2019年09月20日

ネフローゼの再発で、入院治療を受けたら、ますます浮腫が悪化するのはなぜか?

 10年近く前、ネフローゼで休職していた間に、数種類の適切な漢方薬によって、社会復帰が可能となり、夜勤の多い医療関係の仕事も難なくこなせるようになっていたのが、今年になって夏の暑さが応えたのか、下半身の浮腫が目立つようになり、尿蛋白も目立つようになった。

 浮腫に効果のある漢方薬の追加で、やや浮腫は軽減したものの、休職して安静を保てる入院加療が無難であるとの説得で、久しぶりの休職。

 ところが、入院中の点滴治療が行わる都度、やや軽減していた下半身の浮腫がますます増加し、半月足らずで5〜6Kgも増加し、蛋白尿だけは僅かに減ったものの、アルブミンはますます下がり、クレアチニンは幸い0.9⇒1.0程度の増加であったが、不審な治療に不安を覚えて、相談の電話がかかって来たのだった。

 熱中症の治療ではあるまいし、点滴治療は、疾患内容によっては、土左衛門(どざえもん)にしかねないという老人医療の専門医が述べられていたが、高齢者ではない、中年層や若い世代でも同様だろう。

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2011年9月20日の茶トラのボクチン(7歳)
2011年9月20日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母
ラベル:ネフローゼ 浮腫

2019年03月02日

高齢者の急な腎機能低下の問題

2011年03月02日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年03月02日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 先日、88歳になる男性が、2年ぶりにやって来られた。

 2年前まで、アルコールが原因で発した肝硬変で7年間、多種類の漢方薬で基本的に検査数値がしっかり改善して諸検査がまったく正常となっていた。

 クレアチニンはやや高いながらも、1.2前後で常に安定していたのだが、少し気になるところではあった。

 2年間ご無沙汰となっていたのは、肝硬変がほぼ完璧に寛解したのと、そのころ、心筋梗塞を疑われる症状から、西洋医学治療に専念されることになり、現在も数種類の医薬品が投与されている。

 突然、久しぶりにやって来られたのは、今年になって、いままで正常になっていた肝機能が急に、GOTとGPTいずれも正常値の上限の2倍近くに上昇したのだという。

 おまけに、少し前まで1.2前後で安定していたはずが、クレアチニンの方も1.57に上昇したのだという。
 症状としても夜間多尿がやや顕著である。
 
 急に肝機能も腎機能にも異常が出たのは、何が原因だろうか?と主治医に問うと、「原因はわからない」といわれたというが、投与されている循環器系の医薬品が多少とも影響している可能性が高いはずだが、心臓のためにはやめるわけにはゆかないのだろう。

(但し、急な多臓器不全を生じるようなことがあれば、多臓器不全の直接原因は急激な腎機能低下によるものなので、使用中の医薬品をすべて中止するのが、命を救うほとんど唯一の手段だということが臨床的に証明されていると、NHKのBS1で繰り返し放送されている。)

 また、主治医からは、腎臓に効く薬はないと言われ、そのことが恐ろしくなって、2年ぶりに漢方薬を再開したいと思ってやって来られたのだという。

 「あのまま漢方薬をやめないで続けておけばよかった」と後悔されているが、まだ今なら十分間に合う可能性があるので、最低限でもこれ以上の悪化を食い止めれば大丈夫だからと慰めたことだった。

 そこで、まずは当時も使用していた牛黄含有製剤と茵蔯蒿湯の2種類のみではじめて、それほど遠くでもないので、10日毎に通ってもらうこととした。

 ところが2年前まで多種類だったのに、こんなに少なくてよいのかと怪訝がられるので、久しぶりの漢方薬だから、おいおい様子を見ながら、絶対に必要と思われるものから、順次本当に必要と判明した時点で徐々に増やしていくのだから、急がば回れですよと、説得したのだった。

 2年ぶりのブランクと、心臓の持病との兼ね合い、それ以上にかなりなご高齢(といっても頭脳は極めて明晰)のことも考えて、慎重にするに越したことはないだろう。

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2011年03月02日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年03月02日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2019年02月28日

明らかな腎機能低下があると、いずれは透析だ、と脅される患者さんたち

2009年02月28日の茶トラのボクチン(4歳)
2009年02月28日の茶トラのボクチン(4歳) posted by (C)ボクチンの母

 昨今、とても温厚になっているヒゲジジイは、過去のブログのようにあまりストレートな本音のブログを投稿する意欲も減退気味ではあるが、あまりにひどい話に遭遇すると、やむに已まれず書かざるを得ないのである(苦笑。

 東洋医学専門を標榜するクリニックにおいて、3種類の漢方薬を投与されながらも、次第に上昇していく尿素窒素やクレアチニン、いずれは透析ものだと常々きかされいたのに、不安と不信感から、当方に相談に来られた男性。

 こんなことまで書きたくはないのだが、投与されていた漢方薬は、実熱と虚熱が交錯する体質であるのに、温性の婦人科関連の方剤ばかりが出されており、腎機能低下とはほとんど関連性のない保険漢方の方剤ばかり。

 ほかのクリニックにかわってもらい、同時にすべての保険漢方を中止してもらって、当方の漢方薬4種類を飲んでもらったところ、20日も経たないうちに、尿素窒素もクレアチニンも少しずつ下がっており、ご家族からも顔色がとてもよくなっていると喜ばれている。

 我が薬局では、「いずれは透析だよ」という脅しともとれる主治医の言葉を恐れて、漢方相談に来られる腎臓疾患の人達はあとを絶たないが、よほどの重症者でない限りは、放物線を描いて急激な上昇を来す危険性をしっかり防御して、漢方薬類の長期間の服用によって、徐々に改善して正常値、あるいは正常値近辺に安定している人も多いし、そうでなくとも、それ以上悪化しないように一定のところで安定している人も多い。

