先日の防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)に続いて、さらに2つ消風散(しょうふうさん)も温清飲(うんせいん)も滅多なことでは使用しない。とりわけアトピー性皮膚炎には使用することはほとんどあり得ない。
消風散や温清飲は言わずと知れたアトピー性皮膚炎の代表的な方剤である。世間様では消風散を主体に運用してアトピー性皮膚炎を治すことが多いらしいが、村田漢方堂薬局ではこの方剤を一般の湿疹に使用することが稀にあっても、アトピー性皮膚炎に使用することは滅多にない。
だから店頭で両方剤を指名されても販売すること自体がほとんどあり得ない。
素人判断で使用され、後になって苦情を持ち込まれてはかなわないからである(苦笑)。
袪風作用や補血作用の生薬が配合された方剤は、一歩誤るとアトピー性皮膚炎を激化させる危険性がある。
あたるも八卦的な要素が多分にある方剤で、実際に二つの医療機関でツムラの消風散主体に処方されて、次第に悪化し六ヶ月間かけて最高潮に達したところでネットを調べて村田漢方堂薬局に来られた人があった。
幸い、この人は同じ6ヶ月間かけて8割寛解レベルには到達した。
35年間もとっぷり漢方薬に漬かっていると、どうしても好きになれない方剤というものが出てくる。臨床の実際においては、通説には断じて従えない部分が多々出て来るのである。たとえ、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)で優れた効果が得られたと証言する人があろうと、またアトピーが消風散(しょうふうさん)や温清飲で救われたという人がおられようが。
村田漢方堂薬局でも消風散や温清飲によって湿疹に著効を得た経験はあるにはあるが、再現性において心もとない方剤なのである。配合される当帰やセンキュウの怪しい作用には用心しなければならない。
アトピー性皮膚炎には右に行くか左に行くか、予測が付かない温性の川芎という袪風薬は信用がならないのである。
(以前にもどこかで記したが、温清飲加荊芥連翹の煎じ薬を用いて顔以外の全身がおかされた重症の尋常性乾癬を八ヶ月間の服用で文字通り根治させた経験がある。)
第一、川芎は日本人には使用上の注意が特に必要である。使用に当たっては他薬の三分の一に落として反応を見るべきであろう。
といっても村田漢方堂薬局ではアトピー性皮膚炎に川芎の配合された方剤を使用することは稀である。
もしあるとしたら、ヒゲジジイみずから医薬品許可取得を提案し推進したウチダの生薬製剤二号方と温経湯くらいのものである。
参考文献:
消風散(しょうふうさん):当帰・地黄・石膏・防風・木通・牛蒡子・蝉退・苦参・荊芥・甘草・知母・胡麻
温清飲(うんせいいん):当帰・地黄・芍薬・川芎(センキュウ)・黄連:黄芩(オウゴン)・山梔子・黄柏
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