Bさんからのメール:「ほんとうに、ありがとうございます(感涙)。」
それに、私の拙いメールが、村田さんに「文学」することを要求してしまったようで…お恥ずかしい限りです。明快な質問状をかけるようにしなくては。。(以下御礼文・状況説明…駄文ゆえの長文です。)
ご推察のとおり、大学は◎◎大学です。ただ、去年までは×××・△△住まい、□□にある女子大に通っていましたので、土地勘すらありませんし、見るもの聞くもの触れるもの、すべてが驚きの連続です。
でも、「疾病関連の粗雑なくだり」に苦笑されると聞いて、至極ホッとしました。否、ならばやってみる価値はあるかもしれない、とかえって力づけをいただきました。
また、村田さん(あるいは谷沢氏)が仰るように、作品を読む時、まず注釈作業(注釈的に読むこと)が重要だと思っています。さまざまな問題意識を作品から紐解く以前の、基礎作業として。
文学畑の人はとかく作者とか心理という言葉から逃れられなかったり、逃れたところで差別や社会制度等の社会学の方面と理論的な接合に向かうことが多く、「注釈」の中でも、そういった方面に結びつくところばかりを論じるきらいがあります。また、理系の方面に手を伸ばしている人は稀なようです。(というより、理系の方たちのような「共同研究」という感覚が、文学を研究する人たちの頭の中には、ないらしいです。それゆえ、周りからは役に立たないと言われるし、実際孤独に行き詰っている、と思います。。)
昨今、世間では東洋医学・薬学への関心が高まっていると思うのですが、◎大の医学・薬学部は、文学部がそうであるように、西洋かぶれかもしれません。(もっとも、これは大学制度自体が、近代以後のものであるためか、とは思います。また、◎◎の場合、▽▽と違って明治以降の歴史しか持っていない、という特質もあろうかと思います。)
そして、◎大の医学・薬学部編成・カリキュラムを一通り見たのですが、いわゆる医学史・薬学史の講義自体が検索不能です。見る限り、治療方法の開発研究や臨床的な方面には力が入っていて、学問体系の細分化も甚だしいようなのですが、西洋東洋問わず、「医学史」への関心は薄いようです。一応、「天然物化学分野」という研究室があることがわかったので、そちらでまず伺ってみようと思っています。ただ、先生方の研究分野を見たところ、医学・薬学史を専門とする先生は、今のところ見当たりません。(無論、こちらに居られなければ他の医大・医学部を伺うまで、です。)
それでも、「伝統のある大学だから、図書館も充実している…」と、私も思って、教えていただいた4冊の本を検索しましたが、立川氏の『日本人の病歴』は総合図書館にあるものの、後は『病気日本史』が哲学の先生の研究図書としてあるだけでした。見かけの伝統と、実際は真逆かもしれません。というのも、大学総合図書館に「ない」ということは、総じて「そこに居る研究者の関心がない」ということの表われでもあると思うので。(もちろん、ないものはリクエストしますし、公立・他大図書館にも当たります。)
ただ、おかげさまで、立川氏の著作から、近代以前の全体像を押さえつつ、個別の病や東西の医学・薬学交流について調べていこうと思っています。私にとって、◎◎も未開ですが、医学も未開の分野。教えていただいたことを、一つでも二つでも生かせたら、と思います。
最後に、前回書き忘れたHP散歩の感想を少し。
「文学部の人でなくても、伊藤整『日本文壇史』を読破している人がいる!」変な話に思われるかもしれませんが、多分、近現代日本文学を専攻する人でも、読んでない人が多勢のはずなので。
そしてもう一言。
「誕生日が同じって、運命を感じますよね!」私も自分と同じ誕生日の芥川に運命を感じていて、作家としては、芥川を研究しています。芥川は文学研究上、忌み嫌われている作家なので、よく「何で芥川を研究しているのか」と問われるのですが、私は必ず「誕生日が一緒なんです」と答えます。作品を重要だと思っているからなのですが、それを多くの芥川嫌いな方々に一々口説いても切がないですし、わかっていただくには論文化するのが一番手っ取り早いので。。こう言うと、大概相手は反論不能です(笑)。
ともあれ、参考になる本だけでなく、やる気までいただけて、今非常に嬉しい心地です。ありがとうございます。少しずつ、楽しみながらやってみます!
ごきげんよう。
ヒゲ薬剤師の返事:拝復
芥川龍之介は、私も大好きな作家です。
ちょっとピンボケなヒゲ薬剤師
ここの下にも書いているように、
ちょっとトウヘンボク、のみならず、ちょっとピンボケ、て〜〜〜とこでした。
ところで、この「のみならず」て〜〜言葉、芥川龍之介の晩年の作品に、頻発します。
若い頃、ヒゲ薬剤師は芥川龍之介と夏目漱石の言葉遣いに強く感化され、とりわけ「のみならず」という言葉が大好きです。
この「とりわけ」という言葉も、誰かさんの影響だったと思います。(やっぱり、龍之介だったかも?)
日曜日だから、リラックスしすぎて、ちょっとしたヒゲ薬剤師のクセを白状してしまいました。
と、クダラナイことを書いていますが、ネット上でもバラバラになってしまった日録類に、折々に龍之介のことを書いています。(いつか、それらの箇所を拾い出して、URLを送ります。)
そこで、むしろBさんにお尋ねしたいのですが、龍之介の「袈裟と盛遠」という短編の中にある今様、
げに人間の心こそ、無明の闇も異ならね、ただ煩悩の火と燃えて、消ゆるばかりぞ命なる
というのがありますが、これの作者はやっぱり、龍之介なのでしょうか?
これが、長年の疑問で、調べる限りでは「梁塵秘抄」(りょうじんひしょう)などでも見当たりません。
あらゆる注釈をあたっても、あらゆる本、膨大な龍之介の本を各種調べても、何の注釈すらないのです!
この35年来の疑問、解いて頂けませんか?
今度は、こちらがご教示をお願いする番になってしましました!
村田恭介と龍之介、昔から意識せずにはおれませんよ。
Bさんは相当な文章表現力があるし、相当な才能を感じます。
研究分野の対象を、人の思惑で左右される必要は無いと思います。
その点では、しっかりした意思をお持ちのようですので、大丈夫でしょうね。
ところで、立川昭二氏の本は、これまで一般向けに、医学史的なものとして大量に出版されていますので、ブックオフなどにも安価で出回っているはずです。
それでも入手出来ない場合は、「日本の古本屋」サイト
http://www.kosho.or.jp/servlet/bookselect.Shiborikomi
ここで検索できるかもしれません。
村田のジジイは、もと文学青年、といっても公式野球のピッチャーもやり、ボクシングでリングに上がりかけたり・・・・・とありましたが、今じゃ、あの世に行くまでの時間つぶしの老いぼれ、といっても55歳ですが。
話はバラバラですが、頭に浮かぶ順で書いています。
文学系の人が、素晴らしい先生もいたかわりに、いかに下らぬ人種が多かったかを、例の谷沢永一氏が辛辣に書いた本は、たくさんあって面白い。
医学史家については、すべての大学とは言いませんが、医師で医学史を研究している人も、日本全国にはたくさんとは言いませんが、おられるのは確かなのです。
やはり、Bさんが決めているとおり、立川昭二氏の本から、医学史全般を見てみると入りやすいと思います。
立川氏だって文系の出身で、あれだけの医学分野の研究ばかりで大成された方ですから。
そして、前便でお伝えしたように、梅毒関係の古書文献の名前はしっかり列記されていますので、うってつけでしょう。
今、夜中の3時を過ぎていますので、頭がもうろうとして来ました。
昨日、フランス文学者の鹿島茂氏が、とんでもないことを口走ったので、ブログで噛み付いてやりました。
私に影響を与えた良書・悪書・珍書・奇書・希書 の中の→ 日本の知識人のレベル
それでは、芥川の件、よろしくご教示下さいませ。
ギブアンドテイクで、よろしくお願い申し上げます。
頓首
2005年11月07日
文学部Bさんに逆に教えを請うヒゲ薬剤師
posted by ヒゲジジイ at 10:00| 山口 🌁| 日本の漢方関連医学・薬学史問答
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