2011年06月12日
5月の異変に意外にも三物黄芩湯が活躍
FSC_2604 posted by (C)ヒゲジジイ
三物黄芩湯エキス顆粒はもともと某社が製造販売されていたものの、流通量が少なく採算が合わないとて製造を打ち切って久しかった。
そこで、ヒゲジジイが小太郎さんに新規製造許可を得るように強く要請していたところ、昨年、念願かなって補気建中湯などとともに新規の発売となっていた。
今年の5月は例年に無くアトピーの新人さんたちの一時的な再燃や、数年ぶりに再発した人、とめはがつかなくなって遠路はるばる新たにやって来られた新人さんなどが目立った。
その半数の人たちに三物黄芩湯が大活躍しているが、これも例年にない珍しい現象である。
しかしながら、ジメジメした湿気が蔓延する梅雨時。
三物黄芩湯や六味丸系列の方剤のように地黄の配合された方剤を使用する時には、体内に併存していることの多い重濁粘膩な湿邪が増長しないよう、細心の注意を払った配合が不可欠である。
CSC_0567 posted by (C)ヒゲジジイ
CSC_0761 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 00:21| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2011年05月29日
アトピーの禅問答
FSC_0168 posted by (C)ヒゲジジイ
重症のアトピー性皮膚炎を苦労して寛解に導けた人達は、それまで多くの配合の微調整のヒントを与え続けているので、一年も経つころには勘のいい人達が多い、というよりも過去の悲惨な状態から抜け出られた身体は敏感に漢方処方の反応が体感できるようになっているので、当方のちょっとしたヒントがあれば、積極的にみずから工夫を凝らして自分自身が主治医となっている。
そのような優秀な生徒だったはずの人でも暴飲暴食と不摂生が祟って数年ぶりに再発した男性。
強力な清熱剤とともに杞菊地黄丸、猪苓湯、茵蔯蒿湯などで真っ赤な顔がようやく鎮静化しはじめた。
ところが、
「猪苓湯を1包にしたら顔と首が乾燥します。半包だと微量ながら耳と首がら汁がでます。」
というデリケートな微調整のアドバイスを請うメール。
「であれば、0.7包です。それがむずかしければ、しばらくはどちらかで妥協するしかありません。」
杞菊地黄丸など六味丸系列の方剤と猪苓湯との配合比率関係で、乾燥と滲出液の微調整が可能となるので、この男性の場合、猪苓湯1包を使う場合、相対的に滋潤作用のある杞菊地黄丸を増量する方法があることを、きっとやがては気が付くはずである。
ところで、この男性、アトピーが安定していた通常は補中益気丸の愛用者であったが、この5月現在は、
「補中益気丸は1丸でも飲むと顔の火照りがヤバイです。」
ということである。
FSC_0167 posted by (C)ヒゲジジイ
FSC_9516 posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:アトピー性皮膚炎
posted by ヒゲジジイ at 19:15| 山口 ☔| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2011年05月28日
アトピーの問い合わせが多い5月
FSC_0363 posted by (C)ヒゲジジイ
毎週土曜日の半ドンは、遠方から来られる人が集中しやすい日。
それでも、できるだけ少数精鋭を心がけているので、十分な相談時間を取るようにしている。土曜日には半ドンというせいもあって、待合の椅子がちょっと混雑することがあっても流行の病院ほど混雑するわけではない(苦笑。
雨の土曜日だったが、それでも熱心に通われる人達が来られ、ほどほどの結果が出ている人たちが多かったので神経の消耗は少なかった。
1時間半の延長戦後に薬局を閉じ、遅い昼食後に返信メールを連打していたら夕方になって一週間の疲れがどっと出てウツラウツラしはじめた。
とっ突然、静寂を突き破って電話の呼び出し音。
例によって魔の土曜日夕刻の時間帯、こちらは完全にお休みモードだが、案の定お問い合わせ電話。
過去に村田漢方堂薬局の漢方薬で顔面湿疹が治った人からの紹介ということであったが・・・
どのようにしてお断りしようかとボンヤリ考えながら話を聞いていると、いつの間にかだらだらと長くなってしまったので「ご質問の主旨は?」といってもますます埒が明かない。そこで、
●もしもアトピーが重症であれば経費は一ヶ月分に換算すれば2〜4万円かかることがあること。
症状が安定するまでは7〜15日毎に通えること。
●アトピーの重症では一年間、四季折々の変化をしっかり観察しないと本当の治癒に向かうことができない場合があること。
●数年は続けるつもりでなければ、元の木阿弥になる場合があること。
などなどを伝えると、案の定ようやく電話を切ることができた。
紹介者の手前、それほど無下にも出来ないものの、本気モードでなければ最初からお断りするに限る。
本日もこのアトピーの問い合わせの女性も、4月頃から次第に悪化して、5月に入ってますます症状が悪くなる一方であると言われる。
それまでは、著明な漢方薬局や全国的に超有名な医師の治療を受けること、それぞれ数年ずつ頑張っていたといわれる。
