2019年02月15日

ようやく今年になって、数年来の心身の激しい消耗から脱出することができた

2010年02月15日の茶トラのボクチン(5歳)
2010年02月15日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 数年前には、日々ハードな仕事量に、爺婆(ジジババ)漢方薬局としては心身ともに限界に達していた。

 ジジもババも、既に体力の限界に来ていたのが、お互いに変に遠慮して言い出せなかったのが、あることがきっかけで「このまま続けていたら、本当に死んでしまいそう」だ、という深刻に悩んでいた本音が、まったく一致!

 経理はすべて女性薬剤師(愚妻)なので、数年前も税務署に直接申告に行って書類を提出したところ、このご時世、よくぞジジイとババアだけで、こんなにっ!と呆れらた?こともあった。

 もともと小児科の領域の子供さんは常連さんのご家族以外はお断りしていたし、代理の相談者や、病院に一度も診断を受けることなく相談に来られる人もお断りしていたというのに、あまりの仕事量に、前期高齢者の仲間入りするようになって、とうとう心身共に限界に達していた。

 そこで、仕事を過度に増やさない手段として、月曜日と土曜日、および祝祭日前後の日は、新規相談を受け付けないシステムは早くから取っていたのだが、それでも、数回すら通える自信のない人達の相談が激増していたアトピーの相談者を減らすために、アトピー専門のブログとホームページを完全に抹消した。

 それでも、仕事量は少しずつしか減らなかったものの、今年になってようやく過剰な仕事量とならない、時間にも余裕がとれるようになって、急速に心身ともに生き返ることができて、ホッと一息つけるようになった。

 特に喜ばしいことは、不謹慎ながら、仕事の合間に読書する時間を取れる日も出てきたのが、最高に嬉しい(笑。

 そのような制限を設けたからか、来られる新規相談者は、真摯な人達ばかりが目立って、しっかりと時間をかけた相談が可能となっている。

 最近のヒット作としては、体格の良い男性なのに、東洋医学専門のクリニックに通っていても次第に悪化して、当方に相談に訪れた比較的重い貧血と軽度の腎不全に高血圧を合併した心房細動が、漢方薬服用1週間以内に完全に消滅したこと。
 但し、即効に気をよくして油断していると再発の恐れなしとしない。

 一連の症候にもとづいて、知柏地黄丸製剤+茵蔯蒿湯+黄連解毒湯+アスリーブ。(2回目は黄連解毒湯を釣藤散に切り替えている。)

 また、嬉しいことにヒゲジジイの最後の置き土産になるかもしれない新製品がウチダ和漢薬さんから来週には新発売となる。

 ウチダ和漢薬さんの製品で、ヒゲジジイ考案のものは、これで何種類になったことだろう!?

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2010年02月15日の茶トラのボクチン(5歳)
2010年02月15日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:心房細動

2016年07月05日

まずは専門医で診てもらって、病気の実態を解明してもらう必要があるケース

2010年7月6日のボクチン(6歳)
2010年7月6日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 最近も例によって、病院治療でまったく効果のない無菌性の前立腺炎や重篤化したアトピー性皮膚炎、再発癌や転移癌など、それぞれの新規相談者には漢方薬類がそれぞれ一定の効果を得て、継続する価値が大いにあるものの、効果のあった漢方薬を敢えて中止してまでも、しっかりと専門医で診察してもらうべきケースも稀にはあるものだ。

 数年前から身体がだるく、血圧の上下動が激しいという初老の女性。

 不整脈もあるが数年前、循環器内科で診てもらったところ、良性の不整脈だから心配ないと言われている。

 そこで数年来、近所の内科に通院しながら、血圧の薬とコレステロールを投与されながら、体調不良は地元の漢方薬局に通い詰めていたという。

 そこでは自律神経失調症だろうとて、抑肝散加陳皮半夏や六味地黄丸のいずれかを2〜3年続けたが、まったく無効だった。

 その間には不整脈が2拍打つと1拍飛んでしまうくらいに悪化していたが、数年前の循環器科で「良性だから心配ない」という言葉を信じきっていて、こちらにはついでに報告する程度だった。

 頭でも脈拍を感じることも多く、緊張しやすいなど、柴胡加竜骨牡蛎湯と炙甘草湯証が合併している如くであるが、まずは炙甘草湯+茵陳五苓散を服用してもらったところ、就寝前の動悸とだるさは軽減したが、日中の頭部の動悸がやや増加したという。

 そこで炙甘草湯だけにした途端、劇的に動悸を感じなくなったものの、実測の不整脈はやや減った程度である。

 そこでいよいよ本命の炙甘草湯に柴胡加竜骨牡蛎湯を併用してもらおうと考えたものの、循環器の専門医にかかったのは数年前のことで、それ以来、地元の内科医に通院しているものの、不整脈については問題にされないことから、やはり専門医に一度しっかり診てもらうべきだと考えをあらためた。

 不整脈の種類によっては、カテーテルを使った治療で一発で根治することもあるので、まずは正確な診断をしてもらえる循環器科に行ってもらうこととし、顕著に効果が出ている炙甘草湯もすべて漢方薬は一旦中止してもらうことにした。

 どう考えても単なる自律神経失調症とは思えず、この頻繁な不整脈の連続こそが病根であろうと思われる。

 専門医にかかってしっかり診断と治療を受けて、それでも治らないときは、再来されればよいのだから。

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2010年7月6日のボクチン(6歳)
2010年7月6日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

ラベル:不整脈

2015年11月02日

炙甘草湯は即効ばかりとは限らない

2010年10月02日の茶トラのボクちん(6歳)
2010年10月02日の茶トラのボクちん(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 中医学的には、炙甘草湯はしばしば不整脈治療に使用されるのは常識だが、なかでも各種原因による(原因不明の場合も多いらしいが)⇒心房細動に対しては、ほとんど基本方剤といっても過言ではないように、張瓏英先生が強調されておられた。

 経験的には、炙甘草湯が効く場合は、かなり即効が出るように思っていた。

 ところが、初期にあまり効果がない人でも、病院治療でも思わしくないので、効果が弱くとも、漢方薬なら安心とて、数年以上の長期間続けている人達が何名かおられる。
 そこで、最近その後の調子を訊ねてみたら、1年近くも続けていると、かなり軽減して、数年経つうちには、ほとんど忘れるようになったという人もおられた。

 中には明らかな効果が得られないので一年くらい続けたところで中止していた人も、数年後、やっぱり飲んでいたときの方が、明らかに減っていたようだと再開された人もおられる。

 いずれの人達も、疲労回復作用という嬉しい附録があるので、不整脈に即効が得られなくとも、そのお陰で長期間続けられる部分もあったようである。

 たしかに、張瓏英先生の諸著作には、炙甘草湯で直ぐに効果が出なくとも、適切な他方剤とともに長期間続けるべきだと書かれていた。
 
 併用方剤としては、諸条件によって五苓散や柴胡剤、生薬製剤二号方や冠元顆粒、あるいは牛黄配合製剤など多岐に亘るが、人によっては単独で即効が得られる場合もある。

 即効がなくとも、各種不整脈で、病院治療でも思わしくない場合には、中医学的に弁証論治すれば、多くは炙甘草湯が適応することが多いので、張瓏英先生のアドバイス通りに、長期的に続ける必要があるよう思われる。

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1989年にウチダ和漢薬同好会で張瓏英先生に別室でお会いした時の記念写真
1989年にウチダ和漢薬同好会で張瓏英先生に別室でお会いした時の記念写真 posted by (C)ヒゲジジイ

2011年10月02日の茶トラのボクちん(7歳)
2011年10月02日の茶トラのボクちん(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ

ラベル:心房細動 不整脈

2013年06月13日

桂枝茯苓丸で牛黄以上の疲労回復効果が得られた稀有な例(アトピー性皮膚炎に合併する心房細動)

2006年1月16日のボクチン(1歳半)
2006年1月16日のボクチン(1歳半) posted by (C)ボクチンの母

 これもまた関東地方から今年2月から20日毎に通い始められたアトピーさん。
 地元で何年も苦労されてとうとう万策尽きて来られただけに熱心ではあるが、初期にはこちらのアドバイスに従ってくれないことが多くて、そのために気の毒なくらい叱り付けたことがあった(苦笑。

 ただ困ったことに原因不明の持病として心房細動が病院でも治療方法がなく、こちらとしてはその方が心配だった。
 心房細動に対する第一選択肢の炙甘草湯を使うとアトピーに悪影響が出るので、しばらくは放置することにして、アトピーの配合に専念して結局は5〜8種類の方剤を適宜使用する方法を苦労の果てに伝授できたところでようやく症状は半減した。

 そこで苔癬化した部分の改善に生薬製剤二号方と桂枝茯苓丸加ヨクイニンを恐る恐る順次テストしてもらったところ、前者ではアトピーに悪影響が出たが、桂枝茯苓丸加ヨクイニンでは顔面皮膚のこわばりが消失すると同時に、驚いたことに牛黄製剤を使用したときのように俄然、体力が一気に増して身が軽くなり疲労感が驚くほど消え去ったといわれる。

 服用開始直後から桂枝茯苓丸加ヨクイニンでこれほどの疲労回復効果と体力増強効果が出たという例は稀である。
 もしかして、と脈拍をはかってもらったところ、安静時には完全に心房細動が治っている。労作時には心房細動が出るが、安静時には完全に消失しているのである。

 アトピーに配合中の清心蓮子飲や八仙丸などとの連携プレーも十分に考えられるが、それにしても桂枝茯苓丸加ヨクイニンでこれほどの即効的な疲労回復効果を報告された例は過去40年の経験からは稀有な例である。

 もしも桂枝茯苓丸が不適であった場合は、体質によっては逆に体力低下や疲労感を増長しかねないのだが、心房細動の改善効果が得られるなど、よほど桂枝茯苓丸がフィットしていたに違いない。

2006年1月16日のボクチン(1歳半)
2006年1月16日のボクチン(1歳半) posted by (C)ボクチンの母

2012年10月13日

炙甘草湯エキス製剤のみで心房細動が完全消失して9年以上

IMGP7627
IMGP7627 posted by (C)ボクチンの母

 心房細動の原因までは究明されてなかったようだが、10年近く前、八十歳近いご高齢者の相談を受けたことがあった。
 病院に何年通ってもまったくリズム感のない心房細動の鼓動はびくとも改善しないということだった。

 しかしながらご家族で誰一人として当方の漢方薬の利用経験者がおられない場合のご高齢者の漢方相談は、よほどの例外(ご本人の漢方薬による治療意欲と頭脳明晰という必須条件)でもない限りは、丁重にお断りするのが通例で、病院にお任せするべきだと逃げ口上を述べながら、舌を拝見すると無体で鏡のようにテカっている。
 まさしく炙甘草湯証の典型的な舌証を備えているように見えた。

 そこで10日分だけお渡しして、効果がなければ漢方薬はあきらめて、病院治療に専念されて下さいと、これまた逃げ口上(苦笑。

 これが超速効を得て劇的に心房細動が消失した。
 以後はいつの間にか、1日3回服用すべきところを1日2回の少ない服用量ながら熱心に続けられて、気が付けば既に9年以上を経過した。

 最近、24時間のホルダー心電図を装着して計測した結果、僅か3個の不整脈が存在したのみで、基本的に治癒した状態が9年以上も続いていることが確認され、御礼を述べられたばかりである。

