2011年03月03日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 性 別 】:30〜39歳の男性
【 地 域 】:近畿地方
【 具体的なご職業 】:漢方薬局の薬剤師
【 お問い合せ内容 】:いつもブログを拝見し、勉強させていただいております。
先日、村田漢方堂に直接伺い、アトピー性皮膚炎の治療をお願いしたものの、遠方であったことなどから、先生の方から診れないといわれ、ウチの薬局を紹介されたという●●さんがこちらに来られました。
いろいろな漢方薬を使っている様子だったので、それはどこでもらっているのかを質問したところ、何と!全くの自己流とのことで非常に驚きました。。。
配合も理論なく、自己流のためか滅茶苦茶で、皮膚も乾燥・浮腫み・痒み・ゴワツキがあり、一見するととても酷い状態に見えました。
しかしよくよく考えてみると、今までの経験ではそのような状況に陥っている場合、ほとんどの人が皮膚の血色がどす黒く、瘀血によって表層の血流が悪化しており、漢方を微調節したところで患部に到達しないため、あまり効果を実感させるに至らないこともあったのですが、彼女の場合は、まだ皮膚色は炎症による赤みはあるものの透明感があったため、これはイケるかもしれないと直感しました。
話ではとにかく浮腫みとひび割れと痒みが酷いということで、この原因がどの臓腑由来かを考えたときに、真っ先に手掌角化症で肺が主る皮毛に濁水がたまったために生じる病理が頭に浮かび、日本漢方にて浮腫みと乾燥、肌荒れに用いる麻杏薏甘湯が効くのではないかと感じました。
その考えのもと漢方では麻杏薏甘湯に利水を強化する目的で薏苡仁エキスを加味し処方しました。
その処方を1週間続けると浮腫みと乾燥、ゴワツキ、痒みが一気に軽減し、症状が10⇒3になりました。そこからもう1つ工夫を加え、濁水のみならず、組織間の水を動かす目的で越婢湯の方意を応用し、麻杏薏甘湯+薏苡仁エキス+石膏エキスにしたところ、手指のひび割れと乾燥が局所的になくなり、普通の皮膚となってきました。
現在、その処方を継続し、どこまで濁水を取り除けるかをみている最中です。本人に紹介元の村田先生に報告をしてもよいかと尋ねたところ、「ぜひお願いします」ということでしたので、ご報告させていただきました。
一昔前にはアトピー性皮膚炎で手痛い失敗を経験し、自信喪失の日々を過ごしていましたが、その経験を糧にして本当に色々と考えることができるようになりました。まだまだ道半ばですが、これからも自分が得た知識と経験をもとに薬局独自の漢方療法を行っていきたいと思います。
それと先生に1つ、ご了承を頂きたいというか、こちらの勝手な申し出なのですが、僕自身も先生と同じ考え方で中医学と日本漢方をうまく融合させた中医漢方薬学という理念に非常に共感しており、薬局漢方はそういう道をたどるべきと考えておりますが、この名称は先生が考えられたものであり、先生から直接指導を受けたことのない僕が同じ流派を使うことは許されることではないと思います。
そこで僕自身、中医学と西洋医学と日本漢方を融合させた考え方に基づき、自分の漢方理論を「中正医結合和漢薬学」として1つの流派?という名称を使用しようかと考えています。
しかしながら、この名称は明らかに村田先生が考えられた「中医漢方薬学」の二番煎じであることは明白であり、使用する前に村田先生に了承を得ておきたいと思い、あわせてご連絡させていただきました。
仮に使用してよいということになりましたら、自分の流派を立ち上げ、「中正医結合和漢薬学」として今後、活動していく予定です。また逆に使用不可であれば、その名称は用いず、何かほかにいい案が出るまでこの思いは胸にしまっておこうと思います。
色々な相談者さんをご紹介していただけると同時に、いつもながらいろいろと勝手を申してご迷惑をおかけしておりますが、自分の漢方道をこれからも追い求め、少しでも腕を挙げられるように研鑽していきたいと思います。先生にはまた色々とご質問等するかと思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
2011年03月03日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール:ご連絡、ありがとうございます。
彼女の諸般の状況からは、どうみても莫大な交通費のことを考えますと、10日ごとに関西から通える人とも思えなかった人でした。
また、丹参末を分けてほしいなどと、自己判断が旺盛な人には、これは扱えない人だなっと思った人でした(苦笑。
もっと10年前なら、強く説得して1〜2度しか通えなくても、あとはメールのやりとりで頑張っていたかもしれませんが、アトピーだけは、安定するまでに頻繁に通える人でなければ無理だと判断し、ご迷惑とは存じつつも、ご紹介させて頂いた次第でした。
経過報告を読ませて頂くと、流石に素晴らしい分析による弁証論治と経過、実に見事な采配ですね。
先日も、8?歳の頭鳴の近畿地方の女性の問題で、娘さんが代理で、何とかならないかというメールが届いたのですが、これだけの長文を書く暇があったら、近畿地方には漢方薬局は多いはず、たとえば●●町の〇〇〇〇〇薬局さんなど、あくまでたとえばですが、と返信したばかりでした(苦笑。
ともあれ、流派としての「中正医結合和漢薬学」の立ち上げ、おめでとうございます。
「中医漢方薬学」と同類であっても、一向に構いません!
もはや食欲以外は、名誉欲も、体力もまったくなくなっていますので「中医漢方薬学」など、どうなっても構わない境地に達しています(苦笑。
〇〇さんのブログを拝見していますと、最近はますます中医学的にも日本漢方的にも、一段と飛躍されているご様子、将来がますます楽しみだと存じます。
こちら老兵は、安心して去るのみです(呵々。
2011年03月03日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
折り返し頂いたメール:早速のご返信、ありがとうございます。
僕自身、自己流であれだけの漢方を適当に飲まれている人の経験はなく、もしかしたら素直に受け入れてくれず、結局自己流になってしまうかもしれないという思いもあったのですが、話をすると意外とすんなり受け入れてもらえたので、俄然やる気になりました(苦笑)。
今までの経験上、浮腫んで乾燥して荒れている皮膚には麻杏薏甘湯+薏苡仁エキスが奏功したことが多かったこと、どう考えても病位はそこまで深くなく脾や肝、腎よりも肺の宣発粛降異常に伴う水湿不利であり、上水道の水の停滞であれば、あそこまで皮膚構造が崩れることはないため、下水道の水が停滞していると考察しました。
病位が肺で実証に属し、上水道の水の停滞であれば、麻黄・石膏の越婢湯の方意を、下水道の水であれば麻黄・杏仁・薏苡仁の麻杏薏甘湯を用いるということを『金匱要略』から読み取り、そのように応用して効果を出せているので、今回もその理屈に基づいて処方を組み立てました。
ただ今、症状が改善しているのは、これまでため込んできた汚れを掃除しているからに他ならず、その汚れが取れた後にようやく病の本質が現れると思いますので、そのうち大きく処方変更しなければならない時期が来ると思います。
そのことは既に本人にも伝えているので、今は徹底的に掃除をして、体内から汚れを出していきたいと考えています。
漢方薬局を開業して10年。
鍼灸畑から来たせいもあり、一般的な漢方薬局の色に染まることなく、理論的に考える癖があったのが、良かったのか悪かったのか・・・
ともかくようやく少しずつ自分の臨床に自信を持てるようになってきましたので、この勢いを絶やすことなく、これからも頑張りたいと思います。
先生から「中西医結合和漢薬学」についての了承も得られたので、これからしっかり自己理論を追及して相談者の悩みの解決ができるようにします。
これからも何卒よろしくお願い申し上げます。
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2011年03月03日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
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