2008年07月05日 痒くなる副作用が目立つ大建中湯エキス製剤の問題点 の続報っ!
おたより:先日、老父の夜中のガスによる腹痛について相談させていただいたものです。
なんとか漢方薬局を探し当て、先生から教えていただいた薬を買いに行ったら、親切に相談に乗ってくれ「大建中湯でだめだったなら、あなたのいう薬が私もオススメです。」といっていただき、「まずは1週間試しなさい。」といって小分けで売ってくれました。
6日間で痛みは半分以下になりました。
本日報告に行って、もう少し量を増やしたほうがよいかうかがったところ「もう少しこのままの量で継続したほうがよい。量の増加やら他のことを考えるのはその後です。」といわれました。
また一週間後、再度ピントあわせ・調整することになるかと思いますが、なんとかメドがつきそうで大変嬉しく思いました。
よいアドバイスを与えてくださり、有難うございました。
再度、お礼まで。
御返事メール:ご丁寧に御報告ありがとうございます。
少しはお役に立てたかと思うと嬉しいです。
保険適用外の漢方薬は、とてもバリエーションが豊富ですので、勉強熱心な漢方薬局でご相談されれば、今後もこまごまと助けになることと思います。
2008年07月13日
大建中湯製剤の問題点の続報
posted by ヒゲジジイ at 00:05| 山口 ☔| 大建中湯の誤投与による不快反応や副作用
|
2008年07月05日
痒くなる副作用が目立つ大建中湯エキス製剤の問題点
性別 : 男性
年齢 : 80歳〜89歳
簡単なご住所 : 関東地方
お問い合わせ内容 : 村田先生こんにちは
86歳の父の過敏性大腸(ガスによる腹痛)の治療法についておたずねいたします。
父は中年頃から過敏性大腸を患い、主訴はガスがたまり腹が痛むということでした。最近15年ほどはすっかり症状も落ち着き、さして不愉快な症状はない状態が続いていました。
また、父は中年時から何度も大腸ポリープの内視鏡手術を受けています。数年前に胆嚢切除、昨年には脊椎柱管狭窄症手術を受けました。
ところが半年ほど前から、昼はさほどでもないのですが、就寝中に腹の痛みで目覚め、トイレで1時間ほど篭り、ガスが出ると痛みが消え、再び眠るという状態になりました。
そのため疲れがとれず、昼間に眠くなってしまいます。持病としては若い頃の甲状腺機能亢進症手術の後遺症で心臓肥大があり、徐脈です(ペースメーカを装着するほどではない)。
そのためか以前下肢にひどいむくみがでて、ラシックスを処方されたのですが、全く効かず、たまたま田七を少量飲んだら、驚くほど浮腫みが減り、現在も服用中です。
夜中の腹の痛みで近隣の漢方専門医を受診し、大建中湯と桂枝加芍薬湯を処方され、大建中湯を朝1夜1では効かず、朝2夜2のむと著効しました。
ところが強い痒みがでて中止せざるを得ず、小建中湯に変えると全く奏功しませんでした。
医師からは抗アレルギー薬を飲みながら大建中湯を朝2夜2飲むことを勧められ、そうしたら気持ちが悪くなってしまいやめています。
できれば保険薬の範囲で、なにかできる事はないのでしょうか?
