2012年01月10日

後鼻漏も様々あるので頻繁に通える人でなければ無理

ハクセキレイ
ハクセキレイ posted by (C)ヒゲジジイ

ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 60歳〜69歳の男性
簡単なご住所 : 関東地方
具体的な御職業 : 研究開発
お問合せ・ご連絡内容 : 慢性の後鼻漏に悩み続けており、あらゆる治療を受けたつもりですが、全く一向に回復しません。

 散々Webを調べ貴薬局のWebに辿り着き、下記記事を拝見致しました。全く小生と同じ経緯症状で非常に驚き、早速メールを差し上げる次第です。

 小生の今までの経緯と、現在の症状は以下の通りです。
 1.年齢 6?歳(男)
 2.身長 1??cm, 体重 ??kg 、ガッチリとした体格
 3.健康状態 慢性「後鼻漏」の他は血圧血糖値:高め
 普段、運動量多い。テニス:2回/週、ジョギング、水泳(週2回)
 4.症状経緯
 2005年9月 風邪をひき、喉を傷める(風邪には滅多に 掛かりませんが)風邪が悪化し「咳喘息」(数分置きに 激しい咳),病院にて「風邪」の治療を受ける。

 10月:約一カ月で咳喘息が収まる。(鼻水、後鼻漏無し)
 11月 後鼻漏が始まる。
 12月 病院の耳鼻咽喉科を受診「蓄膿症」と診断され薬治療を受けるものの、一向に改善せず。

 2006年-2009年 ◎◎大学●●病院(△△△県)耳鼻咽喉科受診
 ○○○○病院(東京都)
 ■■大学 東洋医学研究所にて漢方薬、鍼灸治療

 ▲▲医科大学耳鼻咽喉科受診、鼻骨の曲がり矯正手術  最後は、生理食塩水による「鼻うがい」の処方を 受けるも効果無し。
 ファイバーによる検査でも「キレイですね」 「問題はありません」の診断。

 この間、各種検査(アレルギー検査:異常なし、レントゲン・MRI検査,及び あらゆる抗生剤治療、手術を受けましたが改善せず。

  2011年 症状は悪化するばかり、痰(鼻水)が濃くなりドロットした痰が常時ながれ出ており。就寝中も流れ出てき ており、喉に溜まり夜中も痰の吐き出し(ティッシで)が必要で安眠出来ず。

 以上の状況です。もう治らないものかと思い詰めておりますが、村田様のお力をお借りし、何とか快方に向かわないものかと藁にもすがる思いでメールを差し上げる次第です。

 村田様の漢方薬による治療で 少しでも改善させたく、何卒よろしく御助言のほどお願い致します。

 Webで拝見しました下記内容の方と全く同じ症状です。
2006年12月01日 14年来の慢性鼻炎による後鼻漏

ハクセキレイ
ハクセキレイ posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:

 後鼻漏は蓄膿症が原因の場合は、たとえ大学病院に通い詰めても治らなかった例でも根治に近いレベルまで改善することが可能で、現在も(現在進行形で)貴方と同年代の女性が一年以上通い詰めて8割以上の寛解レベルに辿りついています。

 しかしながら、蓄膿症が存在せずに続く後鼻漏の場合は個人差がとても大きいようです。

 希薄透明でサラサラした後鼻漏であれば、藿香正気散(カッコウショウキサン)レベルで容易に止まり、中止すれば再発するので、折々に服用する杜撰な服用方法でも十分な人もおられれば、当方に来るまでに貴方と同様、あらゆる病院治療で効果なく、地元の漢方専門薬局などで様々漢方薬を服用しても無効という人では、一度来られたくらいでは、またその後のメール相談くらいでは正確な弁証論治が適わず、結局一年くらいであきらめてしまったのが、当方のブログで御覧になった女性が実例です。

 また、東北地方からわざわざ来られた女性では、明らかに効果が出掛かっているのに、効果が安定しないのに業を煮やされ、わずか四ヶ月で無音となってしまった女性が5年前にもおられました。

 また同様に関東から男性が一度だけ来られて数ヶ月であきらめた方もおられます。

 遠方の人で一度っきりの来局では結果的に弁証論治が中途半端なままで、結局は遅かれ早かれ諦めた人達が過去この10年間に3名おられるわけです。

 なお、貴方の場合はどろっとした(粘着性の強い?)痰となっているようですので、上記の藿香正気散は不適のようです。

 漢方薬も既に試されているようですが、受診された日本漢方では無理だったようですので、是非、地元の漢方専門病院でも、あるいは漢方薬局でも、必ず弁証論治を基本とされている中医学派のところを見つけて、しっかり直接頻繁に通い詰めていけば、かなり寛解が出来るのではないかと思います。

 過去の例でもあらゆる医療機関で治らなかった後鼻漏が8割以上の寛解状態に導けたのは、頻繁(といっても10日〜30日毎ですが)に通える人で根気のある人達ばかりでした。

 但し、蓄膿症が存在しない後鼻漏の場合は、個人差があまりに大きく、御覧になった女性のようになかなかピントが合いにくいケースではなおさら頻繁に直接通える状況でなければ不可能だと思われます。

 要するに通常の治療では治らないケースでは、その病気の裏には、裏のまた裏あることが多いので、たゆまず弁証論治をくりかえす互いの努力が必須となります。

 是非、地元で通える中医学派の先生を見つけて下さいませ。
 取り急ぎお返事まで。

ハクセキレイ
ハクセキレイ posted by (C)ヒゲジジイ

おり返し頂いたメール:返事が遅くなりすみません。

 ご丁寧な返事を頂き恐縮しております。 普通の漢方薬局の方は「売らんかな」の 姿勢であらゆる漢方薬を押しつけてくるのですが、村田様のとても丁寧親切に解説に甚く感激しております。

 本来は頻繁に伺い、直接指導して頂くべきですが、如何せん余りにも地理的に離れているため、通う事が困難なことが残念でなりません。

 出来ますれば、インターネットを利用する"Skype"(TV電話)で面談し、漢方薬の処方を受けながら相談出来れば宜しいのですが、村田様の処方方針に沿わないかと思います。

 当方の症状は ご指摘の厄介な「蓄膿症ではない後鼻漏」です。
 症状が出始めた原因である「風邪をひき、その後 酷い咳喘息かかった」ことで、何らかの免疫系が壊れてしまったものかと思っております。

 いずれにせよ、「地元で通える中医学派の先生」を見つけ出したいと思います。

 お忙しい中、対応誠にありがとうございました。

 御礼まで。

IMGP8492
IMGP8492 posted by (C)ヒゲジジイ


ラベル:蓄膿症 後鼻漏

2011年01月19日

風邪が治った後の鼻声に辛夷清肺湯

飛んでるヒヨドリ
飛んでるヒヨドリ posted by (C)ヒゲジジイ

 風邪が治った後の鼻声にも荊防敗毒散だけでも効くかどうかをテストしていたが、昨日も鼻声だけが残ってみっともないので、夜からは辛夷清肺湯を追加したら直ぐに鼻声がほとんど消えた。

 参蘇飲+荊防敗毒散で治った風邪だったが、この鼻声(要するに風邪の後に生じた軽度の急性副鼻腔炎)には、常套手段である辛夷清肺湯がピッタリ適応していただけのことである。

木の間に挟まれて宙吊りになったスズメ
木の間に挟まれて宙吊りになったスズメ posted by (C)ヒゲジジイ

ラベル:鼻声

2008年04月11日

今年の花粉症に対する漢方薬の総括

 まだ花粉症は続いているようだが、村田漢方堂薬局で花粉症治療用に漢方薬を利用された人の殆どは、終息に向っている。実際にはすでに症状が完全に消えてしまっている人が殆どである。

 もっとも多く使用して多くの人に有効だったのが茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)。但し、黄膩苔が存在する人に限られるはずだが、黄膩苔の兆候に乏しい人でも明らかに有効だったケースがある。

 茵蔯蒿湯はとりわけ目の痒みに有効で、同時に鼻水が止まる。但し、一部の人では鼻づまりにはまったく無効で、辛夷清肺湯や天津感冒片の併用が必要となった人もあった。

 従来は天津感冒片や涼解楽などの銀翹散製剤を主体に運用して早期に治まる人が多かったが、同じアレルギー疾患ゆえ、急性蕁麻疹に有効な茵蔯蒿湯を今年は頻繁に応用してみて、かなり高い有効性を確認することが出来た。
 医師や看護師さんや鍼灸師さんなどの医療関係者にも実験してもらってその有効性を確認することもできた。

 その他、あきらかにカッコウショウキサン単独で花粉症が治まる人がおられたのは従来通りであった。
 また従来どおり、村田漢方堂薬局オリジナルの体質改善三点セットは明らかに有効であったが、これだけでは不十分な人もあり、茵蔯蒿湯や天津感冒片の併用で治まっている。
 他の目的で体質改善三点セットの愛用者の花粉症がいつの間にか自然に根治したという報告は毎年必ず数人以上からの報告がある。

 また例年通り、世間で繁用される野蛮な方剤、小青竜湯を販売することは一度も無かったし、指名客も無かった。
 小青竜湯を花粉症に応用するのは野蛮であるというのは、花粉症患者さんに肺寒停飲の症候を呈している人をほとんど見たことがないからである。
 たとえこの方剤で効果があっても肺陰を損傷しかねないので乱用は慎むべきである。