 体質と病状に応じた適切な漢方薬の配合で、腎機能が低下していても、かなりなレベル改善可能なはずであるが、保険漢方を専門とするところでさえ、上記のような頼りないクリニックもあるのだから、「医師を選ぶのも寿命のうち」というのは、まったくもって真実である。

 しばしば耳にすることだが、腎不全に陥って透析が必要になった患者さんを紹介するクリニックや病院と、受け入れる病院と互いにギブアンドテイクという、もっともっと深い灰色の噂は、本当かどうかは、ヒゲジジイの知るところではない。

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2009年02月28日の茶トラのボクチン(4歳)
2009年02月28日の茶トラのボクチン(4歳) posted by (C)ボクチンの母

ラベル:腎不全

2018年11月26日

比較的高齢者に多い腎機能不全や多臓器不全を防ぐには

2009年11月26日の茶トラのボクチン(5歳)
2009年11月26日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2018年11月14日 多臓器不全で命を落とさないためには』のブログの屋上に屋を重ねる内容かもしれないが、強調してもし過ぎにはならないはずである。

 今回の内容は、合成医薬品の各製薬メーカーさんには、とても耳に痛い話だろうが、高齢者の腎機能不全や多臓器不全を防ぐには、不必要に化学合成医薬品、すなわち西洋医学で投与される医薬品を服用しないことである。市販品の鎮痛剤なども同様である。

 自身の命にとって、絶対に欠かせない必要不可欠なもの以外は口にしないこと。

 それでなくとも、高齢になればなるほど、腎機能は弱っていくのだから、世の中でよく見られるように、浴びるほど投薬される過剰親切な病院やクリニックは警戒が必要である

 漢方薬の中には腎機能を回復させる作用のあるものが、かなり存在するのだが、残念なことに、病院で投与される合成医薬品や市販薬の多くは、多かれ少なかれ、腎臓に負担がかかるものがとても多い。

 死亡率の高い多臓器不全の原因のつまるところは腎機能不全であるから、使用中の医薬品を一切すべて中止することで、多臓器不全から脱することが可能といわれる。

 だからこそ、腎機能不全を起こさないように、日頃から最も注意すべきは、頭痛薬などの市販品を含めて、不必要に合成医薬品を常用しないことである。

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2011年11月26日の茶トラのボクチン(7歳)
2011年11月26日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2018年11月14日

多臓器不全で命を落とさないためには

2011年11月14日の茶トラのボクちん(7歳)とクロちゃん(1歳)
2011年11月14日の茶トラのボクちん(7歳)とクロちゃん(1歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 多臓器不全の原因は腎機能不全であるから、それまで使用してきた合成医薬品を一時的に完全に中止すること。

 これによって、ようやく多臓器不全による死亡を防ぐことができるようになった。

 以前は多臓器不全の原因が腎機能不全であることに気付かず、そのまま医薬品を投与し続けていたために、多臓器不全による死亡をほとんど防ぎきれなかった。

 多くの化学合成医薬品が、時と場合によっては、いかに腎機能に悪影響を及ぼすものであるかの証明でもある。

 以上、BS1で『腎臓が寿命を決める』という特別版と銘打った番組の再々放送か、再々々放送かもしれないが、とにかく、腎臓がいかに大事な臓器であるのか、とりわけ多臓器不全を救う方法が、合成医薬品を一切中止することだというのである。

 この番組を見るのはこれで2度目だが、ようやく西洋医学も中医学に近づいたというお話。

 すなわち、中医学世界では「五臓の病変は究極的には腎に波及する」ことは常識であり、その逆もまた真なり、ということである。

 五臓の病変が腎に波及するしくみ  に書いているように、これらの中医学では常識的な内容が、今頃になって、ある意味、西洋医学が、ようやく追いつきつつあるということなのだ(苦笑。

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2011年11月14日の茶トラのボクチン(7歳)とクロちゃん(1歳)
2011年11月14日の茶トラのボクチン(7歳)とクロちゃん(1歳) posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:多臓器不全

2017年06月19日

繰り返す原因不明の微熱や発熱には、潜在的な腎盂腎炎を疑って対処できることも多い

2011年6月19日のボクチン(7歳)
2011年6月19日のボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母

 原因不明の持続する微熱や、突然の高熱を発し、これらを一年に何度か繰り返す人達で、病院の諸検査ではまったく異常が発見できず、したがって原因も病名も不明なまま、折々に繰り返す人達。

 病院では解熱剤を投与されるだけで、その都度、一定期間かけて、自然に治まっているものの、しばしば遷延するので、困り果てて、漢方相談に来られる。

 最近、遭遇した例でも、医療関係者ながら、他の慢性疾患で一定の効果が得られていた人が、突然、38度代の発熱に見舞われ、倦怠感と発熱以外には風症状は皆無ながら、僅かに残尿感を感じた程度。

 病院で診断を仰いだところ、対症療法として解熱剤の投与を受けただけだった。

 そこで、潜在的な腎盂腎炎を疑って、既に常用中の柴胡剤は続けながら、猪苓湯と地竜に白花蛇舌草を加えることで、即効であくる日には平常に戻った。

 本日も別の医療関係者から、同様な相談を受けた。
 すなわち、この季節になると、きまって37度の微熱を発し、熱感と軽度の寒気を伴うという。

 昨年もこの時期、同じ症状で病院を何ヶ所も受信して、何の異常も見つからず、お手上げのままで、熱があっても、ただの平熱の上昇くらいで片づけられていたといわれる。

 この女性の例も、潜在的な腎盂腎炎が潜んでいて、この季節になると再燃していることが十分に考えられるように思われる。

 蛇足ながら、古方派時代でさえ、柴胡剤+五苓散や猪苓湯の配合くらいでも、長期間の連用によって、原因不明の微熱や発熱に悩まされる女性達が、文字通り根治された人が多い。

