
2009年7月2日のボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母
【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 年 代 】:50〜59歳の男性
【 職 業 】:公務員
【 地 域 】:東海地方
【 おたより 】: 漢方薬に関係なくて申し訳ないのですが、2017年06月28日の「ダーウィンの、というよりもウォレスの進化論は、大筋正しいと思われるが・・」を興味深く読まさせていただきメールしました。
というのは私も同じく「ダーウィンの、というよりもウォレスの進化論は、大筋正しいと思われるが・・」と感じているからです。かといって、ダーウィンの進化論もウォレスの進化論もそれを裏付ける科学的な根拠はないのは同じですが。
◎ただ、「進化の不可逆性」とかを考えると、ウォレスのようなタイプの思考の方が説明がつきやすいと思うのです。
◎村田先生が引用された下記のウィキペディアの説明についてですが、
『進化論というと、進歩のことだと誤解している人が多いが、ウィキペディアにもあるように
生物学における「進化」は純粋に「変化」を意味するものであって「進歩」を意味せず、価値判断について中立的である』
「進化」と「変化」についてですが、ダーウィンの進化論とその後継者たちの論は、ほとんど言葉によるレトリックなので、言葉によって考えて行くと、迷路にはまりがちになると思います。
ただ、過去、無数の科学者たちがダーウィンの進化論を実証しようとしてきました。そして、ダーウィンの進化論を実証したという科学者に対して、それは「進化」でなく「変化」にすぎないと批判する場合の「変化」は、上記のウィキペディアのように価値判断によるものではありません。
例えば、鳥が周囲の環境やえさのの変化によって、鳥の羽の色が変わったりくちばしの太さが変わったりすることで「進化」を実証したという科学者もいます。しかし、それなら、同じように周囲の環境やえさのの変化によって、また変わったり元にもどったりするのは考えられることです。それは「進化」の実証でなく、単なる「変化」にすぎないのではありませんか、ということです。
例えば、ダーウィンの自然選択説によって別の種ができるのは実験も観察もできません。自然選択説によって類人猿から人間になったり、人間に羽が生えたり、猿が高度の知能をもったりするのを観察することはできません。犬は大きさや形だけ同種とは思えない品種がありますが、それでも人の管理を離れて雑種になると特徴を失っていきます。外見が相当に違っても・・・。
何を言っているかというと、ウォレスの進化論が科学的でないというなら、ダーウィンの自然選択説こそ言葉のレトリックにすぎないということの一端を述べようとしました。
以前に、村田先生が、心理学を出されたのもおもしろい比較で、ダーウィンがフロイトだとすれば、ウォレスはユングかもしれません。そして私的には、ダーウィンやフロイトの評価は低く、ウォレスやユングの評価の方が高いのですが、村田先生の文を読んでいると近い部分もあおりかなのかなと、勝手に推測しうれしくなってメールいたしました。
追伸
以前の村田先生のウォレスの日本語版の本の論考はうらやましかったです。私はその本を持っていませんので、すごいと思いつつメールしたかったのですが、何も言うことはできませんでした。でもその村田先生の文章で、(日本語のダーウィンの本は無数にあるのに)、ウォレスの本の少なさと評価の低さが肌身でわかりました。

2009年7月3日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母
お返事メール:おたよりありがとうございます。
「科学上の真理」の問題ですが、もともと、ある意味では科学は錯覚であり、同時に共同幻想に過ぎないのではないかと思っていますので、それほど難しくは考えないようにしています。
というのも、『七つの科学事件ファイル―科学論争の顛末』という書籍に、実に良い例が書かれています。
相対性理論が本当の真理であると断定する確実な証拠といったものは実は存在しないのである。真理というと、美しく整った、かつ驚くべきもの、ととらえられがちだがそうではない。科学上の真理とは、実は社会のなかで、科学はこうあるべきだ、あるいは科学的なものの見方としてこの方法がよいと判断された結果として表現されるものである。新しい事物の見方に関して、あらかじめ結論があり、その結論を特定の人々が承認してはじめて『真理』が誕生する。真理とはけっして、一点の曇りもない理論によって導かれたものではないし、決定的な実証の結果生まれるものでもない。とあり、実に言い得て妙だと思っています。
もともとダーウインさんは、ウォレスのみならず、ブライスという博物学者の論文を無断で借用している部分が多く(参考文献:ローレン アイズリー著『ダーウィンと謎のX氏―第三の博物学者の消息』)、学者としての良心にいささか欠ける部分もあり、論点もあやふやなところが多過ぎるように思われるので、好きにはなれないのですが、その点ではウォレスは、(社会生活においては謙虚で控えめに過ぎるものの、学問上では)いい意味で自信家で、ダーウインよりも説得力のある論文ばかりのように思われます。
今年は、ダーウインの後継者を自認?されているかのような、無神論者のドーキンスさんの諸著作を研究してみたいと思っています。
ともあれ、荒唐無稽なフロイト(参考文献:H.J. アイゼンク著『精神分析に別れを告げよう―フロイト帝国の衰退と没落』)はさておき、たしかにユングさんは、私の感性にはフィットしているようです。さらにもっとフィットしているのは、アーサー・ガーダムかもしれません。
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2009年7月3日のボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母
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