2016年09月05日

好き嫌いがあってはならないとはいえ

2010年9月5日のボクチン(6歳)
2010年9月5日のボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 漢方薬の方剤に対するヒゲジジイの好き嫌いの問題である。

 弁証論治や方相相対などにもとづけば、方剤に対する好き嫌いはあってはならないはずだが、生薬の性質などとともに、方剤の成り立ちを考える上で、どうしても好きになれない方剤というものが出てくるのである。

 たとえば、世間で有名なところでは、消風散や十全大補湯や防風通聖散は、もっとも嫌いな部類に属するし、八味丸もあまり好きになれない。

 消風散などは、生薬の性質と方剤の構成を考慮すると、あまりにも多方面の性質の異なる薬味の配合から成り立っているので、理論的には解釈に難渋する部分があるので、最も嫌いな部類に属する方剤なのである。

 ところが実際の仕事上では、消風散には大変な恩恵を被っており、多数の人に愛用してもらって、多くの重症のアトピー性皮膚炎の人達を改善に導いている

 それでも、上記の理由から好きになれないものの、消風散の適切な使用方法は熟知しているつもりである。

 それに引き換え、十全大補湯ともなると、方意は大変分かりやすく、理解に容易な方剤構成ではあるが、現実には村田漢方堂薬局の仕事上で必要と感じる人に遭遇することは滅多にない。

 十全大補湯が好きになれない最も大きな理由は、数十年前にも昨今と同様、各医療機関で、癌患者さんたちに乱用されており、その当時こちらの地元では「ツムラの48番が投与されると、そのうち云々」という、とても悪い噂が立って、漢方薬の評判をひどく落とした時代があったからでもある。

 この問題は、当時、漢方薬の専門誌にしっかりと記事にして、歯に衣着せずに注意を喚起したことがある。

 十全大補湯には地黄(じおう)や川芎(せんきゅう)など、脾胃の機能が低下している人にとっては、時に食欲不振を却って悪化させる場合もあるので、注意が必要である。

  防風通聖散が大嫌いな理由は、これまで各ブログで再三再四取り上げているので、いまさら書く必要もないだろう。

 蛇足ながら、各社で昨今盛んに販売されている当帰が大量に含まれた例の甘ったるい液体の漢方製剤
 村田漢方堂薬局では必要を感じないので、どのメーカーの製品も取り扱ってない。

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2010年9月5日のボクチン(6歳)
2010年9月5日のボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 23:03| 山口 ☁| とんでもない話や、信じられない困った話 | 更新情報をチェックする