2023年03月03日

一連の症候に対する適切な漢方薬配合の微妙さについて

2023年02月22日 で取り上げた花粉症に対する「勝湿顆粒(高濃度の藿香正気散)+辛夷清肺湯」の続報である。
 花粉症たけなわの季節、多くの人は勝湿顆粒(藿香正気散)を筆頭に衛益顆粒やササヘルスあるいは茵蔯蒿湯などで、多少とも副作用の心配のある小青竜湯や麻黄附子細辛湯を使わなくとも、ほとんどの人が即効を得ている。
 ところが常連さんの中には、毎年、勝湿顆粒(藿香正気散)だけで即効を得ていたのに、今年はどうしたことか、ほとんど効果がない。
 ワクチンを4回も接種したお陰で免疫系が狂ったのかもと不安がられるが、従来からご主人のタバコのせいで、気管支や鼻が弱いことから、折々に使用されてきた辛夷清肺湯を加えて「勝湿顆粒+辛夷清肺湯」にすることを助言。
 これによって超即効を得て、驚きと感激の電話をもらったところである。
 この女性、その後、試しに辛夷清肺湯のみで様子を見たところ、再度激しく花粉症の症状、流れ出る透明な鼻水とくしゃみが止まらなくなった。

 ところが勝湿顆粒を併用するとピタリと症状が治まったとのこと。

 要するに、昨年までは勝湿顆粒だけで治まっていたが、今春ばかりはまったく効果がなく、辛夷清肺湯を併用するとピタリと治まる。

 ところが辛夷清肺湯だけで様子をみると、勝湿顆粒単独のときと同様、まったく効果が出ない

 両者を一緒に服用してはじめて超即効を得られるという摩訶不思議・・・では決してない。

 この女性の体質と持病を知っていると、(ここでは詳細を省くが)やや複雑な一連の症候に対する適切な配合を考えた結果が、両者の併用というわけだが、この配合でも、この女性に対してはやや欠点がみられ、花粉症の症状は基本的にピタリと治まるが、もともと某膠原病の持病に関連する眼球の乾燥感が出てしまう。

 そこで、もう一つの持病である慢性気管支炎に対してしばしば利用されている竹葉石膏湯を加えることで、眼球の乾燥を保湿するべく追加したところである。

 なお「一連の症候」というのは、日本漢方で表現される「証」を意味し、すなわち「証候=一連の症候」という謂いである。
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2011年03月03日の茶トラのボクチン(6歳)
2011年03月03日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:一連の症候
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