2005年11月02日

中医漢方薬学では、どの程度の配合が必要か?

 下記は、漢方と漢方薬の御案内 からの抜粋・引用であるが、
何種類の漢方薬が必要か?

 『中医漢方薬学』では、病気を解決するための漢方薬の組み合わせの法則(配合法則)として、
 @病気の直接的な原因となっている「内外の病因」を除去する漢方薬。
 A五臓六腑の機能を調整する漢方薬。
 B体内に流通する気・血・水(津液)・精の疎通あるいは補充を行う漢方薬。

という三方面の漢方薬を配合することが鉄則となっています。

 一般的な病気では、この三方面の働きを2〜3種類くらいの漢方製剤でまかなえることが多いのですが、成人病や難病では内・外の病因が複雑化しており、五臓六腑の機能失調の状況や、体内を流通する気・血・津液・精の盈虚通滞(えいきょつうたい:量的に過剰か不足か、流通が過剰が停滞かなど)における病理現象が複雑化していることが多いため、3種類以上の漢方製剤が必要となることがあります。もしも、この必要不可欠な配合を無理に節約すると、治せる病気も治せないことになります。
(最も恩恵を被った参考文献:成都中医学院の陳潮祖教授著『中医病機治法学』(四川科学技術出版社発行)

 上記の通りではあるが、実際には初回には、ご相談によりなるべく、自覚症状が少しでも軽くなるように、対症療法的な漢方薬方剤だけをお渡しして、効き目の出具合を確かめて、2回目あるいは3回目で、2〜3種類、ときには、それ以上の方剤を必要とする場合は、効果の出方を確かめながら増やしていくのだが、なまじ、初回の一方剤だけで即効を得た場合に、相当に複雑な疾患の漢方相談であったはずが、その効き目だけで満足されて、中医学的には、必ず加えるべき「補腎剤」の追加を拒絶されるかたが、稀にある。

 大変もったいない事で、中医学にはしっかりとした理詰めの優れた理論と法則があるのだから、素人考えで複雑・難治な疾患において、対症療法的な方剤だけで満足されるのは、惜しいことなのである。

 そういう方に限って、次第に初回のような即効が感じられなくなる頃には、やっぱり漢方薬でも、不十分な効能しか出せないのだ、と勝手に思い込んで、最初に断言していた当方のやり方、というよりも弁証論治に比較的忠実なアドバイスを最後まで、聞き入れようとされないのは、不思議と言うほかはない。

 一旦、こうと思い込むと、どんなに説明しても、納得しようとされない、あるいは納得したくない、ご理解されようと努力すらされようとしない、独断と偏見だけで、長年悩んでこられた難治性の疾患が、カナリ緩解しそうな糸口が、せっかく見えているのに、実にかえずがえすも惜しいことである。

posted by ヒゲジジイ at 01:51| 山口 ☁| 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする