2017年07月29日

参苓白朮散(じんれいびゃくじゅつさん)といえば、脾陰虚が目立つ人にこそ

2010年7月29日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年7月29日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 参苓白朮散といえば、脾気虚による慢性下痢症の代表的な方剤といわれるが、その実、脾陰虚に対する重要方剤なのである。

 村田漢方堂薬局では脾陰虚が比較的顕著な各種皮膚疾患に応用する機会があり、乾癬性関節炎の重症者に、関節部分ではなく、皮膚の乾癬に対する方剤として、脾陰虚の存在を重視し、参苓白朮散によって、一定の効果を得ている。⇒ 参考ブログ2013年04月08日 乾癬性関節炎(関節症性乾癬)および尋常性乾癬の患者さんたちは・・・

 同様に、アトピー性皮膚炎で、脾陰虚の存在が顕著な人には、配合の一角として必須となるケースもみられる。

 また、慢性膵炎を疑われる消化器系統に問題があり、上腹部というよりも中腹部の疼痛や、不快な軟便を伴う人に、大柴胡湯などと併用して一定の効果を得ているが、脾陰虚に対する参苓白朮散に辿り着くまでに、かなり試行錯誤する期間があった。

 一般的な慢性下痢症に関して言えば、村田漢方堂薬局に限っては、不思議と参苓白朮散を必要としたことはほとんど思い出せないくらいで、多くは前回のブログで書いたように、胃苓湯や真武湯で対処できたことが多い。

 蛇足ながら、配合中の白朮(びゃくじゅつ)は、絶対に蒼朮(そうじゅつ)で代用してはならない。その理由は⇒ 白朮(ビャクジュツ)を蒼朮(ソウジュツ)で代用する日本漢方の杜撰 を参照されたし!

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2010年7月29日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年7月29日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母
posted by ヒゲジジイ at 23:47| 山口 ☀| 尋常性乾癬・乾癬性関節炎(関節症性乾癬) | 更新情報をチェックする

2006年10月10日

尋常性乾癬の漢方薬の費用について

性別 : 男性
年齢 : 40歳〜49歳
ご職業 : 会社員
具体的な御職業 : 事務職員
簡単なご住所 : 九州の某県

お問い合わせ内容 : 19歳頃(現在43歳)ごろから、尋常性乾癬で悩んでいます。
 漢方薬を試してみたいと思います。費用等を教えていただければと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

お返事メール:拝復
 10日毎に通える場所とは異なりますので、まずは地元でしっかり治療をこころみて下さい。
 病歴から察するところ、西洋医学治療では治らなかったということでしょう。
 漢方薬ではうまくいけば8割以上緩解することも多いのですが、体質によって漢方薬の配合もかなり異なりますし、経費的にも、10日毎にピントを合わせていくうち、運が悪いと次第に配合が増えて、10日分が10,000円を超えることすら珍しくありません。

 運がよければ、ありきたりな方剤が適応するようなばあいは、もっと安価で済むでしょうが、価格的なことはこれ以上の憶測は出来ません。

 それよりも、しっかりと地元近辺の漢方専門薬局などで、腰を据えて頑張ってみて下さい。
 遠方から来られる場合は、皆さん、ほとんどの人が地元で保険漢方(医療用漢方)や、自費のクリニック(医院)、あるいは漢方薬局などで治らなかった人ばかりです。

 一度来られたからといって、一発でピントが合うとは限らず、しっかりとした効果の出る配合が見つかるまで、人によっては数ヶ月以上かかる場合もあります。
 ピントがあってからも、しっかり数年、あるいはそれ以上の期間の服用が必要になる場合もあれば、一年以内で解決ということもありますが、自動車の修理などと異なって、まったくファジーです。

 まずは、地元でしっかり治療を試みて下さい。
 以上、簡単ながらお返事まで。
                          頓首

村田漢方堂薬局
ラベル:尋常性乾癬
posted by ヒゲジジイ at 01:04| 山口 | 尋常性乾癬・乾癬性関節炎(関節症性乾癬) | 更新情報をチェックする

2006年09月28日

尋常性乾癬など漢方薬の不思議なパワー!

