2015年10月17日

コタローさんの英断のお陰で、補気建中湯と分消湯が大活躍

2008年10月17日の茶トラのボクちん(4歳)
2008年10月17日の茶トラのボクちん(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 数十年来、各社に打診し、依頼し続けて、ようやく願いを叶えてくれたのが最後にお願いしたコタローさんだけだった。

 これらの方剤だけは、多くの日本国民の為に、是非とも必要なもの。世のため、人のために、是非とも医薬品として製品化して欲しいという願いを聞き入れてくれたのだった。

 ところが、コタローさんよりも前に依頼した数社は、上記の主旨でお願いしたにもかかわらず、いずれもまったくの馬耳東風。馬の耳に念仏。
 それらの会社は、日本国民の健康に対する奉仕精神が、まったく欠落していたとは思いたくはないので、おそらく機動力の問題だったのだろうと、好意的に解釈することにしている。

 補気建中湯エキス製剤と分消湯のエキス製剤の医薬品としての製造許可取得と、市販品製造の実現である。

 これらのお陰で、どれだけの人が恩恵を蒙っていることか。

 各種悪性腫瘍によって生じた腹膜播種があれば腹水の強弱にかかわらず、弁証論治に基づいた他の漢方薬類とともに、いずれかの方剤を併用してもらうが、必要に応じて両方剤を併用してもらうこともある。

 転移癌の漢方相談においては、腹膜播種の診断が下ってない時でも、適切な他方剤とともに予防的に使用してもらうこともあり、ケース・バイ・ケースではあるものの、病状によっては先手を打っておいたほうが、成績がよいことが多い。

 但し、深刻な転移癌の漢方相談は、デリケートな段階だけに、迂闊に相談に乗るわけには行かない。
 全員に等しく有効な漢方サポートが確約できるわけではないからである。


 それでなくともデリケートな段階だけに、御家族にクレマー予備軍が控えている場合もあり得るので、人選は重要である。

 親切心だけでは相談に乗れないのは、昨今では、立派な人格者でもある開業医の先生に対してさえも、デリケートな段階の治療において、ご家族が理不尽な暴言を吐いて、親切なお医者さんさえ困らせる人が意外に多いことを仄聞するからである。

 ましてや市井の漢方薬局の薬剤師ともなれば保身の上からも、断じて頑固に相談者を選別せざるを得ないのである。

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2008年10月17日茶トラのボクちん(4歳)
2008年10月17日茶トラのボクちん(4歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2009年10月17日の茶トラのボクちん(5歳)
2009年10月17日の茶トラのボクちん(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ


2015年09月30日

転移癌の漢方サポートには、扶正祛邪の配合原則が必須

2011年10月1日の茶トラのボクちん(7歳)
2011年10月1日の茶トラのボクちん(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 現在、転移癌のサポートに漢方薬類を利用さている人が相当数に上るが、初期にはしっかりフィットした配合を得るために10日毎に通ってもらうことが多いが、1〜2回来られたのみで、音信不通になる方は、様々な事情もおありだろうから、止むを得ない。

 しかしながら、ほとんどの人はしっかりフィットした配合が得られるまで通われて、その後は通信販売に切り替えることがあるにせよ、折々に直接補充購入に来られる人が多い。

 幸いなことに、初期から即効を得て、直ぐに体調が急速に改善することを実感してもらえることが多い。

 これに自信を得て、焦らずコツコツと継続されるケースが殆どだが、それには配合上で、やたらに補剤ばかりに頼ることなく、祛邪の配合を必ず併用してもらい、扶正祛邪の配合原則を遵守していることが大きいと思われる。

 しばしば転移癌のステージ4ともなると、腹膜播種を伴って、多かれ少なかれ腹水が溜まっていることもあるので、補気建中湯や分消湯も併用してもらうことが多いのだが、このような時に、いくら補剤の代表的方剤といえども、補中益気湯や十全大補湯などに介入されては配合の邪魔になることが多い。

 せっかく補気建中湯という優れた扶正祛邪のバランスの取れた方剤の配合を台無しにしかねないからである。

 補気建中湯という優れたエキス製剤が存在しなかった時代に、その代用として補中益気湯+五苓散を使われていたのは十分に納得できる配合であったが、現代においては、まずは補気建中湯を優先的に使ってみるべきだろう。

 それでも効果が得られなければ、補中益気湯+五苓散の配合を使ってみるのもよいかもしれないが、十全大補湯に関しては、腹膜播種に腹水を伴っているケースでは、いくら五苓散を併用してみても無理があるように思えてならない。

 ともあれ、転移癌サポートには、往々にして漢方薬類の多剤併用が効果的なことが多いのは、現代中医学でも報告されている通りである。⇒2015年06月23日 『中医臨床』 誌6月号の記事 「中医がん治療の基本的な考え方」

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2011年10月1日の茶トラのボクちん(7歳)
2011年10月1日の茶トラのボクちん(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ


2014年09月04日

クロちゃんのヒーリング・パワー

もうすぐ3歳のクロちゃん
もうすぐ3歳のクロちゃん posted by (C)ヒゲジジイ

 連日、補気建中湯がフィットしたときの著効例を知って頂く必要があって、拙著『求道と創造の漢方』に掲載している記事を、店頭で読んでもらうことが続いている。

 お一人は既に、1週間前から服用してもらって腹水に対して一定の効果が出ているものの、ややシャープさに欠けるため、補強の追加生薬の必要性の説明のためであり、もうお一人は、必要あって、追加方剤として試してもらうことになったため。
 

 あらためて拙著のその部分を読んでみると、意外に詳細を極める内容ながら、昭和55年の著効例など、実にヒゲジジイ29歳当時の経験談である。
 それもそのはずで、この拙著の内容自体が、ほとんどが30歳前後までに各誌に発表したものばかり。
 初出は、ウチダ和漢薬さんの月刊誌『和漢薬』だったはずである。

 それはともかく、昨日は、朝からそのような濃厚な漢方相談が続き、気が付くと急激な疲労を感じて、例によって相談途中で、一時休憩を兼ね、哲学の煙を嗜むべく奥へ入ると、途端に気分が悪くなって、へたり込んだ。

 そばで見ていたクロちゃんが、慌てたように心配顔でやって来て、ヒゲジジイの後頭部をゴシゴシと力を込めて嘗め回してくれる。
 ちょうどほどよく頭部を按摩されるような快感に、思わずウットリとなり、そのまま寝入りたいほど。
 
 お陰で一分も経たない間に、全身が生まれ変わったようにすべての疲労感が一気に雲散霧消。

 現在、4匹いる猫の中では、個人的にはもっとも可愛くない存在なのだが、それとは裏腹に、最も親切で気配りの出来るオス猫である。

 そんじょそこらの人間様よりも、遥かに霊性の高い高貴な人格、ならぬ猫格を有することは重々承知しているものの、どうしても好きになれないのは、大きな理由があった。

 そもそも超々最高の猫格を有していたボクチンが次第に弱っていくのに、遊び心とはいえ、背後から付けねらって、いつも格闘を挑んで、困らせていたからである。

 だからボクチンの寿命を縮めたのは、このクロちゃんにも多少の責任があるという思いが、無意識的にも、有意識的にも、消し去りがたかったからである。

 それにしても、クロちゃんのヒーリングパワーの凄さには、あらためて感心すると同時に、悔しいながらも、感謝せざるを得なかった。

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2011年9月4日のボクチン(7歳)
2011年9月4日のボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2011年9月4日のボクチン(7歳)
2011年9月4日のボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

2012年9月4日のボクチン(8歳)
2012年9月4日のボクチン(8歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 

2013年06月10日

C型肝炎が進行して肝硬変による腹水に対する対症療法の依頼

2006年1月8日のボクチン(1歳半)
2006年1月8日のボクチン(1歳半) posted by (C)ボクチンの母

 1〜2処方のみによる対症療法の依頼を受けることは比較的少ないのだが、今年はどうしたことか肺がん末期の咳嗽に対する対症療法の依頼や、肺がん転移による脳腫瘍に対する対症療法の依頼や、大腸癌末期の腹水除去の依頼など、中医漢方薬学の本領を発揮する弁証論治にもとずくフル配合が出来ない仕事は実に忸怩たるものがある。

 数ヶ月前から本題のC型肝炎が進行して肝硬変による腹水に対する対症療法を依頼され、分消湯エキス製剤のみを服用してもらっているが、かなり軽減して楽にはなられているが、この方剤だけでは対症療法に終わることは目に見えている。
 様子を見ながら配合を増やすべきだが、経費的な問題もあって希望されないのだからやむを得ない。

 肝硬変や末期がんの腹水の場合、分消湯が適応する場合もあり、補気建中湯で速効が得られる場合もあるが、いずれも奏功しない場合もある。
 こられの方剤で奏功しない場合は複数の配合が必要な場合も多いが、たとえ速効が得られても対症療法に終わりやすいので、本来なら徐々に弁証論治にもとづいた根治的に作用する配合をさらに加えるべきことは言うまでもない。

 しかしながら対症療法で構わないと言われる場合は、分消湯や補気建中湯による腹水を軽減できただけでも、あるいは肺がん転移による脳腫瘍に対する牛黄製剤のみでも効果を感じられ、あるいは肺癌転移による咳嗽に対する単一方剤による軽減効果に、ご本人達による一定の評価が得られているだけでも良しとせざるを得ない現実がある。

KSC_0832
KSC_0832 posted by (C)ボクチンの母

2013年06月04日

補気建中湯がワンちゃんの末期がんの腹水を軽減できたが・・・

2005年12月21日のボクチン(1歳)
2005年12月21日のボクチン(1歳) posted by (C)ボクチンの母

【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 性 別 】:女性
【 地 域 】:九州
【 おたより 】:ヒゲジジイ先生 はじめまして。

 このたびは、一言お礼をお伝えしたく、メールしています。

 長い間一緒に過ごしてきた愛犬(大型犬)が、末期がん(肝臓腫瘍)の宣告を受けました。腹水が溜まっており、腹水には血が混じっていました。全身への転移も見受けられ、内科的にも外科的にも治す手段はなく、炎症止めのステロイド剤が処方され、死を待つのみの状態で、自宅での緩和治療が始まりました。

 担当の獣医師、身内の外科医からの意見を参考にし、その場しのぎの延命治療(腹水穿刺、点滴等)を行なわないことに決めました。

 手がつけられない最悪な状態だと分っていても、奇跡を起こせないものかと、民間療法の情報収集をし漢方薬やサプリメントを試しつつも、助ける事が出来ないなら、せめて苦しませることなく楽に逝かしてあげたい。パンパンに張ったお腹の腹水をとってあげることが出来ないものかと、毎晩毎晩情報収集していく中で、ヒゲジジイ先生のブログに辿り着き【補気建中湯】の存在を知りました。

 【補気建中湯】が、効いたとしても、体内のバランスが崩れ、亡くなる可能性があることを十分承知の上で【補気建中湯】を使用しました。

 服用して四日目からポタポタと尿が出始め、その二日後から大量のおしっこをしました。張っていたお腹が柔らかくなり、呼吸が楽になり、大きくなった肝臓腫瘍が飛び出ているのが分るほどになりましたが、腹水がとれて楽になったのでしょう。横で寝ることや自分で身体を少し伸ばす事も可能にしてくれた数日間でした。最期も大量のおしっこをした後に、息を引き取りました。

 今回、ヒゲジジイ先生の労を惜しまない同業者さんへの情報発信のお陰で【補気建中湯】を知ることが出来ました。本当にありがとうございました。そして【補気建中湯】を製造販売してくださっているコタローさんに感謝致します。本当にありがとうございました。

2005年12月21日のボクチン(1歳)
2005年12月21日のボクチン(1歳) posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:おたよりありがとうございます。
 補気建中湯が少しでもお役に立ててよかったです。
 亡くなられたワンちゃんとはまたあの世で会えることを信じて前向きに頑張って頂きたいと存じます。

 補気建中湯のエキス製剤が実現した最終的なきっかけは、コタローさんの社員の方が末期がんで同様に腹水が激しく、病院治療でも効果がなく、とても苦しむので村田漢方堂薬局に問い合わせがあり、補気建中湯とキノコ類の煎じをアドバイスしていたところ、服用後短期間で腹水が取れ、激しい苦痛が一気に解消してご本人はとても喜ばれたということがありました。

 結局はその後二週間以内にお亡くなりになったそうですが、補気建中湯がフィットした場合は速効が出て苦痛をかなり軽減できることを実際に確認して頂けたことが製造許可取得の最終決断のきっかけとなったようでした。

 また、最近のブログでお問い合わせのあった⇒2013年05月10日 漢方薬局の紹介依頼(末期がんの腹水) の方は、往復の旅程の危険をおかして「自己責任」で決断したということで遠路はるばる当方に連れて来られてしまいました。

 既に数日前に脳梗塞も合併されていたらしいのですが、帰宅される前に補気建中湯と特殊なキノコ類の各エキスを服用してもらい、帰宅後2回目の服用で直ぐに効果があらわれ次第に腹水が軽減されて、お喜びのメールが届いたほどでした。

 その後は直ぐに脳梗塞治療のため入院点滴治療が開始されたのですが、点滴による腹水の増悪もなく、短期間で腹水はかなり軽減してとても楽になり、脳梗塞治療の方もとても順調だとお喜びのメールが届いたものでした。

 ところが、その数日後には点滴中に内臓出血が勃発して急にお亡くなりになったという連絡が入りました。
とても残念なことでしたが、抗癌剤や利尿剤多用による脳梗塞の併発の問題およびその治療のためのヘパリンの影響も、末期がんでは常につきまとう危険性ゆえ、止むを得ないことのようでした。

 このように補気建中湯がお役に立てるケースというのも、そちらのワンちゃんと同様に末期の苦痛を軽減するだけに終わることも多い現実がありますが、ご本人やワンちゃんにとっては苦痛が軽減できただけでも、コタローさんに無理をお願いして補気建中湯のエキス製剤を実現してもらってよかったなあ〜と感じています。

 なお蛇足ながら、補気建中湯+特殊なキノコ類のエキスが奏功した場合、腹水軽減と苦痛軽減だけでなく半数近くの人はかなりな延命効果が出て、一時退院できた人もありますので、やはり補気建中湯がエキス製剤化された価値は大いにあるように思っています。

 おたより本当にありがとうございました。

2005年12月10日のボクチン(1歳)
2005年12月10日のボクチン(1歳) posted by (C)ボクチンの母

       

2013年05月10日

漢方薬局の紹介依頼(末期がんの腹水)

2005年8月20日のボクチン(1歳)
2005年8月20日のボクチン(1歳) posted by (C)ボクチンの母

【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 性 別 】:女性
【 職 業 】:医療関係
【 地 域 】:九州
【 お問い合せ内容 】: はじめてメールいたします。

 私の母についての相談です 。母は6?歳になりますが半年ほど前に上行結腸癌で末期宣告をうけました。
 抗がん剤治療で一旦は腹水もなくなりましたが副作用がひどく、また母の願いで抗がん剤治療は中止しました。

 それから1ヶ月たちますが 腹水がひどくなりました今はお腹も大きく非常につらそうです尿量もすくなく便もまとまっては出にくい状態です。
 病院からはアルダプトンとラシックス、あと吐き気止めにプリンペランを服用してます。
 個人的にはβグルカンとプロポリス、枇杷の葉茶と温灸を使ってます。

 尿量が増え腹水が減少すれば少しは食べれる量も増え 外出も出来るのではと考えています。

 下関まではいけませんが●●市でどちらか信頼の置ける漢方薬局をご紹介いただけたら幸いです。
 またどのような手段があるかご教授いただければと考えご相談させていただきました。


 お忙しいとは存じますがご返信お待ちしています。

2005年8月26日のボクチン(1歳)
2005年8月26日のボクチン(1歳) posted by (C)ボクチンの母

 お辛い状況で、さぞご心配のことと存じます。
 ご質問の件ですが、
> ●●市でどちから信頼の置ける漢方薬局をご紹介いただけたら幸いです

 とのご質問、現実問題として●●で失敗してこちらに来られる人が多いので、よい噂はまったく耳に入りません。
 逆に言えば、信頼置けないところはたくさん分かっても、、信頼の置けるところではこちらに伝わりようがないので、きっとたくさんあると思うのですが、こちらでは把握不可能です

> またどのような手段があるかご教授いただければと

 大変デリケートな状況ですので、うかつなアドバイスはできません。
 過去、メールでのたっての依頼に、多少のアドバイスをお送りした結果、効果がなかったとさんざんな苦情があり、それ以来トラウマとなってしまいました。
 他のケースではお返事に窮していたところ、返事がないと電話で怒鳴り込まれてびっくりしたこともありました。

 ともあれ、現実問題として、メールで安易にアドバイスできる状況ではないと愚考します。
 大変申し訳ない次第ですが、悪しからずご了承下さいませ。
 とり急ぎ、お返事まで。


【追記】 その後の経緯は、2013年06月04日のブログに書いているように
往復の旅程の危険をおかして「自己責任」で決断したということで遠路はるばる当方に連れて来られてしまいました。

 既に数日前に脳梗塞も合併されていたらしいのですが、帰宅される前に補気建中湯と特殊なキノコ類の各エキスを服用してもらい、帰宅後2回目の服用で直ぐに効果があらわれ次第に腹水が軽減されて、お喜びのメールが届いたほどでした。

 その後は直ぐに脳梗塞治療のため入院点滴治療が開始されたのですが、点滴による腹水の増悪もなく、短期間で腹水はかなり軽減してとても楽になり、脳梗塞治療の方もとても順調だとお喜びのメールが届いたものでした。

 ところが、その数日後には点滴中に内臓出血が勃発して急にお亡くなりになったという連絡が入りました。
とても残念なことでしたが、抗癌剤や利尿剤多用による脳梗塞の併発の問題およびその治療のためのヘパリンの影響も、末期がんでは常につきまとう危険性ゆえ、止むを得ないことのようでした。


2005年8月26日のボクチン(1歳)
2005年8月26日のボクチン(1歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年05月27日

腹水や胸水にも有効なことがある補気建中湯にはなぜ保水力の強い人参が配合されているのだろうか?

IMGP3367
IMGP3367 posted by (C)ボクチンの母

 ヒゲジジイのたっての要望により飲みやすい補気建中湯エキス製剤をコタロー(小太郎漢方製薬)さんが実現してくれ、発売されて既に数年近くが経った。

 そこでしばしば質問を受けるのが上記のような朝鮮人参の配合意義である。専門的な中医学用語を使わずにイメージ的にできるだけわかりやすい説明をこころみてみた。
 以下がその説明(苦笑。

 朝鮮人参単独で服用すると、体質によっては浮腫を生じる人が意外に多い。人参には体内に水分を保持させる作用があるからにほかならない。
 日本漢方でいう水毒体質者にその傾向が強いように思われる。

 このような「水毒」体質であっても、茯苓や白朮あるいは蒼朮・沢瀉など、弁証論治にもとずいた適切な配合を加えれば、人参の衰え切った内臓機能を賦活する作用という利点を発揮させて、単独で使用するときのような弊害は出にくい。

 とりわけ補気建中湯という各種の悪性腫瘍末期の腹水を軽減する可能性を持つ方剤の適応時期は、内臓の機能低下の極限に近いことからくる腹水であるから、朝鮮人参の内臓賦活作用が必須という状況である。

 茯苓や白朮あるいは蒼朮・沢瀉などの配合のお陰で、朝鮮人参の水分保持作用は大事な細胞内の水分保持のためだけに働き、溜まっては困る腹水の成分の一部は本来あるべき細胞内に再吸収させ、廃液部分は体外へ排出する作用を発揮する。

 人参 白朮 茯苓 陳皮 蒼朮 黄芩 厚朴 沢瀉 麦門冬

 という配合内容の補気建中湯。

 この処方に様々なキノコ類を併用してもらって、過去、たとえ一時的にでもずいぶんの窮地から脱してもらえたことが多い。

 しかしながら、昨今ではこのような重大な疾患でなくとも、浮腫傾向のある胃弱者の体質改善に使って喜ばれることが増えている。

関連ブログ:2010年03月05日 悪性リンパ腫の全身転移から腹水のみならず胸水まで溜まって

IMGP3354
IMGP3354 posted by (C)ボクチンの母



2011年04月06日

優れた効果を発揮する新製品の分消湯エキス製剤

KSC_3103
KSC_3103 posted by (C)ヒゲジジイ

 昨年、ヒゲジジイのアドバイスにより、小太郎さんから補気建中湯エキス製剤が新発売されたのものの、実証用の分消湯がないのは不便だからと、早くから分消湯エキス製剤の製造許可も取得すべきことをアドバイスしていたところ、最近、製造許可が得られ新発売されることになった。

