2014年08月05日

生野菜や冷えた果物の常食によって膀胱炎を慢性化させてしまっていた実例

2009年8月5日のボクチン(5歳)
2009年8月5日のボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 慢性膀胱炎で、病院に通っても、抗生物質では一時的な効果で、直に再発し、これ以上、抗生物質を投与しても無駄だと、医師に匙を投げられた。

 もともと腎陰虚の体質ではあるが、まずは猪苓湯+白花蛇舌草を飲んでもらったところ、効果がシャープさに欠けるので、六味丸を追加して猪苓湯・白花蛇舌草の3種類の併用で、即効が得られた。

 しかしながら、しばらくすると、急な猛暑続きの天候に変わった途端、起床時のみ残尿感と排尿痛が再発した。

 どうも怪しいので、日頃の食事内容を詳細に質問すると、野菜サラダや果物の多食、朝はたっぷりのグリーンスムージーの習慣であると。

 ということは、膀胱炎を慢性化させた原因は、グリーンスムージーなど、生野菜や果物の多食こそが十分に考えられる。

 つまり、これらの多食によって、腹腔内の常習的な冷却をもたらせ、これに対する持続的な抵抗反応として、炎症が頑固に慢性化してしまった、という推測が十分に成り立つので、即刻、煮た野菜類を中心に、果物もレンジして食べるくらいに徹底して、生(なま)のつくものは、一切摂らないように、強くアドバイスしていたところ、数日を経ずして完璧に症状が消失したとの報告を受けた。

 このように、腹腔内の血行を障害する生野菜類や冷蔵庫に入った冷たい飲み物やビールなどを常食すると、持続的な冷却による抵抗反応として膀胱炎を慢性化させるだけでなく、多くの婦人科系疾患も同様で、炎症性疾患であれば炎症を常習化させ、生理痛を伴うものでは血行障害を助長して、さらに疼痛を悪化させる。

 のみならず、最も重大な問題は、腹腔内の慢性的な冷却によって腸管免疫の機能が正常に作動しにくくなり、あらゆる慢性疾患を治りにくくする、と長年の漢方相談の経験から、このように考えている。

 自己免疫疾患であれば、自身の内部組織への誤爆頻度をますます高め、アレルギー性疾患であれば、ますます過剰防衛の激しさを増し、癌や悪性腫瘍では免疫力が弱まって、がん細胞の増殖を防ぎ切れなくなるなど。

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2010年8月5日のボクチン(6歳)
2010年8月5日のボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2011年8月5日のボクチン(7歳)
2011年8月5日のボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 

 

2011年10月22日

あらゆる疾患の原因を冷え(陽虚)と決め付ける危険性

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IMG_5405 posted by (C)ヒゲジジイ

 もっともありきたりな膀胱炎を例にあげよう。

 数年前、急性膀胱炎に罹った七十歳台の女性達が、医療用のツムラ猪苓湯では効果がないといって複数続いたことがあった。

 いずれも当方の猪苓湯で回復したが、製剤間の優劣の問題を論じることはさて置き、この女性達のお一人は、一年間に何度も膀胱炎を繰り返すという。

 そのときはバス停でバスを待つ間、寒風に晒されてスカートの中に冷気が入り込んだのがきっかけで排尿痛と出渋り症状を生じている。

 ご本人の判断でクリニックで投与されたツムラ猪苓湯を服用しながらカイロで温めるも改善せず。

 カイロで温めるのは熱性炎症の火に油を注ぐ結果となっているようだから即刻中止してもらい、当方の猪苓湯製剤だけを服用することとしたら短期間に症状は消えた。

 もしかしてカイロで温めることでツムラ猪苓湯の効果を完全に相殺していたのかもしれない?

 その後、一年間、当方の猪苓湯製剤だけを常用することで、ほとんど膀胱炎を生じることがなくなった。

 この女性は明らかに冷え込みが原因で膀胱炎を生じたのであるが、その治療薬としては火神派の人達が好みそうな附子剤や桂皮や乾姜のような辛燥大熱の生薬は一切使用せず、やや寒性の滋陰利水法を押し通すことで快癒している。

 火神派を過信して附子や桂皮や乾姜のような辛燥大熱を主体にした方剤を渡していたら、ますます悪化し、激しい血尿さえ誘発しかねない。

 あえて冷え込みや冷え症の体質を考慮した場合には、せいぜい猪苓湯合四物湯であろうが、膀胱炎の炎症自体が激しいときには、病状によっては温性の四物湯が邪魔になることがあり、しばらくは猪苓湯単方で押し通し、その後に猪苓湯合四物湯に切り替える方がよい場合も珍しくない。

 常に情況に応じて臨機応変の配合変化が必要なことは中医学における常識中の常識である。

 膀胱炎の原因が冷えであるからと言って、急性炎症期に附子剤や桂皮や乾姜のような辛燥大熱を使って温めてよいとは限らず、日本中に蔓延する温め療法を過信してはならない。 

 冷えが原因だからといって温め療法を行なうと却って逆効果になる時期もあるのだから、素人療法は禁物だが、昨今、玄人療法も危ない時代となっている(苦笑。

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DSC_0275 posted by (C)ボクチンの母



 

2011年07月05日

尿管結石の疝痛発作に個人的には芍薬甘草湯を使わない理由

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FSC_7388 posted by (C)ヒゲジジイ

 昨日は開店早々からもっとも古い常連さんが、お礼がてら補充注文に来られた。

 七十歳を超えて以降の昨年、怪しい腫瘤が各所に見つかり、当然重大な疾患を疑われて諸検査のために定期的に通院することとなった。
 場所的にはもっと突っ込んだ検査がしにくい場所もあるとのことで、毎月経過観察と検査を繰り返すことになったが、それが分かった当初から積極的に中草薬を主体にした漢方療法を行ってまる一年以上、今回の検査ではまったく何もみつからなかった。
 主治医には「治ってるよ」と言われたとのことで、嬉しくて律儀にお礼に来られたのであった。

 ともあれ、ヒゲジジイについては昨日は1日中、激しい疼痛はやって来なかったし本日も今のところ大丈夫。

 ところで、日本の漢方界では芍薬甘草湯が尿路結石の疝痛発作に決まって処方されるが、11年前に使ってまずかった経験から今回は最初から使用するつもりはなかったし今後も使用するつもりはない。

 11年前は芍薬甘草湯で確かに疼痛は緩解するが、大量の甘草の抗利尿作用によって利水すべき猪苓湯の効果を明らかに阻害したからである。
 加えて、昨今、当時と違って高血圧傾向があるので・・・それでなくとも今回の疝痛発作時の血圧を測ってみるとなんと上が190近くも上昇していたからである。

 各種の激しい疼痛発作に確かに便利な芍薬甘草湯ではあるが、このように体質によっては使いにくい場合もあるということである。
 以前から提唱する芍薬3に対し甘草1の割合いが理想的ではあるが、血圧の問題を考えれば、この比率の配合でも使う気にならなかった。

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FSC_6939 posted by (C)ヒゲジジイ

2011年07月04日

尿管結石では本来中医学的に加えるべきものは・・・

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FSC_7394 posted by (C)ヒゲジジイ

 本来、中医学的には結石を溶かす作用があるといわれる金銭草(日本の自生植物では連銭草=カキドオシ)があり、一方、日本の民間療法ではウラジロガシがある。

 だから丁度十一年前にやったときには両者を加えて毎日熱心に煎じたものである。そして一ヶ月かかって7月3日に排石した2〜3mmの石を現在も保存している(笑。

 ともあれ、今回は煎じるのが面倒で怠慢をしており、そのかわりに浴びるほど水分を摂取しているが、まだまだ膀胱に落ちてくれない模様。

 前回ブログを書いた日の夜間、またぞろ疼痛に見舞われたが、同じ配合では解消しないので、熟考の末、腹部の膨満感を伴った疼痛であることから分消湯を追加してみるとあっさり消えて熟睡できた。

 昨日の早朝6時過ぎに起床後、猪苓湯、分消湯、茵蔯蒿湯、白花蛇舌草を服用しておいたが、10時頃に怪しい雰囲気となったので、再度服用するとそのまま消失。
 そのまま夜になっても無症状が続き石が膀胱に落ちた雰囲気だったので、やらなければよいのに夕飯をしこたま食った後、痛かった部分を触わって様子を伺っていると、まだ尿路に残ったままだった証拠に疼痛を誘発してしまったっ!