父は上記の点以外では年齢のわりに元気なほうだと思います。少しでもアドバイスがいただけたらありがたいのですが。
よろしくおねがいいたします。
御返事メール: 病院で大建中湯を投与されてその副作用として痒みが生じた例に、しばしば遭遇しています。病症に適合してないことがほとんどです。
服用量を増やすことで著効を奏したそうですが、証に合っておれば大建中湯の性質上、やや少なめでもよく奏功すことが多いものです。
但し、日本で処方される大建中湯は、乾燥生姜を用いるべきところを、飴色に蒸した煨姜(ワイキョウ)もどきの「乾姜」なるものが大量に使用されることに大きな問題なしとしません。
正式な乾燥生姜を用いたものでなければ、正しい大建中湯とは言えないはずのものなのです。
煨姜どき を使用した場合は、乾燥生姜よりも身体の芯から温まり過ぎて、配合中の朝鮮人参や大量に含まれる飴などの温性とも協力して、刺激性が過剰となって激しい掻痒が生じるケースがしばしば見られるようです。
この温暖化の時代ですから、大建中湯を使用するにしても、正しい乾燥生姜を用いたものに是正すべきであり、大量の飴を使用するのも控え気味に変更すべきかもしれません。
(当方のような保険とは無関係な漢方薬局では、正しい乾燥生姜を用いた保険の利かない製剤を使用していますので、幸いにも未だに痒みが生じた例は現在に至るまで皆無です。)
いずれにせよ、大建中湯が適応していて、なおかつ激しい掻痒が生じたとしたら、大建中湯の製造内容そのものに起因する上記のような問題が複合している可能性が十分に考えられると思います。
なお、保険漢方に拘られる限りは、上記のようなアドバイス以外は不可能ですが、難治性の疾患などでもない限りは、むしろ保険適応外の漢方薬(医薬品)の方が、却って安上がりで効果的なケースもあり得るのです。
たとえば、オルスビー錠という胃薬は、一か月分近くの製品が二千円よりも遥かに安価ですが、病院で治らなかった逆流性食道炎が寛解するケースは5割近くみられるのです。
(注記:以前、オルスビー錠の有用性をこのブログに書いて以後、チャッカリした同業者があたかも逆流性食道炎の特効薬であるかのように記載したお誘いネット通販を行っているところがある・・・苦笑。)
ご質問の腹部のガスの問題にしても、全員が奏功するとの保障はぜんぜんありませんが、開気丸というイスクラの製剤、20日ぶんで数千円はしたとおもいますが、これで高価というのであれば、胃神我述錠という一か月分数千円もしない製剤で、比較的スムーズに寛解するケースも多いのです。
難病でもない限りは、却って自費の漢方の方が安上がりというケースもあるのです。
保険のきくツムラ漢方のエキス製剤で考える限りは、あまりにも処方数が少な過ぎるのと、乾燥生姜であるべきところが飴色に蒸した煨姜もどきの「乾姜」で製造されており、他の製剤においても白朮であるべきところがすべて蒼朮で代用されていたり、問題点を指摘すれ際限がないほどです。当然、効果にまで大きく影響します。
これらのことが、問題視されない日本漢方のレベルは実に情けない現状ですが、他の分野においては諫早湾のギロチン問題など、日本政府の考えることはこのレベルなのだから、漢方界はまだマシな方かもしれません。
ともあれ、制限があまりに多い保険漢方エキス製剤ばかりに拘泥せずに、地元の漢方薬局でベテランのところがあれば、健康はお金には換えられないものですから、たとえ少し高価なものになっても、直接出向いて本当に合った漢方薬を見つけてもらうのが最善だと思います。
折り返し頂いたメール:土曜日で連日にもましてご多忙のところ、早急ご返事いただき有難うございます。
アドバイスくださったものをまず試し、だめなときは漢方薬局探しを私がやってみます。
●●とはいえ、都心とはずいぶん離れてれていますので、難しいところですが、高齢でもあり、放っておくわけにはいきません。
最期に、重ねて感謝申し上げます。
参考文献:
年齢 : 80歳〜89歳
簡単なご住所 : 関東地方
お問い合わせ内容 : 村田先生こんにちは
86歳の父の過敏性大腸(ガスによる腹痛)の治療法についておたずねいたします。
父は中年頃から過敏性大腸を患い、主訴はガスがたまり腹が痛むということでした。最近15年ほどはすっかり症状も落ち着き、さして不愉快な症状はない状態が続いていました。
また、父は中年時から何度も大腸ポリープの内視鏡手術を受けています。数年前に胆嚢切除、昨年には脊椎柱管狭窄症手術を受けました。
ところが半年ほど前から、昼はさほどでもないのですが、就寝中に腹の痛みで目覚め、トイレで1時間ほど篭り、ガスが出ると痛みが消え、再び眠るという状態になりました。
そのため疲れがとれず、昼間に眠くなってしまいます。持病としては若い頃の甲状腺機能亢進症手術の後遺症で心臓肥大があり、徐脈です(ペースメーカを装着するほどではない)。
そのためか以前下肢にひどいむくみがでて、ラシックスを処方されたのですが、全く効かず、たまたま田七を少量飲んだら、驚くほど浮腫みが減り、現在も服用中です。
夜中の腹の痛みで近隣の漢方専門医を受診し、大建中湯と桂枝加芍薬湯を処方され、大建中湯を朝1夜1では効かず、朝2夜2のむと著効しました。
ところが強い痒みがでて中止せざるを得ず、小建中湯に変えると全く奏功しませんでした。
医師からは抗アレルギー薬を飲みながら大建中湯を朝2夜2飲むことを勧められ、そうしたら気持ちが悪くなってしまいやめています。
できれば保険薬の範囲で、なにかできる事はないのでしょうか?
