをお送りして抗議しましたが、取り付く島もありません。

 「 ビジネスと経済 > ショッピングとサービス > 健康 > 健康食品 > 漢方薬」
とされる分類は間違いだと存じますがいかがでしょうか?
 そもそも「漢方とは中国から伝来した医術であり、漢方薬は漢方で用いる草根木皮や動物類を原料とした医薬」であるはずです。

 という抗議に対して、あくまで便宜上だとの言い訳で、間違った分類である自覚はありながら、単なる商売上の便宜的な分類であると強弁した返事が帰って来ただけです。
 一犬虚を吠ゆれば万犬実を伝う(いっけんきょをほゆれば ばんけんじつをつたう)のたとえ通り、誰かが好い加減なことを言い出すと、皆がそのように信じ込んで、間違ったことでもいかにも真実のように広まってしまう。
 ましてや超ビッグなポータルサイトさんでやられたのでは、やんぬるかな。
 さらには常々多くの問題を指摘されている漢方薬を含めた医薬品のネット通販(具体的な医薬品をサイト上に陳列・掲載した買い物カゴ等によるお誘い販売)を率先して行い、また積極的にテナントを募集しているのもこのような大手ポータルサイトなのですから、どうしようもない病根がネット界には巣食っているように思えてなりません。

 実際問題として、昨年の薬事法?などの改正に伴って医薬品のネット通販(具体的な医薬品をサイト上に陳列・掲載した買い物カゴ等によるお誘い販売)も禁止されることとなり、来年度から実施されるという情報が各メーカーから流れてくるが、常にあいまいな日本国であるから、単なる噂だけに終わるのかどうか、真偽のほどは定かではない。
 蛇足ながら、東亜医学協会の会員のホームページとして村田漢方堂薬局もしっかりリンク掲載してもらっている。
⇒ http://aeam.umin.ac.jp/ をクリックしたあと「リンク集」をクリック!
posted by ヒゲジジイ at 09:16| 山口 ☁| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2007年01月24日

漢方を冒涜する事件

 上記のタイトルは、関東の美人のおなじみさんが命名されたものである。先ほど憤慨したメールが届いたので、そのままタイトルとして借用させてもらった。
 例の女性経営者が無資格で漢方薬を販売して逮捕された事件のことである。中国で中医師の免許を取得しているという話だが、もちろん日本国内では通用しない。
 ヒゲ薬剤師は昨年お電話で、これに類似した危険な相談を受けたことがあり、手が後ろに回りますよ、と未然に警告したことがある。

漢方薬を調合するには何か資格が要るのですかという意味不明な質問の電話

 午後の遠方の常連さんのための荷造りに忙しい時間帯にかかった若い男性からの奇妙奇天烈な電話。
 「友人が漢方薬に詳しいんですけど、漢方薬を調合するには何か資格が要るのですか?」というまったく意味不明なお問合せの電話である。
 個人が自分の為に原料を調達して調合するのは自由だが、それを商売としてやるとなったら薬剤師の免許がなければ、即、薬事法違反でっせ〜〜、後ろに手が回り万年、と答えれば、えっ!免許が要るんですか?と素っ頓狂な声。

そもそも、友人が漢方に,詳しいなどと、他人事みたいに質問してくるのはきまってウソで、本人自身の問題を友人の代理で訊くような素振りを見せる常套手段に過ぎない。
薬剤師の免許がいりまっせ〜〜〜という意味が分からないようだから、国家試験ですよ〜〜〜、国家試験。

 このクソ忙しい時間帯に「友人が漢方薬に詳しいんですけど、漢方薬を調合するには何か資格が要るのですか?」という質問自体が本人のことに決まっているが、どれだけ漢方薬に詳しいというのだろうか?
 薬剤師という言葉自体が理解できないような奇妙奇天烈な電話を終わって気がついたことに、またまた漢方薬を健康食品と勘違いしてるんじゃないのかいなっ!?と思ったことであった。
 そもそも世の中の風潮が漢方薬をあまりに甘く見過ぎているから起こったような事件に思えてならない。
 あの某大手ポータルサイトであり、検索エンジンの利用者が半端じゃない巨大組織にして「健康食品>漢方薬」とした確信犯的な錯誤を便宜上だと居直るような風情で堂々と掲げているネット界の実情である。

漢方と漢方薬の正確な実体、つまり、正しい意味と用語法は?

 無資格で漢方薬を販売していた連中といい、購入する側のシロウトさんも、健康食品感覚であったのではないかと邪推されるのである。
 最近も、お電話のお問合せで、婦人科疾患でかかった病院から当帰芍薬散を一ヵ月分処方されたが、却って体調が思わしくないので、そちらに直接行けば御相談に乗ってもらえるだろうか?との質問があった。
 当方は、当然のことならが、漢方薬の購入を前提とした相談であるから保険は効かないのだから、もう一度、その病院に戻って相談するようにアドバイスしたところ、いやいやそのことでもちろん医師に相談したのだが、漢方薬は薬じゃないんだから(続けるか止めるかは)ご自由になさって下さい、という返事だったというから驚くではないか!

