2007年12月18日

先天性総胆管拡張症



性別 : 男性
年齢 : 20歳〜29歳
ご職業 : 会社員
簡単なご住所 : 東海地方
お問い合わせ内容 : 村田先生
 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎に住む2?歳の●●●●と申します。ご多忙の折、お読み下さることを感謝いたします。
 かなりの遠方のため、すぐには伺えません。急ぎませんので、何卒ご返信お願い致します。

 病歴(オペ歴): 先天性総胆管拡張症(総胆管空腸吻合術);肝内結石(肝左葉切除)のち胆管炎を頻発;統合失調症。

 現在の服薬: ウルソ、クラビット、インチンコウ湯(ツムラ)、エビリファイ、アキネトン、ルボックス。

 インチンコウ湯は、自分と酷似した症例に著効した例を知ったため主治医に頼んで飲み始めてから2週間です。肝機能が悪化したので中止になるかもしれません。
 専門家による証判定もせず漢方を飲むなどということはいけないと痛感しました。

 生後まもなく、上記先天性疾患でオペをし、17歳で肝左葉切除後、10年間肝内結石および胆管炎を繰り返して、肝硬変になるのも時間の問題と言われております。

 1月2日ならば伺えるのですが、村田先生は休暇でいらっしゃいますか?


お返事メール:メール拝見しました。
 茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)湯を自らの選択で服用されたそうですが、この方剤を単独使用する場合は、舌質が紅で黄膩苔という条件などがきっちりと揃っていなければなりません。

 黄膩苔はあってもその他の諸条件が異なる場合は、単独使用してはならず、弁証論治に基づいたバランスの取れる他の方剤と組み合わせなければならないなど、漢方には漢方のしっかりした原則を守らなければ使用しても無意味となります。

 ところで、病状から察しますと、一般的な方剤の組み合わせだけでは効果が弱い可能性も考えれます。
 経費的なことを考えれば、通常なら10日分で3,000〜15,000円くらいで済むとむところが、病状の進行度から推察しますと、適切な牛黄製剤や麝香製剤まで併用する必要があるかもしれません。

 この場合は、かなり高価なものになり、たとえば10日分で2〜3万円以上の経費がかかってしまうことも十分考えられます。
 だからと言って絶対に寛解するという保障までは無いわけですから、遠路はるばる来られる価値があるとも言い切れません。

 年齢も大変お若いことを考えれば、旅の疲れ等を考えましても、地元近辺で通える範囲の漢方薬局を見つけられては如何でしょうか?
 せっかくメールを頂いても、このようなお返事で申し訳ない次第です。
 なお、正月休みは12月30日〜1月6日まで休みで、7日(月曜日)が仕事始めとなります。

以上、取り急ぎお返事まで。


編集後記:疾患の内容と現在の病状から推測するに、かなり遠路の旅になるため、到底通うことは無理であろうし、また無理を押して一度来られたとて、それですべて弁証論治が定まるはずもなく、使用すべき漢方薬の経費も考慮すれば、お引き受けするには無理があるケースであったと思われる。
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posted by ヒゲジジイ at 00:08| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする