2007年10月14日

漢方薬の服用期間について

 漢方薬の服用期間について、いつまで続けるかの問題を矢鱈に神経質にこだわる質問者も多いが、実際のところそんなことが分れば苦労はない。

 直ぐに効果が出ても病気の性質によっては、短期間に完全寛解するとは限らない。先日もブログに書いた繰り返す重度の蕁麻疹の人の場合、ヒゲジジイの激しい叱責と説得により、ようやく事の重大さを理解して心構えを新たにされているが、これからが正念場である。速効を得たからといって漢方薬を中断したら元の木阿弥である。

 アトピー性皮膚炎では、紆余曲折を経て寛解が得られても、多くは不思議と1年半という短期間で中断した人が多い。軽症者では半年以内で止めた人も今年だけでもかなりな人数がいる。

 一定レベル以上のアトピーの場合でさえ、かなり寛解状態が継続するようになると、不思議と1年半という短い期間で廃薬してしまう人が多いのだが、その約半数以上は遅かれ早かれ再発して、長い人では10年間無症状だったという人もおられるが、半数以上が再発しているところを見ると、一定レベル以上のアトピーの人の場合、1年半という期間は、根本体質改善には到ってないことが想像できる。

 再発した人たちでも早めに戻って来られれば、比較的短期間に寛解し、女性の多くは再発に懲りて、その後は体質改善三点セットだけでも継続服用するケースが多く、細く長く継続している人がとても多い。せっかく治っていたのにもう二度と再発はコリゴリだと思われるらしい。

 アトピー以外でも、たとえば慢性疲労症候群的な様々な虚弱症状とともに鬱病や仮面鬱病が合併しているようなケースはとても多いが、これらの人たちは、漢方薬が一定の効果を示していても、中断すると再発するスピードが早い為に、一部の重要な漢方処方を一生涯続けるくらいの心境に達するケースがとても多い。

 20代後半や30代から漢方薬をはじめて、一定の回復を得ても漢方薬を中断するのが不安であり、漢方薬で元気を回復しているものの、中断すると身体が動かなくなる。だから渋々ではなく、漢方薬のお陰で生きて行けるという実感を感じられるらしい。

 先日も四十代前半で既に15年来の常連さんになっている人が、もしもヒゲジジイの漢方に出会わなかったら、私は既に2〜3回死んでいたと思うと述懐された。
 大袈裟なお世辞とは言え、それまでの諸症状と体力的な限界を含んだ重度の悲観的な人生が漢方薬で救われているという実感が打ち消しがたいという印象である。

 進行がんや転移ガンで真面目に継続されている人たちは、もちろん一生涯のおつもりである。既に10年以上の方が何人もおられるが、ちょっと話は逸れて、漢方の運用がうまい人は、取れ切れなかった癌病巣の影響で、折々に出現する下半身の浮腫が特定メーカーの猪苓湯を使用すると、この人に限り、抜群の速効を得るのだが、他社の製剤ではほとんど効果を示さない。

 突然、話は逸れてしまったが、それほど天然物の漢方製剤というのは非常にデリケートなので、長年経験したお気に入りの製剤しか取り扱う気にならないのである。
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posted by ヒゲジジイ at 10:27| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする