急激に春めいて参りましたが、お元気でいらっしゃいますか?
こちらでも今年は温病のきざしがあります。
黄砂が飛び出してから特に、風熱型花粉症、アトピーの方でヘルペスを併発する方などが訪れています。
このようなとき、茵蔯蒿湯が活躍しています。
舌先〜肝胆の部分に赤みがあり、黄膩苔があることを目安に、花粉症で特に目の痒み、耳の中が痒い、喉もイガイガと痒いなどの症状を鼻水とともに併発している方に好んで用い、良好な結果を得ています。
場合によっては、さらに大柴胡湯を併用しています。
また、舌質は白っぽく、ぼてっと湿を含んでおり、舌の奥にかけて薄い黄膩苔があるような例では、茵蔯蒿湯に五苓散をプラスして、調整しています。
どちらとも、よく観察すると、舌の脾胃の部分が少し暗い感じがしています。
茵蔯蒿湯を処方する方に、日頃の食生活を聞いてみると、コロッケや唐揚げなどの揚げ物、生クリームを使ったお菓子、乳製品などが大好きで、外食や、手作りではないお弁当を購入している方がとても多く、やはり現代の食生活が、脾胃に負担をかけている結果、衛気が弱っているのでは・・・?と思われます。
先生に笑われるかもしれませんが、私は衛気について、体表だけでなく、口から肛門までの消化管の内側にも巡っているのではないか・・・?と考えているんです。
ですので、脾胃に負担がかかるものを食べ過ぎると、そちらにエネルギーをとられ、衛気が充分に働かなくなるのではないかなぁ・・・と。
油ものや乳製品、特にカゼインタンパクは、消化管粘膜を塞いでしまい、食物を停滞させます。その結果、脾胃に痰湿と瘀血(オケツ)が生じやすくなります。
茵蔯蒿湯がよく効く方の舌は、先ほどのように、脾胃の部分が暗い感じがし、瘀血(オケツ)があるように思われます。
このような方に、冷やす方剤を使ってよいかな・・・?と最初とまどった記憶がありますが、大黄の強い活血去瘀作用により、血液の流れがよくなり、かえって瘀血のあった脾胃は温められ、花粉症に効果をなしているのではないか・・・・?と愚考しています。
ちょっと子供じみていますね・・・(@_@)
お返事メール:
花粉症に対する茵蔯蒿湯や、とても薀蓄のある脾胃論、興味深く拝読申し上げました。
実際のところ、茵蔯蒿湯証は、舌質がたとえ赤味が乏しくて白っぽくとも、気虚や血虚が強い場合でも、舌の奥に些かでも黄膩苔がかかっておれば、現代人の多くは、食生活環境の内容から類推しても、茵蔯蒿湯証が合併していることが多いと思います。
ですから、様々な補剤と併用する機会はとても多いように思います。
おかげさまで、先生のとても薀蓄のある内容でブログを埋めることができます。
ありがとうございました。
【編集後記】
現代人の食生活の内容は、上述のように女性薬剤師が指摘されるように脾胃に負担をかけているのは尤もであるが、さらに発展して脾土侮肝および脾土克水により肝胆系統および腎・膀胱系統にも大きな負担がかかっているように思われる。
だから常々、茵蔯蒿湯証は現代人の三人に二人は見られる現象であろうと主張する所以である。
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