2012年06月06日

線維筋痛症に見る寒熱の流動性について

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AAAA2614 posted by (C)ヒゲジジイ

 冷えが原因で生じた疾患でも、必ずしも温めたほうがよいとは限らない。
 卑近な例では真冬にバス停で待っている間に冷え込んで膀胱炎になったという例でも、カイロで温めてばかりいると病院の猪苓湯では治らず、カイロを止めてもらって保険のきかない猪苓湯に切り替えたところ速治。

 猪苓湯は水熱互結による湿熱に対する清熱利水、滋陰止血の方剤である。冷えで生じた膀胱炎であるのに、どうして清熱利水の方剤が著効を奏するのか?よく考えてみるがいい。

 風寒湿邪が原因とされる関節リウマチでも、各地の病院や漢方薬局で附子剤ばかりを投与された人達が、次第に関節部に実熱としての熱性炎症を蓄えるようになって却って激しい疼痛が生じているケースも日常茶飯事。

 困って当方にやって来られれば、寒熱錯雑証として扱いなれているので、ほどなく関節部の赤い腫れは消えて行く。
 
 先日もアトピー性皮膚炎の女性が、地元の医師のところで数年以上、寒熱併用の方剤を様々に投与されいた。
 そこまではまだよかったが、アトピーの原因は冷えにあると昨今流行の火神派にかぶれたか、附子剤や温補剤を投与されるので、却って痒みが取れなくなり、それを何度申告しても、冷えが原因だからと頑固に温熱薬の投与を押し通される。
 辟易して遠路はるばる、当方にやって来られたという次第。

 前置きがとても長くなったが、たとえ発病の原因や誘引が冷えだったとしても、温めれば治るというものではなく、温めてばかりいると却って逆効果になるケースも多いことを証明したかっただけ。

 そこで表題の線維筋痛症の患者さんのケース。
 どこの病院に行っても疼痛が取れずに当方にやって来られ、冷えの極限状態に近いため、真武湯に補血活血、袪風除湿の方剤を併用してもらうことで、順調に疼痛が取れつつあってとても喜ばれていたはずが、急転直下、上部の熱感と疼痛が勃発し、頭痛と吐き気すらともなうようになって来た。

 あれほど速効がでて喜ばれていた真武湯であったが、直ぐに中止してもらい、清熱舒筋、補血活血、袪風除湿の配合に切り替えてもらったところ、次第に落ち着いて来た。

 上焦の諸症状がしっかり落ち着いたところで、上熱下寒を配慮して、再度試しに真武湯の少量を再開してもらったところ、再び上半身が温まり過ぎて頭痛が生じる。そこで直ぐに真武湯をまたもや中止。

 結局のところ清熱舒筋、補血活血、袪風除湿の配合で順調に疼痛が軽減しており、現在時点では到底、附子剤を使うほどの冷えは存在しなくなっていることが分かる。

 陰陽寒熱は常々変転し流転するので、慢性疾患のほとんどが冷えが原因だからと言って、温めることばかりを考えることがいかに短絡的で幼稚な考であるかが分かろうというものである。

 温めることばかりに専念していると、一時はよくても病状によっては陰陽寒熱が一瞬にして逆転し急転直下に病証が激変することもあるので、常々、陰陽寒熱の生々流転していく過程における現時点での病機をしっかり把握し、その時々に応じた臨機応変の配合が必須となる。

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AAAA2661 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 00:02| 山口 ☀| 線維筋痛症 | 更新情報をチェックする

2012年05月22日

五臓六腑の寒熱虚実は季節に応じて流動するので治療方剤が固定できるとは限らないというのは常識中の常識

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_IGP8462 posted by (C)ヒゲジジイ

 昨年末から例年になく真武湯を必要とする人が頻繁に目立つが、昨年来、日々の温度差が激しかったために五臓六腑の寒熱虚実の流動性が顕著になっているのかもしれない。

 なかでもアトピー性皮膚炎の人達はもともと寒熱虚実の流動性が激しい傾向にあるとはいえ昨今では附子瀉心湯に倣って黄連解毒湯に真武湯という真逆の配合が必要になりそうな人も出て来る始末だが、線維筋痛症でも同様の現象が見られる。

 たとえば真武湯を主体にした温腎袪寒・疏風活血法で速効が出ていた線維筋痛症の人も、一転して熱証に転化して真武湯を廃止して急遽、清熱舒筋・疏風活血法に切り替える始末。

 寒熱が一気に逆転しているが、この人の病歴を遡って問いただしてみると、もともと季節ごとに寒熱が一気に逆転する傾向が強い体質のようであった。

 線維筋痛症でもすでに一年半以上通われる人の場合は、現時点では真武湯を主体にした温腎袪寒・疏風活血法が中心ではあるが、状況に応じて五臓六腑の寒熱虚実に流動性があるので同様に油断できない。
 
