「めんげん作用」というのは中医学には無い日本独特の観念であるとどこかのサイトで見た記憶があるのですが本当でしょうか。
健康食品等ではさらに「好転反応」と言い換えられて、摂取で体に異常が出た場合「それは好転反応だ。今止めたらもっとひどい事になるぞ。」と摂取の続行を迫るのに使われているとも聞いた事があります。
「めんげん作用」が実在しても、それは漢方医でないと判断できないのではないかとも思いますが。
お返事メール拝復
とても鋭いご指摘と、ご質問であり、大変嬉しく思います。
ご指摘の通り、中医学では、「めんげん」の話は、聞いたことも、読んだこともありません。
「めんげん」のいわれや歴史は、他サイトでも説明があると思いますので、小生の個人的な見解を述べさせて頂きます。
日本漢方では、素晴らしいことのように言われますが、小生は、健康食品などでいわれる「好転反応」の多くは、あるいは、ほとんどは、副作用だと思っています。
漢方薬(漢方処方)で生じるといわれる「めんげん」も、実際にあるにはあるらしいのですが、小生の薬局では、服用後に明らかな不快反応が出れば、それは合わなかったものとして、中止してもらうことになるでしょう。
但し、軽度の不快感の場合は、先入観や薬に対する単なる不安から、ということもあるので、まず、量を減らして様子を見てもらいます。
いずれにせよ、三十数年間の経験からは、不快反応がでた場合、それがめんげんか、あるいは副作用か、判断できるものではありません。
但し、日本古方派では、古人も言い、現代でも、とてもよいことのように賞賛される雰囲気すらありますので、実際には、「めんげん」という好転反応は、漢方処方については、存在するのでしょう。
その場合は、多くは、はじめから薬用量が多かった時に生じ易いようです。
ただ、先にも述べましたように、副作用かめんげんかは、たとえ専門家でも区別は付きにくいと思います。
結果論でなければ、実際の所は分らないということです。
ですから、小生の薬局では、最初は比較的少なめから様子を見て次第に用量を増やすやり方をしています。
なお、健康食品などで言われる「好転反応」は、多くの場合が、副作用で、体質に合っていない反応のようですし、これは、漢方薬の場合も同様ではないかと思います。
販売する側の手前味噌だと、断定しても良いくらいです。
特に健康食品は、素人が素人に販売しているケースが多いだけにやや不安です。
とりとめのないお返事になってしまいましたが、以上、個人的な見解を述べさせて頂きました。
頓首
【参考文献】
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