 中医学では炙甘草湯は心房細動の基本方剤であると張瓏英先生の諸著作には繰り返し記載されていたが、現実にはすべての心房細動が炙甘草湯で対処できるはずもなく、炙甘草湯証間違いなしと思っても、現実的にはその効果においては個人差がとても大きいものである。

 ともあれ、既に九十歳近くになられ、このような安上がりな炙甘草湯エキス製剤のみを1日2回の服用で、病院治療でもまったく無効だったものが、短期間に速効を得て以後も連用することによって9年以上も二度と再発がみられないことは実に慶賀すべきことである。

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とっても小さな1cmにも満たない小さな花 posted by (C)ヒゲジジイ

2012年03月24日

原因不確定の不整脈を伴う心疾患の漢方相談

IMGP5365
IMGP5365 posted by (C)ヒゲジジイ

ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 40歳〜49歳の男性
御職業 : 自営業
簡単なご住所 : 九州
お問合せ・ご連絡内容 : こんばんわ。

 HPを拝見させていただき問い合わせさせてもらいました。
 2年前に持続性心室頻拍を発症し、現在ICD(植え込み型徐細動器)を埋め込んでいます。抗不整脈薬等を服用しながら安定していたのですが、最近頻繁に悪い不整脈(VT)が出ており、機械のペーシング機能で最悪の状態を逃れている状況です。

 20歳過ぎから心電図には異常がありましたが、特に自覚症状はなく、要経過観察の状態でした。いちどカテーテルアブレーションを実施したのですが、心室の外側に不整脈を発症している部位があるとのことで治療はうまくいきませんでした。

 今後状況が変わったとしても今のところ決定的な治療方法がなく、漢方ならばとおもい連絡させていただきました。

 不整脈の原因としては拡張型心筋症の恐れがあるとのことでしたが、確定ではありません。また心サルコイドーシスの恐れも考えられるとのことで検査を受けましたが、確定に至る根拠はないとのことでした。

 ●●で漢方薬局を探しましたが、存在しません。◎◎市(車で2時間)にはあるのですが、近場にまず相談したほうがよろしいでしょうか。(HPにまず近場の漢方薬局に相談するのが筋だ・・といったようなことが書かれてあったので)

 また、こういった症状の場合漢方による効果は期待してよろしいのでしょうか。

 私自身はいつでも下関まで行く準備はできています。
 恐れ入りますが、回答お待ちしております。

BSC_6747
BSC_6747 posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:まずお返事としまして

>こういった症状の場合漢方による効果は期待してよろしいのでしょうか。

につきましては、かなり重大な疾患であるだけに、相当に高度な体質と病状の中医学的な分析が必要であり、定期的に通い詰められることで慎重な配合と微調整が必須と思われますので、経験豊富な専門家による相談が必須です。

 それゆえ、どの程度の効果を期待できるのかは、まったく不明であると言わざるを得ません。

>近場にまず相談したほうがよろしいでしょうか。

というご質問は、ご指摘の通り「まず近場の漢方薬局に相談するのが筋」であります。

 漢方専門だけで生計が成り立っている薬局では、それなりの知識と能力があってのことだと思います。商売が上手だけでは存続できないのが、この漢方界の常識でもあるはずです。
(但し、薬のネット通販など、中には安売りで人を惹き他所の薬局の漢方相談の苦労の成果を横取りすることで存続されるところは、漢方知識と能力を些か疑わざるを得ない薬局は例外です。)

 結論としましては、そのような重大な疾患を、当方のような遠隔地に通うことで、体力を消耗され、そのことで却って逆効果になっては本末転倒となりますので、必ず地元近辺で相談して頂きたいと思います。

 なお、残念ながら、病状の内容から愚考するに、必ず漢方で改善すると確約できるものでもありません。

 以上、取り急ぎ、お返事まで。

ZZZ_2561
ZZZ_2561 posted by (C)ヒゲジジイ