2007年09月23日

家族間で考えが対立する場合の御相談の困難さについて

おたより:東海地方の女性薬剤師(漢方専門薬局経営

村田 恭介先生

暑さ寒さも彼岸まで・・・と申しますのに、今年の蒸し暑さには参りますね。
 先生は夏のお疲れはありませんか?

 私の方は、生まれて初めての目のトラブルで、1週間ほどパソコンも見ることができませんでした。
 帰宅後、遅くまで本を読みふける生活がたたったのか、先週の水曜日に突然、左目が二重に見え、車を運転すると対向車のライトがまるで花火をあげたようです。

 目の奥が痛み、涙も出てきます。もともと2.0の目なのですが、急性の緑内障かと思い、検査を受けてきました。お陰様で緑内障の気配はなく、ローガン(イヤな響きですね〜)の始まり・・・とのことで、嬉しいやら一抹の寂しさを感じるやら・・・。
 それにしても、突然にこんなことになるのかしら?と不思議に思い、杞菊地黄丸で様子をみていましたが、花火のように見えるのは、水の偏在と考え、苓桂朮甘湯を併せてみました。

 さほどパッとせず、小青竜湯に変えたところ、少し良いようです。
これは変だな?と思い、2週間ほど前からファンデーションを今までと違うものに変えていたことに気がつきました。
 やたらとパラベンの臭いがきついので、ちょっと気になっていたのです。

 翌日から、そのファンデーションを中止し、様子をみたところ、症状が軽くなってきました。
 アレルギーだったのですね・・・。小青竜湯のおかげで気がつきました。
 現在は、杞菊地黄丸+猪苓湯で、非常に調子がよいようです。
意外に周りにも、こんな方がいるのに、見落としていたかもしれません。

 先生は、沢山の本を読まれるのに、お元気でおられるので、さすがですね♪

 お話は変わりますが、本日のブログを読ませていただき、本当にガン患者さんへの対応は難しいですね。

 先日も、お母様が悪い例で、ご本人とご主人は抗ガン剤を体力が続く限りやりたい!との考え。
 息子さんは、いろいろと勉強しておられ、このままではどんどん体力が落ちるので、漢方と養生で回復させたい!とのこと・・・。しかしご両親は、高くてよくわからない漢方には猜疑的だけれど、状態が悪いので、それなら漢方でも・・・ということのようです。

 このようにご家族で考えが対立している環境で、うまくいった試しはなく、お力にはなれませんでした。
 病院の治療なら何十万も支払えても、数万の自費の漢方を高くて続けられない・・・
 と言われるのも、このような手合いで、少しでも変わった症状が出れば、それみたことか!と逆ギレされるパターンです。

 やはり、他のことを切り詰めてでも、自分の体に投資をし、漢方を効かせるために、辛抱強く養生をなさる方でなければ、ハナから止めておかれた方がよいですね。
 皆さん、サプリメント等で安易に助かるようなイメージをいだいておられるのかもしれませんが、消費者が無知なために、そのような金儲けの業者がはびこるのかもしれません。
 そういったものと、弁証論治に基づく漢方を一緒に考えておられるのだから、迷惑な話です。
 処方を決めるには、どれだけ詳しく説明されても、お会いしてみてみないと判断がつきかねることをご説明しても、なかなかわかっていただけないことが多いことにも、肝熱があがります。百聞一見にしかず・・・なのに・・

 このようなことに時間をとられると、頭がいっぺんに黄昏てしまい、次のご相談を受ける元気がなくなってしまいます・・・・考えてみれば、戦後の教育では、自分の体は自分で治す養生たるものは一切教えておらず、病気になったら医者に治してもらうのが当然の、おかしな世の常識なのですから、この部分から変えていかないといけないのかもしれませんね・・・。

 そのような意味でも、先生のお考えは、時代の先端をいっており、先生のブログで、自分の病気と真摯に向き合い、努力をされてゆく方が少しずつ増えてゆくのでは・・・?と思っております。

今日は長々とごめんなさい。
夏のお疲れがないよう、ご自愛ください・・・ね♪
                   かしこ


ヒゲジジイのお返事メール:おたよりありがとうございます。
 化粧品類のアレルギーは、本当に多いですね!

 男性では滅多に見られない現象が、女性たちにはしばしばみられる化粧品事故には、化けるのがマナーである人間社会の掟?に、お気の毒なこととご同情申し上げます(笑)などと、相変わらずストレートなことばかり吐き散らすので、皆に敬遠されるのですね。

 かといって反省の色が全くないので我ながら救いようがありません。
 ところで、

>ご家族で考えが対立している環境で、うまくいった試しはなく、お力にはなれませんで>した。

 とおっしゃるお言葉、まったくその通りですので、当方ではすでに何年も前から、御本人みずからの情熱で直接やって来られるひとだけの漢方相談に徹していますが、そのような場合でも、彼あるいは彼女の身内や御家族の足を引くような介入によって、手を引かざるを得ない事態も時には生じます。
 責任を誰かに転嫁せずにはおかない現代社会の風潮では、御家族の対立の巻き添えになることだけは絶対に避けるべきで、先生のお考えには全く同感です。
 ですから、

>病院の治療なら何十万も支払えても、数万の自費の漢方を高くて続けられない・・・
>と言われるのも、このような手合いで、少しでも変わった症状が出れば、それみたこと>か!と逆ギレされるパターンです。

 とはズバリご指摘の通りで、逆切れされるこちらの方は、そのために食事も咽喉を通らず眠れぬ夜が幾日も続いたことが若い時分にはシバシバでした。
 御家族の対立を乗り越えようと親身になっても、結局は主治医に苦衷を吐く勇気がない分それだけよけいに最も攻撃しやすい薬局薬剤師に八つ当たりされた多くの経験から、ここ二十年以上?は「君子危うきに近寄らず」に徹底しています。

 幸い、チェック体制を万全にしている関係で、実際に親しく御相談に乗っている事例は、すべて御本人の情熱があり、またご家族や身内にクレーマーが付随してないことを確認しているので、多くは掛け値なしにお互いに切磋琢磨できる方ばかりの御相談が続いています。
 そのような真剣な方たちばかりの御相談が続いているだけに、昨日のブログの内容こそ尤もな御相談であるだけに避けて通れない問題なわけです。胃がキリキリなりながらも、主治医に相談するもっとも適切だと思われる質問方法をあのように常々伝授している次第です。

 重大な疾患において、治療方法における御家族の対立が激しい場合には決して介入するべきではないので、ご相談も御遠慮願うのを鉄則とする考えは一見冷たいように見えますがどう見られようとも最終的には八つ当たりの対象にされてロクナコトはない。
 真面目に通われている人達へ使うべき貴重な時間を滅茶苦茶に奪われ続けるわけですから、もっとも避けたい事態ですよね。

 その点では、ヒゲジジイの薬局では少数精鋭の真剣・真面目な人達ばかりを選択させて頂いていますので、邪念なく互いに切磋琢磨できる環境を維持し続けているつもりです。
 そういう点でも、先生も同様なお考えであることにとても嬉しく思います。
どのような時代が訪れようとも、漢方専門薬局の薬剤師こそ、漢方の専門家としての矜持を忘れるべきではないと存じます。


【追伸】朗報です!
突如奇特なメーカがあらわれ、ヒゲジジイの年来の訴えが稔りそうです。補気建中湯のエキス剤製造の許可取得がほぼ決定となりました。
 こちらの希望通りの配合比率と生薬使用で、理想的な製剤が出来上がるはずです。メーカーも一流ですので、期待が持てます。様々な手続きが必要なため、実現は2年後くらいになりそうです。

                    村田恭介 拝
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