父は上記の点以外では年齢のわりに元気なほうだと思います。少しでもアドバイスがいただけたらありがたいのですが。
よろしくおねがいいたします。
御返事メール: 病院で大建中湯を投与されてその副作用として痒みが生じた例に、しばしば遭遇しています。病症に適合してないことがほとんどです。
服用量を増やすことで著効を奏したそうですが、証に合っておれば大建中湯の性質上、やや少なめでもよく奏功すことが多いものです。
但し、日本で処方される大建中湯は、乾燥生姜を用いるべきところを、飴色に蒸した煨姜(ワイキョウ)もどきの「乾姜」なるものが大量に使用されることに大きな問題なしとしません。
正式な乾燥生姜を用いたものでなければ、正しい大建中湯とは言えないはずのものなのです。
煨姜どき を使用した場合は、乾燥生姜よりも身体の芯から温まり過ぎて、配合中の朝鮮人参や大量に含まれる飴などの温性とも協力して、刺激性が過剰となって激しい掻痒が生じるケースがしばしば見られるようです。
この温暖化の時代ですから、大建中湯を使用するにしても、正しい乾燥生姜を用いたものに是正すべきであり、大量の飴を使用するのも控え気味に変更すべきかもしれません。
(当方のような保険とは無関係な漢方薬局では、正しい乾燥生姜を用いた保険の利かない製剤を使用していますので、幸いにも未だに痒みが生じた例は現在に至るまで皆無です。)
いずれにせよ、大建中湯が適応していて、なおかつ激しい掻痒が生じたとしたら、大建中湯の製造内容そのものに起因する上記のような問題が複合している可能性が十分に考えられると思います。
なお、保険漢方に拘られる限りは、上記のようなアドバイス以外は不可能ですが、難治性の疾患などでもない限りは、むしろ保険適応外の漢方薬(医薬品)の方が、却って安上がりで効果的なケースもあり得るのです。
たとえば、オルスビー錠という胃薬は、一か月分近くの製品が二千円よりも遥かに安価ですが、病院で治らなかった逆流性食道炎が寛解するケースは5割近くみられるのです。
(注記:以前、オルスビー錠の有用性をこのブログに書いて以後、チャッカリした同業者があたかも逆流性食道炎の特効薬であるかのように記載したお誘いネット通販を行っているところがある・・・苦笑。)
ご質問の腹部のガスの問題にしても、全員が奏功するとの保障はぜんぜんありませんが、開気丸というイスクラの製剤、20日ぶんで数千円はしたとおもいますが、これで高価というのであれば、胃神我述錠という一か月分数千円もしない製剤で、比較的スムーズに寛解するケースも多いのです。
難病でもない限りは、却って自費の漢方の方が安上がりというケースもあるのです。
保険のきくツムラ漢方のエキス製剤で考える限りは、あまりにも処方数が少な過ぎるのと、乾燥生姜であるべきところが飴色に蒸した煨姜もどきの「乾姜」で製造されており、他の製剤においても白朮であるべきところがすべて蒼朮で代用されていたり、問題点を指摘すれ際限がないほどです。当然、効果にまで大きく影響します。
これらのことが、問題視されない日本漢方のレベルは実に情けない現状ですが、他の分野においては諫早湾のギロチン問題など、日本政府の考えることはこのレベルなのだから、漢方界はまだマシな方かもしれません。
ともあれ、制限があまりに多い保険漢方エキス製剤ばかりに拘泥せずに、地元の漢方薬局でベテランのところがあれば、健康はお金には換えられないものですから、たとえ少し高価なものになっても、直接出向いて本当に合った漢方薬を見つけてもらうのが最善だと思います。
折り返し頂いたメール:土曜日で連日にもましてご多忙のところ、早急ご返事いただき有難うございます。
アドバイスくださったものをまず試し、だめなときは漢方薬局探しを私がやってみます。
●●とはいえ、都心とはずいぶん離れてれていますので、難しいところですが、高齢でもあり、放っておくわけにはいきません。
最期に、重ねて感謝申し上げます。
参考文献:
posted by ヒゲジジイ at 20:31| 山口 ☔| 大建中湯の誤投与による不快反応や副作用
|
2007年06月08日
効きもしない薬を求めてどうする?