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2009年6月20日の茶トラのボクチン(5歳)
2009年6月20日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母
ラベル:腎盂腎炎

2015年10月01日

漢方薬で体調が改善したところで遠距離の専門病院に転移癌治療のセカンド・オピニオンを求めに行ったところ

2011年10月2日の茶トラのボクちん(7歳)
2011年10月2日の茶トラのボクちん(7歳) posted by (C)ボクチンの母

 昨夜、このブログ⇒ 2015年09月30日 都会で病院に通うには健康で体力がなければ無理だ!と嘆く同年代の常連さん を書いていて、何年か前にあった残念なケースを思い出した。

 転移癌がありながらも、地元の大学病院では、持病の腎不全があるために、抗癌剤治療など、もはや治療法方はないと完全に見捨てられ、止むを得ず漢方薬によるサポートを求めて、県外から村田漢方堂薬局に通われるようになった。

 漢方薬は腎不全に有効な配合とともに、癌サポートとして扶正祛邪を配慮した配合で、クレアチニンやBUNも比較的良好に推移し、体調も安定的に推移。

 ヒゲジジイイは日頃から、まだ一度もやってないという放射線治療の可能性はないのか、近隣の放射線科で直接相談をしてみてはどうかと奨めていたのだが、他にも西洋医学的な治療方法が残ってないか、国立がんセンターに行って相談してみたいというご本人の希望。

 よせばよいのに、体力的に今なら大丈夫だからと張り切って行かれたところ、田舎の人間にとっては、都会地での歩行距離は想像以上に長距離。
 歩行距離が多いばかりでなく、階段の上がり降りが想像以上に多くて、疲労困憊。

 そこでのセカンド・オピニオンは、案の定、残るは放射線治療のみ、ということだった。

 ところが帰宅後、しばらくしてご本人から電話があり、腎不全が急速に悪化して即透析になってしまったと、涙ながらに報告される。

 透析を続けても様々な症状が取れず、一向に体調は改善しない。これでは以前のように通うことが困難。こんなことなら、関東に出向かなければよかったと後悔されていた。

 その後は、残念ながら音信不通となって、あれから何年も経つ。

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2011年10月2日の茶トラのボクちん(7歳)
2011年10月2日の茶トラのボクちん(7歳) posted by (C)ボクチンの母


 
ラベル:腎不全 転移癌

2015年04月16日

慢性腎炎に合併する花粉症で好酸球高値に対する漢方薬

2009年04月16日の茶トラのボクチン(4歳半)
2009年04月16日の茶トラのボクチン(4歳半) posted by (C)ヒゲジジイ

 クレアチニンの異常値が続き、好酸球も異常値を呈し、毎年季節的な花粉症も重度。

 休職して闘病に専念され、弁証論治によって、4種類の方剤をやや高濃度で、徹底して服用してもらうことで、クレアチニンは一年以内に完璧に正常化。
 
 社会復帰して以後も、慢性腎炎は殆ど寛解状態を維持しているものの、好酸球の好転は見られず、花粉症も季節になると勃発するが、西洋医学の対症療法でやり過ごしていた。

 本来なら、さらに衛益顆粒(玉屏風散エキス製剤)を追加すべきところ、本命の慢性腎炎の経過があまりにも良好なので、長期的な体質改善を覚悟されていた。

 数年後、仕事で過労が続く日々で、配合中の補中丸の濃度を上げると、疲労回復効果はもちろんのこと、途端に好酸球が好転して正常化。
 同時に花粉症がまったく出なくなった。

 中医学においては、薬用量の問題は、実にデリケート。

 たとえば、逆にアトピー性皮膚炎などでは、配合薬中の知柏地黄丸は通常の規定量では多過ぎて、3分の1量で他方剤とバランスがよく、多過ぎると滲出液が出現し、少な過ぎると乾燥が出て来るなど。

 葛根湯エキス製剤を常用すべきケースでも、通常の規定量では多過ぎて温まり過ぎるが、4分の1量、あるいは2分の1量で常用することで、他方剤とのバランスもよく、あらゆる西洋医学治療や漢方薬で治らなかっためまいやフラツキが軽減するなど。

 フィットする方剤でも、多ければよいというものではなく、とうぜんその逆も大いにあり得るので、適切な薬用量については、他方剤との配合バランスの問題もあるので、実に微妙である。

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2010年04月16日の茶トラのボクチン(5歳半)
2010年04月16日の茶トラのボクチン(5歳半) posted by (C)ヒゲジジイ

2010年04月16日の茶トラのボクチン(5歳半)
2010年04月16日の茶トラのボクチン(5歳半) posted by (C)ヒゲジジイ

2011年04月16日の茶トラのボクチン(6歳半)
2011年04月16日の茶トラのボクチン(6歳半) posted by (C)ヒゲジジイ

2012年04月16日の茶トラのボクチン(7歳半)
2012年04月16日の茶トラのボクチン(7歳半) posted by (C)ヒゲジジイ


2015年03月15日

石流茶(セキリュウチャ)は、とっても美味しいお茶代わり?!

