2010年12月20日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 年 代 】:30〜39歳の男性
【 地 域 】:近畿地方
【 具体的なご職業 】:薬剤師
【 お問い合せ内容 】:
いつも更新を楽しみにして拝見しています。
1つお教えください。
父がデスクワークで目が疲れる、とのことで杞菊地黄丸を飲ませたところ、
目は楽になるが便秘になるといってます。
陰を補うはずなのに、この事象の原因が全く想像できず、先生にご教授いただければ、と思いメール差し上げました。
ちなみに舌診では深い裂紋があり、杞菊地黄丸を飲んでも全く改善はナシ。
六味丸よりももっと深くに行く亀板などの方が良いのかも、とは思っています。
2010年12月20日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール:
杞菊地黄丸で目には効果があるのに、却って便秘気味になってしまうという現象は、それほど珍しくありません。
通常なら、地黄などによって、むしろ快便がえられるのではないかと考える専門家が多いかもしれませんが、現実にはそうでもないのです。
もちろん多くの場合、杞菊地黄丸がフィットする体質であれば、より快便になるか、大便にはほとんど影響なしであることが普通です。
しかしながら、舌に裂紋があるなどで、肝腎陰虚が明らかなので、眼精疲労などによくフィットしたと思ったら、意外にも却って便秘気味になるという現象。
おそらく方剤中の山茱萸の固渋作用や山薬の止瀉作用や、あるいは茯苓の健脾化湿作用の三者が強力に作用を発揮したために、便秘気味になったことが、容易に考えられます。
それゆえ、そのような反応を生じる人の場合、これら三者を除去した配合を煎じて飲むことも考えられますが、そんな面倒をせずとも、杞菊地黄丸の目に対する効果が明らかなのであれば!という条件付きですが、手っ取り早く、麻子仁丸などを併用して、便秘を防ぎながら継続するのが、最も通常の方法だと思います。
ともあれ、杞菊地黄丸で、目にはしっかりフィットしているのに、却って便秘気味になったという反応は、決して珍しくはありませんので、驚かれるほどの問題ではないと思います。
それゆえ、中医学世界の現実問題として、一方剤だけでバランスの取れた配合ができるとは限らないことを、この際、理解されるよい機会だったと受け止められるのがよいかと存じます。
なお、
>深い裂紋があり、コギクジを飲んでも全く改善はナシ。
というのは当然で、何年間続けてみたところで、そうやすやすと舌の裂紋が消えるものではありません。体質傾向は将来にわたって残りやすいものです。浅い場合は別ですが。
取り急ぎ、お返事まで。
2010年12月20日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ
折り返し頂いたメール:
お返事ありがとうございます。
そうなのですね!
実は僕自身も杞菊地黄丸を飲んでおり、便通は悪くないので「何故に父のみが?年齢によるものか?」と、そこからは想像もできませんでした。
六味丸=滋陰と短絡的に決めていましたが、やはり生薬の勉強もしっかりしないと、と今回ので実感しました。
漢方の勉強をすればするほどに村田先生のブログ内容の奥深さに気づかされるばかりです。先生おすすめの「中医臨床のための病機と治法」を読んで、理論は少しずつ学んでるつもりですが、もっと成長して次回はもっと深い質問をできるようにします。
ありがとうございました。
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2011年12月20日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:杞菊地黄丸