重症者の場合、村田漢方堂薬局でも一年間は行きつ戻りつして難航する場合があっても、7〜15日毎に通えた人では、数年もあればほとんど9割以上、少なくとも8割以上の安定した状態を保持できている。
すなわち数年も経てば、ほとんどの人が四季折々の漢方薬の微調整のコツを覚えてしまい、ヒゲジジイの苦労も激減する。
難航する場合でも、直接頻繁に通える人では、一年もあれば四季折々の変化の様相がしっかり把握できることが多いので、トウゼンといえは当然かもしれない。
現在でも、あと数ヶ月で一年になろうという遠方から通われている人が、5割の寛解を維持していたはずが、突然の5月の異変(昨年はもっと酷かったということではあるが)、その微調整になかなか手間取っている。
しかしながら現在の互いの苦労がいずれ稔る日が必ずやって来る。
重症者の場合は(といっても重症者以外はアトピー相談には乗らない方針)まる一年が経過した時点で、ようやく四季折々の変化の体質傾向をしっかり把握できるようになるからである。
FSC_0083 posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:アトピー性皮膚炎
posted by ヒゲジジイ at 17:50| 山口 ☔| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2011年05月22日
アトピー再発のきっかけは食事の不摂生が最も多い
飛び立つ寸前にパッチリっ! posted by (C)ヒゲジジイ
アトピー治療に食生活の改善は欠かせない。その努力と相俟って漢方薬がスムーズに効果を発揮する。
すでに9割以上の安定した寛解を得た人でも、2〜3年も経たないうちにハメを外して暴飲暴食とまで行かないまでも、次第に食事内容に乱れが生じると、5月のような異変が生じやすい季節になると、眠っていたアトピーが突然に暴れだす。
現実にそのよう人が今年は少数ながらおられたが、大いに反省して昔の苦しかった時代を思い出して火消しに専念されている。
女性では髪を染めたり、化粧を再開することも危険因子であるが、さいわいこれらを再開してひどく再発した人はいまのところないが、危険性を孕んでいることには違いない。
過去にはエステに行って再発した人もいるので注意が必要である。
ところで、この春に新たに来られた遠来者は、いずれも見かけは7〜8割寛解と言える外見なので些かとまどっている。
これまで大多数が、誰が見ても酷いアトピーだと外見で分かる重症者ばかり。
彼等や彼女等の相貌では従来なら7〜8割はよくなったねっと喜ぶべき外見であるから、些か勝手が違うのである。
高い交通費を使っていずれも関東地方から、本当に根気が続くのだろうかっと些か危ぶんでいる。もしかして要求が高過ぎる人達かもしれない。
FSC_9041 posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:アトピー性皮膚炎
posted by ヒゲジジイ at 21:38| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2011年05月18日
アトピー性皮膚炎5月の悪化は例年以上に数が多い
IMGP3759 posted by (C)ヒゲジジイ
例年、春と秋の季節の変わり目にはアトピーが悪化しはじめ、どうしようもなくなって新人さんが訪れる季節でもある。
昨年秋には男性ばかりが多かったが、今年の春は男女五分五分。
わざわざ遠路はるばる来られるからには、それまでの地元の漢方治療に行き詰まり、次第に悪化しつつある状況下で、しかもタダでさえ悪化しやすい5月である。
悪化しやすい5月とはいえ、一年以上通って8割以上寛解の安定期に入っているベテランの人達でさえ、なんとっ!今年ばかりは5月に入って急に一時的に軽度ではあるが再燃したという人が多い。
みずからの微調整で数日で治まったというベテランの人達が多く、漢方薬の補充に来られたついでに事後報告される。
一部のベテランさんは、急な久しぶりの痒みに微調整のヒントを求めるメールも届く。
ましてや一年以内の新人さん達ともなると、せっかく順調に寛解に向かっていた人達なのに5月になって多かれ少なかれ再燃がみられる。
このように順調に経過している人達が5月になって軽度ではあっても再燃した頻度は例年に比べ物にならない。
そのような遠方の新人さんたちにメールでアドバイスする日々が続いているので、ブログを更新する気になれなかった。
年々、やって来られる人達のアトピーの性質が、やや変種に近いタイプが集まる傾向が強いので、様々な微調整にはかなりな工夫を要する。でなければ、遠路はるばる来られなくとも、既に地元で寛解しているはずである。
それにしても、昨年から一昨年にかけて、背水の陣で来られた重症の女性達。
一人は8割以上の寛解を得たところで一年も経たないうちに今年になってプッツリと音信が途絶えた。
もう一人は数年以内に治らなければ自殺を考えていると涙ながらに来られていた女性も数年も経たないうちにようやく8割近くの寛解を得たところで、同様に今年になってプッツリと音信が途絶えた。
あの複雑な配合方剤の服用を半年近くも絶ったまま、今頃この鬼門の5月に再燃して苦しんでいるのではないだろうか?
ときどき思い出しては心配してあげているのだが、これだから日々ストレスは尽きない。
運よく即効を得てあっけなく寛解に向かった人ほど、短期間で音信不通になるケースが多いが、咽喉元過ぎれば熱さを忘れるのたぐいかっ。
IMGP4174 posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:アトピー性皮膚炎
posted by ヒゲジジイ at 20:28| 山口 | アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2011年04月21日
熱証が強烈な時期のアトピー性皮膚炎に当帰や川芎の配合剤は逆効果になるケースが多い
FSC_6631 posted by (C)ヒゲジジイ
【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾
【 年 代 】:30〜39歳の女性
【 地 域 】:関東
【 お問い合せ内容 】: 煎じ薬について
初めてメールさせて頂きます。
今回は、漢方の煎じ薬についてご教示いただければと思い、メールさせて頂きました。
アトピー歴25年の者です。現在、漢方の煎じ薬を飲んでいます。
現在の漢方薬局は2店目で、2月から通い始めました。
中国から来ている先生に診てもらっているのですが、最初に出された漢方薬が「温清飲、竜胆瀉肝湯、地膚子、苦参、バシケン」で、1ヶ月半近く飲んでいたのですが、どんどん悪化してしまいました。
結果、こちらのホームページなどを拝見させて頂いて、温清飲が悪化の原因ではないかと思い、先生にお願いして現在は温清飲から黄連解毒湯に変更してもらいました。
今は少しずつですが炎症が和らいできているように思います。ただし、上半身のみに炎症の軽減が見られ、下半身は今のところ変化ありません。
ただ、竜胆瀉肝湯を飲むと、上半身の炎症が元に戻ってしまう傾向があり(気にし過ぎかもしれませんが・・・)、竜胆瀉肝湯については現在様子を見ながら飲んでいます。
アトピーの症状としては、もともとジクジクタイプではなく、赤みのある乾燥タイプです。
竜胆瀉肝湯でもやはり合わない場合もあるのでしょうか?当帰が入っているからでしょうか?
先生には「あなたは薬に対して体が敏感に反応するのかもしれませんね」と言われ、反応が良い分、合わない薬を飲むとすぐに悪化傾向になってしまう体質なのかも・・・と、少し不安に感じています。薬に対して反応が良すぎる体質などあるのでしょうか?
竜胆瀉肝湯の不安を先生にお伝えしたところ、代わりにケツメイシ(便は毎日出るのですがスッキリせず、以前大黄を出されて飲んだら腹痛で下痢をおこした)と牡丹皮が出されました。どちらも炎症をとる作用があると言われました。
ネットで調べたところ、牡丹皮は寒性だけど血液の循環を良くする働きがあるようで、これがまた悪化の原因にならないか心配です。(先生は大丈夫とおっしゃるのですが、温清飲のときにも大丈夫と言われ、飲み続けた結果悪化している経緯があるため、少し慎重になってしまっています)
実は、こちらのホームページを拝見して、どうしても25年続いているアトピーを何とか寛解させたいという思いと、ずっと続いている熱感による不眠を何とかしたいという思いが強く、今回そちらまで通う決心を致しました。
そちらへは「最後の砦」と思って、まずは近くで信頼できる先生を探そうとも思ったのですが、これ以上廻り道はしたくないという逆の思いもあり、今回そちらへ通わせて頂こうと思った次第です。
G.W明けには伺いたいと思っているのですが、道中長いこともあり、出来るだけ今以上には悪化させたくない思いがあり、今回メールにて質問させて頂きました。
お忙しいなか恐縮ではありますが、ご教示くださいますようよろしくお願い致します。
長文で読みづらいことをお許しください。
FSC_6630 posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール: 明らかな熱証のアトピーでは、うっかり当帰や川芎を配合すると、逆効果を生じて当然です。だから温清飲や竜胆瀉肝湯が貴女には逆効果に働くことは当然のことなのです。
また「あなたは薬に対して体が敏感に反応するのかもしれませんね」と特別な過敏体質のように告げられていますが、とんでもないことです。
貴女が特別ではなく、アトピー性皮膚炎の人達すべてが過敏体質なのです。だから、村田漢方堂薬局ではアトピーの人達には特別に配合を慎重に配慮しています。
ところで、関東地方から来られるにしても、一度来られてその後は通信販売で、というのは昔の話で、これができるのは二年前から継続服用されている人達だけなのです。
現在の悪法の下では、遠方の人でもその都度、直接来られて購入しなければならない規則になっています。
現在、関東や関西や遠くの九州からもアトピーで2週間〜1ヶ月ごとに通って来られる同年代の男女がおられますが、いずれも熱心な人達ばかりで、最近、関東から来られている男性は二週間ごとに既に3回来られていますが、おだやかな効果ながら今のところ最初から順調に効果を発揮しています。(なぜか関東は男性が多い。他の地方は女性が多いのですが・・・)
いずれの人達も、2週間〜1ヶ月毎に通う決意がおありだったので、引き受けることが出来た人達ばかりなのです。
最近の関東の男性以外は、全員、何の前触れもなく突然泊りがけで来られましたので、それだけでも決意のほどを察知することができました。
アトピーでお困りの方は日本全国とても多いのですが、当方に来られる人達のほとんどが各地の地元の漢方で治らず、最後の手段と思って当方に来られています。それだけに弁証論治に頭を悩ますケースもありますが、あきらめずに頑張れる人は、必ず8〜9割以上の寛解を得ています。
以上のように、定期的に最低でも1ヶ月ごとに通うことができるかどうか? という問題があります。その決意と忍耐さえあれば、一定レベルの効果を発揮しはじめれば、数ヶ月ごとに伸ばすことも十分可能ですが、それまで頑張れるかどうか、数ヶ月ごとで済むようになるには、3ヶ月目〜半年くらいと、とても幅があります。
中にはとても熱心な人もいて、往復8時間の行程を10日毎に1年以上通い詰めて、ようやく最近は一ヶ月毎となり、かなり寛解できたところで、いくら「髪を染めてはダメだ」と注意しても「自己責任でやってますから」とうそぶけるほど寛解した女性もいます(苦笑。
そういえば、過去、最も重症で全身から滲出液が流れ続け、命も危ぶむほどだった女性が、現在では図々しくも派手なお化粧を楽しむまでになったのには唖然としてますが、実際にはアトピーが寛解しても髪を染めることも、お化粧をすることも、本当はご法度なのです。
以上、とりとめのないお返事になりましたが、すべてはアナタの決意次第です。
FSC_6636 posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:アトピー性皮膚炎
posted by ヒゲジジイ at 00:43| 山口 | アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2011年02月10日
アトピー性皮膚炎の懲りない面々
DSC_7992 posted by (C)ヒゲジジイ
遠路はるばる関西から新幹線に乗って、昨年秋から通っているアトピーさんが、来られる度に痒みが減り、乾燥も減り、滲出液も完全に止まって、昨日の朝もみかけはほとんどアトピーと分からなくなって、こちらもホッと一安心。
ご本人も最近は六味系列の方剤と猪苓湯の配合比率の微調整実験のコツが分かってちょうどよい比率が見つかったということで、意外に勘のよい人だったと喜んでいたところ、いつになく腕の辺りをボリボリと掻いている様子が目に付く。
いつになく掻いているがどうしたの? と詰問すると、何だか今日に限って少し痒いけど、普段は昼間に痒くなることは滅多になくなっていたんだけど・・・
ところが何とナント、朝方に豚キムチを食べてやって来たというではないかっ!
