2018年03月29日

四逆散は、本来あらゆる領域の慢性疾患に対する繁用方剤であるべき理由

2011年03月29日の茶トラのボクチン(歳6半)
2011年03月29日の茶トラのボクチン(歳6半) posted by (C)ヒゲジジイ

 本来なら、繁用方剤であるべき四逆散の応用ヒントは、陳潮祖先生の諸著作(『中医病機治法学』や『中医治法与方剤』など)のほんの要点だけをまとめてみると、以下のようになるだろう。

 調気疏肝・柔和経脉の四逆散は傷寒論曰く「少陰病、四逆し、その人あるいは咳し、あるいは悸し、あるいは小便不利し、あるいは腹中痛み、あるいは泄利下重するとき」に適応するとされる。

 しかしながら、薬物の効能と君臣佐使だけで方意を分析すると、腹痛に対する説明はできても、その他の諸症状に対する適応を説明できそうもない。これを「以薬釈方」〔薬物の方向から方剤を解釈する〕という。

 このため、腹痛以外の適応症を説明するには、四逆散の調気疏肝・柔和経脉という治法によって方剤を解釈しなければならない。これを「依法釈方」〔治法にもとづいて方剤を解釈する〕という。

 すなわち、四逆散の適応症を「あるいは」として五つの症状を挙げているが、これらのどの症状も五臓それぞれの病理変化が反映したものであり、肝気鬱結によって筋膜の柔和を失ったために、気血津液が失調して五臓の病変を誘発したときにこそ、調気疏肝・柔和経脉の本方が適応するというわけである。

 以上のことから、ため息や深呼吸を繰り返しやすい、やや鬱っぽい人たちの極めて広い領域(西洋医学的にもあらゆる領域)の各種慢性疾患に対して、基本方剤として使用すべきケースが意外に多いことに気が付くことだろう。

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2011年03月29日の茶トラのボクチン(6歳半)
2011年03月29日の茶トラのボクチン(6歳半) posted by (C)ヒゲジジイ

ラベル:四逆散
posted by ヒゲジジイ at 12:49| 山口 | 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする