中国からの黄砂のせいか、花粉のためか、大量の鼻水とくしゃみの連発、頭のボーとしたのぼせ感を覚え、思考力も低下傾向にあります(病気のせいにしてはいけないかもしれないのですが、笑)。
最近比較的落ちついていた血圧も普段より高い傾向にありまして、便秘で、舌は微妙に黄色苔がのっているのかなといった感じです。
現在の服薬は釣藤散、八味丸です。
アドバイスをお願いできれば幸いに存じます。
お返事メール:私も血圧が安定したつもりで、釣藤散の服用を怠っていたら、午前中に気が抜けないご相談が続いた後、後頭部の気色悪さと伴にふらついて急な血圧の上昇がありビックリしました。
その後は、釣藤散・辛夷清肺湯・八仙丸・茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)・猪苓湯・牛黄製剤の併用で落ち着いて来ました。幸い花粉症はいまだに無縁です。
大量の鼻水とクシャミを一時的でも止める速効の可能性が高いのが、藿香正気散(カッコウショウキサン)です。医療用漢方には採用がありませんが、松浦薬業やイスクラなどで製造発売され市販されています。
頓服使用で多くは一時的に治まり、連用の必要はありません。
それ以外では、ご存知「小青竜湯」ですが、これは高血圧にはとても悪影響しやすい方剤ですし、とても野蛮(苦笑)な漢方薬です。
黄色い苔が存在するときには、便秘のことも考慮に入れ、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)も併用されることをお奨めします。血圧にも有効ですし、また最近、この方剤をメイン方剤(辛夷清肺湯や八仙丸・天津感冒片など)に加えて頑固な後鼻漏の治療にも最近成功しつつあります。
茵蔯蒿湯は実に素晴らしい処方です。舌の奥に黄膩苔の傾向が僅かでもあれば、絶好の条件となります。但し、花粉症に対する有効性は不明です。
「大量の鼻水」が無色透明な水様性であれば!という条件付ですが、高確率で一時押さえには藿香正気散(カッコウショウキサン)がとても有効ですが、連用すると粘膜を乾燥させ過ぎる場合があります。
それ以外の保険採用漢方で敢えて考えれば、以前、先生ご自身がご報告下さったこともある「苓甘姜味辛夏仁湯」ですが、これとて多少とも高血圧には悪影響する可能性もありますが、半分量ならまず大丈夫だと思います。
折り返し頂いたメール: さっそくのお返事ありがとうございます。
患者さんへの漢方の方剤の選択にあたっては、気効力の停滞は死活問題です。減少しつつある脳細胞の働きにがんばってもらわないといけませんので(一例一例おなじ方剤でいける場合はほとんどなくてその都度フルに脳に回転してもらわないと患者さんのご期待に応じきれないようですので。脳の回転がよくなるものがもしあればまたお教えください。笑)、期待して茵蔯蒿湯・苓甘姜味辛夏仁湯あたりで試みてみます。
大変ありがとうございました。感謝です。
ヒゲジジイの悪乗りアドバイス:
「脳の回転がよくなるものがもしあればまたお教えください」
に対するお返事です(苦笑)。
決して推奨するわけにはゆかないし、極めて不謹慎ではありますが、我が村田漢方堂薬局ではお馴染みさんの常識となっているのが、ヒゲジジイの「哲学の煙」です。
漢方相談の途中に中断して、奥の台所の換気扇の下で一服することで、しばしば素晴らしい処方が頭に浮かびます。
「哲学の煙」の薬効に勝るものはありませんっ!
かくして我が寿命を縮めながら、多くの患者さんたちへ「命の切り売り」をしている毎日なのです(涙笑)。
折り返し頂いたメール: 哲学の煙はちょっと
小生は気管支が弱いものですから、「哲学の煙」は使用困難です。
日々の自己犠牲的なお仕事ご苦労さまです。
【関連する記事】
- 風熱の花粉症とは言うけれど・・・
- 一連の症候に対する適切な漢方薬配合の微妙さについて
- 世間では副鼻腔炎(蓄膿症)に小青竜湯が多用されているという信じられない恐怖
- 花粉症対策に相変わらず小青竜湯は不要な現実
- 今年の花粉症で遭遇した四方山話
- その後の花粉症の人達:フィットする方剤は本当にマチマチ
- 花粉症に対する漢方薬は体質と症状によってさまざまだが
- 各種腎疾患に花粉症を合併していた人は、適切な漢方薬類の長期服用によって花粉症が治..
- 花粉症の漢方薬は 「一連の症候」 によって様々だが、辛夷清肺湯+藿香正気散で即効..
- 今年はじめて罹った花粉症に茵蔯蒿湯で即効を得たが・・・疎経活血湯がとても美味しく..
- 後鼻漏の漢方相談
- 体臭の悩みは、しばしば妄想のこともあり得るのだが・・・
- <主訴>が、副鼻腔炎とアレルギーによる鼻づまり。青い粘性の鼻水と、朝のみ水のよう..
- 花粉症で小青竜湯エキスを朝晩2回、1週間続けていたら様々な副作用に見舞われた実例..
- これまでも再三再四書いている通り、関東地方の同業者に知り合いはないので、紹介は無..
- 花粉症のおたより
- 猫アレルギーが加味逍遥散で治ったのは偶然だった
- 中国の大気汚染飛来による日本国内の影響
- 昨今の花粉症および帯状疱疹後神経痛について
- 蓄膿症が原因の後鼻漏は治りやすいのだが