 なお、常連さんやお馴染みさんたちの多くは、天津感冒片や涼解楽、参蘇飲製剤、葛根湯製剤、辛夷清肺湯、小陥胸湯加味方剤、大柴胡湯製剤、四逆散製剤、茵陳蒿湯、地竜製剤、猪苓湯製剤、カッコウショウキサン、五苓散、加味平胃散、胃苓湯製剤、芍薬甘草湯、大黄製剤、体質改善三点セット、板藍茶、白花蛇舌草、牛黄製剤、麝香製剤など常備されているので、ご家族がどのような急性疾患になっても直ぐに対処できるので、速効が得られている。
 これらの人こそ、漢方の計り知れない恩恵に浴され、健康で長寿生活をおくられている。

2008年03月24日

花粉症に対する茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)単独実験の報告

 花粉症に敢えて茵陳蒿湯単独で実験してもらうなどとは、まるで
 科学的実証という名のもとに、漢方医学や中医学の特質の一つである「個別性の重視」が忘れ去られ、同一方剤による普遍性の追求、つまり同一病名や症状に目標を絞って、何人中に何人有効であったかの検討です。この分野の追求に過度な期待を寄せると、次元の低い漢方医学に堕するのみではないでしょうか?
 「科学」とは、この程度の幼稚なものなのでしょうか?
という漢方薬のNKDYネットのトップページの檄文?で批判されるような行為のようであるが、黄膩苔の存在条件のもとに行っているので、そこまで幼稚ではないと思うのだが・・・苦笑。

 ともあれ、以下は下関にも二泊三日の旅程で来られたことのある漢方薬も愛好される東洋医学の専門家である某鍼灸師の花粉症に対する茵蔯蒿湯の実験報告経過のおたよりである。

実験報告者:北陸地方の鍼灸師

 花粉症の報告です。
 昨日は、1日中外にいましたが、ほとんど激しい症状が出ることなく、たまに鼻のむず痒さを感じる程度で、順調でした。

 しかし、今朝起きてから昨日の影響がでてきたのか目のかゆみと、鼻水が出ています。
 もしかしたら、外などに出て影響を強く受ける場合は、予防的に天津感冒片あたりを服用していてもよかったのかなっと思っています。

 風邪予防の応用で、花粉も季節的な外邪(風熱とみて)と同じ様にできないものでしょうか?
 ただ、過去の経験からも外に出ていて、すぐに発症しなかったのはすごいと思います。

 以前は小青龍湯も使用したことがあるのですが、たしかに症状は落ち着くのですが、鼻や口の乾燥感が増し、鼻の奥がヒリヒリした感じと熱感をかんじたのを憶えています。

 以上ご報告まで。


実験報告のお礼メール:御報告ありがとうございます!
 花粉症をなるべく理想的に止めるには、茵蔯蒿湯が適応していても、単独ではものたりないことがあって当然だと思います。

 しかしながら、花粉症で死ぬ人は(自殺しない限りは)いませんので、実験できる人は花粉症用には茵蔯蒿湯で様子をみて欲しかったわけです(申し訳ありませんが・・・)。

 そしておっしゃるとおり、花粉症を風熱感冒と同様に考えるのは基本的にはヒゲジジイ流儀です。⇒ 2008年03月18日:花粉症の漢方薬(但し、平成7年版) 平成七年にも書いている通りです。

 地元や東海地方のお馴染みさんのご家族には茵蔯蒿湯で速効で、その後も治まったままですし、地元でも藿香正気散(カッコウショウキサン)単独で治っている人を除けば、明らかに効果がある人ばかりで、茵蔯蒿湯を常用していて中途半端な花粉症(鼻づまりと鼻水だけ、目は無症状で痒みがない)には、辛夷清肺湯に天津感冒片で速効です。

 本来なら、茵蔯蒿湯が効く人でも、おそらくは天津感冒片や辛夷清肺湯、あるいは体質によっては葛根湯やカッコウショウキサンなど、適切な方剤を併用したほうが万全であることは間違いないと思います。

 今回は、実験研究のために、地元のご家族たちの多くの人にはあえて茵蔯蒿湯だけで様子をみてもらいました。まだもう一人、御報告待ちの人がいますが、ベテランの看護婦さんだけに、報告が楽しみです。


【編集後記】 ところが先ほど関東地方の人で、茵蔯蒿湯などを常用中の人から、次のようなメールが入ったので天津感冒片の併用をお奨めしたところである。
 黄膩苔があれば茵蔯蒿湯が全例有効、というふうにはゆかないようですね(苦笑)。

(前文略)胆石の方は、病院から処方されたウルソと、村田漢方堂薬局のダイサイン、インチンコウトウ、オルスビー、六味丸でしのいでいます。
 ところで、先週末突如として頸部や耳に蕁麻疹のような発疹が出て、それ以来収まりません。鼻水やくしゃみも止まらず、花粉症のようでもあります。(後略)

2008年03月21日

茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の花粉症に対する中医学的考察←東海地方の女性薬剤師

中医学的考察のおたより:東海地方の女性薬剤師

 急激に春めいて参りましたが、お元気でいらっしゃいますか?
 こちらでも今年は温病のきざしがあります。
 黄砂が飛び出してから特に、風熱型花粉症、アトピーの方でヘルペスを併発する方などが訪れています。
 このようなとき、茵蔯蒿湯が活躍しています。

 舌先〜肝胆の部分に赤みがあり、黄膩苔があることを目安に、花粉症で特に目の痒み、耳の中が痒い、喉もイガイガと痒いなどの症状を鼻水とともに併発している方に好んで用い、良好な結果を得ています。
 場合によっては、さらに大柴胡湯を併用しています。

 また、舌質は白っぽく、ぼてっと湿を含んでおり、舌の奥にかけて薄い黄膩苔があるような例では、茵蔯蒿湯に五苓散をプラスして、調整しています。

 どちらとも、よく観察すると、舌の脾胃の部分が少し暗い感じがしています。

 茵蔯蒿湯を処方する方に、日頃の食生活を聞いてみると、コロッケや唐揚げなどの揚げ物、生クリームを使ったお菓子、乳製品などが大好きで、外食や、手作りではないお弁当を購入している方がとても多く、やはり現代の食生活が、脾胃に負担をかけている結果、衛気が弱っているのでは・・・?と思われます。

 先生に笑われるかもしれませんが、私は衛気について、体表だけでなく、口から肛門までの消化管の内側にも巡っているのではないか・・・?と考えているんです。
 ですので、脾胃に負担がかかるものを食べ過ぎると、そちらにエネルギーをとられ、衛気が充分に働かなくなるのではないかなぁ・・・と。

 油ものや乳製品、特にカゼインタンパクは、消化管粘膜を塞いでしまい、食物を停滞させます。その結果、脾胃に痰湿と瘀血(オケツ)が生じやすくなります。
 茵蔯蒿湯がよく効く方の舌は、先ほどのように、脾胃の部分が暗い感じがし、瘀血(オケツ)があるように思われます。

 このような方に、冷やす方剤を使ってよいかな・・・?と最初とまどった記憶がありますが、大黄の強い活血去瘀作用により、血液の流れがよくなり、かえって瘀血のあった脾胃は温められ、花粉症に効果をなしているのではないか・・・・?と愚考しています。
 ちょっと子供じみていますね・・・(@_@)


お返事メール:
 花粉症に対する茵蔯蒿湯や、とても薀蓄のある脾胃論、興味深く拝読申し上げました。

 実際のところ、茵蔯蒿湯証は、舌質がたとえ赤味が乏しくて白っぽくとも、気虚や血虚が強い場合でも、舌の奥に些かでも黄膩苔がかかっておれば、現代人の多くは、食生活環境の内容から類推しても、茵蔯蒿湯証が合併していることが多いと思います。
 ですから、様々な補剤と併用する機会はとても多いように思います。

 おかげさまで、先生のとても薀蓄のある内容でブログを埋めることができます。
 ありがとうございました。


【編集後記】
 現代人の食生活の内容は、上述のように女性薬剤師が指摘されるように脾胃に負担をかけているのは尤もであるが、さらに発展して脾土侮肝および脾土克水により肝胆系統および腎・膀胱系統にも大きな負担がかかっているように思われる。
 だから常々、茵蔯蒿湯証は現代人の三人に二人は見られる現象であろうと主張する所以である。

2008年03月20日

花粉症に対する茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の続報

おたより:東海地方の内科医師

茵蔯蒿湯のご報告をします。
以前原因不明の蕁麻疹にお悩みの30台半ばの男性に茵蔯蒿湯を処方しましたところ、蕁麻疹に著効を得たのですが、そのかたの奥さんが来院なさいました。

 奥さんいわく、「蕁麻疹の方はすっかり落ちついていて、茵蔯蒿湯は飲んでいませんが、この1週間ほど花粉症の症状がひどく、帰宅も遅くて受診できなかったため、手元にある茵蔯蒿湯を勝手に飲みました。すると、著効したのです。本人はとても欲しがっています」とのことでした。