2009年03月15日の茶トラのボクチン(4歳)
2009年03月15日の茶トラのボクチン(4歳) posted by (C)ボクチンの母

 今年になって却って気味が悪いほど、変な人からの問い合わせや、来訪者がなくなっている。これだけでも相当に精神的な負担が激減する。
 真剣で真面目な相談だけに打ち込めるので、血圧の上がりようがない。
 新規の相談者は真剣な人達ばかりで、薬局だからと見下げた態度で来られるような無礼者は皆無となっている。
 といってもそれが二ヶ月半続いているに過ぎないが・・・それはさておき

 某氏が、4〜5種類の漢方製剤を常用されることで、ようやくクレアチニンが正常値になったという嬉しい検査結果の報告がてら、最近はじめたばかりの石流茶の美味しい呑み方を報告に来られた。

 すなわち、温かいお湯に溶かして飲むと、ちょうどお茶のかわりになって、とっても美味しくいただける、というのである。

 包装箱にも記載されている方法でもあるが、ヒゲジジイは御免蒙る。
 実際に煎じたものよりは、美味しく飲めるのかもしれないが、実際に煎じて飲んだ経験がある人でなければ理解されないことと思うが、その頃の労力と辛さをわざわざ思い出すような飲み方をしたくない、というのが本音である。

 それにしても、温かいお湯に溶かして飲むと、ちょうどお茶のかわりになって、とっても美味しくいただける、というのであるから、羨ましい味覚の持ち主さんであろう。

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2010年03月15日の茶トラのボクチン(5歳)
2010年03月15日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母

2011年03月15日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年03月15日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年03月15日の茶トラのボクチン(7歳)
2012年03月15日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年03月15日の茶トラのボクチン(7歳)
2012年03月15日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母


ラベル:石流茶

2014年08月27日

東洋医学の権威者?のあり得ない発言

2010年8月27日のボクチン(6歳)
2010年8月27日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 別に書くこともないけど、何か口実がないとボクチンの写真が貼れない。
 今週に入って、またかなり千客万来となっているけど、新規相談者も続いている。

 転移癌による腹水だけの御相談には、例によって補気建中湯。
 それ以上の御希望はないので、これだけを単方でお渡しする。
 しっかり効果が出るかどうかは五分五分。
 理想どおり効果を発揮してくれれば、通常は即効だが、今回も効いて欲しいと念じている。

 実際には、拙著『求道と創造の漢方』にも書いている通り、補気建中湯にキノコ系の中草薬を併用した方が効果的だが、その分、経費もかかる。
 もしも再来されれば、提案はしてみるつもりだが・・・。

 こじれた蕁麻疹は、舌の奥に黄膩苔があるのだから、まずは常套手段の方剤で10日、反応を見るのが常識であろう。

 初期の腎不全の御相談では、東洋医学の権威者という医師にかかっているが、漢方薬では無理だと言われたという。
 東洋医学の権威者とされるような人が、あり得ない発言である!
 
 体質的には当方で多数相談を受ける腎不全の人達の、最も典型的なパターンを示しているので、三種類の方剤の併用が必要だが、この配合でも通常なら順調にクレアチニンも下がる・・・はず・・・である。

 これだけ書いたら、懐かしいボクチンの写真が貼れるだろう。

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2010年8月27日のボクチン(6歳)
2010年8月27日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2010年8月27日のボクチン(6歳)
2010年8月27日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

ラベル:腎不全

2014年08月23日

腎不全に対する漢方薬の有用性について

2010年8月23日のボクチン(6歳)
2010年8月23日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

おたより:東海地方の内科医師

 広島では長引く雨で土砂災害が起こってしまいましたが、下関は大丈夫ですか? ことし、こちらはあまりはっきりした梅雨がありませんでしたが、この時期になって結構ケリラ雨が降ることがあります。

 最近、ひどい豪雨のなかで受診された患者さんの症例ですが、ご報告させてください。
61歳の女性です。

「歩いていると膝が痛い。今、総合病院に通院しています。片側の腎臓が原因はわからないないそうですが働いてなくて、片側の腎臓だけで生きているようなものと聞いています。そのせいか血圧も高くて降圧剤を内服しています。今日は、とにかく膝を良くして頂きたいです」という症状で初診されました。

   腎機能が低下していて、膝から下の下腿部が浮腫んでいて、舌下の静脈が怒張しふくらはぎの静脈も怒張していましたので、八味丸と疎経活血湯と防己黄耆湯を処方しました。
   2週間後、再診され「身体が暖かくなってきました。他にはまだ分かりません」とのことで、処方継続しました。

   その後、膝の痛みについては、ご本人から話しがありませんでしたので、効果ありと考えて、処方を継続しました。

   約5ヶ月後に総合病院の腎臓内科へ受診して検査を受けられました。ご本人いわく、「クレアチニンが一番悪い時に1.9でしたが1.54に低下していました(基準値は0.8まで)。
 でも、先生は何もおっしゃいませんでした。ただ、透析にならないようにしたいですね」とのこと。

「担当の先生はデータをご覧になっていると思いますが、お忙しいので説明なさらなかっただけと思いますよ」とお話ししてお帰り頂きました。

   初診から8ヶ月後の再診の時、「何時もの血液検査を腎臓内科で受けました。やはりクレアチニンは1.53で1.5台で横ばいでした。でも先生は、じゃあ同じクスリのんどいて、としか言われませんでした」とのことで、「腎機能は安定しているようです。八味丸が効いていると思うので30丸から60丸へ増量します」と説明して、八味丸を増量しました。

   1ヶ月後に受診。前回の腎臓内科の検査から1ヶ月あとの定期検査が行われたそうです。ご本人、「クレアチニンは1.61で、先生は、自分が担当してから一番良いデータでした。私がこの病院に赴任して◯◯さんの他にもう一人しか透析しないで済んでいるかたがいます、と言われたのですが、正直微妙な気持ちですね。私の担当医の患者さんはほとんどが透析になってしまっているということですものね」

   6ヶ月後の再診、「例によって腎臓内科の検査が三日前に行われたのですが、ある意味大変でした。クレアチニンが1.5に低下しているのを先生がご覧になって、驚いた様子で、私が知らないところで何かやっていますか?」と言われました。漢方薬をずーっと飲んでいることを説明しました。 

先生は、「一度死んだ腎臓の機能がこれ程回復することは普通考えられない。でも、漢方薬は内服継続を許可します、とおしゃってくださいました。でも、振り返ると、漢方薬を内服し始めて1、2ヶ月でクレアチニンは1.5台に低下していましたよね」とクビを左右に振りながら最後に「先生はやっと真剣に私のことを気にかけてくださったような気がして嬉しいです」と言って笑顔で帰って行かれました。