 医師免許のある医師でさえ、漢方薬に対する認識が「薬ではない」というのだから、この日本国では驚くべき錯誤が蔓延しているとしか思えない。
 事実このお医者様に限らず、一般の人こそいまだにネット上で大手ポータルサイトが掲げ続ける(ヒゲ薬剤師の直接送った猛烈な抗議にもかかわらず!)錯誤した「健康食品>漢方薬」というパンくずリストを信じ込んでいる人が多い現実なんだから、どうすりゃいいの〜〜〜この国の無教養さは、と思わざるを得ないではないか。

ラベル:漢方薬の冒涜
posted by ヒゲジジイ at 02:28| 山口 | 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする

2006年07月09日

多くの漢方処方中の人参は党参(とうじん)を用いるのが正解かも?!

 傷寒論や金匱要略における漢方処方中で配合される人参は、実はウコギ科のオタネニンジンではなく、キキョウ科のヒカゲノツルニンジンなどの党参(とうじん)であったことを論証した本を二十年前に読みながら、どこへ紛失したか、このことを専門誌に書きたくても根拠を示す書籍が見当たらないので、書くに書けなかったが、数日前、偶然書庫で見つけたので、ここ数日、ブログ類に公開しているところだが、ブログの中では二番目に人気の高い本ブログに掲載しないのは勿体無いので下記に再録する。
 吉林参(ウコギ科のオタネニンジン)は、唐の太宗の時代に薛仁貴を派遣した遼東征伐において発見したものである。

 張仲景の傷寒・金匱が著されたのは東漢であるから、歴史の時間的な前後関係から考えると、仲景の言う人参は、実際には現在の党参(キキョウ科ヒカゲノツルニンジンなど)に該当するのである。
 それゆえ脾虚による心下痞には党参を用いて、独参湯証の場合にこそ(党参では効果が乏しいので)ウコギ科の人参を用いるのである。

 このような内容が、1980年に王占璽氏が著した「中薬処方的応用」(科学技術文献出版社重慶分社発行)に書かれている。

 専門家にとっては青天の霹靂の説なのだが、真偽のほどは如何?

 確かに実際的な面でも大いに説得力のある説で、たとえば小柴胡湯や補中益気湯など、朝鮮人参が配合された漢方処方類というのは、人参の峻補に過ぎる面を感じるケースが少なくないのである。
 党参に比べて人参の方が温補に過ぎ、また補水作用が強すぎて、時に体質によっては浮腫を誘発する場合もあり、さらには高血圧を助長する場合がある。
 それほどウコギ科の人参というのは作用が比較的強いのである。
 だから弁証論治を誤ると、アトピー性皮膚炎などの皮膚病を増悪させるケースも稀ではない。
 
 その点では、党参は暖め過ぎず、補水作用も強くない、高血圧を誘発する恐れも全く無い。まるでヒゲ薬剤師のように温和で地味な効果だが、安心して使用できるものである。
 ところが悲しいことに、日本で党参が配合された漢方製剤は数えるほど少なく、イスクラの補中益気丸や天王補心丹、帰脾錠、十全大補丸、星火健胃錠などに限られている。      
 なかなか世の中、思うようにならないものですねっexclamation

 とは言え、村田漢方堂薬局では人参が配合された漢方処方を販売することは、世間様に比べてかなり少ないようだから、まっ、イイカって〜〜〜とこですけどね。

 蛇足ながら、って^^〜〜言いながら長くなるけど、当時はとても研究熱心だったヒゲ薬剤師は、ウチダ和漢薬さんに頼んで党参の最高品質の潞党参を香港から空輸で何とexclamation100Kgほど輸入してもらって吟味しつつ、「漢方の臨床」誌や「漢方研究」誌に拙論を発表したものである。

 同時に各種の党参の見本、川党参などを取り寄せてもらって、それをきっかけに日本市場にも党参が流通するきっかけを作った経験があるが、黄耆にしてもウチダさんに綿黄耆を輸入するように仕向けたのもヒゲ薬剤師である。当時は原料生薬においては、強い発言力を発揮していたものですよ。

 のみならず、今じゃ〜既に活血化瘀で有名な丹参 (たんじん)をウチダ和漢薬さんでスムーズに流通するきっかけを作った業績がもっとも大きいかも知れない。

 こんな過去の思い出話しや自慢話しを書くようになっちゃ〜〜おしまいですね。老化現象がイヨイヨ加速しているに違いないダッシュ(走り出すさま)モバQ
posted by ヒゲジジイ at 19:30| 山口 ☁| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする