今年になって急激に増加中なのが、滋陰降下湯である。
従来なら、風邪の後期の症状というか、治り際になって乾燥咳が止まらず、病院治療も効果なし、という時にシバシバ遭遇した麦門冬湯証が激減している。
昨年暮れ頃から、今年にかけて急増中のことだから、まだ充分に観察する必要があるが、麦門冬湯を服用してもらっても、従来のような期待するほどの効果が得られないことが、しばしば見られた。
よく観察すると、多少の肺陰虚のみならず肺熱を伴っており、麦門冬湯に配合される朝鮮人参がマイナスに働いているのは明らか。
これが涼性の西洋人参なら、まだ何とか効果を示していたと思われるが、やはり温性の朝鮮人参はまずい。
そこで、滋陰降下湯に転方すると、直ぐによくなった。
その後、春先に、自分自身もこの状態に陥り、従来の麦門冬湯が、ほとんど効果を示さない。
そこで滋陰降下湯に変えると、即治。
続いて、愚妻も同様な状態で、また同様に滋陰降下湯で即治。
もちろん、風邪が長引いてこじらせて来た人では、しばらく続ける必要があるが、どうしてこう、皆が皆、類似した証候を呈するのか?
これが時代の流れ、あらゆる環境的な条件そのほか、多くの共通性が見られる現代社会においても、その時代時代、その年毎の傾向と対策というものがあっても不思議はない。
当然といえば、当然のことだが、今後も「麦門冬湯証」の患者さんが減り続けるのか、たまたまの偶然なのか、充分な観察が必要であるが、村田漢方堂薬局では、従来この「滋陰降下湯」は、滅多に使用することが無い方剤であったことは確かである。
【関連する記事】
- 心臓・脳血管・腎臓を守る基本的な漢方薬
- 免疫力・抵抗力・健康維持に実績のある漢方
- 便利な柴葛解肌湯
- 困ったときの柴胡桂枝湯?
- 滅多に奨める機会がなっかった方剤だが、最近になって・・・
- あり得ない合方、とは言えない、大いにあり得る合方
- 懐かしい里帰りが続く
- メマイなど、ストレスの多い時代には
- 夏に多い冷たい飲食物の摂りすぎによる腰痛
- 令和2年の女性達は加味逍遙散がフィットする時代
- 四逆散で人生が、少しは、明るくなる人が多い
- 規定量よりも少量で、十分効果を発揮する一部の中成薬
- ネットでいくら漢方薬を調べても、一定レベル以上の頑固な疾患になると
- ここ数十年は寒鬱化火や湿鬱化火の証候を呈する人が多かったのだが
- 今年の新規相談者は、当然ながら、西洋医学では限界があり過ぎるものばかり
- 衛益顆粒が適応する玉屏風散証体質者は、折々に葛根湯証に変化する人が意外に多い
- 腸管免疫が人間の免疫の8割を占める、と言われるだけに暑いときこそ、必要に応じて胃..
- 消風散の配合内容は、どうしても好きにはなれないのだが・・・
- 四逆散と柴胡疏肝湯
- 猪苓湯は単なる膀胱炎の漢方薬ではない