2007年08月29日

内科医の先生から巨大な子宮筋腫の続報

おたより:東海地方の内科医

 村田さんいかがお過ごし手ですか。
 お盆の前後は40度近い日がつづき熱中症の患者さんが受診され、そのあとには夏ばての方がお越しになられ、清暑益気湯が活躍しています。
  気候もさることながら、世相的にもいろいろとヒートアップしているようでして過ごしにくさを痛感する昨今です。

 本日の本題ですが、過日ご相談した20台後半で巨大な子宮筋腫をお持ちのかたの経過について報告いたします。
 柴胡桂枝乾姜湯+帰脾湯+桂枝茯苓丸を処方し、婦人科ではホルモン療法を4ク−ル受けたところで腹部エコーによる評価が行われました。
 治療を始めるまえに10X9cmのサイズでしたが、治療後のサイズは6x5cmに縮小していました。

 婦人科の先生の感想ですが。「ホルモン療法のみではここまで縮小することは経験がない。すごいことです」との良い評価を頂いたそうです。そして、「ここまで小さくなったのでもう2クール追加しましょう」とおっしゃられたそうです。
 本人としてはホルモン療法中に人為的更年期障害にちょっとまいっていたようですが、効果がよかったことに励まされて継続する意を固めたそうです。
 個人的には以前、悪性リンパ腫を診療していましたが、そのときの評価法で言えば、ほぼpartial remission(不全寛解)に該当します。

 ”邪”と”正”の両面に焦点をあてることに寄与する中医漢方薬学的治療、まさにおそるべしという印象です。
 ほかの疾患の領域にも当てはまることを想像しますと最近の過ごしにくさが吹き飛ぶ感じです。
 このような示唆に富む経験をする機会を与えてくださいまして、村田さんにはあらためて深く感謝する次第です。
 今後ともご助言おねがいいたします。


ヒゲジジイのお返事メール:まだまだ暑い日が続きます。
 ご報告、とても順調な治療経過で何よりと存じます!
 総じて慢性疾患や難治性疾患は、中医学的には扶正と祛邪を同時に行ってはじめて優れた効果を発揮させることが可能であると思います。
 桂枝茯苓丸には薬味中に桂枝・茯苓・芍薬に扶正の性質を一部保有してはいますが、方剤そのものは明らかに去邪の性質主体の方剤ですので、桂枝茯苓丸単独で適応するケースはそれほど多くないものと存じます。

 小生の近況のご報告「予告」というのも奇妙な表現ですが、数日中に、某メーカーの製品開発部門の人が現実的な製品開発の相談に来られます。本当は料亭(苦笑)に招待されたのですが、小生にはそんな趣味はないのでお断りして自宅で秘密会議(笑)です。
 以前から提案している補気建中湯エキスが実現する話を期待しているのですが、それ以外の話なら興味はないので直ぐにお帰り願うことにしています。
 いよいよ実現することを本当に念じているのですが、ヤル気でやれば1年くらいで製造許可が取得できるはずです。

 ともあれ、ますますモラルハザードの日本社会、さいわいに小生の薬局内だけは古きよき時代の日本男児やヤマトナデシコだけを選別させて頂いていますので、まるで別世界です。(その分、責任重大で四苦八苦しております。)
 まだまだ残暑が続きます。ご無理のないようお祈り申し上げます。

【編集後記】 モラルハザードはもともと雇用関係や保険分野における話であり、「モラル」を日本語的な「倫理」として「倫理観の崩壊」とした意味で使用するのはあきらな誤用である(苦笑)。