 猪苓湯、分消湯、茵蔯蒿湯、大黄牡丹皮湯、白花蛇舌草、延胡索、地竜を加えてようやく二時間後には軽減して来たので夜12時前には就寝し熟睡。

 今朝は腹部は無症状ながら、僅かに腰や背中にだるさが残っている。

 金銭草やウラジロガシの煎液を併用すべきことは分かっているが、いまさら煎じるなんて面倒なので、このまま継続するつもり(苦笑。

 ともあれ、尿路結石のような疼痛というよりも激しい疝痛発作をともなう疾患では、一般の人は必ず病院に駆け込むべきで、決してヒゲジジイのようなマネをしてはなりませんっ!(苦笑。

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FSC_7381 posted by (C)ヒゲジジイ


2011年07月02日

鬼の霍乱・・・でもないかっ

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FSC_7007 posted by (C)ヒゲジジイ

 昨夜、サッカーの女子ワールドカップ予選、対メキシコ戦をテレビ観戦していて、日本が3点目を入れた頃から、左下腹部に疼痛が勃発した。

 おそらく10年ぶりに再発した尿路結石に違いない。当時はチヌ釣りに熱中している頃で、釣り場で小便に立つのが面倒で水分補給を長年怠ったつけが回った。当時は右下腹部だったが、今回は左側とはいえ、まったくそっくり同じ自覚症状である。

 当時、同年代より少し上の男性が、同様の病気で病院治療で一ヶ月排石できず、当方の漢方薬で僅か三日で排石できたのに、ヒゲジジイはもっと濃厚な配合を服用したのに、排石するのに一ヶ月もかかってしまった。

 ここ半年、小便を溜めすぎると排尿痛を覚えていたのに、分かっていながら基本的な猪苓湯の服用を怠っていたのが間違いのもとで。

 昨夜は猪苓湯と大黄牡丹皮湯に白花蛇舌草の服用であっさり疼痛が消えて熟睡できた。
 ところが今朝起床後、直ぐに同様の配合を服用したにも関わらず、同年代のお馴染みさんの漢方相談に応じている最中に腹痛が再発。

 本日は土曜日とて、予定では関東から、あ〜いえば必ずこ〜切り返して、人のアドバイスを素直に聞けない若者がまたやって来るというのに、これでは仕事にならないな〜と苦痛にもんどりうっていたが、ふっと思い付いて延胡索単味を追加服用したらあっさり腹痛は雲散霧消した。

 遠来者が多いはずの土曜日だが、結局、関東からトウヘンボクな若者はやって来ず、そのかわりに近畿地方から初めて来られた人達があった。
 仕事中は腹痛の再発も無く体調良好でホッとした半日だった。

 ところが、案の定、夕刻になったら突然、腹痛がまたやって来た。
 午後は延胡索を加えなかったので、やっぱりこれが必要だったかと追加服用したが、今朝方ほどの速効性が出ない。
 やはり温性の延胡索だから寒熱のバランスの問題もあると感じて、直ぐに寒性の地竜を追加すると今度は速効が出て疼痛はすぐに消えた。

 こうやって疼痛を消しているのはよいが、根治療法の最初の課題は1日も早く排石することである。

 もともと性格が頑固なのと同様、我が愛すべき結石も頑固らしく、前回は疼痛がはじまって排石するまでに一ヶ月もかかっている。今度こそは短期間に排石したいものである。

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FSC_6895 posted by (C)ヒゲジジイ

2009年01月12日

心因性の膀胱炎の漢方薬のご相談

年齢 : 20歳〜29歳
ご職業 : 男子学生
お問い合わせ内容 : 約3ヶ月前から頻尿に悩まされています。

 発症したのがプレゼンテーションの日からで終わった後も治る気配が無く、ひどい時には急行電車にも乗れないくらいの間隔で強烈な尿意を感じました。
 今は泌尿器科から処方された薬のおかげか、ピーク時よりは我慢できるようになりました。しかし、車や電車などに長い時間乗っていると昔より早く尿意を感じます。

 泌尿器科での検査では異常が無く、朝一番の尿はとても溜まっており、何かに集中していると我慢できるため心因性がとても強いように思います。このような症状に効く漢方薬は何かありますか。よろしくお願いいたします。


お返事メール: 心因性の頻尿には、体質によって清心蓮子飲あるいは半夏厚朴湯などと相場が決まっていますが、あるいは一般的な膀胱炎によく使われる猪苓湯や五淋散というところも可能性があります。