   漢方薬を処方する側としては、何も特別な処方をした訳ではないと思いますが、改めて漢方薬の凄さを実感出来て、「やはり、漢方おそるべし」という感じです。

他に明らかになったことがあります。西洋医学的に「もう治る見込みはない」と言われても、必ずしもその言葉を真に受ける必要はない、ということです。

 この患者さんの場合、専門医の先生の見込み通りですと、透析しなければならない程になっていたであろう病状が漢方薬によって改善した訳ですから、西洋医学的評価は必ずしも当たってはいない、ということになります。

 もちろん、だからといって、民間療法的なものがすべて評価されて良いという偏った考えも如何とは思いますが。無論、漢方薬は民間療法類ではありませんが。ただ、漢方は西洋医学の基盤となっている統計学によって埋れてしまっている患者さんを拾い上げることが出来ると思います。

村田さんが個別の患者さんにおいて詳しく弁証して投薬している様子を創造しますと、ネコちゃんが脳疲労の妙薬となっているのかもしれないと思いました。

2010年8月23日のボクチン(6歳)
2010年8月23日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:

貴重なおたより、ありがとうございます。
腎不全の問題。
 漢方薬のよいところは、全身を観察して弁証論治して投与されれば、そのように重要臓器に対しても、良好な効果が得られる点だと思います。

 たとえば、重症のアトピー性皮膚炎の人達に対して、初期には微調整の繰り返しになるとはいえ、不思議と多くの人の中心的な方剤が、肝胆系統の方剤や、腎膀胱系の方剤に集約されて行くようです。

 ということは、脾肺病のアトピー性皮膚炎の病因となる臓器は、肝腎系統であろうと、結果論からの推論が成り立つように思われます。
 これが漢方医学というよりも、中医学の深みのあるところだと思います。
 整体観を重視する所以であると思います。

 同様に、先生の投与された膝関節炎で投与された方剤の内容を拝見しますと、明らかに腎系統に作用する八味丸が主体で、水湿を調節する防已黄耆湯に、血行を改善する作用も併せ持つ疎経活血湯。

これが結果的に腎不全にも、明らかな効果を発揮していることは、防已黄耆湯中の黄蓍自体が、西洋医学的な研究でも腎不全に効果があることが証明されているだけに、なおさらのことかと存じます。

 なお、腎不全に関しては、村田漢方堂薬局ではご相談件数も比較的多く、透析を免れたいがために長期間、漢方薬の連用者が多いのですが、一定レベル以上になると、期間を引き延ばすことが精一杯ということがあるとはいえ、多くの場合、次第にクレアチニンもBUNも改善して、中には腎機能検査自体がまったく正常に復した人すらおられます。

 ですから、先生も御指摘の通りで、この分野でも、漢方薬は大いに活躍の場があるものと思います。

 いつも有意義なお話し、ブログへの御協力、ありがとうございます。

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2010年8月23日のボクチン(6歳)
2010年8月23日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母


2012年8月23日のボクチン(8歳)
2012年8月23日のボクチン(8歳) posted by (C)ボクチンの母


2012年02月15日

偶然同じ病気の人が重なる日、本日は腎不全やネフローゼなどの腎臓病5名

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IMG_0557 posted by (C)ヒゲジジイ

 偶然、同じ日に同じ病気の漢方相談が重なることがあるが、本日は腎臓関連。

 慢性腎炎や腎不全に腎臓結石など。

 先日は肺腺癌の人達ばかりが3名、しかも偶然、同じ年齢の人達ばかりだった。

 一人は腎不全から脱出して社会復帰できた人。

 一人は遠方の痛風を発症してようやく疼痛が消えたところで、諸検査によりやや腎機能が低下していた。

 一人は当方の漢方相談とは無関係ながら、腎臓に巨大な石があり、難儀な手術でようやく石が除去できた某メーカーさんの仕事上の取引先の社員さん。

 もう一人は腎不全で、クレアチニンやBUNがようやく下がりかけている人。

 そしてもう一人は腎不全の極め付きで、すでに透析が週に2回のところ3回になりそうで、そうなると会社を辞めざるを得ないという切迫した状況で来られ、さわいに当方の漢方薬によって透析回数を3回に増やさずに済んで、ずっと10年以上、週に2回の透析で健康を維持している常連さんの漢方薬の補充購入。

 腎臓関連の漢方相談者4名と取引先の外交さん1名を合わせると合計で5名。
 よくも同じ日に腎臓病の人ばかりた続いたものだ!

 まあ〜これだけ重なれば奇遇としか思えない。

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ZZZ_9360 posted by (C)ヒゲジジイ


ラベル:腎不全 腎臓結石

2010年07月23日

腎不全の漢方薬

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DSC_5386 posted by (C)ヒゲジジイ

ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 30〜39歳の男性
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 : 関東地方
お問い合わせ内容 : はじめまして。●●在住3?歳の腎不全を患っている者です。

 20歳のころにIGA腎炎とされ、27歳で腎不全となりました。
 それからクレアチニンの指数では、3.7~5点台でしたが、先日15日の診察にて6.71とBUN79という数値です。

 それまでは、タナトリル、ミカルディス、リピトール、アロシトールなどの薬を処方され飲んでいましたが、漢方薬は特に知識がなかったので、取り入れていませんでした。先日東京の漢方医の方を訪ね五苓散と牛車腎気丸いう漢方薬と処方していただきました。

 ここで、ご質問です。各漢方医の見識で処方は異なると思いますが、私自身の腎機能を改善する漢方薬としては、丹参や黄耆などがより効果的なのでしょうか。

 現在あまりこれといって痛みなどの自覚症状はありませんが、貧血がひどくdlは7.7です。もし差し支えなければ、どのような処方が適正なのかお伺いできればと思います。宜しくお願いします。

