2017年07月04日

ステージ4の肺癌に伴う胸水があるとき、ウイルス性の肺炎を合併した場合の漢方薬は

2010年7月6日のボクチン(6歳)
2010年7月6日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 年 代 】:40〜49歳の男性
【 地 域 】:関東地方
【 5月末に頂いていたお問い合せ内容 】:初めまして。
 お忙しいところ、申し訳ありません。

 以前、2017年04月22日 肺がん、胸水でご相談 させて頂いた●●の長男です。

 母は先日、ウイルス性の肺炎にかかり、入院した病院で抗生物質とステロイド投与で治療しても効果がなく、亡くなりました。

 村田先生の「補気建中湯」のアドバイスで、せっかく胸水が減少したのにと悔しかったです。本日、先生のホームページで調べて知りましたが。ウイルス性の肺炎には「竹葉石膏湯」という漢方がたいへん効くようですね。
 「竹葉石膏湯」は、亡くなった母のような、あまり体力がなく、咳は出てませんが、微熱があり、呼吸困難ありというような症状の肺炎でも使えたのでしょうか。

 もっと早く先生のブログを見ればと後悔しています。せめて抗生物質とステロイド以外の方法はなかったのかとぜひ知りたいので、教えていただけますでしょうか。
 どうぞよろしくお願いいたします。

2010年7月6日のボクチン(6歳)
2010年7月6日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:とても残念なご報告、しかしながら、竹葉石膏湯については、胸水が溜まる状態の人には迂闊には使えない方剤です。
 保湿作用がメインの方剤ですので、胸水の問題がある場合には、フィットしなかった可能性が高いと思います。却って胸水を増す危険性もナシとしません。

 母上様のような微妙な状況では、ベテランの専門家に直接診断してもらわないと、適切な方剤を特定することは無理だったと思います。

 ましてや、ネットで探しても、ネットではそれほど詳細なことも書かれていませんし、専門書を求めても、専門家でなければ解読できない部分が多過ぎます。
 取り急ぎ、お返事まで

2010年7月6日のボクチン(6歳)
2010年7月6日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

折り返し頂いたメール:ご返信をありがとうございました。

 竹葉石膏湯の石膏は保湿作用がメインですね。よく分かりました。

 実は母は肺がんになってから、地元の漢方医院から麦門冬湯を出され、ずっと飲んでいたようです。そのおかげで最後まで咳は出ませんでした。

 しかし、先生のメールを見ると、もしかしたらその中の人参、大棗の影響で胸水も増えたのではないかとも思うようになりました。先生のアドバイスを求めていればと後悔しています。

 母は生前お世話になり、本当にありがとうございました。

2010年7月6日のボクチン(6歳)
2010年7月6日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:実際にはそれほど単純な問題ではないのです。第一、甘草の保水作用の方が問題になる場合も多いのですが、麦門冬・人参にも保湿作用はあります。

 たとえば、⇒ 「腹水や胸水にも有効なことがある補気建中湯にはなぜ保水力の強い人参が配合されているのだろうか?
と題して、http://murata-kanpo.seesaa.net/article/272016083.html このページにも書いていますように、それぞれの配合には深い意味があるのですが、それを理解してもらうには、複雑な中医学の基礎理論をしっかり学んでおいて頂く必要があるのです。

 麦門冬湯が咳に有効だったということは、気管支の乾燥部分と、胸水がたまるような湿潤の部分と、真逆の現象が同居していた証拠ですので、保湿作用の方剤が必須だったのみならず、利水作用の方剤も必要だった証拠で、このようなことは決して珍しくないのです。

 当方でも、ブログに先日書いた記憶があるのですが、そのような複雑な状況下で、骨髄移植後の肺炎と帯状疱疹を繰り返す女性に、竹葉石膏湯とともに結胸散・五苓散・板藍根・白花蛇舌草などの配合で、咳を止めるのみならず、胸水の貯留の防御もしっかり行えていますが、これはメールなどの相談ではなく、直接通えて、詳細な弁証論治を行え、舌の状態などをしっかり分析しながらのことだから可能なのです。

 胸水がたまりやすい人でも、麦門冬湯や竹葉石膏湯が本当にフィットしているものなら、それなりの複雑な防御の方法もあるので、それには安易なメールなどで、容易にお返事できるものではなく、その人の詳細な「一連の症候」をしっかり把握して、慎重に配合を考える必要があるので、複雑な基礎理論をご存じない人に、その機微を説明するのは本当に困難な問題です。

 ですから、直接、専門家に出向いて相談されるように強調させて頂いていたつもりです。
 取り急ぎ、まだまだ言葉足らずですが、お返事まで。

2010年7月6日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年7月6日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

折り返し頂いたメール:丁寧なご説明、ありがとうございました。

 ベテランの漢方専門医でないと、適切な配合は難しいということは良く分かりました。

 お忙しいところ、お手数をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。

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2012年7月6日のボクチン(8歳)
2012年7月6日のボクチン(8歳) posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 23:35| 山口 ☁| 肺癌(ステージ4および脳転移や骨転移も含む) | 更新情報をチェックする