そもそも五苓散は本来白朮(ビャクジュツ)を用いるべきであるが、これを論じるのはまたの機会があるあろう。
日本の漢方界における原料生薬におけるルーズさの問題に話しがおよび、黄耆(オウギ)にしても、30年前までは黄耆といえば、ウチダ和漢薬さんではイワオウギが主流だったので、綿黄耆(メンオウギ)を主流にすべきだと強く主張してヒゲジジイの意見がすんなり実現した昔話を蒸し返した。
ところがどうしようもない問題が、常々主張する生姜(ショウキョウ)と乾姜(カンキョウ)の錯誤である。いまさら救いようがない絶望的な問題だからこれ以上、触れない。
ところで平胃散や半夏白朮天麻湯などに配合される蒼朮は、当然、古立蒼朮とばかり思っていたら、そうではないらしい。
一般的に蒼朮の注文があった場合は、特別に指定されない限りはやや高価な古立蒼朮を販売することはないという。
とすれば当然、エキス製剤にも良質の古立蒼朮が使用されていない可能性も高くなる。
なぜだろう? ソウジュツと言えば古立蒼朮だろう。詳細を書くのは面倒だから結論だけを書けば、蒼朮の蒼朮たるゆえんは古立蒼朮(コダチソウジュツ)であってはじめて蒼朮なのである。
なんともいかにルーズな日本の漢方界であることかっ。
どうせこのブログの訪問者は、同業者や漢方メーカー関連の人達が半数近くを占めているのだから、ここで敢えて苦言を吐きちらしておく。
蒼朮は古立蒼朮でなければ、蒼朮と言うべきではないとさえ極論したいくらいだ。
一流大学の看板を背負った肩書きの立派な薬学博士か、どこそこのお医者さんなどでなければ、権威に弱いこの国では、市井の一薬剤師がどんなに吠えたところで何の影響力も無いことは専門誌時代からよ〜〜〜く承知していますがねっ。
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