 そこで従来から分消湯を愛用されている人に、試験的に新製剤に切り替えてもらったところ、数日間は「???」という感じだったらしいが、日を追うごとに優れた効果を発揮して、従来の製剤よりも腹部膨満感の消失時間が長く、他の併用薬との連携も相俟って、とても調子が良好であるとの報告を得た。

 もう過去の製剤には戻れないと言われるものの、価格的にはそれぞれ相応の濃度と効果であるから、従来の他社製の分消湯が劣るという意味にではないっ、と言いたいところだが、従来の他社製剤には配合されるべき白朮はあっても蒼朮が省略されている。
 白朮と蒼朮を複合して配合するところに大きな意義があるのに、蒼朮を省略されたのでは片手落ちと言わざるを得ない。

 もちろん小太郎製の分消湯はヒゲジジイがウルサイくアドバイスしているので、きちんと白朮と蒼朮が配合されたまったく理想的な配合となっている。

 要するに値段相応の効果を発揮しているというには余りあるところで、だから実際に長期間愛用されている人にとっては「値段の問題じゃないのよっ!」ということになる(苦笑。

KSC_3104
KSC_3104 posted by (C)ヒゲジジイ




 
タグ:分消湯

2010年02月26日

腹水に応用される代表的な方剤は補気建中湯および分消湯だが・・・

スズメさん
スズメさん posted by (C)ヒゲジジイ

 せっかく小太郎さんが補気建中湯エキス製剤を実現してくれたので、ことのついでに分消湯のエキス製剤の実現も依頼している。

 他社で既に存在してるものの、知る限りでは蒼朮と白朮が共に配合された正しい分消湯製剤は見当たらない。多くは白朮だけの配合であるから片手落ちの製剤ばかりである。白朮だけの配合でも無効というわけではないが・・・

 事実、
2006年02月06日 大腸癌再発による腹膜播種で腹水の漢方薬 と 
2006年02月07日 昨日のお問い合わせ:大腸癌から腹膜播種による腹水等の続き

の患者さんは結局、村田漢方堂薬局に来られ、分消湯を主体にした配合で腹水には速効を得た。
 想像していたほど重症とは言えず、十分に体力を保持されていた。

 通常の煎じ薬量の半量で十分に奏効したのでそれで継続するお約束だったが、ご家族の薬剤師さんの采配で煎じ薬量に増量されたので、腹水が再発してもないのに増量するのは時期早尚であると叱ったのに気を悪くされたか、次第にいつの間にか無音となられたので、以後の経過は不明である。

 但し、使用した分消湯製剤に蒼朮が入らない分、それを補って余りある併用方剤の補強もあったと記憶する。

 もちろん多くの腹水患者さんがシンプルな漢方製剤で軽減できるとは限らないので、虚証に補気建中湯、実証に分消湯という単純な図式化はナンセンスである。

 補気建中湯の配合は明らかに扶正去邪の配合である。

 分消湯を主体にした配合は、確かに日本漢方的に言えば体力が十分に残っている人に通用することが多いが、極期に使用して亡くなられた後にご家族から感謝されて戸惑ったことがある。

 三十数年前のことであるが、悪性腫瘍末期の腹水が重篤で患者さんが苦しみ抜いて、入院中の医師の許可を得て漢方薬を求めて来られたのに、分消湯を服用してもらったところ超速効で腹水が軽減し、ご本人はとても喜んでまだまだ飲みたいと所望し続け、ああ楽になったラクニナッタと呟きつつ、三日目に息を引き取られたというのであった。

 奥様から詳細な御報告がてら、いたく感謝された当時の複雑な気分とともに今も鮮明に思い出し、忘れられない。その当時はあるいは補気建中湯だったらもっと延命されたかもしれないと思ったのもだが、そうは問屋がおろさなかっただろうと思われる。

 分消湯が適応方剤であったからこそ速効が得られたのであり、補気建中湯であれば暖簾に腕押しだった可能性が高いのである。

 このように的確な方証相対が実現しても、苦痛軽減のにみ終わることもあれば、運よく短期間で急を脱してかなりなレベルまで健康を回復することもある。
 臨機応変の併用方剤の運用にも関わって来るかなりデリケートな問題もあるだろう。

 ともあれ、分消湯では無効なケースでも、補気建中湯こそ適応方剤であったということも珍しくはないので、両者は今後、ますます需要は高まることであろう。

 両方剤を併用すべきケースもあり得るはずである。

 このようなきわどい段階に使用することの多い方剤は、真の意味で中医学をしっかり勉強して、勉強しただけの机上の空論家ではなく、実際に漢方経験の長い専門家にしっかり相談して使用すべきで、素人療法は禁物である。
 とりわけ重要なことは、その他にも必要な併用方剤などの指南を仰ぐべきだからである。

 蛇足ながら2006年02月06日 大腸癌再発による腹膜播種で腹水の漢方薬に後日記載した「後日談」の部分のみ引用する。
【後日談】 その後、実際に村田漢方堂薬局にご本人が来られることとなり、気力、体力は想像していたよりもそれほど損耗されておらず、腹水と腹満に関する限りは分消湯エキス製剤で明らかに好転した。
 実際にお会いしてみると、補気建中湯や補中益気湯合五苓散証などではなかったのである!
 
 これによっても分かるように、ご本人に直接お会いしないままのメール相談ではあやふやなことが多く、ましてや今回のケースのように代理人を介してのご相談となると、ますますイヨイヨもって当てにならないことが多いという教訓となっている。


白長楽(しろおさらく)
白長楽(しろおさらく) posted by (C)ヒゲジジイ

2008年10月09日

漢方薬(補気建中湯など)と病院の薬を併用して危険性はないのでしょうか?