 カルテには舌の所見について微黄色苔と記されていました。
 やはり、舌所見が重要ですが、インチンコウトウ恐るべしという印象を強くしました。
 ご報告まで。


お返事メール:茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の御報告、ありがとうございます。

 こちらでも蕁麻疹が出来やすい体質の中年男性で、メタボリック体質改善目的で茵蔯蒿湯だけを昨年から常用されていた人が、とてもスリムになるのと同時に今年は例年になく、花粉症状が出て来ないというご報告を得ました。
 毎年この季節になると、ティッシュの山を築いていたのが、今年はないと言われます。

 この男性の姉上様(同様な蕁麻疹体質)が当方のお馴染みさんで、一昨年から茵蔯蒿湯や辛夷清肺湯・杞菊地黄丸などを多少途切れ途切れに常用されておられましたが、蕁麻疹は二度と出なくなり喜んでいたところ、今年は初めて花粉症が勃発し、2日間だけひどい症状が出ました。

 報告に来られた昨日の朝は茵蔯蒿湯を服用したからか、症状は治まっているとのことでしたが・・・。
 インチンコウトウのみで治まるかどうか、しばらくしたら報告があるはずです。

 この女性の報告で、もうひとつ興味深いことは、同じご兄弟で茵蔯蒿湯だけを常用されているお二人の話、お一人は肥満体のメタボリック体質、一人は胃が弱く食欲不振で痩せ過ぎていました。
 昨年から、この姉の奨めで茵蔯蒿湯だけを常用させていたら、肥満の男性はスリムに変身して上記のように花粉症も克服。もう一人は痩せの食欲不振が茵蔯蒿湯の常用により、胃の調子が回復して体重がしっかり増えてきて、とても喜んでいるということです。

 お二人が茵蔯蒿湯を常用するようになったきっかけは、上記の姉の蕁麻疹癖や嘔吐感などが雲散霧消したことがきっかけに、ご兄弟に奨めて大正解だったという以上のような結果でした。


【編集後記】 この少しの間に、村田漢方堂薬局においては例年になく、凄まじく花粉症問題で地元近辺のおなじみさんたちやそのご家族の問題で、茵蔯蒿湯にまつわる話題が沸騰している。
 この地元の人達は、小生のブログとは無縁の人達ばかりだが、今年ばかりは黄砂の来襲も凄まじいことと相俟って、新たに花粉症となった人が続出のようである。
 中には、当方の漢方薬のお馴染みさんまでが上記のように花粉症になる人まで出る始末である。

 ところで、一昨日は4〜5ヵ月前後のお付き合いの北陸地方の方が、例年通り花粉症が出てきたのだが・・・という問い合わせのメールがあったので、手元に常備して頂いている茵陳蒿湯エキス製剤を服用してもらったところ、昨日のご報告では「昨日からインチンコウ湯服用しましたら結構いいみたいです。目の痒みはほとんどなくなりました。ただ、やはり浮腫みがあまりとれてないです。」ということだった。
 この方は他にも大柴胡湯や釣藤散や沢瀉湯製剤、あるいは五苓散、葛根湯製剤、時に加味平胃散や瀉火補腎丸、地竜、天津感冒片などを常備されて、折々に使い分けてもらっている。

 そして昨日は、15年来の四十代の常連さんが茵蔯蒿湯を常用されているにも関わらず、鼻づまりを訴えてやって来られた。目の痒みが皆無なのは幸いであるが、体質に応じて天津感冒片と辛夷清肺湯などを服用してもらうが、シャープさに欠ける。

 また、半年以上通われているアトピーの人が突然、花粉症になったと言ってやって来られた。目のかゆみが出ないのは、茵蔯蒿湯・黄連解毒湯・猪苓湯・六味丸を常用されているお陰かもしれないが、せっかくおさまりかけていたアトピーの痒みがやや再発気味で、鼻づまりと鼻水が出る、そこで、茵蔯蒿湯の服用濃度を上げてもらい、新たに天津感冒片をお出しした。
 効いてくれればよいのだが、この方の奥様には先日、花粉症がひどいと言われるので、ご本人に会わないまま藿香正気散(カッコウショウキサン)をお渡ししていたところ、ズバリ的中で、これだけで治まっている。今回も追加注文されたほど気に入られているが、ご主人には無効である。

 そのほかにも体質改善三点セットと葛根湯製剤服用中の重症の花粉症の人が来られ、今年に限り漢方薬のお陰で、くしゃみと目の痒みがほとんど出ないので助かっている、しかしながら鼻づまりと鼻水だけは消失しないといわれるので、黄膩苔を目標に茵陳蒿湯と鼻づまりの補強にネオチクジロンをお渡しし、予備にカッコウショウキサン。
 この方のご両親も、今年初めて花粉症にかかって困っているということだが、やはり今年は例年になく新たな花粉症罹患者が続出している。

 その他にも、新たに茵蔯蒿湯だけで花粉症対策の実験をしてもらっている人が複数おられるので、いずれ結果の報告があるはずである。
 村田漢方堂薬局では、しばしば常連さんやお馴染みさんが研究材料にされるが、皆さん喜んで引き受けてくれる。

 研究材料だからといって薬代は通常通り頂いている(笑)。もともと格安だから当然だろう〜っ(苦笑)。

2008年03月18日

花粉症の漢方薬 (但し、平成7年版)

 以下は、平成7年に漢方を専門とする某内科医の先生から花粉症の漢方薬について質問を受けた時の回答である。当時は過剰なくらい老婆親切であったことに、我ながら驚いている。当時は花粉症に茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)を使用した形跡はない。
 以下、当時の手紙文。

 さて、花粉症につきましては、一部の例外を除いて、上焦の風熱が主体であると愚考しています。
 したがって、天津感冒片を中心に投与すべき症例が多く、天津感冒片の単方天津感冒片+参蘇飲、天津感冒片+玉屏風散(注記:製剤としては衛益顆粒)、天津感冒片+藿香正気散(カッコウショウキサン)、天津感冒片+小青竜湯、あるいは辛夷清肺湯+参蘇飲、辛夷清肺湯+藿香正気散、辛夷清肺湯+玉屏風散、辛夷清肺湯+小青竜湯などのパターンで、アンダーライン部分は私のところで特に常用する組み合わせです。
(「天津感冒片+小青竜湯」もかなりな速効がみられることも多いのですが、胃弱な人が多い昨今ですので、なるべく避けるようにしています。)

 実際の臨床においては、このように寒熱の錯雑したタイプが多く、参蘇飲や藿香正気散、あるいは小青竜湯などの単方では表衛を侵襲した風寒や、体質的素因による肺寒停飲の領域に対処できても、口鼻から侵入した温熱の病邪(花粉による刺激)には十分な対応ができないと思われます。
(但し、一年中症状に悩まされるアレルギー性鼻炎の場合は、肺気虚に風熱をともなうタイプだけでなく、肺気虚に風寒を伴うタイプも多いので、花粉症とは区別する必要があると存じます。たとえば、季節を問わずに出没するアレルギー性鼻炎では、「玉屏風散+参蘇飲」あるいは「玉屏風散+苓甘姜味辛夏仁湯」などのタイプが多いようです。)

 つまり、くしゃみ・鼻水だけでなく激しい目の痒みと充血を伴う典型的な花粉症に関しては、風熱が主体の疾患であると愚考している次第です。
 天津感冒片はアレルギー性結膜炎にも適応することが多く、大変重宝な方剤です。

 なお、玉屏風散の臨床応用につきましては、ほんのサワリ程度ですが、平成7年和漢薬誌の3月号(もうすぐ発行される筈です)の【訳者のコメント】中で述べています。

 今年の流感は、二年前の流行時と同様、「天津感冒片+参蘇飲」の配合が大活躍しました。「邪の湊まるところ、その気は必ず虚す」といわれるように、心身の疲労によって一時的な気虚に陥り、この時に表衛が風寒に侵襲され(参蘇飲)、口鼻からは温熱の病毒であるインフルエンザウイルスを吸入し(天津感冒片)、悪寒と発熱に咽喉腫痛というのが昨今の典型的なパターンであり、傷寒と温病が合体した病態が一般的な現象であろうと愚考しています。

 もちろん、純粋型の風熱証の場合もあり、この場合は天津感冒片のみで対処できる訳ですが、インフルエンザウイルスの感染ではどのようなタイプであれ、少なくとも初期の段階では上焦の風熱に対する天津感冒片を使用する必要があり、たとえば激しい下痢症状を伴う場合でも「天津感冒片+藿香正気散」などで対処できることが多いようです。

 ともあれ、このような急性熱性病に対する方法が、そのまま花粉症にも応用できるわけで、このへんの事情は和漢薬誌488号(平成6年1月号)の巻頭随筆『中医漢方薬学』や、同じく488号の【訳者のコメント】中でも述べたとおりです。

 以上、ご質問に対するお返事としては些かピント外れに思われるかもしれませんが、「花粉症」という現代病の実際的な状況にもとづく臨床経験を述べたものです。

 私の弁証方法を要約すれば、中医基礎理論にもとづきながらも、現実の病態は複雑多変であり、教科書通りの典型的な病態は現実には比較的少ないという二十数年来の実践経験から、たとえばインフルエンザなどでは傷寒病と温病が合併した病態と考えて方剤を決定するなどは上記の通りです。
 また、たとえば希薄透明な鼻水であればすべて寒証であるなどと杓子定規には考えず、「上焦の風熱による急激な症状では、津液が熱化する暇なく外に排出されるので、希薄透明な鼻水もあり得る」など、常に現実に即した実践を心がけている訳です。

 そのほかにも、御承知の通り寒熱錯雑・虚実挟雑などは毎度のことであり、病変部位も五臓六腑の1〜2個所に特定できず、数個所以上に渡っていることが多いのですから、実際のところ、いつもいつも弁証には苦労し通しという訳です。
              平成7年 3月12日(日曜日)

2008年03月15日

専門家の皆さんへお願い⇒茵蔯蒿湯で花粉症が改善する症例があったら御連絡を!

 このブログのご訪問者は、半数近くが漢方と漢方薬の専門家や漢方関連メーカーの従業員の方達であろうと思われる。

 だから、皆さんにお願いしたいことはインチンコウトウ証体質の人で、インチンコウトウを服用することで、実際に花粉症が改善する例があったら是非、御連絡・御報告をお願いしたい。

 連絡先は⇒ このお問い合わせ フォームを利用して頂ければ、折々にこのブログへの転載を考えている。

 こちらがいつも淡い期待を抱いているバナーのクリックもしてくれない人達が多いので、なかなか面倒なご報告は期待できないかもしれないが、平成時代の花粉症の一部は茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)で治せるかもしれないという重要な統計であるから、バナーは押さなくとも(本当は押して欲しいのだがっ!)、この学問的な御連絡だけは、是非お願いしたいものである。

 いまのところ御連絡下さった専門家は、東海地方の内科医の先生だけであるが・・・果たして他にご連絡がいただけるものかどうかっ?!実に美妙ですね。

 念のために申し添えれば、茵蔯蒿湯証では、少なくとも舌の奥に多少とも黄膩苔が存在することが必須のはずである。

2008年03月14日

茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)と花粉症

おたより:東海地方の内科医師

 先日の花粉症にたいする茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)の有用性のブログを拝見してから、当クリニックに受診なさっているアトピーの患者さんについて振り返ってみました。

 村田さんもご存知の通りアトピーのかたに茵蔯蒿湯を中核とした投薬を行っているからです。
 すると、やはり花粉症の症状が軽いか内服以前と比べて今シーズンは症状が現れていない、というかたが結構多いことに気が付きました。

 巷では抗アレルギ薬が数種類投薬されたりしているにも関わらず、花粉症状でお悩みのかたがかなりいますが、そのような患者さんの中には助けとなり得ることが確認できました。
 ありがとうございました。

お返事メール: 
 ちょうどさきほども、新たな花粉症の女性が、茵蔯蒿湯を服用する都度、明らかに症状が軽減しているとのメール報告を得ました。
 本日朝から始めて、夜の三度目を先ほど服用したら、また明らかに症状が軽くなるそうです。

 県外の遠方の人で、下関には昨年一度来られたことのある人です。
 藿香正気散(カッコウショウキサン)では効果がないので、当方のブログを読まれて茵蔯蒿湯はどうだろうかということで、ご家族が服用中の茵蔯蒿湯をもらって早速服用されたところ、本日朝から、上記の通りの明らかな効果を感じられるとの御報告でした。
 念のため、舌の奥に黄膩苔があることを確認してもらい、先ほど舌の写真を送ってもらったばかりでした。

 また本日も、地元のお馴染みさんのご家族の花粉症の相談を受けました。
魚類でしばしば蕁麻疹が出る体質を持つ重度の花粉症とのことで、あえて実験として、茵蔯蒿湯のみで様子を見てもらう約束をしました。
10日毎に通われている人のご家族ですので、黄膩苔の有無も確認してもらい、10日後にその効果の有無の報告が得られるはずです。

 西洋医学的に考えても、茵蔯蒿湯は、もともと一部の蕁麻疹の特効薬でもありますから、アレルギー反応という共通性を考えれば、花粉症に効果があっても当然のことかもしれませんねっ(笑)。


【編集後記】 茵蔯蒿湯の常用者で花粉症が治癒する例としては、以前にも2008年02月21日 アトピー性皮膚炎の漢方治療に欠かせない食事制限の中でご紹介したアトピーの男性の場合では、一時的に藿香正気散(カッコウショウキサン)の頓服が必要な時期もあったが、その後、花粉症も現在に至るまで頓服の必要もなく無症状のまま、アトピーともども9割以上の寛解状態を持続している。
 昨日来局されて確認済み。

 参考までに2月21日のブログの一部を以下に抜粋引用。
 以前、ブログでも取り上げた正月をきっかけに食事量を人並みの一食分に減らした男性の例では、昨年5月、村田漢方堂薬局に来るまで2年間、ステロイドを毎日塗り続けても暴れまくり、自殺を考えていたと語るほど全身に皮湿が蔓延していました。
 鼻炎も合併しており、漢方薬は黄連解毒湯・辛夷清肺湯・瀉火補腎丸・茵蔯蒿湯・猪苓湯・地竜・天津感冒片(2錠)・イオン化カルシウム、透明な鼻水が出るときだけ藿香正気散の頓服(注記:3月に入って不要となる)ですが、正月をきっかけに食事を人並みの一食だけに制限したお陰で、今年になってステロイドの使用が皆無となり、保湿剤としては紫雲膏がピッタリ効くようになり、見かけ上は全身、ほとんど完治の様子に見えるくらいになりました。

2008年03月12日

花粉症の漢方薬

 花粉症真っ盛りである。
 これまで村田漢方堂薬局の漢方薬で花粉症がほぼ根治した症例数は膨大なものになるが、花粉症だけのご相談をお受けしたことは少なく、ほんの一時抑えのお付き合いは避けてきた

 多くはアトピー性皮膚炎や糖尿病など、他の疾患と合併していた人ばかりで、花粉症は付録としていつの間にか根治していることが多いし、お馴染みさんや常連さんのご家族の花粉症こそは、枚挙に暇がないほど、根治してもらっている(笑)

 何年も前に地元のテレビ局の花粉症対策の番組に取材された時も、番組のしめくくりとしてヒゲジジイが出演し、花粉症が重症化して、一般治療や病院治療で治らず、根本体質改善を行いたい人だけが、体質に合った適切な漢方薬を使用べきで、多くは季節的なものだから、対症療法を行っておればよいのではないか、と逃げ腰の発言をしておいたのだった。

 テレビに出演した時の発言が発言だったから、その年も花粉症だけの漢方相談は皆無で、安堵の胸を撫で下ろしたのだった。

 本音を明かせば、よほど重症でもない限りは花粉症くらいの問題で漢方相談に来てもらっては困るからである。命に関わる疾患でもなし、ほんの季節的な一時抑えの目的だけの漢方相談なら御免蒙りたいというわけである。
 しかしながら、本腰を入れて、花粉症体質改善を目的する漢方相談なら、喜んで応じるところである。

 昨年暮れには珍しく重症花粉症の体質改善を行いたいと言われる奇特な方が来られたが、体質改善三点セットなどと漢方処方2つをお渡しして、発作の時期になったら必ずもう一度来られる約束だったのが、仕事が多忙という理由から、その後は同じ方剤を発送しているだけだから、症状は明らかに軽減しているものの、完璧に止まっているわけではなさそうだ。

 前置きが長くなったが、花粉症の一時抑えでも、ほどほどテクニックが必要なもので、藿香正気散(カッコウショウキサン)、天津感冒片や涼解楽・辛夷清肺湯や葛根湯、玉屏風散(衛益顆粒)などを体質と症状によって使い分ける。
 うまく行けば、その日の内から症状がほとんど消失する。
 但し、村田漢方堂薬局では、かの有名な小青竜湯はよほどの根拠が無い限りは使用しない。

 ところで最近、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ) が適応する体質の人では、超速効で花粉症が止まることを地元の男性で確認できた。

 先日も東海地方のお医者さんへのアドバイスで成功した例、花粉症と茵蔯蒿湯(インチンコウトウ) と同様、超速効の男性を確認出来ているので、今後も意識的に茵蔯蒿湯を花粉症に応用する価値は大いにありそうに思える。


 通りで村田漢方堂薬局のお馴染みさんや常連さんには花粉症がいないわけである。体質改善三点セットのみならず、茵蔯蒿湯の常用者はあまりにも多いのだから。
 今後もますます、茵蔯蒿湯常用者の花粉症への有効性が確認できるのではないかと期待しているところである。

2008年03月08日

村田漢方堂薬局の漢方薬の愛用者に花粉症はほとんどいない

 漢方薬の愛用者でなければ理解できない様々なことがある。

 たとえば漢方薬を服用しだして風邪を滅多に引かなくなったという人はとても多いし、花粉症を持ってた人でも、主訴に対する治療兼体質改善をおこなっているうちに、気がついたらいつのまにか治っていたということはザラにある。
 体質改善三点セットを併用される人が多いからという理由もあるのだろう。これだけでも9割以上の高確率である。

 HPやブログのお陰で、若い年齢層の人が相対的に増えているが、昨今では二十代の若い人たちが、漢方薬の著効を得てヒゲジジイを仙人扱いする女性も出てくる始末である(苦笑)。
 地元近辺にそのような漢方ファンになる若い年齢層の男女が増えるのはとても喜ばしいことだが、漢方を過大に万能視されると荷が重くなる(苦笑)。

 西洋医学治療や病院の漢方で治らなかった疾患ばかりだから、西洋医学治療や病院で出される漢方薬との違いだけでなく、漢方薬の合わせ方にも大きな違いがあることを理解され、ヒゲジジイの漢方なら何でも治るだろうと買い被ってくれるのだから、ややありがた迷惑でもある。人によっては苦労に苦労を重ねなければなかなかピントが合わないこともあるのだから・・・。

 「他の人には絶対に村田漢方堂薬局のことは教えないんだからっ!」と、複雑な気分ながら嬉しいことを言ってくれる人もいる。
 
 昨今では中年のおっさんやおばさんよりも、若くして長年病気に苦しんで来た若い年齢層の真摯な人たちに、忍耐強い日本精神を見ることが多いのだった。
 若い年齢層でも、一定の経費がかかるのを我慢して真剣に慢性疾患の克服に努力されている。諦めない不屈の精神こそ貴重である。

 いつの間にか花粉症の話とは無関係な所に飛んで行ってしまった。
ラベル:花粉症

2008年03月07日

花粉症と茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)

おたより: 東海地方の内科医師

 先日は貴重なアドバイスを頂くことができまして誠にありがとうございます。

 茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)を服用してみたのですが、結構いい感じです。
 花粉症(大量の鼻水・くしゃみなど)が著しく改善してまいりました。現在85%治癒度といった感じです。

 ちゃんとした患者さんの弁証が必要ですが、威力を発揮するかもしれません。
 まずは個人的な著効のご報告まで。


お返事メール: 茵蔯蒿湯のみを加えることで効果がありましたでしょうか?

 苓甘姜味辛夏仁湯は使用されずに茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)だけでも花粉症に効果が実際に出てくれたのかどうかが、とても興味深いのです。

 メールでもお伝えした通り、舌の奥に黄膩苔の傾向が多少ともあれば、現代人の多くは茵蔯蒿湯証が存在することがとても多く、様々な領域の疾患に応用が可能です。

 それゆえ、まだ確実には証明されてない花粉症にも茵蔯蒿湯単独でも効果があったのであれば、大変うれしい御報告となります。
 最近は舌の奥に黄膩苔があるタイプの後鼻漏にも他薬との併用で効果が増強されることが証明されつつあるところです。

 その点で、苓甘姜味辛夏仁湯の併用の有無を知りたい訳です。
 ご面倒でも、お返事賜りますよう、お願い申し上げます。

 ここ10年近く、これまでの専門書にも記載されなかった茵蔯蒿湯の適応範囲が広範であることに気付き、応用領域の広さと限界を研究している最中で、猪苓湯に次いでライフワークともなっている処方です。

 貴重な御報告、またブログで利用させて頂けることを嬉しく思います。


折り返し頂いたメール: これまで鼻水ダラダラのときに使用していました鼻水の救急薬119番 苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)は使用しました。

 ただし、ひどいときに一度だけで、それも茵蔯蒿湯を使用するまえのことです。お返事まで。

 茵蔯蒿湯は結構良薬かもしれません。古人の知恵に深く感謝しています。脳の思考力はかなりアップしてきました。

2008年03月05日

黄砂か花粉による鼻炎症状に対する漢方薬

ご質問者:東海地方の内科医師

 中国からの黄砂のせいか、花粉のためか、大量の鼻水とくしゃみの連発、頭のボーとしたのぼせ感を覚え、思考力も低下傾向にあります(病気のせいにしてはいけないかもしれないのですが、笑)。

 最近比較的落ちついていた血圧も普段より高い傾向にありまして、便秘で、舌は微妙に黄色苔がのっているのかなといった感じです。
 現在の服薬は釣藤散、八味丸です。

 アドバイスをお願いできれば幸いに存じます。


お返事メール:私も血圧が安定したつもりで、釣藤散の服用を怠っていたら、午前中に気が抜けないご相談が続いた後、後頭部の気色悪さと伴にふらついて急な血圧の上昇がありビックリしました。
 その後は、釣藤散・辛夷清肺湯・八仙丸・茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)・猪苓湯・牛黄製剤の併用で落ち着いて来ました。幸い花粉症はいまだに無縁です。

 大量の鼻水とクシャミを一時的でも止める速効の可能性が高いのが、藿香正気散(カッコウショウキサン)です。医療用漢方には採用がありませんが、松浦薬業やイスクラなどで製造発売され市販されています。
 頓服使用で多くは一時的に治まり、連用の必要はありません。

 それ以外では、ご存知「小青竜湯」ですが、これは高血圧にはとても悪影響しやすい方剤ですし、とても野蛮(苦笑)な漢方薬です。

 黄色い苔が存在するときには、便秘のことも考慮に入れ、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)も併用されることをお奨めします。血圧にも有効ですし、また最近、この方剤をメイン方剤(辛夷清肺湯や八仙丸・天津感冒片など)に加えて頑固な後鼻漏の治療にも最近成功しつつあります。

 茵蔯蒿湯は実に素晴らしい処方です。舌の奥に黄膩苔の傾向が僅かでもあれば、絶好の条件となります。但し、花粉症に対する有効性は不明です。

 「大量の鼻水」が無色透明な水様性であれば!という条件付ですが、高確率で一時押さえには藿香正気散(カッコウショウキサン)がとても有効ですが、連用すると粘膜を乾燥させ過ぎる場合があります。

 それ以外の保険採用漢方で敢えて考えれば、以前、先生ご自身がご報告下さったこともある「苓甘姜味辛夏仁湯」ですが、これとて多少とも高血圧には悪影響する可能性もありますが、半分量ならまず大丈夫だと思います。


折り返し頂いたメール: さっそくのお返事ありがとうございます。
 患者さんへの漢方の方剤の選択にあたっては、気効力の停滞は死活問題です。減少しつつある脳細胞の働きにがんばってもらわないといけませんので(一例一例おなじ方剤でいける場合はほとんどなくてその都度フルに脳に回転してもらわないと患者さんのご期待に応じきれないようですので。脳の回転がよくなるものがもしあればまたお教えください。笑)、期待して茵蔯蒿湯・苓甘姜味辛夏仁湯あたりで試みてみます。
 大変ありがとうございました。感謝です。


ヒゲジジイの悪乗りアドバイス:
 「脳の回転がよくなるものがもしあればまたお教えください」
に対するお返事です(苦笑)。

 決して推奨するわけにはゆかないし、極めて不謹慎ではありますが、我が村田漢方堂薬局ではお馴染みさんの常識となっているのが、ヒゲジジイの「哲学の煙」です。

 漢方相談の途中に中断して、奥の台所の換気扇の下で一服することで、しばしば素晴らしい処方が頭に浮かびます。
 「哲学の煙」の薬効に勝るものはありませんっ!

 かくして我が寿命を縮めながら、多くの患者さんたちへ「命の切り売り」をしている毎日なのです(涙笑)。


折り返し頂いたメール: 哲学の煙はちょっと
 小生は気管支が弱いものですから、「哲学の煙」は使用困難です。
 日々の自己犠牲的なお仕事ご苦労さまです。

2007年11月29日

漢方専門クリニックに1年通って治らないアレルギー性鼻炎

性別 : 男性
年齢 : 10歳〜19歳
簡単なご住所 : 関東地方
具体的な御職業 : 中学生
お問い合わせ内容 : 現在中学●年生1?歳です。
 二歳の時より通年でアレルギー性鼻炎があります。年中透明の鼻水と鼻詰まりがあります。頭痛などはありません。
 小学生のときに慢性蓄膿だが軽いから手術は必要ないが、よく鼻をかむようにと耳鼻科で指示されました。

 中学生になり部活で外にいることが増え辛いので漢方を専門にしているクリニックにかかり抗アレルギー剤とともに、葛根湯加川きゅう辛夷(ツムラ2番)荊芥連翹湯(ツムラ50番)を一袋ずつ日に三回服用して一年になりますが、鼻つまりこそ無くなりましたが、季節により、のべつまくなしの透明の鼻水に悩んでおります。
 医師にそのように言っても季節はしょうがないね。で終わりです。このまま服用していいのでしょうか?


お返事メール: アレルギー性鼻炎で1年間、葛根湯加川芎辛夷(ツムラ2番)荊芥連翹湯(ツムラ50番)を服用されていても、治っているのは鼻づまりだけで、季節によっては常時、透明な鼻水が出続けるということですね。
 貴方が疑問に感じられるとおり、漢方薬の組み合わせにどこか根本的なズレがあるのは間違いありません。

 少なくとも無色透明でサラサラした水様の鼻水が流れ出るようであれば、しかもその量が多ければ多いほど、その時期だけでも乾燥性の漢方薬を使用すれば対症療法的にも症状を消すことは可能です。
 多くは藿香正気散(カッコウショウキサン)を服用すれば、1〜2回服用するだけでも一時的には治まります。(稀にこの処方では止まらずに、小青竜湯を使わないと止まらない場合もありますが、葛根湯加川芎辛夷の中で比較的作用のきつい成分、麻黄(まおう)とダブりますし、細辛(さいしん)という峻烈な薬味も含まれますので、胃腸にも良い藿香正気散を用いるのが無難です。

 この藿香正気散は保険漢方のエキス剤には存在しませんが、漢方薬局ならどこでも置いているはずです。
 ただこの藿香正気散も、人によっては連用し過ぎると、食欲増進にはなるのですが、乾燥性が強いので、乾燥させ過ぎない程度の対症療法的な使用方法を取るべきです。
 根本的な体質改善の漢方薬となると、現在1年も服用されている配合は、明らかにズレがありますので、真の漢方の専門家をお近くで探して、臨機応変に状況に応じて処方を変えてくれるこまめな病院か薬局を探された方が良いと思います。
 
 1年も続けてその調子でしたら、おそらくいつまで続けてもなかなかアレルギー性鼻炎は治りそうもないように思われます。
 根本的な体質改善のために、どのような配合がよいかは綿密な弁証論治が必要ですので、ネット相談やネット通販を利用するのではなく、直接通えるところでみてもらうべきです。

 以上、取り急ぎお返事まで。

2007年11月27日

一定レベルを超えると単方だけでは無理がある

 からの御質問
性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
簡単なご住所 : 近畿地方
具体的な御職業 : システムエンジニア
ご意見やご質問をどうぞ : 長年、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎を患っています。
 症状は色々ありますが、今一番辛いのは耳の違和感・痛みです。(耳の奥の筋肉を引っ張られているような、つねられているような、炎症を起こしているような、詰まったような。)
 耳管開放症、耳管閉塞症を疑ってみましたが、検査の結果はどちらでもないようでした。

 耳鼻科での治療はどれも効果なく、耳鼻科医も「あなたの蓄膿は軽度ですよ」と、私がどれだけ症状を訴えても軽くあしらわれてしまいます。
 現在は漢方内科で辛夷清肺湯を処方してもらい3ヶ月程になります。最初の2〜3日は若干鼻がスーっとする感覚があったものの、以後そういった感覚もなく、耳の症状は少しずつですが増す一方で、先生が「3ヶ月飲んで変化が無いなら、このまま辛夷清肺湯を飲み続けてもおそらく変わらないだろう。葛根湯に変えてみましょうか?」といわれました。
 こちらのブログを拝見していますと、もっと長く続ければ良くなるかもという期待をしてしまい、先生に「もうちょっと続けてみたい」と申し出ました。でも、正直、不安です。

 私はアスピリン喘息があるので鎮痛解熱剤は禁忌で、昔、風邪気味の時に売店で売っていた●●●●の葛根湯ドリンクを飲んだら、数時間後に息苦しくなった経験があり、葛根湯が怖いというのもあります。
 もう、本当に治したくて治したくて、たまりません。
 アドバイスを頂ければ幸いです。


お返事メール:拝復

 辛夷清肺湯が合う体質と葛根湯が合う体質は、ときに紛らわしいことがありますが、病性において寒熱の違いがあります。辛夷清肺湯は熱性炎症に有効で、葛根湯はどちらかというとカタル性炎症で、冷えで憎悪するタイプです。
 慢性副鼻腔炎がある体質であれば、葛根湯では多くの効果は期待できない可能性が高いと思います。ましてや、過去、葛根湯ドリンクを服用して息苦しくなるような人が葛根湯を服用するのは危険です。喘息の発作止めにも使用されるエフェドリンの製造原料となる麻黄(マオウ)が含まれています。麻黄は適応を誤ると体質によっては副作用を生じる場合が稀にありますので、二度と使用されない方が無難です。

 耳と連動した副鼻腔炎の治療薬としては荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)などもあり、辛夷清肺湯や葛根湯が専売特許というわけではありません。

 ここからが最も大切な話ですが、多くの疾患で病状が一定レベルを超えると、いくらピントがあった漢方薬でも単一処方だけでは一向に解決が付かない場合も多いという現実があります。
 上記のいずれかの処方が病状と体質に合っていたとしても、その一つの処方だけでは既に治療はできないレベルの頑固な慢性化状態に陥っている場合は、それに付随する様々な問題点を同時に平行して解決できるほかの漢方薬方剤を併用しなければ、治っていかないことが多いということです。

漢方相談のご案内

このページにも記載していますように、
何種類の漢方薬が必要か?

 『中医漢方薬学』では、病気を解決するための漢方薬の組み合わせの法則(配合法則)として、
 @病気の直接的な原因となっている「内外の病因」を除去する漢方薬。
 A五臓六腑の機能を調整する漢方薬。
 B体内に流通する気・血・水(津液)・精の疎通あるいは補充を行う漢方薬。

という三方面の漢方薬を配合することが鉄則となっています。

 一般的な病気では、この三方面の働きを2〜3種類くらいの漢方製剤でまかなえることが多いのですが、成人病や難病では内・外の病因が複雑化しており、五臓六腑の機能失調の状況や、体内を流通する気・血・津液・精の盈虚通滞(量的に過剰か不足か、流通が過剰が停滞かなど)における病理現象が複雑化していることが多いため、3種類以上の漢方製剤が必要となることがあります。
 もしも、この必要不可欠な配合を無理に節約すると、治せる病気も治せないことになります。
 以上のことから、最後にアドバイスできる部分があるとすれば、10日ごとに通えるような経験豊富な漢方専門家(医師であれ薬剤師であれ)のところで、治療を受けるべきだと存じます。
 つまり、辛夷清肺湯や葛根湯など、一つの方剤ばかりで治療を試みる限りはいつまでも治らないかもしれないからです。真の専門家ならそのような単純な考えは持たないはずだからです。
 以上、取り急ぎお返事まで。

2007年11月06日

当然のことながら慢性副鼻腔炎はすべて辛夷清肺湯で治せるとは限らない

性別 : 男性
年齢 : 60歳〜69歳
簡単なご住所 : 関東地方
お問合せ・ご連絡内容 : 慢性副鼻腔炎の治療についてご教示ください。
 症状:風邪を引くとすぐに喉を傷め、軽くても一進一退で治りません。
 耳鼻咽喉科の診断で慢性副鼻腔炎による悪い鼻汁の下降によるものとなり、鼻を治すことが必要とのことです。

 治療:漢方の辛夷清肺湯を服用することになりましたが、胃腸の調子を途端に悪くしました。それで分量を減らしたり、食後に飲む等の工夫で続けるか、全く別の漢方薬に替えるか迷っております。以上ご教示のほど、よろしくお願い申し上げます。


お返事メール:軽度の慢性副鼻腔炎のために細菌が蔓延した後鼻漏が常時、知らず知らずに咽喉部に落ちて、それが原因で年がら年中風邪を引いている人が意外に多いものです。この場合の風邪はウイルス性ではなく、鼻が原因の細菌性の風邪ということになります。(追記:咽喉腫痛を繰り返す原因が微量に降りる後鼻漏中の細菌だということ

 しかしながら、貴方にとって辛夷清肺湯が本当に適切なものかどうかは分かりませんが、服用量を減らして食後に服用しても、それでも胃腸の調子が悪いようでしたら不適切ということになります。

 但し、辛夷清肺湯とともに併用すべき方剤が欠けているために胃障害が生じているばあいもあり得ます。辛夷清肺湯が適切な場合でも、さらに他方剤も併用すべき体質であった場合には、辛夷清肺湯だけでは却って胃に障るということもあり得る、という意味です。

 どのように工夫しても辛夷清肺湯が胃に障るようでしたら、もっと適切な方剤に切り替えてもらったほうが無難です。

 なお、辛夷清肺湯が適切な場合ですら、辛夷清肺湯単独だけでは慢性副鼻腔炎を一定レベル改善するには覚束ない場合も多々あります。

 漢方薬の知識の深い専門家にご相談され、7〜10日毎に頻繁に通われて微調整を繰り返しながら適切な漢方処方の組み合わせを指南してもらうべきかと存じます。

2007年09月02日

後鼻漏・耳鳴りなどの漢方薬の御相談

性別 : 女性
年齢 : 70歳〜79歳
ご職業 : 主婦
簡単なご住所 :近畿地方
お問い合わせ内容 : はじめまして一度は貴薬局へ伺わなくては 相談していただけないらしいということは、先生のホームページに書かれていられますね。
 しかし私は娘がつとめていて孫を見ていますので平日は出られません。娘は勤務を始めて2年ほどなので休むのも困ると思います。
 できるだけ詳しく書きますので ご判断いただけないでしょうか。お願いいたします。

 慢性的な鼻炎で困っています。
〈主訴〉1)後鼻漏 特に早朝 白い透明な鼻汁 微量 鼻の慢性的炎症感(口内上顎)、鼻づまりはない、
    2)数年前から風邪を軽く見ていると耳が響くようになり人の声も辛くなるほどの耳鳴り、
    3)今年の夏風邪のあと咳が出やすくなり微量だが咽に痰が絡む 〈経過 症状〉1)10年以上は鼻も耳も時々調子が悪くなったが、 04年秋黄色い鼻汁の鼻風邪から鼻耳の風邪を繰り返す(風邪を引くとめまい)

 2005年1月副鼻腔炎 ・・・・・病院CTでかすかに影があり副鼻腔炎と言われた。1月〜10月ルリット、ムコダインを服用10月 CTで治癒と診断。
 治癒といわれたあとも後鼻漏は続く(朝起きた時のみの場合もあるが) 風邪を引きやすく、風邪を引くと黄色い鼻汁、鼻(口腔上顎の炎症感 多分咽も赤かった)の炎症感。ひどくなると耳がボーンとなってきて 音が響き渡る 人の声も辛く ラジオなどもってのほか ・・・早めに消炎剤(レフトーゼ)抗生物質などを使ってしのぐ・杉花粉アレルギー(ひどくはない)・鼻づまりなし ・首がこる ユベラ

〈既往症〉1)10代 盲腸摘出  
     2)32才 帝王切開のあとの腹膜炎で2回手術
     3)アミラーゼ値高く(910〜300〜200 IU/L 50〜180) 膵炎の治療を2-3年続けたが今は何もしてない。アミラーゼ値は体質的なものかもしれないという結論。耳鼻科、婦人科の検査では何も出ない。
     4)1992.4 胆嚢摘出、十二指腸潰瘍あり5)1992年8月 疲労と吐き気 GOT,GPT高値 強力ミノファーゲン3ヶ月点滴 それ以後GOT GPTは安定していて30以下だが  C型ヴィールス 4.3MEg/ml はなくならない。
     5)一般血液検査:成人病検診 年一回と風邪などの時の血液検査で常に年2回ほど検査しているが特に異常なし   
     6)2〜3年まえから膝痛7)2007.8 骨塩量検査 若い人の63% 骨粗鬆症の薬ベネット錠を飲み始めた。

〈最近の風邪〉07.7月ひどい咽の痛みで目が覚め 一回分の銀翹散しかなかったが飲んだらひどい咽痛は収まったが 風邪症状がでてきた。黄色い鼻汁 咽痛 熱はない 36.5度( 熱を出す体力もない?)フロモックス レフトーゼ ムコダイン 3日では治らない 続いて咳風邪になり、 アベロックス+銀翹散(服用して3時間ぐらいだったか?を加えて楽になった)+辛夷清肺湯5日でやっと治った。

 銀翹散は先生のホームページで初めて知った。近所では売ってないのでネットで〇〇〇〇のを買った。風邪を引いたとき特に今回は鼻汁が後鼻漏として絶えず出る。はじめ黄色 あと白色透明 時に泡状。

 (身長1//cm //Kg 血圧128-80)冷え性 顔色は白い 年取ってやや日焼け黄色だが先生によって 中間証といわれる方と 虚証の薬を主に下さる先生あり。
 年齢から言って完全は期待できないかもしれませんが 風邪を引きやすいのと耳鳴り(?)がひどくなるのと 今唯一の楽しみ コーラスができなくなるのは悲しいので何とか改善したいと思います。

〈質問〉1)試してみたいと思っているが辛夷清肺湯が適応か?
2)銀翹散 辛夷清肺湯を使うとして量とだいたいどのくらいの期間
3)副鼻腔炎(?)がおよそ治ったと判じるときは?
4)そのあとの体質改善に必要な薬(先生の書かれているのではやはり銀翹散と辛夷清肺湯?と中草薬でしたね中草薬はどんなものでしょうか?)
5)副鼻腔炎の治療と体質改善の時の薬の量誠に厚かましいですが 教えて頂けませんでしょうか。
 さらにお薬も送っていただけたら有り難いのですが。よろしくお願い申し上げます。


お返事メール: 後鼻漏などで大変にお困りのご様子。
 副鼻腔炎にともなう後鼻漏は通える範囲内の人で、根気さえあれば寛解可能です。
もしも原因が副鼻腔炎ではなくカタル性鼻炎による後鼻漏で水溶性であれば比較的寛解しやすいのですが、粘りの強い後鼻漏であればかなりな難治性です。

 ところで、貴女は銀翹散製剤 と 辛夷清肺湯と中草薬で治るものと思われておられるようですが、それほど単純なものとは限りません。

http://ryukan.seesaa.net/article/36953954.html

ここにも書いていますが、副鼻腔炎が原因の場合でも体質と症状に応じて様々なバリエーションがあり、銀翹散製剤と辛夷清肺湯と中草薬などに限定できるほど甘いものではありません。
 また、失礼ながらご年齢のことも考えれば、地元で通える範囲の漢方専門薬局で気長くピントを合わせてもらうべきです。

 このようなメールだけで処方が決まれば苦労はありません。それが簡単に出来るのなら、メールや電話相談だけでバカスカ安易に漢方薬を売り付けて、荒稼ぎが出来ることでしょう!(それをやってるところも意外に多いようですが←・・・苦笑)

 冗談はさておき、是非、地元で通える漢方薬局を見つけて下さいませ。
 付随する症状から考えましても10日毎くらいに通って、様々な配合上の微調整が必須であることが目に見えていますので・・・


折り返し頂いたメール: 深夜遅く 早速のお返事ありがとうございました。

 銀翹散という薬は先生のホームページで初めて知って おどろきました。
 なんと有り難い薬!!!

 辛夷清肺湯は繰り返し出てくるので 副鼻腔炎と仮定して使ってみたいとメールしました。

 おっしゃるとうり簡単なものではないですね 焦らず良い漢方薬局を探 してみます。
 有り難うございました。


【編集後記】 銀翹散製剤は各社で製造されているが、効果に多かれ少なかれ優劣があるので注意が必要だ。メーカーによっては精油成分がほとんど消失しているものもある。
 村田漢方堂薬局で様々なメーカーを吟味して愛用しているのは、イスクラの天津感冒片涼解楽である。錠剤と顆粒の違いがあるが、それぞれに用途があって使い分けている。

 なお、漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱 でも更新しているのだが、こちらは訪問者の人数の割にはクリック数がまったくないのだった(苦涙)
ラベル:後鼻漏 耳鳴り

2007年08月09日

昨日は兼好法師の真似して自画自賛をやってみたけれど・・・

 昨日のブログでは卜部兼好(うらべのかねよし)さんのまねして自画自賛をしてみたものの、外見の豪華・豪勢なクリニックや壮麗な漢方薬局に対するコンプレックスの反動による漱石枕流・自画自賛に過ぎないのだろう。
 二泊三日以内に多少とも漢方薬の効果を感じてもらえることは、何度自慢しても自慢し過ぎではないほど(笑)実際に数多いのだが、もちろんヒゲジジイにも弱点がないわけではない。

 心(こころ)の病の御相談で来られた場合にはそうも行かない場合もあり、また一部の後鼻漏の悩み、蓄膿症が原因ではなく(蓄膿症が原因ならそれほどの苦労はないが)、鼻閉塞などをまったく伴わない透明で粘稠な後鼻漏の場合は、西洋医学は勿論、各地の漢方薬を歴訪して治らなかった人が多いだけに、流石にヒゲジジイも頭を抱えているケースばかり。

 その点、アトピー性皮膚炎の多くは三日以内に速効を得た場合も多いし、それほどでなくとも僅かな効果は三日以内に出していることがほとんどなのである(喜笑)。
 といっても、帰宅されて以後も、しばらくは複雑な微調整に頻繁なメール交換を必要とすることはほとんどだから、アトピー性皮膚炎は決して侮れないものの、互いの根気さえあれば過去の経験例は膨大であるから、完全緩解の確立はとても高い。

 実は現時点でのヒゲジジイの弱点は、一部の後鼻漏と心(こころ)の問題の御相談ということが言えそうだ。
 ただ、前者の場合、どこへ行っても治らないので、ヒゲジジイのところで治るまで頑張るとおっしゃる奇特な人達が複数おられるので、この方たちが治ってくれるまでは、この世にもあの世にも逃亡できない苦汁の日々が続くのだった(苦苦苦涙)。

 心の病については、漢方薬で一定レベル改善されても、一部の人は病院から出される向精神薬の減量や廃薬に困難な人がおられる。
 この点では、ステロイド依存の強いアトピー性皮膚炎の人が、比較的スムーズに離脱できるのと好対照である。
 アトピーでは順調にステロイド離脱が比較的短期間で可能になる人がとても多いのに比べ、心の病の向精神薬ときたら、一部の人では離脱がなかなか困難なのである。

 ちょうどヒゲジジイの哲学の煙のように!

2007年05月16日

副鼻腔炎で荊芥連翹湯連用中の男性から折り返し頂いたメール(地元の漢方薬局遍歴史)

5月9日のブログ副鼻腔炎(蓄膿症)と胃弱 ━ 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)の効果と副作用? の続き。関東からお問合せされた男性からの折り返しのメール

 早速のお返事、また、ご教示まことにありがとうございました。
 調子の悪かった時により、思うままの乱文、推敲もせず失礼をいたしました。

 最近、荊芥連翹湯(エキス剤)の効きが甘くなってきており、また、毎年、梅雨の時期が一番調子が悪い(後鼻漏の量がひどい)し、昨年は、カビアレルギーを発症してしまいました。
 どうも、このまま荊芥連翹単方では、乗り切れそうもなく、ご相談さしあげた次第であります。

 ●●のこのあたりの大抵の漢方薬局は訪問しているのですが、村田さんのおっしゃる「常識」を持った「専門家」がいるのかどうか疑問なのです。

(1)単方のみ 最低1ヶ月単位でしか出さない店  荊芥連翹湯で効いていたのににきびが出る(正常な排膿作用?)というと、半夏瀉心湯単方1ヶ月に変えられ、ひどい胃痛・下痢。

(2)処方「名」を教えてくれと頼んで、やっと、生薬の羅列のみ教える秘密主義?の店

(3)他店の辛夷清肺湯を飲んでいるというのに、真武湯を処方され、ひどい下痢になった店

(4)花粉症だというと、全員に、「衛益+鼻淵丸」を処方して、星火健胃併用で飲み慣れてきたころに、五苓散(ごれいさん)に変えられ、手がしわしわ(正常なところから駆水?)になって、胃腸薬は必要だから、星火健胃or五苓散 どっちか好きな方飲んでと、それ以上微調整の提案がない店(この店は、市内の中医薬会員店では、一番期待していたのですが・・・・・・)

 このような感じで、この辺りの漢方薬局では、先行き不安なので、ご相談差し上げた次第です。

>  「荊芥連翹湯が一定レベル効果があるなら、それ相応の胃弱をカバーする方剤を併用すべきです。」

 こういうことを、わかっている「専門家」がいるかどうかということが、たとえ、●●近都県まで範囲を広げたとしても、見つかるか、ということが疑問だし、不安なのです。

 ただ、煎じ薬 なら自信を見せている店があるので、現状そこに賭けるしかないのかもしれません。煎じ薬 の効きを自分でも試したいと思っていたところです。
 当然、このあたりの「常識」では、「相応の胃弱をカバーする」合方はなく、単方になると思いますが。。

 ありがとうございました。
 今後ともよろしくお願いいたします。


【編集後記】=ヒゲジジイの感想文 (1)の方剤中、半夏瀉心湯の配合薬物中の乾姜には大いなる問題があり、
http://cyosyu.exblog.jp/i37 このページもあるように、正しい乾燥生姜を用いずに、ワイキョウやホウキョウもどきの飴色に蒸した乾燥生姜とは似て非なるものを使用する錯誤が常識化している日本国内の漢方製剤そのものに問題があり、これが原因による副作用ということも考えられなくはない。 

(4)のような薬局さんでも、服用者がもっと食い下がって熱意をみせれば様々な微調整をやってくれたかもしれない。もしかすると御本人の浮気性が半分は原因で、少しでも信頼出来そうな薬局さんで腰を据えようとされないことも問題なしとしない。
 現実にこのような渡り鳥の患者さんが回って来れられることが当方にもあるが、あまり定着できたケースは少ない。

 文字通り「石の上にも3年」というように、かなりこじれた一定レベル以上の慢性疾患が、真の意味の8割以上の緩解を得るまでには、村田漢方堂薬局では3年以上かかったことはザラにあるし、慎重な人達は、8割以上緩解の後でも3年以上あるいは5年以上も念を入れて続けた人もザラにある。
 このように慢性疾患の根本的な解決を行うには「石の上にも3年」という覚悟がない人は、真の意味の体質改善は行えないように思われる。(これを読んで落胆される人は、一定の経費を要する自費の漢方には手を出さないほうが良いだろう。
 もちろん軽症者の場合は、この限りではないが・・・

 とりわけ重要なことは、一定レベル以上の慢性疾患では、滅多なことでは単方(一つの漢方薬方剤)だけで8割以上の緩解あるいは治癒を得ることは、ホトンド不可能に近いということである。
 最低でも2〜3処方が必要である。
 その根拠は、
漢方と漢方薬の御案内 にあるように、
 『中医漢方薬学』では、病気を解決するための漢方薬の組み合わせの法則(配合法則)として、
 @病気の直接的な原因となっている「内外の病因」を除去する漢方薬。
 A五臓六腑の機能を調整する漢方薬。
 B体内に流通する気・血・水(津液)・精の疎通あるいは補充を行う漢方薬。

という三方面の漢方薬を配合することが鉄則となっています。

 一般的な病気では、この三方面の働きを2〜3種類くらいの漢方製剤でまかなえることが多いのですが、成人病や難病では内・外の病因が複雑化しており、五臓六腑の機能失調の状況や、体内を流通する気・血・津液・精の盈虚通滞(量的に過剰か不足か、流通が過剰が停滞かなど)における病理現象が複雑化していることが多いため、3種類以上の漢方製剤が必要となることがあります。もしも、この必要不可欠な配合を無理に節約すると、治せる病気も治せないことになります。
とある通りである。


2007年05月13日

アレルギー性鼻炎の漢方薬

性別 : 男性
年齢 : 20歳〜29歳
簡単なご住所 : 関東地方
具体的な御職業 : 大学生
お問い合わせ内容 : はじめまして
 私は、ずっと前からアレルギー性鼻炎に悩んでいます。
 外服薬やレーザー手術を受けましたが全く良くなれませんでした。とうとう、治すことをあきらめるようになってしまいました。
 でも、来年から仕事に励むためには絶対に治さないといけないと思い今回相談させてもらっています。
 なんとか治す方法はないのでしょうか?
 お返事心よりお待ちしております。忙しいところすみません


お返事メール:もちろんアレルギー性鼻炎は漢方薬でしっかり治すことは十分可能です。むしろ得意分野と言ってよいほどですが、完全緩解の状態まで体質を変えるには相当な根気が要ります。
 さしあたりの症状を消すことも、うまく行けば一月もあればかなり軽くなります。
 昨年、漢方を始めて明くる日には症状がホトンド止まってしまった人もいました。
 運よく速効が出たからといって、直ぐに止めると、当然多くは直ぐに再発します。
 本当に体質を改善するにはとても根気が要ります。少々症状が軽くなっても根気良く続けて、おそらく数年以上は続けないと真の意味では体質は変えられないかもしれません。それほどアレルー体質のいうのは一朝一夕では変えることが出来ないようです。

 但し、何度も書きますが、症状自体はうまく行けばかなり短期間に改善することが出来るということです。
 何事も、石の上にも3年という言葉通りかもしれません。

 ネットで当方のサイトを見つけられたように、多くのサイトでアレルギー性鼻炎を「売り」にしているのをきっと貴方はご存知のはずです。
 以上、取り急ぎお返事まで。
                      頓首


折り返し頂いたメール:お返事ありがとうございました。
 是非、村田漢方の漢方で体質改善に取組みたいのですが
 どうしたらよいでしょうか?
 どうしても治したいので


ヒゲジジイのお返事メール:拝復
 関東はあまりに遠すぎます。まさか下関に何度も通うことも出来ませんので、お近くの漢方専門薬局に通い詰めるべきです。
 アレルギー性鼻炎はありきたりな疾患です。漢方では比較的得意分野でもありますので、地元の信頼できそうな専門家を探して、直接通い詰めるべきです。体質改善には数年はかかるつもりで頑張ることです。
 但し、自費の漢方は多少とも経費がかかるかもしれません。自費である分、必要に応じてかなり自由で豊富な漢方処方が使える筈です。
                頓首

折り返しのメール:はい!探してみます。
 色々とありがとうございます。


【編集後記】 まったく同様な悩みで春の就職前に、子供の頃からの鼻づまりと後鼻漏などに悩んで仕事に差し支えるからと来局された人に、辛夷清肺湯(体質によって方剤は異なるが)と体質改善三点セットでグングン改善して喜ばれているが、服用を1日朝晩2回に限定している為に、日よってはぶり返すこともある。やはりピントが合っていても服用回数を怠ると、効果が激減する日があるのも止むを得まい。

 また、同じことをどこかのブログで書いたかもしれないが、昨年、九州から関東地方に転勤になった人が、赴任して以後に発症し次第に悪化の一途を辿り、堪らず通院治療するも内服薬がもろに応えて、その割には一向に改善されず強度の鼻づまりとクシャミ・鼻水など、初秋の土曜日の午後、Jリーグ観戦中?に電話がかかり、苦しくて会社にいけそうもないひどい鼻声に、直ぐに体質改善三点セットを送ってあげると翌日にはピタリと症状は雲散霧消した。
 もともと他の目的で数種類の漢方処方を連用中の人であり、数年前には直接何度も通って来られた人であったから、運よく即座に対応できたのである。現在も体質改善を行うべく従来の方剤とともに連用中。

 九州から関東に赴任した途端にアレルギー性鼻炎になるなんてっ! よっぽど関東の空気は汚れているんでしょうねっ、きっと!

 ともあれ村田漢方堂薬局のヒゲジジイは悪趣味?だから、西洋医学治療はもちろん他所の漢方専門家に通い詰めても治らず、困難を極めて心底困り果てた人達の病気が治ってもらうのを最も得意というか、生き甲斐としているものである(笑)
 それゆえすべてがスムーズに解決出来るわけでもないが(時に四苦八苦して逃亡したくなる時もあるものの・・・)、服用者の不屈の信念と根気さえあってくれれば、ほとんどのケースを8割以上の緩解に導けたという過去の実績を頼りに日々奮闘しているのである。
 時に根競べになることも無いわけではないので、途中でアッサリ諦められれば万事休すというわけである。
 相変わらず9割以上は実現しているつもりであるが、残りの1割未満の人の中には、意外に短期間に途中でアッサリと諦め、ヒゲジジイの前から逃亡するのである(涙)