先日も、丸一年、10日毎に往復8時間の遠路を通い詰めて、ようやく一定の安定した効果が持続するようになって社会復帰出来た重症のアトピーだった人が、こちらが気が付かない間に髪を茶色に染めているっ!
二度と髪を染めてはイケナイとあれほど口を酸っぱく注意していたのに、性懲りない面々である。
帰宅後にメールで追っかけて強く注意したら「自己責任でやってます」と来たっ!
呆れて物が言えない連中である(苦笑。
懲りない面々でも意外に面倒見がよいヒゲジジイ・・・最初の怖さが無くなって、意外にワガママが通用するジジイだと侮られている可能性無きにしも非ず(泣。
DSC_3827 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 00:25| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2011年02月03日
漢方薬はアトピー性皮膚炎にどの程度有効か?
DSC08204 posted by (C)ヒゲジジイ
最近、あるベテランの漢方専門(といっても保険漢方の範囲内)の医師の談話を読む機会があった。
要約すると、アトピーの漢方治療といっても、結局は西洋医学の皮膚科治療のサポートレベルであり、漢方薬だけでアトピーを治すのは困難だという主旨であった。
確かに保険漢方の範囲内では、使用できる方剤が限られているのでその点では自費の漢方とは大きな隔たりがあるように思われる。
軽症のアトピーではそれほど苦労はないだろうが、一定レベル以上のアトピーともなれば初回から目覚しい漢方薬の効果を発揮できたとしても、四季折々の配合変化がほとんど不可欠であり、うっかり油断できない極めてデリケートなアレルギー性疾患である。
ヒゲジジイも数十年の漢方相談の経験がありながらも、一定レベル以上のアトピーの人達には半年から一年間というもの、多くはお互いに苦労のし通しで、その苦労に耐えた人達だけが9割以上の安定した寛解が得られるという現実がある。
かと言って、半年から一年で漢方薬を中止できる人は軽症者に限られ、ほんとうに安定した寛解を得る為には、服用回数を減らすことはあっても数年以上の継続服用は必須に近い問題である。(再発組では5年以上継続している人も珍しくない。)
つまり、一年前後で寛解を得ても、その後もたゆまぬ体質改善および再発予防が必要となる。
一定レベル以上重症化していたのだから当然といえばトウゼンだが、漢方薬だけでほとんど完全寛解に漕ぎ着けるのだから、重症者に限って真面目な相談者が後を絶たない現実がある。
これが自費の漢方の強みといえば強みで、ステロイド外用薬が手放せない人でも、しばらくは必要に応じて併用していても、いずれは完全離脱も夢ではないどころか、自然に一週間に1〜2度塗るか塗らないかの段階に到達する時期が来るので、そこまで来れば、外見上は誰が見てもアトピーだとは気付かない。
昨今は大人の重症者ばかりの相談がほとんどだが、どこに行っても治らなかった人達の方が真剣真面目に頑張ってくれるので、中途半端で及び腰の人達よりも遥かに治りがよいのだから、世の中、実に皮肉に出来ている。
明らかな効果が出ているのに長続きしない人がいるのは、あるいは経費的な問題かもしれないが、たしかに最初の一年間くらいは月額数万円の経費はほとんど必須に近い問題である。
厳然とした事実として、あまり節約すると効果が出せない現実がある。これは経験した人達だけが実感するところだろう。
DSC08373 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 21:10| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年12月15日
アトピー性皮膚炎の優秀な生徒さん
ISO=12800のボクチン posted by (C)ボクチンの母
極めて例外的に子供さん達のアトピーの面倒を見てあげたのは、母親があまりに優秀な生徒さんだったから。
「ところで猪苓湯はどうなった?」
「私は現在使ってないし、子供達二人とも今は要らないみたいです・・・」
と勘のよい母親がついていると、全体的な配合変化のヒントを常々与えることで、実際の微調整は母親が自在にやってくれる。
もちろん微調整に躓いたら直ぐに問い合わせられるので、その可能性のヒントを与えるだけで、創意工夫される。
このようなご本人達の積極的な努力があるからこそ、重度のアトピーもしっかり寛解するわけである。
以上は本日実際にあった会話。
ISO=12800のボクチン posted by (C)ボクチンの母
posted by ヒゲジジイ at 23:58| 山口 | アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年12月08日
アトピーの漢方治療は悲喜交々
ジョウビタキ(雄) posted by (C)ヒゲジジイ