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 : 近畿地方
具体的な御職業 : 出版関係
お問い合わせ内容 : 私の父は現在肝臓がんの末期といわれ、腹水がたまって、病院の治療でもあまり効果がみられません。

 あまりにつらそうなのでネットで調べておりましたら補気建中湯のお話がのっており、お聞きしたいのですが、病院でのお薬(利尿剤、血圧降下剤、アルブミンを増やすお薬)などと、漢方薬の併用には危険性はないのでしょうか。

 病院では漢方の知識が深くなさそうなので、聞いてもわからないと思います。よろしければ、ご経験上からのお返事をお待ちしております。


お返事メール:疑問を呈される内容自体、まったく考えたこともない内容ですので・・・

 皆さん、かなりなギリギリのところで、言葉は悪いですが「一か八か」の切羽詰まった状況の中で、一時的でもよいから腹水の辛さを何とか漢方薬でやってもらえないかと懇願されてアドバイスしてき来た方法の一つです。
 だから、なおさら、そのような疑問が湧く余地がなかった状況ばかりだったと記憶しています。

 たとえば、一週間も持ちませんよと主治医に宣告されるようなギリギリの状況が多かっただけに、なおさらご相談者のご家族こそ、貴女のご質問のような不安を持つ余地がなかったのだと思います。こちらでも同様です。

しかしながら、昨今はますますむずかしい時代ですので、以前からもそうですが御相談者が不安や疑問を呈される場合は、こちらからは決してお奨めするものではありません。

 補気建中湯を服用すれば一時的にせよ、腹水が絶対に軽減されるという保障があるわけでもありませんし、ご覧になったブログ自体、専門家向けに書いたものですので、歯切れの悪いお返事で恐縮です。

2008年07月23日

薬が飲めない状態の腹水の貼りぐすり

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 : 近畿地方
お問い合わせ内容 : 私の実父(70歳)が今年1月に余命半年と宣告され、7月より入院し、病院の介護の元なんとか生きながらえています。
 まったく動けず、まったく食せず、まったく話せず、ただ点滴だけに頼っている毎日です。ガリガリに痩せ衰えていき、以前のように痛がったり嘔吐を繰り返すこともできなくなった今ですが、せめて本人が一番イヤがっていた<腹水>をマシにしてやれないものか?とご相談のメールをさせていただきました。

 飲み薬が飲めないので、貼り薬とか方法はないものでしょうか?


御返事メール: 田螺(たにし)の殻を除去し身を用い、これに蕎麥粉を振りかけ、どろどろと融けたものをガーゼなどにのばしてお臍の下に貼る。乾いたらその度にはり替える。

 この方法で、二十五30年前に悪性腫瘍末期の女性のご家族にアドバイスしていたところ、驚くほど水が抜けたという(患者さんのご主人から直接)報告を得たことがあります。
 この方法は当時、和漢薬誌?などで読んだ記憶があったので思い出し(て当時それを試すことをアドバイス出来)たのですが、念のためネットで「むくみ 田螺」で検索したところ、

http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/89405/80466/4281055?page=2

にありました。腎臓病に用いることになっていますが、当時、間違いなく腹水にも効果があったとの報告を得た鮮明な記憶があります。
上記では民間療法をゲテモノ扱いしているようですが、決して馬鹿にはならないものと思います。


折り返し頂いたメール:早々のご回答ありがとうございました。
早速試してみます!
タグ:腹水

2008年02月02日

転移癌による腹水等

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
お問い合わせ内容: はじめまして、●●と申します。夜分遅く申し訳ありません。
 7?歳の母についての質問なのですが、食道に浸潤した胃がん(片方の卵巣に転移、肝臓、肺にも転移の疑い)の手術のため入院したのですが、1月28日に内視鏡で腹内を見てみると腹膜にも転移があるため、手術が出来ず、抗がん剤の治療をしても余命1年と宣告されました。

 手術後、医師からは早く起って歩いた方がよいと言われていたのですが、3日たっても、母は息も荒く嫌にしんどそうで、ほとんど歩くことが出来ず、食事も全く食べれない状態でした。その後の検査で、腹水がたまっており、心臓が圧迫され、無気肺の状態であること、CRP値が高いこと、腹水がたまったままほとんど寝たきりなのでイレウスが起こりかけていることが分かりました。

 医師からは、手術(内視鏡)が引き金になってガンが活動的になったのだろう、このまま食事をとれない状態が続くと抗がん剤治療も出来ず、余命1、2月と説明を受けました。

 腹水を半分抜いたのですが、症状はほとんど変わりません。現在は腸活動を促すための座薬(下剤)と点滴だけ(腹水がたまるので絶飲食)で様子見の状態です。
 母のガンが分かった時からネットで調べる内に村田漢方堂薬局のことを知りました。西洋医学の限界、漢方治療の可能性、漢方古方派の問題点等、大変興味深い話を読ませていただきました。

 母の腹水の状態の改善に何か良い薬はないものでしょうか。入院するまでは外見は普通の状態だったものが、急に今のような状態になってしまって当惑しています。説明不足の点もあると思いますが、何卒御教授お願いします。


お返事メール:拝復
 大変デリケートな段階ですので、なんともお返事の仕様がありません。
 ご覧になったかと思いますが、漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記 の筆頭に書いておりますように、
記載内容はすべて専門家向けですので、一般の方がヒントにされる場合は、必ずお近くの医師・薬剤師など専門家と御相談下さい。
ということに尽きます。

 また、同ブログ中の補気建中湯 にも書いている事情からも、お察し下さいませ。(注:補気建中湯は腹水に起死回生の効果を発揮することがある漢方処方の一つ。)                
                     頓首


折り返し頂いたメール: 昨晩、質問致しました●●です。
 全く見ず知らずの不躾な者に、こんなにも早くの御返信有難うございます。

 私のような質問が村田漢方堂薬局様宛てにたくさん届いている状況がよく分かりました。本当に申し訳ありません。

 まずは担当医の先生に相談してみます。
 本当に有難うございました。

2007年12月17日

腹水の漢方薬の御質問



御質問者:イギリスの漢方医

 御無沙汰いたしております。
 ○○○○で漢方医をしている●●です。以前、一度、ブログにメールを掲載させていただいた事があります。

 ○○○○で漢方の資格を取ってから、やっと2年目に入り、先生のブログを参考にさせていただきながら、毎日の診療に悪戦苦闘しております。

 本日、メールさせていただいたのは、36歳のがん患者(◎◎◎◎◎◎◎人で奥様が日本人です)で、10日前から、漢方を服用してもらっている方について、アドバイスをお願いしたくメールを書いています。

 正式の西洋医学での診断名は、Desmoplastic Round Cell Tumorです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Desmoplastic_small_round_cell_tumor
 骨盤組織内にできる結合組織肉腫です。
 2006年6月に発症し、8ヶ月間にわたり、化学療法を受けました。
 幸い、腫瘍は縮小したのですが、3ヶ月前から、腹水が除々に溜まり始め、12月4日の時点では、腹水が約10リットル以上あったと思います。
 お腹がパンパンに腫れていて、皮膚の引っ張りによる痛みがかなりありました。

 12月4日に、腹水を漢方でとりたい(後で、知ったのですが、奥様が村田先生のサイトをみたことがあるらしいです。)との希望で治療にこられました。

 自汗、盗汗がはげしく、特に朝の4時頃から7時にかけて、頭部からバスタオルを数回変えねばならないほどの汗がでます。
 舌は、舌縁に歯痕、中央部より奥に、黄厚苔、中央部から全部は、無苔、舌先は、赤、舌体部は、暗赤色です。
 脈は、数で、浮、強めに押すとかなり弱くなります。
 顔色は、蒼白で、手足はやせ細っています。

 漢方服用はじめてから、便秘気味になり、4日間、お通じがないとのことでしたので、潤腸丸(丸薬:こちらでは、中国製の小さな丸い粒があります)を処方し、汗をすこしでも改善したいということで麦味地黄丸(丸薬)を処方、お通じの方は、翌日から、改善、汗のほうも40%ほど減少しました。

 10日間、補気建中湯 煎じ薬(経験漢方処方分量集の1.5倍量)+カワラタケのエキス20gで様子をみましたが、改善がみられなかったため、病院で腹水をとってもらうことを強く勧め、昨日、今日で10リットル、水を抜いたそうです。
 梅寄生は、こちらで入手できないため、日本に注文しました。

 病院の医師からは、再度、化学療法を勧められたのですが、本人がどうしても厭だという事で、月曜日に退院してくる予定です。
 本人は、漢方に賭けてみたいという強い希望です。
 私も、できるだけのことはしてあげたいと思っています。

 托裏消毒飲(たくりしょうどくいん)を模写したエキス製剤配合の併用や、牛黄製剤、分消湯などの使用も含め、アドバイスをお願いできないでしょうか?

 英国では、動物性、鉱物性の中薬の使用は、正式には、認められていません。
 そのため、入手するためには、日本から、取り寄せになります。
 しかし、生命のかかったことですから、必要であれば、本人の承諾の元、使用したいと思っています。

 以上、お忙しい中、本当にすみませんが、御助言のほど、何卒、宜しくお願いします。


ヒゲジジイのお返事メール:お久しぶりですね。

 お問い合わせの件、患者さんは病院などに通える体力がある場合は、http://cyosyu.exblog.jp/i19/ ここにも書いていますように、補気建中湯を使用するほど虚証が重度ではないのかもしれません。

 舌象などから推察しますと、分消湯に茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)を基本として、猪苓湯を加えるか?あるいは五苓散を加えるか? あるいは分消湯に茵蔯蒿湯の併用だけにするかのいずれかではないかと愚考します。陰虚の部分も明らかに存在するようですので、滋陰利水の猪苓湯を加えるべきか?

 過去の経験でも、肝臓ガン末期の腹水の地元近辺の女性が、医師の名医といわれる各地を歴訪されて、何を出されても無効。
 ようやく地元の小生のところに来る気になって、分消湯と茵蔯蒿湯だけの併用だったか、五苓散を加えたかのいずれかでしたが、パンパンに腫れた腹水も次第に消退したので、信用を得て、徐々に適切な製剤の追加を行い、その後3年間、生活の質を維持することが出来た例があります。

 このように重度の腹水でも、自らの足で移動できる状況では、舌象に素直に合わせ、黄厚膩苔はインチンコウ湯証の並存こそ類推できるので、厚膩苔には分消湯で対応し、陰虚の舌象には猪苓湯中の阿膠程度で対応し、急を救うべく、2〜3種類の方剤併用のみでシンプルに行ったほうが効果が出やすいのかもしれません。

 上記の方剤でも快便が得られることも多いのですが、既に使用されて排便に効果がある潤腸丸や麦味地黄丸は、ワンテンポ(1〜2日)遅らせて、必要なら再度使用するなど、綿密に臨機応変の処置が必要かもしれません。

 なお、托裏消毒飲をガンや悪性腫瘍に利用できるのは、外部に露出して自壊した病巣や、体内で膿瘍となり白血球増加を見るなどで有効のようです。

 なお、補気建中湯はあまり早い段階で使用しても、証候に適合しないことが多いものです。
 起死回生というくらいですから、真の意味での超末期の腹水に偉効を示すことがある、ということで、補気建中湯が適応する状況では、多くは外出することも困難で、自立歩行も難儀な状態に近い段階だと愚考しています。

 上記はあくまで文面による推測に過ぎませんので、専門家の●●先生の最終責任でお願いします。


【編集後記】 托裏消毒飲(たくりしょうどくいん)をヒントにしたエキス製剤の組み合わせ を中心にした応用例では、癌病巣摘出時に取りこぼしがあり、放射線照射後に爛れて潰瘍となり、癌細胞も含んで外部に露出した状況で使用し、一定の効果を長年持続している例がある。肺転移などの転移病巣もありながら、一定の生活の質を保持しつつ、仕事も継続されている。
 多種類の製剤を折々に配合変化を行って、既に十一年の常連さんとなられているが、托裏消毒飲の併用が必要となったのは原発巣の大きな取りこぼしが発見され、放射線照射後一定の期間が経ってからのことであった。



折り返し頂いたメール:早速のお返事深謝致します。

 方向性が掴めました。
 早速、私の責任の中で、試していきます。

 また、経過報告致します。

2007年10月01日

気骨のある女性薬剤師さんから補気建中湯に期待を寄せて下さる旨のおたより

おたより:東海地方の漢方薬局経営・美人女性薬剤師

村田恭介先生

お便りをどうもありがとうございました。
 補気建中湯のエキス剤が実現するとの嬉しいお知らせ・・・ワクワクしています。
 先生のご尽力の賜ですね。

 私は元、新薬開発のための、毒性、薬理試験所あがりなので、ひとつの製剤ができることがいかに困難なことかよくわかります。
先生はいくつかの製剤を世に送り出していらっしゃいますが、きっと子供が育ってゆくようなお気持ちでは・・・?
 できあがった暁には、先生の大切なお子さんを、私にも育てさせてください。

 1人でもお客さんが欲しいのが世の常の中、治す気骨のある方しか、ご相談を受けないこと・・・私も相当な変わり者と言われています。
 当たり前のことをしているのに、同業者からも、変な薬局と言われますが、気にもとめません。

 ご縁のある方のみお助けできればそれでよいと考えています。
漢方専門家は、医業なのであって、決して商人ではありませんもの。
患者さま・・・とへりくだる必要は全くないと思います。

 明日からまた、良い仕事ができますように・・・。                       合掌

追伸
 とてもかわいいボクチンくん、元気で過ごせますように・・・・。
 先生のところは、美猫ぞろいですね♪

2007年07月02日

末期癌における腹水の問題(補気建中湯)

同業の女性薬剤師(笑♪)からのおたより: 6月28日のブログ 昨日の続き:滲出液が多いアトピーに対する漢方薬の配合中に六味丸が必要となるのはなぜか? の続き。

 先生からメ〜ルをいただいて、本当に感激しています。
 私のような若輩者が、ご意見なんてとんでもないことですが、教えていただくばかりでは失礼で、せめて自分が思っていることくらいは、お伝えせねば・・・と勇気を出してお便りしました。
 失礼をどうぞお許し下さい。
 六味丸のこと、なるほどと、とても勉強になりました。
 私ももっと勉強して、早く先生のように、自由自在に漢方薬を使えるようになりたいです。

 実は、先生には、何とかして御礼を申し上げる機会がないか・・・と思っていました。

 といいますのは、昨年の今頃、肝臓癌の末期で、腹水が溜まり、今までの方法でなかなかうまくゆかず、どうしたものか・・・という患者さんを持っていました。
 何とか良い方法がないものか・・・と、腹水&中医学を検索していて、ゆきあたったのが先生のサイトで、補気健中湯のことが書かれていました。
 そのとき、目から鱗のような感じがしました。
 度重なる抗ガン剤によって、どんどんと肺脾腎が低下している患者さんでしたので、それを助けるものと、ガンの勢いを清熱するものとを微調整しながら併用していたのですが、想像以上に脾が弱っておられたのです。

 私は、補気健中湯の名前すら知りませんでしたし、手元にもないので、五苓散と補中益気湯を何とかして飲んでいただこうと考えました。
 ところが、すでに食が細り、薬すら飲めない・・・と言われるのです。
 もはやこれまでか・・・と落胆しました。

 しかし、以前、鍼灸験方の鍼灸補中益気方を読んだことを思い出し、薬が飲めないのなら、ツボを刺激してもらえばいい・・・と考えました。
 すなわち、黄耆、党参、升麻、柴胡にあたる百会温灸
沢潟、猪苓に相当する気海に温灸し、列厥に円皮針を置く
桂枝にあたる、大椎の温灸
そして、茯苓と白朮にあたる、陰陵泉と足三里に円皮針を置いていただくよう、ご家族に根気よく説明しました。

 私は、残念ながら鍼灸師ではないので、鍼はできませんが、ツボのアドバイスくらいならできると思って・・・。
その結果、ご家族の懸命なお手当てのおかげで、少しずつラクになり、水が抜け始め、再び食事、薬がとれるようになられたのです。
そして、腹水の危機が免れ、現在も元気でおられます。

 このとき、先生のサイトに出会えなかったら、おそらくこの方は亡くなられていたと思います。
 本当に、私は先生には感謝の気持ちでいっぱいです。

 このときから、先生のファンどころか、弟子にしていただきたいと真剣に考えましたが、先生のご性格からすると、そんな煩わしいことは、まっぴらだと思われるに決まっているなぁ・・・。
 と逸る心を抑え、自分で勝手に、ヒゲセン(ヒゲ先生のこと)師匠と呼ばせていただきながら、毎朝先生のブログで、勉強させていただいている次第です。

 最近は、お客様への断り方も、やや先生の口調に似つつあります。(笑)

 お忙しいところ、長々と本当にごめんなさい。
 いつかお顔をみて御礼を申し上げたいです。
 これからもどうぞよろしくお願いいたします。
 先生のファンは全国にたくさんいると思います。
 どうか、お体無理なさらず、大切になさってくださいね。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:ご丁寧なメールを賜り、ありがとうございました。(でも、ちょっとお世辞が過ぎますよ・・・笑)
 補気建中湯の応用のお話、大変興味深く拝見しました。鍼灸関係には暗いので、素晴らしい応用力にはまったく驚いてしまいました!

 実際には過去の経験では、超末期状態の腹水や胸水が合併している状態で、激しい嘔吐を繰り返して何も受け付けない状態でも、スプーン一杯ずつを飲める範囲で服用してもらうことで、嘔吐が止まり腹水も次第に解消し、トントン拍子に回復して、危篤状態だったはずが一ヶ月もしないうちに退院して自宅療養へと漕ぎ着けた人も稀ではありませんでした。
 起死回生の妙薬とは補気建中湯のことだろうと思うのですが、癌や悪性腫瘍となると、一般的な風潮としてブームにのって薬事法に抵触しかねない健康食品の宣伝に影響されて、昨今は医薬品である漢方薬を低く見る傾向には着いて行けなくなっています。

 どうしようもない末期におよんで、御家族の求めるのがアガリクスであったり冬虫夏草の類であったり、若い頃はそれを説得してでも補気建中湯などの適切な漢方処方を出してシバシバ効果を発揮したものです。
 しかしながら、月刊「和漢薬」誌にも一部書いことがあるのですが、超末期状態が驚くほど回復したために、その後にもろもろの問題が派生した人間社会のどす黒い部分を見かねて、超末期での相談は悉く受け付けないように努力しています。

 やはり一二年も通い詰めたお互いの気心が知れるくらいになったご家族でなければ、突然超末期でやって来られての御相談というのは、昨今はまったく苦手です。その点では、大いに堕落したヒゲジジイではあります

 末期ではなくともここ数年の癌患者さんの漢方相談では、かなり正統な中医学的弁証論治にもとずいた中医処方や漢方処方を主体に組み合わせたものをお出しするのですが、巷で宣伝される健康食品類が中心ではないことにひどく落胆される顔を拝見することが増えています。ネットの影響恐るべし、です。

 ともあれ、百発百中とはいかないまでも、かなり高確率で奏効する補気建中湯をどこかの製薬メーカーがエキス化して広く医療界で使用してほしいと思うのですが、採算を計算すると、どこの会社も二の足を踏むようで、残念この上ない話です。
 あのような超末期にも偉効を奏する可能性のある漢方処方こそ、エキス製剤にして市販されるべきだと思うのです。

 昨今、ブログを続けるのが断続的に嫌気が差すことが増えています。先生とのこの往復メールをブログ継続の道具とさせて頂くには恐縮ですが、その点、御了承下さいませ。
(ご面倒な毎朝の人気投票バナーのクリック、心から感謝しています。今、ブログ継続の唯一の楽しみが、これだけです・・・笑)。


追記:6月27日のブログ アトピー性皮膚炎に合併する手の水疱 は、猪苓湯製剤の濃度を1.5倍に上げることで手の水疱は明らかに減りつつある。
 配合処方は、猪苓湯・茵蔯蒿湯・六味丸・玉屏風散エキス製剤と大黄、微量のイオン化カルシウム。

 また各種癌転移による腹水の問題については、ブログ 漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記 中の補気健中湯 にも書いているように、超末期ではない限りは弁証論治によって分消湯製剤や補中益気湯に五苓散あるいは茵蔯蒿湯などの有機的な活用によって解消することも多い。
 お便りを頂いた補気健中湯 をヒントに補中益気湯合五苓散を応用された鍼灸のツボの効果も参考価値が高いはずである。

追記のまた追記(笑 ⇒ 2010年頃に念願かなって、補気建中湯のエキス製剤が小太郎漢方さんから発売されたっ!!!

