2016年06月18日

開業前は血液腫瘍内科をされていた東海地方の漢方内科医の先生からの貴重なおたより

2010年6月18日のボクチン(6歳)
2010年6月18日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

おたより:東海地方の漢方内科医師(クリニック院長)

こんちには、最近の村田さんのブログを見ていますと、ガンの患者さんに漢方薬を用いてサポートなさっている様子が記されていますが、西洋医学という逆風の中で奮闘なさっている感じがします。

 私の個人的な姿勢も逆風に向かっている感じは変わりません。ただ、最近は、先生によっては漢方薬がさほど効くはずがないと考えてか、はたまた、あまり関心がないのか、逆風の度合いは少なくなっている感じがすることがあります。総合病院でガンの診療を受けて、私のところへも通っておられる患者さんを診ていて感じている印象です。

 そもそも、私が漢方薬に出会った最初の患者さんは父親です。今も健在ですが、当初は喘息発作が頻回でした。ある日、私が勤務中に連絡がありまして、「夜、とても苦しくて眠れない。なんとかして欲しい」とのことでした。

 当時、私は漢方薬に全く関心がありませんでしたが、専門医に相談して、真武湯と麦門冬湯を持参して飲むように渡しました。入院の覚悟をして父親の元をあとにした訳ですが、なんと、翌日の朝、迎えに行くつもりで電話しましたところ、驚きでした。「すっかり楽になった、おかげで凄く良く眠れた。昨日のくすりはすごく効いた。これから暫く続けてみたい」との事でした。

 私は、眼からウロコ状態で、一瞬頭のなかが真っ白になりました。この一件が漢方薬とのファースト コンタクトになりました。こんなことを書いているうちに、以前、村田さんにもお伝えしたような気がしてきました ( 笑 ) 。ここで終わりではありませんで、ガンの患者さんと漢方薬の脈絡でお伝えしないといけませんので、しばしお付き合いください。

 当時、血液のガンの患者さんを抗がん剤をしっかり用いて治療していましたが、治療のあとの副作用をなんとか軽減できないものかと思っていたところでして、漢方薬を活用できないかと考えて、真武湯と麦門冬湯を教えてくださった先生に相談したところ、その先生のお師匠先生に連絡してくださって、茯苓四逆湯を教えてくださいました。

 早速、私が診ていた患者さんに処方しようと思いまして、薬局の部長に相談しましたところ、その先生も漢方薬に関心のある方で好意的に応じてくださいました。病院としては始めてのケースでしたのでいろいろ手続きがありましたが、患者さんに投薬できるようなりました。

 ここまでは、順調でしたが、煎じるのを誰がするのかが問題となり、看護師は絶対嫌と断られ、薬剤師も余分な仕事が増えるとの事ですごく逆風でした。なんとか、交渉して薬剤部で受け入れてもらいました。実は、薬剤の承認委員会でも、「漢方薬なんて訳の分からないものを採用する価値はない。もっとエビデンスのシッカリしたものを採用したほうが良いのではないか」みたいな、予想された逆風でしたが、そのような逆風の意見をお持ちの方がたを個別に説得してゆきました。

 まあ、いろいろありましたが、患者さんに使えるようなりまして、実際に抗がん剤治療の患者さんに投薬を始めました。

 すると、吐き気、全身倦怠感がすくなくなり、なんといっても、副作用で生じた貧血、血小板減少、白血球減少からの回復が速くなりました。当然、発熱することもすくなくなり、解熱までの期間も短くなったのです。

 加えて、驚いたのは、治療中にどうしてもがん細胞が残存することがあり、その時点でひどい血液毒性状態で、治療を追加出来なくて、お手上げ状態で診ているしかない場合があります。しかし、 1 週間程して骨髄検査をしてみると、残存がん細胞が消失して、正常細胞が回復している状態を目の当たりにして、悪性のがん細胞に漢方薬は悪影響を及ぼさない、という確信を得ること出来ました。この時は、また眼からウロコ状態でした。このとき、ひょっとすると、漢方薬は使い方によっては、がん細胞を死滅に導くことができるかも、ってことも頭に浮かんできました。

 このような経緯で、勤務が終了するまで、抗がん剤治療を受けている患者さんにブクリョウ四逆湯をはじめ漢方薬を投薬してゆきました。おそらく、退職後に、茯苓四逆湯が用いられる事はないであろう、と思っていましたが、開業してから、勤務医中に診ていた患者さんがフラット来てくださって話をお聞きすると、外来通院中にも後任の先生に頼んで処方してもらっている、との事でした。嬉しいお話でした。

 開業してから、ある 60 台後半の男性が沈痛な表情で受診されました。肺がんと診断されて抗がん剤治療を勧められている、とのことでした。奥さんと一緒に受診され、友人から抗がん剤治療と漢方薬を併用してみてはどうか、と勧められておみえになりました。私は、「今、肺がんは、その病型によっては抗がん剤治療で随分病勢をコントロールできるようです。加えて、漢方薬を併用することで、免疫力を高めることができ、副作用を軽減できる、と思います」とお伝えしました。

 この患者さんは、恐らく正直な方であったのだと思いますが、次に受診なさった時に、「担当医師にに漢方薬を併用してみたい、と伝えましたところ、いきなり、そんなものは効くはずがない。私を選ぶか、漢方薬を選ぶかどちらかにしなさい。と言われました。困ってしまいました」と初診時よりも沈痛な表情でした。