良くなったり悪くなったりの繰り返しで、まれにみる苦労を互いに強いられ・・・一時的に再燃したときには当方の漢方薬を服用する前よりも悪くなったと言われてムカっとし、もう我慢せずにステロイドをもらって来いと病院に行かせたものの、医師もさるもの、既に漢方薬で治りかけているのでステロイドは必要ない、お手伝いにビタミンCを投与するだけにしておくと言われる逸話もあった(笑。
夜間の強烈な痒みの恐怖で、寝るのが身震いするほど怖かったという人が、昨今は寝るのがとても楽しい日々であると述懐されるまでになった(呵呵大笑。
どんなに重症化していても根気のある者が、最後に笑う。
微調整の繰り返しで悲喜交々の繰り返しが続くうちに、ようやく必ずや光明が見えて来る。
昨今、バタバタと続いた新人さん数名のうち、一人だけが最初の速効がアダになったか直ぐに効果が薄れ、夜間の痒みにまだ苦しまれている。
微調整や配合変化のテストのテンポが遅れがちだが、弁証論治の追い込みの流儀をもっとしっかり学んでもらうほかはない。
恐怖の夜が、楽しみな夜になった人は五万といる。
しっかり安定した効果が出るようになる期間は個人差がとても大きく、通い始めて数回目以内という人もいれば、通常は数ヶ月から半年、長い人になると上記のように希に見る苦労を強いられた例では一年以上かかった。
安定した効果が得られても、季節的な変化に応じた微調整は欠かせない。
漢方薬の配合を完全固定できるのはホンの少数の人達に限られる。
DSC_8555 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 00:53| 山口 ☔| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年12月02日
最近のアトピーの新人さんは不思議と・・・
破れかぶれのジョウビタキ(オス) posted by (C)ヒゲジジイ
最近のアトピーの新人さんは不思議と真剣で真面目な態度で来られるのは男性ばかり。夏までは真剣な女性ばかりが続いて、男性が来られることは少なかった。
ところが秋になって真剣な態度で来られるのは男性ばかり。
新しく来られる女性はいずれも真剣味が足らなかったり、親に連れられてシブシブ来たというのでは、ヒゲジジイの気分はいっぺんに萎えて、弁証論治のフルコースが作働するはずもない。
弁証論治の「弁」の字が出るとしたら、及び腰で来られてはこちらもやる気がしないのでお断りの答弁に終始するばかり。
例年なら真面目な女性達が来られても不思議ではないのに、もしかすると、しだいに女性が男性化し、男性が女性化しているとか・・・・まさか、そんなこともないだろうと思うのだが・・・。
低空飛行を続けるるカラス posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 21:24| 山口 ☔| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年10月27日
アトピー秋の異変による漢方薬の配合変化
IMG_1305 posted by (C)ヒゲジジイ
安定していたアトピーが、秋に向かう季節の変わり目で異変が生じることは希ではない。
案の定、現在、把握しているだけでも3名、いずれも大なり小なり六味丸系列の方剤と猪苓湯の配合比率の問題が関わっていたが、いずれも現時点ではやや再燃しかかった異変もほとんど下火になって一安心、もとの寛解状態にほとんど戻りつつある。
いずれのケースも乾燥が目立って来たので独自の判断で猪苓湯を半減したり、あるいは猪苓湯が切れてしまったのに補充購入に来られず、六味丸系列の方剤ばかりを濃厚にしたために却って異変がますまず増悪したケースばかりであった。
3名とも猪苓湯の存在意義を大いに体感されて、あらために配合比率の重要性を実感されている。
但し、一名は近年希に見るほど速効で重症のアトピーがほとんど寛解状態が半年も続いていたのに、猪苓湯が無くなっている上に従来こちらで調達されていた保湿剤を中止し、縁ある素人さんに断りきれずにエステや新たな保湿剤等を奨められて使用したところで、急激な再燃に驚いてやって来られた。
当然のことながら、逆効果になりかねない新たな素人療法をすべて中止してもらって従来の漢方薬の配合とこちらで購入されてた保湿剤に戻したところ、10日もしないうちにほとんど下火になって一安心の段階に落ち着いた。
たまたま三名とも、秋の乾燥期にもかかわらず、猪苓湯を減らしてはならない体質者だったが、例年、この季節になると猪苓湯を相対的に減量すべき人も多いはずである。
つまり、この空気が乾燥する季節に向かって、猪苓湯が勝ち過ぎると肌を余計に激しく乾燥させてしまう体質の人も多いのである。
実際に、まだ一ヶ月も通わない新人さんの中には、猪苓湯を半減させる微調整で乾燥が軽減している人もいる。
とはいえ、アトピー性皮膚炎の激しい痒みに、六味丸系列の方剤と猪苓湯ばかりが主薬というわけではないので、決して誤解のないようにっ!
いずれの人も、他に清熱解毒剤や清熱涼血剤などを併用している。
例外的に、もともと重症のアトピーでありながら、大黄牡丹皮湯だけ、あるいは消風散だけで急速に寛解中という人もいるにはいるが、やはりこれらの人達は、長年の漢方相談事例の中では、例外中の例外に属する部類である。
IMG_1034 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 00:42| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年10月19日
漢方薬によるアトピー性皮膚炎の強烈な乾燥軽減方法
IMG_9525 posted by (C)ヒゲジジイ
昨今の成人アトピー性皮膚炎の多くは、清熱滋陰利水(あるいは除湿)法に活血化オ法の併用が基本となる複雑な病態を呈していることは前回にも述べた。
その分析の詳細は企業秘密に属することだから詳細には触れない。
そろそろ秋も深まる兆しを見せ、冬にむかってますますアトピー患者さん達は皮膚の乾燥や亀裂に悩む時期なので、その緩和方法が体質によって真逆となる現象を書いて置きたい。
是非読んで欲しい読者対象は現在、村田漢方堂薬局の漢方薬を服用中の多くのアトピー患者さん達である。
多くの人の基本方剤となっている六味丸系列の方剤と猪苓湯製剤の配合比率の問題。
秋・冬のような乾燥時期には多くは滋陰作用の強い地黄が配合された六味丸系列の方剤の比率を上げ、相対的に猪苓湯製剤の配合比率を下げるべきことが多いことは、しばしば皆さんに口を酸っぱくして伝えている。
ところが、その真逆の場合もあることもしばしば伝えているはずである。個人差が大きいので、自らしっかりテストして確認するべきことも伝えているはずである。
乾燥する季節にも関わらず猪苓湯が主体となり、六味丸系列の方剤を控えめの方が、手のひび割れが減少し、乾燥肌も緩和する人達も実際にいる。
ご自分がどちらに属するタイプであるかはしっかりテストして必ず相談すべきである。
一部の人は、六味丸系列の方剤はしっかり必要だが、猪苓湯が邪魔になって極控えめの配合量に減らすか、あるいは一時中止した方がよい人も出て来るのがこの季節である。
ところが逆に、猪苓湯こそしっかり必要で、乾燥肌のみならず亀裂の入ったひび割れがしっかり緩和するのは猪苓湯のお陰であると、この漢方薬に礼を言う人もいる。
そのような人の中の一部には、六味丸系列の方剤が増えすぎると却って肌がひどく乾燥して亀裂すら入るので、減量するか一時中止した方が好い時もある。
年間を通して猪苓湯も六味丸系列の方剤も同比率で、季節的な配合変化を行なわない方がよい人もいる。
要するに六味丸系列の方剤と猪苓湯製剤の配合比率は、一人ひとり異なるので、両者を使用している人達はしっかり観察して、必要に応じて配合比率を変えてテストすべきである。
以上、現在、村田漢方堂薬局で漢方薬を服用中のアトピー性皮膚炎の人達への伝言である。配合比率に困ったら直ぐにメールをご遠慮なくっ!
新しく来られている人達は、しばらくはこの微調整に手間取ることもあり、多くの人が通る関門でもある。お互いにしばらくは試行錯誤の時期が続く場合もある。一年間を通した季節的変化を互いによく観察して、臨機応変に配合比率を微調整するコツをみずから体験しながら学習してもらう必要がある。
上記のようであるから、みずから考え積極的に頑張れる人でなければ、村田漢方堂薬局の漢方薬は続かない。
IMG_9643 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 23:06| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年10月18日
成人アトピーの多くは清熱滋陰除湿法を基礎に活血化瘀の併用が基本となるのが通常だが・・・
ヒヨドリ posted by (C)ヒゲジジイ
長年、観察するところによると成人型アトピーの多くは清熱滋陰除湿法を基礎に活血化瘀の併用が基本となるのが通常だが、少数ながら例外もある。
このような配合で一時は治りかけて、途中で破綻を来たし活血化瘀法をもっぱらにして改善する例や、同じく古典的な消風散を高濃度にすることで急速に改善した例など。
清熱滋陰除湿活血法が集約された消風散のような欲張り過ぎの方剤、一つの方剤で欲張り過ぎているだけに却って合わない人は膨大な数に上るが、逆にこの方剤でなければ治せない人が極少数おられるのも事実である。
通常は清熱・滋陰・除湿は別々の方剤で綿密な配合比率を情況に応じて微調整しながら行なって、波打ちながらも比較的順調に経過することが多い。
といってもこれに脾胃の虚弱が伴っていたり、肝鬱脾虚を伴ってたり、衛陽不固を伴っていたり、さまざまな合併証に対する配慮は不可欠である。
ところが上記のように、希に例外があるのでアトピー性皮膚炎はおざなりな漢方薬を続けても、たとえ一時的に効果があっても破綻を来たし、滅茶苦茶になって遠路はるばる下関まで通わざるを得ないハメになる人達があとを絶たない。
但し、数ヶ月ごとに転々として来た渡り鳥さんたちは、村田漢方堂薬局のような詳細綿密な弁証論治には付いて来れないで、多くは勝手なことをしだしたり、あるいは観察力と忍耐力の欠如から長続きしない。
経費的にも、重症度によっては最初は少な目からはじめるにせよ、途中からしばらくの間、月額にして3〜4万円の経費を強いられることも珍しくないので、経費面でもそれなりの覚悟が必要な場合がある。(一つ一つの漢方薬は間違いなく全国的に見ても最安値といっても過言ではないが、十分に効果を得るために必要な方剤の数が必然的に多くなる時期があり得るからである。)
シジュウガラ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 08:45| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年08月08日
アトピーに効く漢方薬はありますか?
DSC_0454 posted by (C)ボクチンの母
電話のお問い合わせで最も多いパターンはタイトルのような
「・・・・に効く漢方薬はありますか?」。
「おたくは保険がききますか?」
このような常識が欠落した質問が多いので受付嬢も返答にいつも窮するのである。
窮した挙句に案出したお返事が
「10日毎に通う根気がありますか? 自費ですから一定の経費がかかります。」
「いくらくらいかかるんですかっ?!」
不毛な電話がえんえんと日々続く。
このような質問を受けること自体、まともに弁証論治が行なえない人達だと判断して、お断りすることに専念することになる。貴重な時間を奪われる不毛なときである。
それでちょっとでも返事が気に食わないと直ぐに逆切れする老若男女が増えている。
逆切れされる可能性のある連中が多いから、逆切れされた時はヤッパリネ。
この人達と常連さんやお馴染みさんたちとは間違いなく品性や人間性において月とスッポンである。
ミサゴ posted by (C)ヒゲジジイ
トンビ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 07:07| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年08月04日
食事と日用品の影響がもっとも大きいアトピー性皮膚炎
ハイイロチュウヒ(メス) posted by (C)ヒゲジジイ
昨年の新人さんの中には、せっかく治りかけていたのに、過食によって3度も全身に激しい痒みを伴った発疹が出現する再燃を繰り返した人がいた。
本人の自覚があるからまだ救える話で、その後は自覚したおかげで今年は8割レベルの寛解状態を維持している。
アトピー性皮膚炎の原因は、戦後の食生活の激変によるものであろうというヒゲジジイの推測はほとんど当たっていると信じている。
アトピー性皮膚炎は飽食病であるという箇所をしっかり熟読すべきである。
その後、ますます明らかになった食品が、チョコレートや豚骨ラーメンを代表とする各種の豚骨類や焼肉類などで、食したあとにひどく再燃した例は枚挙に暇がない。
もう丸三年当方の漢方薬を続けられている熱心な人でも、この暑さに負けてついついアイスクリームを食べていたら、治まっていた痒みがまた勃発したと嘆いておられる。
ビールが止められないまま重症のアトピーを四種類の方剤を用いて8割以上の寛解を長期間維持できている例外的な人もいるが、あくまで例外であろう。
このように、アトピーを再燃させるもっとも大きな原因は口から入れる物であり、さらには身の回りの日用品や、かなり危険因子を孕んでいるのが可愛いペット類である。
敏感に自覚できる人達はまだ救いようがあって、次第に食生活習慣を改善されるので、その後は比較的順調に行くことが多い。
ところが、これらの重要性をどうしても自覚できないか、あるいは自覚していても正しい食生活習慣に改善しようとされない人は、思いがけないときに再燃を繰り返しても懲りることがない。
他の疾患では食事療法をそれほど五月蝿く言わないヒゲジジイだが、アトピーだけは例外で、食生活の改善を多少ともウルサク指導するのはこのためである。
ハイイロチュウヒ(メス) posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 00:41| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年07月30日
脾肺病であるアトピー性皮膚炎の8割は心肝腎と少陽三焦の治療方剤の配合で安定した寛解が得られる
飛んでる燕さんのさらにアップ画像 posted by (C)ヒゲジジイ
脾肺病であるアトピー性皮膚炎は、直接的に脾肺を治療する方剤はそれほど必要とせず、多くは心肝腎の治療方剤とともに少陽三焦のルートを利用した滋陰利水剤の併用で安定した寛解が得られるケースが7割以上でおそらく8割程度。
残りは変種ばかりで、たとえば葛根湯と玉屏風散に猪苓湯の併用という珍しいケースもあれば、残りの2割に比較的多いのが肺陰を補い、肺熱を除去する方剤を併用する必要が生じるケース。
注目すべき点は、脾肺病のアトピー性皮膚炎で、脾肺を直接治療する玉屏風散を必要とするケースのほとんどは、ステロイド外用剤の乱用による副作用により、滲出液が流れ出るケースである。
以上は成人の話で、小児や子供さんを扱うケースは、ご両親のいずれかが当方の漢方薬経験がない限りはお断りしているが、小学生以上で見る限りは大人とほとんど同様である。
今回のブログは、ツバメの写真をアップしたいばかりに、イヤイヤしかたなく書いた(苦笑。
飛んでる燕さんのアップ画像 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 22:39| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年07月09日
アトピー性皮膚炎の増悪因子が明らかなケースでは、あるいは「でも」
子ツバメのお食事タイム posted by (C)ヒゲジジイ
アトピー性皮膚炎の増悪因子が個々人によって微妙に異なるが、猫アレルギーがある人も多く、猫に限らず犬などのペット類が増悪因子として働いていることは珍しくない。
当然、明らかな増悪因子が判明しているときは、避けるに限る。
思いがけないものが増悪因子となっていたケースもあり、しばしば女性にみられる陰部の掻痒がカラフルに印刷されたトイレットペーパーだったということもあったっ!
ご本人が気が付いてないケースでも、直ぐにこちらで判明しやすいのは新築に入居したり、リフォームした直後から悪化しているケースはとてもよくみられる。
なかには部屋に入った途端に目がチカチカする症状が出ているのに、リフォームが原因ではないかと指摘してあげるまで気が付かなかった人もいる。
このようなケースでは、古い木造の家に引っ越すに限るので強く引越しを奨めても、なかなか事情が許さない。
最近、そういうケースを再発組や新しく訪れた重症者で遭遇したが、いずれも幸いにも適切な漢方薬の複雑な配合で急速な寛解をみて、引越しせずに済ますことが出来た。
再発組みでは、以前配合していた数種類の配合ではまったく効果が出ず、配合方剤中の黄連解毒湯のみを廃止し、そのかわりに正しく白朮が使用された加味逍遥散製剤に切り替えると超速効が出た。
同一人物でも、情況が異なると以前効果があった配合では無効となるケースは珍しくはなく、配合方剤中の僅か1方剤を適切なものに変えるだけで再び速効が得られることはザラにある。
情況に応じた微調整、すなわち弁証論治、ベンショウロンチと言い続ける所以(ゆえん)である。
しかしながら、このような新建材に囲まれた最悪な環境因子に漢方薬で必ず克服できるとは限らないので、デリケートなアトピー性皮膚炎の患者さんたちは、それぞれに異なる増悪因子から、できるだけ遠ざかるべきであることは言うまでもないはずである。
子ツバメのお食事タイム posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 06:45| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年07月08日
漢方薬でアトピー性皮膚炎が寛解した滅多にありえない配合例
DSC_1408 posted by (C)ヒゲジジイ
準決勝のドイツ対スペイン戦のハーフタイムにブログの更新(笑。
タイトル通り、滅多にない変り種の配合例なので、参考程度に留められていたほうが無難でしょう。
数ヶ月間の繰り返しの微調整の後に、結局は高濃度の猪苓湯製剤とガジュツ製剤のみで寛解。
ステロイドに嵌って抜け出られなくなった女性が、最初から茵陳蒿湯と猪苓湯製剤のみの配合でぐんぐんよくなって途中で行方不明?
加味逍遥散製剤と茵陳蒿湯と猪苓湯の配合で、六味丸を加えると覿面ぶり返す珍しい例で、結局、この三種類のみで寛解。
知柏地黄丸と猪苓湯製剤の配合で寛解など。
但し、いずれの多くもカルシウムや特殊なミネラル、あるいは葉緑素製剤や大黄製剤、あるいはヨクイニン製剤、あるいは板藍根や白花蛇舌草など、様々な小細工を加えている ので念のため。
いずれもかなりシンプルな配合で寛解した例ばかりなので記憶に鮮明だというだけで、当然再現性は乏しい。弁証論治の世界では当然のことであろう。
蛇足ながら、過去、軽症の人では六味丸製剤と猪苓湯製剤に体質改善三点セットで寛解してしまった人は数知れないが、そのような軽症者は昨今扱う機会がないので、同様な体質者が現在も多いかどうかは分からない。
また、他の疾患に合併するアトピーで、ついでに軽症のアトピーも依頼されたケースのほとんどが、主訴に対する適切な方剤群とともに肝腎陰虚が合併していることがほとんどであったので、六味丸を併用する程度で、ほぼ全員満足できるレベルに寛解している。
世間ではアトピー性皮膚炎の完治、完治といって「完治」の言葉が横行しているが、あらゆる慢性疾患で、真の意味での「完治」はほとんどあり得ない。寛解というか、せいぜい完全寛解と表現する方が適切ではなだろうか。
ちょっとピンボケ:飛んでるツバメ posted by (C)ヒゲジジイ
ちょっとピンボケ:飛んでるツバメ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 04:35| 山口 ☀| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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2010年06月20日
「陰火」とアトピー性皮膚炎
トビ posted by (C)ヒゲジジイ
陰火上衝の典型的な例は、
2010年06月18日 東海地方の美人薬剤師さんの「陰火」の見解
の中で、東海の美女先生によって例示されているが、陰火論をアトピー性皮膚炎にも応用できる部分があるので、ここで少し書いておきたい。
といっても昨今サッカーのW杯に熱中しているのでブログに詳細な分析まで書く気がしない(老化もあるっ)のだが、これまでの陰火論の続きとして、アトピー性皮膚炎に触れておきたいわけである。
たとえば、それほど人数は多いわけではないが、折々に遭遇する配合パターンの中に、補中益気湯と黄連解毒湯の併用が必須なケースがある。
さらに六味丸系列の方剤や猪苓湯、あるいは茵陳蒿湯などの併用も必須となることも多いが、主軸が補中益気湯と黄連解毒湯というケースである。
このタイプのアトピー性皮膚炎では補中益気湯と黄連解毒湯が唇歯輔車の関係があるので、どちらが欠けても効果が出ないケースである。
アトピー性皮膚炎は、中医学的には一人ひとりで必要な方剤が大きく異なるので、根気よく繰り返し折々の弁証論治が必須であるが、折々に遭遇する補中益気湯と黄連解毒湯の配合パターンは陰火論の観点からも興味深い部分であろう。
しかしながら、しばしば見られる補中益気湯中の白朮を蒼朮で代用した漢方製剤では、補中益気湯とは名ばかりで甚だ心もとない。
当然のことながら白朮が配合された正しい補中益気湯を使用すべきである。
スズメバチ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 23:25| 山口 ☔| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病
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