おたより:東海地方の女性薬剤師
台風の影響がなかったとのことで、安心いたしました。
また、まつ子先生がお元気になられてほっとしました。
私の義妹も、親知らずを抜いたときに、ボンボンに化膿しているというのに、抗生剤を何度言っても出してもらえず、高熱と痛みが続き、病院に連れて行ったら、髄膜炎を起こしていて即入院。
危うく命を落とすところ・・・という経験をしており、歯科医さんってどうなの?と思います。
そんな人ばかりではないことを願いますが、こうなるともう、病院も薬局も、良い先生に巡り会える運があるかどうか・・・かもしれませんね。(笑)
先生のご近所の方は幸運で、羨ましいかぎりです。
お話は変わりますが、筋肉のピクツキの記事を読ませていただき、思い当たることがあります。
75歳の女性で、色白でぽっちゃり型ですが、”むずむず足症候群”で深刻に悩まれており、夜が恐怖です。元はといえば、ガンのご主人の終末期の看病で、神経が休まらず、寝たいのに起こされる・・・が続いて始まったようですが、ご主人が亡くなって3年目で、落ち着きを取り戻した今でも、発作が起こるといいます。
発作は、決まって子午流注肝胆の時間である、夜中の12時〜3時の間に起こり、足の裏の湧泉の部分が震源地で、耐えられないほど、こそばゆくなり、それがだんだんと下肢に伝わり、ビクン、ビクンして眠れないもの。そこで起きてパッチワークなどに無理矢理専念すると、気がそれて4時〜明け方までは眠れるといいます。
発作は昼間に人と会っているときなどには決して起こらず、夜になり不安な気持ちになったり、意識を何かに集中していないと始まり、気が抜けず疲れてしまいます。
血圧は降圧薬でコントロールされていますが、飲まなければ200はあり、肝気が盛んで、体が弱いのに頑張ってしまう性質です。3年前に胃ガンの手術をされています。
舌は暗紅で、苔は少なく、裂紋が多くあり、スポンジが水を吸うように水を含み、裂紋がふやけて見えます。脈は細、数で、尺脈は非常に弱いです。
口は渇き、冷たいものを欲します。
この方に、知柏地黄丸に亀板、真珠、黄精を足して様子を見ていますが、確か昨年この方がめまい、ふらつきで吐き気があり、苓桂朮甘湯を処方していたとき、足の発作はずっとおさまっていた・・・とカルテにありました。今の舌象からは苓桂朮甘湯には思えないのですが、使った方がよいのか悩んでおります。
急ぎませんので、先生のお考えをご教授いただけたら幸せです。
ヒゲジジイのお返事メール:義妹様の恐ろしい事件も凄いですね!
>先生のご近所の方は幸運で、羨ましいかぎりです。
と、おたより頂きましたが、愚妻の抜歯後の抗生物質の強引な間違った指導には、ここでも危ういものを感じてしまいました。先生の義妹様と同様、抜歯後には化膿による膿が蔓延しており、それが予測されただけに、歯科をかえる夕方には急遽クラビットを2錠服用して抜歯に臨んだのでした。
抜歯後に、そのことを申告すると、クラビットではいけない!セフゾンを出すからそれにしなさい。夕方に勝手な抗生物質を飲まれているので、重複が恐いからセフゾンを明朝から服用するようにという、極めて乱暴な指導です。
愚妻が薬剤師であることが余程気に食わないらしく、抜歯後から膿が出ているというのにセフゾンとは! 何か特別な歯科的な法則でもあるのかと怪訝ながらも指導を守ったところ、翌日から抜歯後の顔が腫れ上がる一方。
(クラビット系はDAN合成阻害・クラリス系は蛋白合成阻害・セフゾン系は細胞膜阻害)
ヒゲジジイは薬局をほとんど一人でやらざるを得ない破目に陥り、専門外の抗生物質の運用については、怪訝に思いながらも立派な歯科医のノタモウことだからな〜〜くらいに見過ごしてしまいました。
ところがセフゾンを続けても抜歯後に残っている化膿が怪しい動きをしているらしく、その日はほとんど起き上がれません。その翌日、抗生物質の効果が弱いので消毒に行った歯科でセフゾンの追加を要求したら、鎮痛剤ならあげるが抗生物質はもう飲まないでよいとのこと。(追記:この日、抜歯後に顔がゆがんで辛いのに、歯石を取り始める強引さには驚かされる。好中球をますます暴れさせるだけではないか!)
どちらにせよセフゾンの効果は感じられず、仕事に支障を来たすのでクラビットに切り替えると数時間もしないうちに口が開けるようになりました。
そこでやはり怪しいと思った愚妻は、身内の内科医(愚息)に電話して抗生物質の使い分けを問い合わせると、やはり口中は多種多様な菌がおり、しかもすでに化膿しているのだったらクラビットの方がより適切であり、セフゾン投与のほうがおかしいと言います。今度は消化器内科の身内の医師(娘婿)にも確かめると、まったく同様な意見。
歯科医の中には抗生物質の知識が驚くほど欠落しており、変なプライドばかりが高くて、薬剤師と見ると目の敵にする人が地元には多いので腐ってしまいますよ(苦笑)
ところで筋肉のピクツキの問題ですが、茯苓との関連性が高いと思われますので、苓桂朮甘湯証が見られない場合は、知柏腎気丸中の茯苓をウンと増量してみてはいかがでしょうか? 1日量を10〜15gくらいに、です。さらに白朮くらいは加えてもよいかもしれません。但し、状況から見て桂枝や甘草は使用できそうもない体質のようですね?!
【編集後記】 もしかして反佐として桂枝も少量なら加えても良いかもしれない!?
ところで歯科医に対する苦情をモロに書き過ぎたかもしれないが、これはタマタマ身内に起こったことだから鮮明な印象として本音を吐露したもので、当方では職業上、一般の人からの歯科治療の悩みをシバシバ受ける中、同様な問題がとても多いからである。杜撰な根管治療などは日常茶飯事で、発熱して顔がゆがむほどの化膿性の歯痛に抗生剤も出さずに鎮痛剤ばかりでお茶を濁そうとする例は枚挙に暇がない。
次善の策として重症でもなければ銀翹散製剤に白花蛇舌草の併用で対処出来る場合も多いが、一定の限界を超えれば抗生物質に頼らざるを得ないので、歯科医院を紹介するよりも一般病院に行ってもらわざるを得ないケースもなしとしない現実がある。
当然、抗生剤の乱用は慎むべきだが、歯科領域においては単なる風邪などと異なって急性化膿性炎症を引き起こして高熱を発し、顔面が変形するほど腫れあがるケースは決して珍しくないのである。
歯科医の皆さんは、もっと薬物治療の重要性を認識して欲しい。免疫力を低下させて却って細菌の繁殖を促進しかねない鎮痛剤ばかりに依存しないで、とりわけ抗生物質の適材適所の使用方法を正しく学習して欲しいと切に願うものである。
鎮痛剤ばかりを投与したがる歯科医が多い現実に、あるいはもしかして疼痛が生じる根本原因を理解されてないのだろうか?とさえ疑問に思う相談事例が少なくないのである(苦笑)。
抜歯後などで細菌の過剰な繁殖を許すと、歯科領域でも生命を奪いかねない危険なケースもあり得るし、杜撰な根管治療によって引き起こす急性化膿症は日常茶飯事なのだから・・・
2007年08月05日
抗生物質の運用に無知な歯科医が多くて困惑する日本の歯科治療
posted by ヒゲジジイ at 00:21| 山口 ☁| 医師や歯科医師による誤診や医薬品の誤投与問題
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