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お返事メール:是非、中医学に堪能なそちらの地元近辺の先生を探されてみた方が、あるいはまだ透析を回避できるかもしれません。
 あるいは透析する時期を遅らせることしかできないかもしれませんが、よほどうまく方剤が適合すれば、透析を回避することも可能かもしれません。

 中医学では弁証論治という綿密・詳細な分析を行って、適宜適切な方剤の配合が出されるシステムです。

 腎不全の状態にあっては、多くは煎じない大黄を主体に、六味丸系列の方剤とともに茵蔯蒿湯や浮腫の有無によっては猪苓湯や五苓散、あるいは茵蔯五苓散などが処方されますが、重度の貧血があれば、多くは中気下陥を伴っていることが多いので、生姜と大棗が省略された補中益気湯が追加され、寒証が強ければ経絡を温める附子が必要になることもあり、弁証論治によって、貴方の現在の体質と病状に応じた適切な配合がなされなければなりません。

 その適切な配合を得るには、やはりこまめに通えるそちらの地元近辺の中医学に堪能な医師あるいは薬剤師を見つけられるのが最優先事項ではないかと思われます。

 クレアチニン6.71とBUN79という段階では、すくなくとも五苓散と牛車腎気丸という医療用漢方でしばしばみられる配合パターンでは、もはや有効性は乏しい段階と思います。

 丹参や黄耆につきましては、丹参については配合方剤に加えて補助的に使用することは可能であり、黄耆の大量使用による有効性が発表されたりしていますが、どの程度のものかはこちらでは不明です。やはり正確な弁証論治こそ必須であると思います。(補中益気湯には黄耆は含まれていますが少量です。)

 ともあれ、このような重大な段階では、メールでのアドバイスはほとんど役に立つ段階ではありませんので、もしも中医学(中国流の漢方)にしばらく賭けてみようというおつもりがあれば、地元で探して見られるべきだと思います。(どの先生がよいかはこちらではまったく不明です。)

 以上、取り急ぎお返事まで。


編集後記:煎じた大黄ではあまり期待が持てないが、粉末の大黄を使用してやや軟便にすることでBUNを改善できることが多く、茵蔯蒿湯については中医学的にみて明らかな適応証があればクレアチニンの改善に期待が持てる。
 但し、これらの使用に当たっても、詳細かつ綿密な弁証論治のもとで使用しなければ配合バランスが総崩れになる場合があるので、中医学に堪能な専門家と相談の上で使用べきもので、素人療法は厳に慎まなければならない。

 つまり明らかな気虚水滞や重度の寒証が並存するのに、これを無視したモノマネの配合を行えば、身体が漢方薬を受け付けないばかりか、正気(体力)を毀損しかねない。

 素人さんがこれらを読んで、安易にそのままマネされては困る部分で、素人療法の質問が多発するようであれば、このブログも即刻削除せざるを得なくなる。

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ラベル:腎不全 人工透析

2008年10月22日

利尿剤と利水剤の違いっ!←合成医薬品と漢方薬の大きな違いの一つ

性別: 女性
年齢: 30歳〜39歳
簡単なご住所: 近畿地方
具体的な御職業 : 司法書士
お問い合わせ内容 : はじめまして。
 いつもこちらのホームページを拝見させて頂いております。何卒よろしくお願い致します。

 ご相談させて頂きたいのは、漢方の生薬の中で利尿作用のある生薬はあまり長期にわたり連用しない方が良いのか、教えて教えて頂きたくメール致しました。

 漢方を服用しておりますのは母で、糖尿による腎機能低下、高血圧、C型肝炎を患っております。母が服用しております生薬は当帰・赤芍・生地黄・莵絲子・塾地黄・枸杞のみ・茯苓・陳皮・大棗・沢瀉・五味子・黄耆・益母草で各々3グラム、黄耆のみ5グラムになります。

 一ヶ月を服用し母のクレアチニンは1.95→1.70になりました。血液検査の中でNaという項目があるのですが、漢方服用後かなり低値になっております。糖尿を示す数値も正常になりました。

 西洋の薬の利尿剤はあまり長い間服用しない方が良いと聞いた事があるのですが、漢方の場合、利尿効果のある漢方は長期にわたり服用しても問題はありませんでしょうか?

 お忙しいなか、大変申し訳ありません。何卒ご返答お願い申し上げます。


お返事メール:合成医薬品の利尿剤と、漢方薬における利尿作用を持つとされる方剤や生薬を、医薬品だからといって同一視することは出来ません。

 現在服用されている漢方薬が明らかに効果が出ているとしたら、それを中止するほうが問題となることでしょう。
 逆に、現在の漢方薬が逆効果に働いているというのであれば、即刻中止すべきですが、あきらかな効果が出ている状況下で、長期連用の不安を持つには及びません。

 本来なら、せっかくそのような漢方処方を出されている先生にこそ、ご質問されるべきだと思うのですが、このような問題はセカンドオピニオンというには、些か・・・。

 蛇足ながら、西洋医学的に言えば利尿剤の部類に入るかもしれない猪苓湯を愚妻は35年間毎日欠かさず高濃度の製剤を他の漢方薬と共に服用し続けています。
 服用を続けている理由は、二十代で腎臓結石の激しい疼痛に苦しみ、腎臓に存在した石の多さに恐れをなし、無症状となった現在でも予防的に高濃度の猪苓湯を服用し続けているわけですが、適応証であれば、このように長期間の連用が可能なのです。(おそらく一生涯続けることでしょう。)

 利尿過剰になったり検査で悪影響が疑われるなどの特殊なケースではで続けるべきではありませんが、よい結果が出ていれば合っている証拠なのでしょうから、考え方のまったく異なる合成医薬品と混同して、その漢方薬を中止するほうがもっともっと問題が多過ぎるのではないでしょうか?