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_IGP8548 posted by (C)ヒゲジジイ

 
posted by ヒゲジジイ at 00:25| 山口 ☁| 線維筋痛症 | 更新情報をチェックする

2012年05月20日

逆境でもひたむきに頑張る人達・・・たとえば線維筋痛症と慢性疲労症候群および慢性腎不全に鬱病や高血圧などが合併し・・・

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IMGP5873 posted by (C)ボクチンの母

 進行癌や転移癌、昨今は中年前後の人達に各種の肺癌や大腸癌、若い人達では胃癌の中でも印環細胞癌や子宮頸癌などが目立つ。

 といっても当方の漢方相談で最も多い各種悪性腫瘍や癌の人達ばかりでなく、多種類の疾患が合併している人達のひたむきな頑張りを思い出して、頭が下がる思いである。

 心臓疾患や肝炎に食道関連の様々な障害が合併して、数えたら9つくらいの疾患が合併している人もいれば、線維筋痛症に慢性疲労症候群や慢性腎不全に鬱病・高血圧など合併する疾患が多く、日々疼痛に悩まされるばかりでなく、職場でも心無いイジメが長年続いて、それにも耐え抜いている人。

 そう、同じ疾患でも様々な病気が合併して線維筋痛症による持続する疼痛に悩まされながら、慢性疲労症候群が合併して疲労困憊する日々。職場では日本的陰湿なイジメ。

 敗戦後の負け犬根性から弱いものイジメが常習化したこの腐り切った日本社会に、それでも不屈の精神で闘病しながら、ぎりぎりのところで踏ん張って家にこもることなく通勤し仕事を続けている。

 やはり来られた初期には線維筋痛症による疼痛が全身強烈であったが一定の効果があったものの、まだまだ十分とは言えない。
 一年半以上通われてその間には波打ちながらも、多少は明るい兆しが見えかけている。

 虚寒証でも腎陽虚衰が内在するときには腎不全とも相俟って真武湯こそ主薬であるべきか・・・

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IMGP5853 posted by (C)ボクチンの母


posted by ヒゲジジイ at 20:55| 山口 ☁| 線維筋痛症 | 更新情報をチェックする

2012年05月08日

虚寒証を呈する線維筋痛症に蒼朮を配合した真武湯の利用価値

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AAAA2324 posted by (C)ヒゲジジイ

 真武湯は本来、白朮が配合されるべきことは中医学世界では常識中の常識である。

 ところが日本漢方中心の日本では、往々にして白朮を蒼朮で代用され、これでは真武湯の本来の効果をフルに発揮できない。

 しかしながら、現実には蒼朮が配合されていることを却って有利に利用できる場合がある。

 たとえば虚寒証を呈する線維筋痛症などに対し、疏風定痛作用を持つ方剤とともに蒼朮が配合された真武湯を併用することで、袪風除湿・散寒止痛の効能をフルに発揮させることが可能となる。

 最近もこの線維筋痛症と診断されながらも、あらゆる西洋医学治療で効果が乏しい人に一定の効果をあげている。

 このように日本の漢方製剤は、往々にして錯誤に近い生薬が配合されているものが多いが、それを利用するには中医学理論の基礎をしっかり身に着けておれば、馬鹿とはさみは使いよう、ということである。

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IMGP9926 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 00:28| 山口 🌁| 線維筋痛症 | 更新情報をチェックする

2008年10月17日

思わず牛黄製剤の速効に驚いて「ナンジャコリャ〜っ!」と街中で叫んで皆に振り返られたそうだ

 本日帰って行かれた関東の兄ちゃんは、線維筋痛症と慢性疲労症候群が合体して悲惨?な状態で、危険だから下関には来ないようにとメールを送っていたのに行き違いで、とうとう二泊三日でやって来てしまった。

 だから初日は、他の重要な問題もあってちょっと叱ってしまったが、疲労と疼痛が激しそうなので、中心になる方剤に、追加で某社の牛黄製剤を疲労回復用に追加したところ、本日の報告ではホテルに帰る小倉(九州)への道中に前もって服用したところ30分後には身体の疼痛が消失して疲労感が解けるように消え去るのに驚いたという。

 思わず「ナンジャコリャ〜〜〜ッ!」と叫んでしまい、小倉の街中で、皆に振り返られて恥ずかしかったといわれる(笑。

 その場に遭遇した人達は、さぞや気色が悪かったことだろう(苦笑。
posted by ヒゲジジイ at 00:06| 山口 ☀| 線維筋痛症 | 更新情報をチェックする