2007年02月15日

逆流性食道炎に対する安上がりな漢方薬

 逆流性食道炎というありふれた病気の人がそれほど多く訪れるわけでもないが、それでも毎年数人以上の方が訪れては、比較的簡単な方剤で治っていかれる。もちろんいずれも一般の病院治療や漢方薬でも期待する効果がなかった人たちばかりである。

 たまたま以前、胆管手術後の中年以降の男性が、逆流性食道炎で病院治療に何年通っても治らないので当方に訪れた時、胆汁の分泌が悪い為に生じているのではないかと、中医学的発想をすることなく、牛の胆汁エキス製剤のオルスビー錠(剤盛堂薬品製)の錠剤だけを渡したところ、最初から一定の効果を得て、当分続けられて緩解された。一ヵ月分近く入った製品でも、二千円よりも遙かに安価である。

 次に遭遇したのが、胆石手術後の女性が重度の逆流性食道炎で、やはり病院治療で全く思わしくない。常連さんに紹介されて来られ、明らかな大柴胡湯証を呈していたので、これにオルスビー錠を加えて、期待通りの効果を得た。この方と同様なタイプはそ後も何人もいた。

 若い男性でもストレス性ということで、逆流性食道炎で病院治療は効果がないわけではないが、不十分な効き目で最近はあまり効かなくなったといってやはり人に紹介されて来られた。弁証論治によって大柴胡湯を服用してもらったが意外にまったく奏効しない。そこで安価なオルスビー錠に切り替えてみると、比較的速効に近い効果を得た。更にササヘルスも加えて継続服用中で寛解状態を維持している。

 逆流性食道炎の病名治療を提唱するのは、中医漢方薬学派らしくないが、この安価なオルスビーだけで治ることがあるなら、こんなに幸せなことはないし、確率としても5割近くの打率は得られるのではないかという感触がある。アトピー性皮膚炎や関節リウマチのように日常茶飯事のように御相談者が多い訳ではないので大きな事は言えないが、たとえピントがずれていても副作用などほとんどあり得ないオルスビーである。
 成分としては、
本剤6錠(1.2g)中
    カンゾウ末 150mg
    ショウキョウ末 50mg
    ケイヒ末  50mg
    牛胆汁エキス末 300mg

効能・効果は、消化促進、消化不良、食欲不振、食べ過ぎ、胃もたれ、胸つかえ、消化不良による胃部・腹部膨満感

用法・用量 大人(15歳以上)1回2錠
1日3回、食間にコップ半分以上のぬるま湯にて服用
食間とは食後2〜3時間を指します。
 と記載されている。
 このように一般的な消化剤、とりわけ油物の過食時にとても有効な生薬製剤なので、あまり体質を選ばずに使用できる。

 とつぜん、このような安価な方法をブログに書く気になったかと言えば、世の中には逆流性食道炎くらいの症状で、なかなか治らずに苦労されている人が多いらしく、漢方薬のところでも、そうとう高価な配合を出されてようやく治ったという話を聞いたからである。

 現実にこのオルスビー錠だけで逆流性食道炎を解決することが出来た人が年々増え続ける。
 といっても中には明らかな大柴胡湯証を合併していた人には、オルスビー錠だけでは効果はやや弱い傾向にあるようで、その場合は大柴胡湯とオルスビー錠の併用で的確な効果が得られている。
 それでも、これまでのところはオルスビー錠は全員に有効であったから、一つの提案として公表し、皆さんに試してもらいたいとおもったからである。
(その後、オルスビー錠だけではまったく無効例も出てきているので、やはり5割近くの有効性レベルかもしれない。)

 もしも運よくオルスビー錠だけで逆流性食道炎が治れば、月額に換算しても二千円以下の経費で済むのだから、こんなに商売にならない治療薬はないだろう(苦笑。

 オルスビーだけでは効果が弱かったり無効であれば、その場合は中医学的には昇降失調に関連した詳細な弁証論治に基づいた適切な方剤を見つける必要がある。
 この場合には専門家と直接面談による詳細な漢方相談が必須となるが、少しは効果があるケースでは必要な方剤にオルスビー錠を併用することは多くの場合、意義あることだと思われるのである。

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