おり返し頂いたメール:このように早くご返信下さり有り難うございました。

 先生の言われますように、医薬品の利尿剤と混同しておりました。
 結果に効果が出ているのに不安をもってしまい反省しております。

 先生にわかりやすくご説明して頂き大変勉強になりました。
 本当に有り難うございました。

2008年07月25日

腎不全に病院で投与された大黄甘草湯の問題点

 本日遭遇した恐怖体験。

 帯状疱疹に対する抗ウイルス薬を、医師の禁止にも関わらず過剰に飲用して以後、メッキリ体力を喪失した患者さん。
 しかしながら半年以上、医師もそれを見逃し、高血圧治療の一環として毎日の運動を強く推奨していた。一年に一回の血液検査によりクレアチニンとBUNが暴走しはじめていた。
 そして出された漢方薬が大黄甘草湯エキス製剤である。

 腎不全の兆候が明らかで、同時に浮腫傾向がみられる高血圧患者さんに対し、BUNを改善するのに大黄が有効だからと言って「大黄甘草湯」はないだろうっ!
 通常なら大黄甘草湯に含まれる一日量2gの甘草はそれほど問題とはならないが、高血圧と浮腫・腎不全に対するときはどのような災いが待っているかっ?
 このような基礎的な知識が皆無であることの怖さは漢方の専門家でなくとも常識中の常識ではないかっ!
 
 素人さんでも怪訝に感じて当方に来局されたわけだが、当然、大黄甘草湯は禁止し、甘草の入らない大黄の原末を奨めて、他の数処方と共に透析を免れるべく背水の陣をしいてもらった。
 腎不全患者さんに対する大黄甘草湯を投与することの問題点についてよく説明して、主治医に伝え、当方で奨める大黄の原末製剤に切り替えることの許可をもらうようにアドバイス。
 もしも許可を与えないようなら、直ぐに転院すべきことを強くアドバイスしたことは言うまでも無い。

 テレビなどでは漢方薬は病院でもらいましょうとさかんに宣伝されているが、患者さんも稀には命がけの覚悟が要るときがあるかもしれない。

2008年07月17日

クレアチニンを下げる漢方薬はありますか?

簡単なご住所: 東北地方
お問い合わせ内容:  HPを拜見いたしました。一番分かりやすく丁寧に書かれてありましたので興味深く読まして頂きました。

 ◎男、70歳、4、5年前からクレアチニンが4〜7の間を上下してます。
 体重62,2kg、血圧140/80 月2回通院 尿蛋白+2 自覚症状特になし

 ◎6/30クレアチニン7.2◎5/22数値 中性脂肪199、BUN78,7 血清クレアチニン6,7 RBC 350、 ヘモグロビン10,4、その他は正常値。

 ◎5/8に、血清クレアチニンが7,1になったとき医師が、人工 透析の準備が必要。と言っておりました。
 人工透析をしないように漢方藥がありましたらご指導ください。
 クレアチニンを下げる漢方藥があるものですか?


お返事メール:クレアチニンと尿素窒素(BUN)を低減させて透析を免れた人は、当方でも沢山おられますが、いずれも安定するまで10日毎に通いつめることが出来た人たちばかりです。
 それほど厳密な弁証論治が必要ですが、一定レベルの段階を超えると五分五分の賭けになります。

 検査数値を拝見すれば、同レベルの段階の人では通い詰められる状況下でも、透析時期を延長できただけで、結局は透析せざるを得なくなった人もおられます。
 すでに一定レベルの段階を超えておられますので、とても微妙です。

 地元で7〜10日毎に通い詰められる状況下では、あるいは5割くらいの確率はあるかもしれません。なるべくベテランの漢方専門薬局をお近くで見つけてみて下さい。

 体質も分からないまま、ここでヒントになる処方を挙げるのは誤解を招く可能性が高いので、差し控えます。必ずベテランの経験の深い専門家を地元で見つけられるべきです。
 以上、簡単ながらお返事まで。

2008年06月23日

腎機能低下(慢性腎不全)に対する中医漢方薬学

ご質問者:東海地方の内科医師

 いつも有益なご助言を頂くことができ、感謝しています。
 今日は二点ご教示ください。先ず一件めです。●●●●に関してです。年齢的なこともあると思いますが(7?歳)、眼が見難いと言っております。
 白内障もありますのである程度は仕方がないのでしょうが。今年の2月ごろにもやはり見えにくいといって眼科に受診しましたが、視力自体はさほど悪くなかったようです。

 そして、当時ちょっと気力と申しましょうか、意欲といったらいいのか微妙ですが、気分的に優れないといっていました。
 以前に抑肝散加陳皮半夏を飲む機会がありまして(イライラしたときに)、随分調子が良く美味しく服薬できたそうでしたので、本人が一日3包(エキス剤)服薬したところ随分調子がよくなって眼の見え方も改善したといっていました。

 そして、杞菊妙見丸はなにやら気分がいいそうです。夫との間柄とか娘のことやらでストレスは尽きないようではあります。
いつもながらに情報量が少ないなかでのご相談で恐縮です。

 二件目ですが、腎機能が低下している方への漢方に関してです。
 近隣の結構漢方で有名な先生がある雑誌のなかで黄耆(オウギ)が腎機能を改善する作用があり、それも単味でかなり大量を煎じて投与すると良い、と論じておられ、一般的に単味からニ味にこだわっているそうです(多くても六味までだそうで、それ以上は無駄であるとはっきりおっしゃっています)。

 個人的には、煎じぐすりを処方する予定はなく(いまのところ、エキス製剤の組み合わせで十分のようです)当クリニックとしては考慮外です。

 また、村田さんにご助言いただき、中医漢方薬学的に処方させていただいて、患者さんにも一定の手ごたえを感じていますので、さらに精進して行きたいと思っています。
 愚問かもしれませんが、黄耆の腎機能改善作用についての見解を教えていただければ幸いです。