 そこで、「漢方薬が抗がん剤治療の副作用を軽減できること、経験を踏まえて、漢方薬が抗がん剤治療に悪影響及ぼさないこと、漢方薬はがん細胞の増殖を促進しないこと ( 勤務医時代の経験症例を記載 ) などをお手紙に記載しますから、よくお願いしてはどうでしょうか」とお伝えして、情報提供書をお渡ししました。

 その次に、奥さんが来院されました。「お手紙は見てくださいましたが、抗がん剤だけで治療をしないのであれば、他の病院に紹介する。と言われてしまい、泣く泣く漢方薬を諦めました」 とおっしゃっていました。そして、約半年して亡くなったそうです。

 抗がん剤治療を受けつつも、自分で漢方薬を飲んでいれば違った経過になっていたかもしれない、と思うと残念な患者さんでした。情報提供書をかいて、主治医に理解を求めたつもりですが、かえってツムジを曲げさせてしまったかもしれないと思うと悔やまれました。

 しかし、 EBM (evidence based medicine 、 根拠に根ざした医学 ) がもてはやされている昨今にあって、何の根拠もなく、漢方薬の効果を否定なさるのはいかがなものかと思ってしまいます。

でも、分野は違いますが、糖尿病の領域で、 Accord study といって ( 車のことではありません 笑 ) 、血糖を厳格にコントロールすれば経過がよい、という予測の元で行われた大規模試験があるのです。しかし、厳格にコントロールすればするほど、死亡率が高くなり、途中で試験が中断になったそうです。専門家にすると予想外の結果で、その説明に苦慮しているみたいです。どうも、西洋医学でこれが evidence だと思われている事柄も結構根拠薄弱かもしれません。

 話が脱線しましたが、とりあえず、開業医ですので、これまでの個人的経験のなかでの手応えを根拠として、一人一人に合う漢方薬を考えてゆこうと思っているところです。村田さんの経験もヘルプにさせてください。

 私は自転車で通っていますが、最近、行きも帰りも風向きがきつく感じます。風が強くなったのか、脚力が落ちたのかと思っていますが、漢方薬を考えるにあたっては脳のスロットルを全開にしないといけないみたいです。

 私がひいきにしている J1 リーグのチームはなかなか勝てません。

2010年6月18日のボクチン(6歳)
2010年6月18日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:

いつも貴重なおたより、ありがとうございます。

 名古屋グランパスは、私自身、昔から現監督の小倉さんの大ファンで、ずっと応援し続けていたのですが、昨今はおさびしい限りですね。

 ところで、以前は医師であっても病院で漢方薬を患者さんに投与されるには、相当な困難を伴っていたご様子、昨今とは隔世の感がおありのことと存じます。

 やはり当方のような漢方薬局の漢方薬類の併用を認めて下さる主治医の先生も多い反面、巷のサプリメント同列に思われて、こころよく思われない先生も多く、必然的に多くの男性患者さんたちは、主治医に隠れて漢方薬を併用せざるを得ない人もいまだに多いのが現状です。

 血液癌には有効性が大きい抗癌剤も、固形癌では抗癌剤だけで根治する可能性は、睾丸や絨毛など例的なものに限られ、それ以外はほとんど有効性はあり得ないと近藤誠氏はいわれますが、固形癌で手術不能例でも、抗癌剤+放射線+大量の漢方薬と中草薬の併用で、根治に至ったり、その一歩手前まで来られている人も現実には仕事上で多々経験していますので、適切に漢方薬や中草薬類を使用すれば、想像以上に各種悪性腫瘍の根治に貢献できるものと考えています。

 但し、抗癌剤不適と一度判断された患者さんたちに、漢方薬を利用した途端、劇的に体力や病状が改善して、腫瘍マーカーさえ漢方薬類だけで劇的に下がることさえ珍しくないのですが、それに乗じて再度、抗癌剤を投与されたために、激しい毒性を発揮して元の木阿弥にしてしまう悪魔のような主治医が存在するという信じられない現実も、想像以上に多々存在します。

 血液癌関連では、現在、悪性リンパ腫3名、慢性リンパ性白血病2名、骨髄異形成症候群1名の人達が漢方薬類を利用中で、それほど多いわけではありませんが、悪性リンパ腫については、過去の相談者の中には9年後に再発された人、現在通われている人にも11年目で再発された人などがおられ、いったん根治と診断されていた人たちでも、ずいぶん後になって再発される人も珍しくないようですね。

 慢性リンパ性白血病については、抗癌剤は現在に至るまで悪性リンパ腫に対するほどの効果は得られないようで、1名は漢方薬類だけで20年近くも寛解状態を維持できていますが、特殊タイプのケースでは、病院治療の副作用防止には大いに貢献できても、抗癌的には一時は明らかな効果が見られていたのですが、最近になって効果が見えなくなっているので、配合内容を徹底的に見直している最中です。

 とはいえ、当方で扱うような保険適用外の各種の漢方薬類には利用価値の大きい製剤も多く、豊富な中草薬類も含めて、しっかりと弁証論治を行って、各種製剤や単味エキスなどを4〜10種類を組み合わせることで、多かれ少なかれ各種悪性腫瘍治療時の大きなサポート力というよりも、明らかに抗癌的な作用を大いに発揮してくれることを日々実感しているところです。

 貴重なおたより、ありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。

 また、名古屋グランパスの1日も早い勝利をお祈り申し上げます(苦笑。

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2011年6月19日の茶トラのボクチン(7歳) posted by (C)ボクチンの母
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