2006年06月04日

悪性リンパ腫による腹水

お問い合わせ内容 : お世話になります。検索サイトで、貴HPを拝見しました。父(81歳)についてです。今年の2月に悪性リンパ腫と診断され、そのときに、医師より余命1ヶ月と言われました。幸いにも、父は現在痛みや熱などの症状もなく、まだ頑張っています。

 持病は前立腺肥大(普通の人の6倍程度)、拡張型心筋症(20%しか動いていないそうです。)。腎臓機能の低下があり、悪性リンパ腫の治療は全くできずに在宅ホスピスで、家族で看ています。
 心臓が悪いため、どんな治療も不可能と言われました。現在、白血球は25万を超えています。異常な数値ですが、本人は毎日笑顔で話ができます。
 リンパ腫からの症状は、・身体がだるい ・足がだるい ・食欲がない くらいです。医師も驚くほどの生命力で頑張っています。

 腹水がかなり溜まっていて、腹囲は99センチ。ほとんどカチカチの状態です。
 食べることが好きな人なので、できればできるだけ長く好きなものを少しでも食べさせてあげたいと思っていますが、さすがに最近食欲もなくなってきました。
 本人は少し痴ほうがあるので、腹水による圧迫感等は感じていないようです。
 ただ、食欲が日に日に落ちていっていると言う状況です。現在は、利尿剤をかなりの量で使用していますが、もうこれ以上は増やせないだろうとの医師の話です。腹水を抜くこともかなりの危険を伴うとのことです。

 何か西洋医学以外で私たちにできることがないかと思い、漢方にたどり着きました。私たち家族は、腹水を少しでも取って上げられたらと思っているのですが、本人には余命、病名の告知をしていないため、無理に飲ませることはできないかなとも思っています。
 難しい状況ですみません。
 副作用が全くなく、腹水が少しでも減るような漢方薬はありますでしょうか。
 また、それは、やはり苦いものでしょうか?
 かなりの量を飲まなければ効果はありませんか?

 インターネット等でさがしていると、小豆や鳩麦が腹水に効くという情報等もあり、あまりの情報の多さに少々戸惑っているところです。
 しかし、あまり時間がありません。お電話でお尋ねしようかと思いました
が、日曜日ですのでお問い合わせフォームにてお尋ねさせていただきました。
 お忙しいところ恐れ入りますが、お返事いただけると助かります。よろしくお願いいたします。


ヒゲ薬剤師:拝復

 小豆や鳩麦で腹水とは、そう簡単にいくものではないと存じます。

 とてもデリケートな状態のようですが、アドバイスできるとしたら、
補気建中湯(ほきけんちゅうとう)という漢方処方です。

 味や飲みにくさまでは個人の感覚の相違がありますので、何ともお答えできません。

 といってもこのアドバイスもあくまでヒントとして差し上げるのみで、当方では作って差し上げるほどの責任は持てません。
(当方では、代理のお問合せやネット上での通販などは一切行っておりませんので、悪しからず御了承下さい。)

 必ず、お近くの漢方専門の医師、または漢方薬局などで、よくご相談してみてください。
 漢方の専門家であれば、常識的な漢方処方ですので、知らない先生はいないはずです。

 大変な状態のようですが、81歳と高齢なことも考えますと、補気建中湯なら無難だと思いますが、あくまで類推に過ぎません。

 ネットでの情報量の多さに戸惑われておられますが、深いところの知識や経験というものを、すべてネット上に公開しているとは限りません。(たまたま補気建中湯は、小生の関連ブログで公開していますが・・・)

 重ねて申しますが、必ず地元の専門家と御相談下さいませ。

 以上、簡単ながらお返事まで。

ヒゲ薬剤師

2006年02月06日

大腸癌再発による腹膜播種で腹水の漢方薬

ご職業 : 医療・福祉関係
お問い合わせ内容 : 母のことでご質問します。

大腸癌の再発からすでに腹膜播種で腹水が少したまっておりますが、抗がん剤の効果がない場合3ヶ月と言われながらすでに1年8ヶ月、ひどい副作用がないためずっと抗がん剤投与が続けられています。

主治医にはほとんど相談できないため勝手に補中益気湯エキス剤を飲ませています。

副作用なく抗がん剤投与継続できるのはこのためだと思うのですが、先生のブログで五苓散でも腹水に効果あり、と言うのを拝見しぜひ試してみたいのですが、いかがでしょうか?

実家は◎◎なのでできればそちらに伺ってみたいのですが、予約しないで来店することはできるのでしょうか?

本人の体調など考慮して直ぐに伺えないときは自分で購入してしばらく飲ませてみたいと思っています。

突然の勝手なご相談ですがよろしくお願いいたします。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復

きっと、補中益気湯がよく合っているのだと思います。

腹水に関しましては、補中益気湯が合うような方には、理論的には五苓散を加えると、一時的にせよ、腹水が気持ちよく取れることもあり得ます。

当方の常連さんが小生の話を訊いて、知人の末期がんの腹水に奨めてみたところ劇的に効いたという実例があります。

きっとそのブログ(どのブログに書いたのかは、忘れてしまいましたが・・・・・)を御覧になったのでしょうね?

当方での過去の経験では、どうしても理論通りには効いてくれないことが多くて、結局は「補気建中湯(ほきけんちゅうとう)で著効を得ることばかりでした!

ご参考までに、http://cyosyu.exblog.jp/780136/

しかしながら、理論的には、補中益気湯が合う方には、五苓散を加えると多少なりとも効果が出ても不思議はありません。

ですから、そちらで適当な五苓散を入手されて、必ず補中益気湯と一緒に服用してみては如何でしょうか?(五苓散だけでの服用は理論に反します。)

もしも、それでも効果が無い場合の一つの手段としては、先ほどの

http://cyosyu.exblog.jp/780136/ に書いてある通りの内容の煎じ薬をお近くの漢方専門薬局で作ってもらうという手もあります。

まずは、補中益気湯に五苓散を加えてみることは、やってみる価値がおおいにあると存じます。

簡単ながら、お返事まで。

頓首

追記:このお返事メールをお送りして、フト思いついたのだが、当方で過去扱った腹水の多くは、超末期の癌患者さんたちばかりだったから、補中益気湯合五苓散では間に合わなかっただけかもしれないのだった。

その証拠に、肝臓癌の腹水で当方に通える婦人には、分消湯合茵&茵蔯蒿湯などで、あっさり解決したりしていた。
たまたま、虚証ではあるが、超末期にまではなっていないような段階の方は、偶然、あまり遭遇することがなかったということが考えられる。

理論的にも、補中益気湯合五苓散がしっかり奏功する時期とタイプがあって当然なのである。

【後日談】 その後、実際に村田漢方堂薬局にご本人が来られることとなり、気力、体力は想像していたよりもそれほど損耗されておらず、腹水と腹満に関する限りは分消湯エキス製剤で明らかに好転した。
 実際にお会いしてみると、補気建中湯や補中益気湯合五苓散証などではなかったのである!
 
 これによっても分かるように、ご本人に直接お会いしないままのメール相談ではあやふやなことが多く、ましてや今回のケースのように代理人を介してのご相談となると、ますますイヨイヨもって当てにならないことが多いという教訓となっている。

参考文献: 補気建中湯