性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
簡単なご住所 : 近畿地方
具体的な御職業 : システムエンジニア
ご意見やご質問をどうぞ : 長年、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎を患っています。
症状は色々ありますが、今一番辛いのは耳の違和感・痛みです。(耳の奥の筋肉を引っ張られているような、つねられているような、炎症を起こしているような、詰まったような。)
耳管開放症、耳管閉塞症を疑ってみましたが、検査の結果はどちらでもないようでした。
耳鼻科での治療はどれも効果なく、耳鼻科医も「あなたの蓄膿は軽度ですよ」と、私がどれだけ症状を訴えても軽くあしらわれてしまいます。
現在は漢方内科で辛夷清肺湯を処方してもらい3ヶ月程になります。最初の2〜3日は若干鼻がスーっとする感覚があったものの、以後そういった感覚もなく、耳の症状は少しずつですが増す一方で、先生が「3ヶ月飲んで変化が無いなら、このまま辛夷清肺湯を飲み続けてもおそらく変わらないだろう。葛根湯に変えてみましょうか?」といわれました。
こちらのブログを拝見していますと、もっと長く続ければ良くなるかもという期待をしてしまい、先生に「もうちょっと続けてみたい」と申し出ました。でも、正直、不安です。
私はアスピリン喘息があるので鎮痛解熱剤は禁忌で、昔、風邪気味の時に売店で売っていた●●●●の葛根湯ドリンクを飲んだら、数時間後に息苦しくなった経験があり、葛根湯が怖いというのもあります。
もう、本当に治したくて治したくて、たまりません。
アドバイスを頂ければ幸いです。
お返事メール:拝復
辛夷清肺湯が合う体質と葛根湯が合う体質は、ときに紛らわしいことがありますが、病性において寒熱の違いがあります。辛夷清肺湯は熱性炎症に有効で、葛根湯はどちらかというとカタル性炎症で、冷えで憎悪するタイプです。
慢性副鼻腔炎がある体質であれば、葛根湯では多くの効果は期待できない可能性が高いと思います。ましてや、過去、葛根湯ドリンクを服用して息苦しくなるような人が葛根湯を服用するのは危険です。喘息の発作止めにも使用されるエフェドリンの製造原料となる麻黄(マオウ)が含まれています。麻黄は適応を誤ると体質によっては副作用を生じる場合が稀にありますので、二度と使用されない方が無難です。
耳と連動した副鼻腔炎の治療薬としては荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)などもあり、辛夷清肺湯や葛根湯が専売特許というわけではありません。
ここからが最も大切な話ですが、多くの疾患で病状が一定レベルを超えると、いくらピントがあった漢方薬でも単一処方だけでは一向に解決が付かない場合も多いという現実があります。
上記のいずれかの処方が病状と体質に合っていたとしても、その一つの処方だけでは既に治療はできないレベルの頑固な慢性化状態に陥っている場合は、それに付随する様々な問題点を同時に平行して解決できるほかの漢方薬方剤を併用しなければ、治っていかないことが多いということです。
漢方相談のご案内
このページにも記載していますように、
何種類の漢方薬が必要か?以上のことから、最後にアドバイスできる部分があるとすれば、10日ごとに通えるような経験豊富な漢方専門家(医師であれ薬剤師であれ)のところで、治療を受けるべきだと存じます。
『中医漢方薬学』では、病気を解決するための漢方薬の組み合わせの法則(配合法則)として、
@病気の直接的な原因となっている「内外の病因」を除去する漢方薬。
A五臓六腑の機能を調整する漢方薬。
B体内に流通する気・血・水(津液)・精の疎通あるいは補充を行う漢方薬。
という三方面の漢方薬を配合することが鉄則となっています。
一般的な病気では、この三方面の働きを2〜3種類くらいの漢方製剤でまかなえることが多いのですが、成人病や難病では内・外の病因が複雑化しており、五臓六腑の機能失調の状況や、体内を流通する気・血・津液・精の盈虚通滞(量的に過剰か不足か、流通が過剰が停滞かなど)における病理現象が複雑化していることが多いため、3種類以上の漢方製剤が必要となることがあります。
もしも、この必要不可欠な配合を無理に節約すると、治せる病気も治せないことになります。
つまり、辛夷清肺湯や葛根湯など、一つの方剤ばかりで治療を試みる限りはいつまでも治らないかもしれないからです。真の専門家ならそのような単純な考えは持たないはずだからです。
以上、取り急ぎお返事まで。
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