お返事メール:
 http://m-kanpo.ftw.jp/u37512.html#727(平成17年07月27日の日録)このように現在は休眠中のサイトでも平成17年に取り上げています。
7月27日(水曜日)先ほど送られてきたばかりの東亜医学協会⇒●発行『漢方の臨床』誌7月号に、春日井市の灰本医師の注目すべき論文!
 それにしても、昨日の写真、クッキリとよく撮れてるよ!(あまり残しておくと場取り過ぎ、重過ぎるので、いずれば撤去しなければなるまい)
 まっ!それはともかく、朝鮮人参の「代用品」とされる党参の有用性を書くつもりが、上記の通りである。
 灰本先生の「慢性腎不全における黄耆の血清クレアチニン低下作用」と題された御高説、今後、相当な反響を呼びそうである!
 ヒゲ薬剤師の薬局でも、黄耆の配合された補中益気丸・六味丸・インチンコウ湯加減方の製剤の組み合わせで、クレアチニンも尿素窒素も、急速に改善している患者さんがあるものの、過去には慢性腎不全の漢方治療の難しさを、痛いほど味わっている。
 それゆえ、かなりな朗報となりうる内容豊富な、注目すべき臨床実践の成果が、かなり詳細に報告されておられるので、欣喜雀躍したほどである!
 キーポイントは、黄耆の使用分量にも関連性がありそうだ。 
 これに弁証論治が加われば、相当に威力を発揮しそうに思われる。
 ただ、小生の薬局では、やはり従来どおりの弁証論治で、クレアチニンや尿素窒素が異常に高くて透析寸前でもない限りは、従来どおり、クレアチニンや尿素窒素を正常化できているので、この記事を常に意識しながらも現実には黄耆の大量使用はまだ行ったことがありません。

(追記:衛益顆粒=玉屏風散製剤などの利用価値も多く、H24年現在は気虚が明らかな慢性腎不全患者さんに重要な併用方剤として併用することで、明らかな効果を発揮している。)

 腎不全患者さんには黄膩苔を認めることが多いので、高濃度の茵陳蒿湯を必要とすることが多く、六味丸系列の方剤とともに必要に応じて衛益顆粒(玉屏風散製剤)や補中益気丸などの脾肺気虚を救う方剤に、尿素窒素(BUN)を積極的に下げるためには大黄の粉末(煎じては無意味)を併用する従来の考え方で、透析を免れた人が現在も何年にも亘って服用し続けておられます。(一生続けるべきだと考えていますが・・・)

 週二回の透析が三回に増えそうで、三回になると会社を辞めざるを得ないという切羽詰った男性でも、この方法で週二回の透析で維持できる状態が少なくとも五年以上続いています。

 黄耆の大量使用は、今後、透析寸前の患者さんに遭遇する機会があれば上記の通常の弁証論治に加えてみるべきか、と考えています。

追記: 過去に二例ほどビクとも反応せずに困惑した苦い経験があるものの、その後は上記のような基本的な弁証論治に薬用量を十分に使用することなどの工夫で、多くの人が透析を免れている。
 今後、もしも十分な改善効果が得られないケースに遭遇すれば黄耆を大量に追加してみる方法を試みるべきかと考えている。但し、上記の方法で今のところは十分に通用している。


 ●●様の眼につきましては、より効果を挙げるために、一度、杞菊地黄丸系列の方剤をイスクラ製の杞菊地黄丸に切り替えてみては如何でしょうか?

 時にメーカー間の薬効の違いや相性の違いは驚くべきほどで、たとえば最近も医療用のツムラ五苓散と、当方で自信のある某メーカーの五苓散の効果の違いを偶然比較する機会があり、歴然とした差異が出ているようです。
 やはり蒼朮(ソウジュツ)と白朮(ビャクジュツ)の問題は小さくないように思います。

2007年01月09日

頑固な浮腫に対する漢方薬配合の微妙さについて

 八十五歳近い常連さんのお話。
 数年前のことだが、自動車を運転するのを止められたため、昔のようには直接来局されなくなって久しい。その頃からすべて電話相談に切り替えているので、何年も直接お会いすることがなくなっている。
 糖尿病、高血圧、慢性腎炎、関節リウマチなど、病気の問屋さんのようなご婦人だが、二十年以上の漢方薬のお付き合いで、一人暮らしで持病を持ちながらもなんとか御達者である。

 様々な漢方薬を長年利用されているので、そのすべてを公開するのは憚られるが、浮腫みだけがうまくコントロールできずに難儀していたことがあった。
 腎炎と浮腫みに対して、茵蔯五苓散加山梔子製剤に猪苓湯、六味丸系列の方剤と補助的に五苓散などを常用しても、もう一つコントロールできない。つまり利尿作用がしっかり作動してくれず、いつも浮腫みっぽい。
 直接来られるように言っても、もう運転しないからと拒否されるので、そのままの配合が長く続いていた。

 その後、肝炎の数値が最近不安定だというので、茵蔯蒿(インチンコウ)の成分を増強する意味で、適量の茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)を加えたところ、これが一気に効を奏して、長年の浮腫みの悩みが一気に解消して、様々の検査数値まで正常化してきた。

 すでに服用している猪苓湯、五苓散、茵蔯五苓散加山梔子製剤に茵蔯蒿湯を加えたといっても、新たな生薬は大黄が増えたのみである。
 事ほど左様に、ちょとした配合の工夫一つで、もう一つピントがくっきりと合ってなかったものが、ようやくドンピシャリの配合となったということなのだろう。
 これまでの配合に、茵蔯蒿湯の少量を加えただけでこの通りであるから、いかに漢方薬の配合というものがデリケートで繊細なものかと、イヤになってしまうことがある。

 といっても、皆がみな、このようにデリケートで繊細な配合を要するわけではないが、時にピンと合わせに難航するケースにおいてこそ、ほんのチョットした配合のずれから、期待する効果が得られてないのだろうと思われる。
 実に、そのチョットした配合こそ重要課題なのであるが・・・・