 地元の漢方薬局などで相談して、適応しそうな処方を購入して服用されるとよいと思います。

 もしもこられで治らなかった場合は・・・ときに心因性の疾患、心気症や神経症、あるいは不定愁訴症候群などのように心の問題が大きく関わるものは、純粋な肉体的な疾患よりもはるかに難航してしまう場合もあります。

 なぜなら、病院における諸検査で異常がみつかる本物の病気と異なって、これらの病気の人達は焦りが強過ぎたり、優柔不断である場合もあり、そのために却って正確な弁証論治が出来ない場合があるからです。
(ヒゲジジイの薬局では、焦りが強い人や優柔不断な渡り鳥さんたちをもっとも敬遠しています。)

 上記の方剤以外にも、体質に応じて様々な配合がありますので、必ず時間をかけて相談に乗ってくれる漢方薬局をお近くで見つけるとよいでしょう。そこでは焦らずコツコツ、ついでに体質を変えるつもりでよく相談され、治るまで頑張ってみるのがよいと思います。

2007年05月24日

漢方薬で腹痛を起こした2人が喜ばなければならない理由

 昨年に続いて今回で2例目である。しかも同一処方の配合で生じた腹痛である。
 四逆散・六味丸・猪苓湯の各エキス製剤である。これを服用して腹痛を起こし、腎臓結石が尿管に落ちた可能性を疑って即、検査に行くように強く勧めた。もちろん漢方薬は続行である。

 昨年の例では、もともと早朝の残尿感が続いていた人だから、他の主目的の疾患に対する弁証論治の上からも上記の方剤にさらに黄連解毒湯とイオン化カルシウムも併用していた。この配合で朝の残尿感はほとんど消失していたのに、暑い夏、クーラーが壊れた職場で過ごすこと数日、突然の腹痛に見舞われて連絡があった。
 もちろん即、尿管結石を疑い猪苓湯の濃度を上げ、早く泌尿器科に行くように勧める。

 土日がまたがっていたため、通院が数日後になったが検査の前日に突然腹痛と残尿感が消失した。検査では石は発見されなかったがその後に腹痛は二度と起こらない。

 ほんの数日前の例も同様の上記方剤で体質改善三点セットに四逆散・六味丸・猪苓湯。三点セットはすでに一ヶ月以上服用中で、上記の三種類の漢方薬の配合は今回が初めてであった。
 もともと多少頻尿気味であると言われていたのが、これ等を服用し始めて数日後、頻尿が顕著になるのと同時に腹痛が始まり、数日間便秘状態でもある。直ぐに病院に二軒かかったが炎症反応がありながら病名は確定しない。

 この時点で当方に連絡があったので、それはおそらく腎臓結石が尿管に落ちたのだろうから、泌尿器科に受診するように勧める。もしも石が発見されたら猪苓湯の濃度を上げるべきだが・・・とは言っていたものの、検査が数日後になってしまい、この人の場合も検査の前日には腹痛も頻尿も突然治まってしまった。
 こうなれば検査では石は発見することが出来なかったのは当然である。

 当然、お二人ともに六味丸と猪苓湯は他薬とともに真面目に連用中である。(ナゼだかお二人とも関東勢!

2006年12月21日

尿漏れに対する知柏地黄丸製剤と補中益気丸という珍しい配合

 今ならまずお断りしている御相談で、昔からの県外遠方の常連さんに依頼され、友人の尿漏れを治して欲しいということで、断りきれずに詳細な電話相談となった。
 その結論が上記タイトルの知柏地黄丸製剤(イスクラの瀉火補腎丸)に補中益気丸(人参ではなく党参配合)をお送りして既に十数年?!
 以来、尿漏れを生じる頻度は激減し、九十歳近くになっても矍鑠とされておられるとのことである。

 このような配合になったのも暑がりの高血圧でありながらも、膀胱の収縮力機能の低下や膀胱括約筋の緊張力低下(中気下陥)を来たした高齢者などに相応しい補中益気湯を使用するには、配合薬物中の人参は党参のほうが無難である。
 また一方では足が火照るなど陰虚火旺の証候も明らかであるから上記のような配合となったのであった。

 もともと神経質なほど弁証論治にこだわって細かな微調整を繰り返すことが多いのに、一発でピントが合ったまま、以来十数年が経過したが、本日定期便の電話注文があったところで思い出し、忘れない間にブログに書いておこうと思ったのだった。

 なお、他にも同様の配合でドンピシャのご高齢者がもう一人おられる。