DSC_2097
DSC_2097 posted by (C)ボクチンの母

 ちょっとタイトルがいかがわしいので、ヒゲジジイらしくないぞっと思われるかもしれないが、実際に最近あった素晴らしい実例を御紹介しよう。
 現在進行形で、ピント合わせにお互いに四苦八苦している新人さん達には、やや気が引ける話だが、漢方と漢方薬というよりも、中医漢方薬学と表現したいわけだけど、たとえば重度の耳鳴りが、村田漢方堂薬局で販売した膝関節の漢方薬で、膝が治ると同時に耳鳴りが根治したという人に紹介されて、耳鳴りを治してほしいと言って来られる人、膝関節痛が重症で蟹股歩きになった人が救いを求めて来られたりするので、その情報源はどこからだろうと不思議に思っていたら、その張本人が昨日訪れた。

 お顔を拝見すれば、確かに繰り返す膝関節痛と水液潴留による腫れに対して病院治療を経ても、水を抜くばかりで悪化の一途を辿っていたのを、僅か一種類の方剤で順調に治って数年、最近では予防的に同じ漢方製剤を、時々思い出したように購入されている初老の女性であった。
 そこで、貴女の耳鳴りのことはあなた自身からは全然聞いたこともなかったがと問えば、かくかくしかじかで、難聴を来たしていたほどだが、丁度、耳に良いと言われるサプリメントも併用していたので、てっきりそのサプリメントで治ったものと思っていたけど、まだ完全ではない時に、サプリメントの購入を怠っていたのに、膝関節の漢方薬だけはしっかり続けていたのに併行して、ますます調子が良くなり、ほとんど根治してしまったのは、間違いない、この膝関節の漢方薬だと断言されるのであった。

 この単一方剤をここで公表すると、皆がみなにそんな良いことがあると誤解されたら困るので記さないことにするが、その経費、月額に換算すると六千円と少し。
 こんなに安上がりなのに、「漢方は高いけど良く効くよ」と友人に奨め回っているということだ!? トンデモナイっ!月額六千円で高いといわれるなんて青天の霹靂だから、何を奥さん勘違いしてんのよ!最も安い経費の下限ギリギリですよ!と、変なところでいきり立つヒゲジジイであった。

 もう一例は、尋常性乾癬
 これまで重症の人では、顔面以外の全身、完全に鎧で覆われたような超重症の人が同業者に紹介されて来られた方に、温清飲加味方剤の煎じ薬八ヶ月で根治した猛スピード治癒例の経験があり、運よくそのまま中止しても、二十年後に腰痛の相談でやって来られた時点でも再発は見られなかったという凄まじい効果を示した経験もあるが、そういう例外を除いて、年余の根気がいることが多い皮膚疾患である。

 ところで今回の例は、あきらかに温清飲は不適な体質であるので、アトピー様の様相もあるので、当方にアトピーで来られている人ならよくご存知の例の三点セットを短期間試みてもらったが、あまりピンと来ない。
 そこで正確な弁証論治を探って、日本一濃度の濃い某メーカーの薏苡仁エキスと粉末が混合された製剤に、見かけによらず皮下に潜んでいる水分代謝の調節を行うために猪苓湯製剤に板藍茶、(実際には腎系統からの水分調節を行うために六味丸も出したかったが、10日後の様子次第ということにして後回しにしたのだった。)

 結果は、わずか10日足らずで見かけ上はほとんど消失しているのには驚いた!予定していた六味丸の追加はナシである。今後の推移が楽しみであるが、弁証論治による中医学的な類推が結果的に正確であれば、かくも凄まじい著効が得られるのである。
 もちろん最初に即効が得られたからと言って、直ぐに中止したら元の木阿弥になることは常識であり、今後も根気よい体質改善は必要であろうが、この方法で効果が少ないようなら、参苓白朮散エキス製剤の追加も考えていたのだが、六味丸も参苓白朮散も永久に必要ないかもしれない。

 といっても、人間様の身体は四季折々に変化するので、何度も書くように、一時の即効があったからといって、油断は禁物である。
 村田漢方堂薬局のジンクスとして、初期に即効が得られた人ほど、真面目に継続服用することが出来なくて、中途半端な結果に終わっている人が多い傾向にあるからだ。

 現実には、しっかりとした効果が得られるまでに、お互いに随分と苦労してしまった人ほど、諦めずに頑張られた場合の話だが、そういう人ほど根治に近い状態となり、また大の漢方ファンになられている。

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DSC_2257 posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 20:14| 山口 ☁| 尋常性乾癬・乾癬性関節炎(関節症性乾癬) | 更新情報をチェックする