電話で問い合わせられる質問には、意外にというか案の定というか、愚問が多いので受付の女性薬剤師は本当にご苦労さんである。
昨日も、ツムラ大建中湯は置いてますか?という男性からのお問合せ。
「これまで服用した経験があるのですか?アナタに合っているとは限らないので、安易に販売することは出来ませんよ」
という応答に対し、病院からもらっているが効かない。大建中湯の効能には自分の症状に合っているはずなのに、という返事である。
「だったらなおさら効きもしないお薬を求めても意味がないではないですか?」
次に60番(桂枝加芍薬湯)が出たがこれも効かない、という返事である。
「でしたら、もう一度その病院でご相談されてみられたら如何ですか?」
というところで漸く意味不明な問答も終わったのだった。
意味不明のお問合せとは言え、これが男性だったからこれくらいで済んだが、相手が女性だったらトンデモナイ珍問答と喧嘩腰の押し問答になりかねない。
往々にして女性の問い合わせの場合には自分の意に満たない返事であれば、ガミガミと噛み付かれるのだから、どうしようもない地に落ちた日本社会である。
ともあれ結局、上記の質問も何の為の質問だったのか、効きもしない大建中湯を求めてどうしようというのか、これも意味不明だが、病院で出された医療用漢方(ツムラ漢方)が効能通りに効いてくれないからと言って、こちらに問い合わされたところでどのように返事をすれば満足されるのか?????
毎日まいにち、電話による愚問との戦いを強いられているのが女性薬剤師の気の毒な役割なのである。
【編集後記】 現在、医療用漢方の世界では大建中湯が乱用気味であることは、漢方界ではもっぱら危惧される不安な現象として捉えられており、一部の識者の間では、第二の小柴胡湯事件を引き起こさなければよいがと大いに危惧されている。
すなわち腹部症状とみたら安易に大建中湯の投与が推奨されており、方証相対や弁証論治を無視した民間療法的な使用方法に警鐘を鳴らす専門家(「漢方の臨床」誌2006年1月号など)もおられるのだが・・・同じような過ちを何度繰り返せば懲りるのだろうか?
昨日も、ツムラ大建中湯は置いてますか?という男性からのお問合せ。
「これまで服用した経験があるのですか?アナタに合っているとは限らないので、安易に販売することは出来ませんよ」
という応答に対し、病院からもらっているが効かない。大建中湯の効能には自分の症状に合っているはずなのに、という返事である。
「だったらなおさら効きもしないお薬を求めても意味がないではないですか?」
次に60番(桂枝加芍薬湯)が出たがこれも効かない、という返事である。
「でしたら、もう一度その病院でご相談されてみられたら如何ですか?」
というところで漸く意味不明な問答も終わったのだった。
意味不明のお問合せとは言え、これが男性だったからこれくらいで済んだが、相手が女性だったらトンデモナイ珍問答と喧嘩腰の押し問答になりかねない。
往々にして女性の問い合わせの場合には自分の意に満たない返事であれば、ガミガミと噛み付かれるのだから、どうしようもない地に落ちた日本社会である。
ともあれ結局、上記の質問も何の為の質問だったのか、効きもしない大建中湯を求めてどうしようというのか、これも意味不明だが、病院で出された医療用漢方(ツムラ漢方)が効能通りに効いてくれないからと言って、こちらに問い合わされたところでどのように返事をすれば満足されるのか?????
毎日まいにち、電話による愚問との戦いを強いられているのが女性薬剤師の気の毒な役割なのである。
【編集後記】 現在、医療用漢方の世界では大建中湯が乱用気味であることは、漢方界ではもっぱら危惧される不安な現象として捉えられており、一部の識者の間では、第二の小柴胡湯事件を引き起こさなければよいがと大いに危惧されている。
すなわち腹部症状とみたら安易に大建中湯の投与が推奨されており、方証相対や弁証論治を無視した民間療法的な使用方法に警鐘を鳴らす専門家(「漢方の臨床」誌2006年1月号など)もおられるのだが・・・同じような過ちを何度繰り返せば懲りるのだろうか?
posted by ヒゲジジイ at 00:41| 山口 ☀| 大建中湯の誤投与による不快反応や副作用
|