2015年08月07日

抗生物質が効かない乳突蜂巣炎に対する漢方薬のご相談

2010年8月7日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年8月7日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾(ブログへ転載させて頂く場合があります。)
【 年 代 】:60〜69歳の女性
【 地 域 】:関東地方
【 具体的なご職業 】:会社経営
【 お問い合せ内容 】:
 幼少時に中耳炎をこじらせ、左耳の耳垂れを度々繰り返していました。
 既往歴 胃潰瘍
 現病歴 高血圧にて内服中
 嗜好 喫煙30本/日
 体重 5?kg
 身長 15?cm

 最近はいつも疲れやすく、胃が弱く、下痢もしやすいです。
 そのため、適宜、乳酸菌製剤などを、内服しています。
 また、ヘリコバクターピロリ菌陽性なのですが、除菌していません。
 ヘビースモーカーで、軽い肺気腫がありますが、喫煙は続けています。
 以前禁煙したら頭痛に悩まされ、喫煙を再開しました。
 風邪の時は、葛根湯と小青竜湯を内服しています。
 アレルギー体質はないのですが、2年ほど前から春の花粉症があります。
 以前、下痢をした時に小建中湯を内服したら、便秘に苦しみました。

症状経過
 7/10ごろ風邪をひき、その後、7/25ごろから右耳の拍動性の強い痛みと自分の声が響く感じ、右耳周囲の痛みが出現しました。大学病院を受診したところ、MRIで乳突蜂巣炎と診断され抗生剤を一週間処方されました。内服開始後、3日目ですが、症状の改善は認められません。

 左耳も右耳も鼓膜に穴があいていて、左耳は肉芽ができていて、その肉芽から耳垂れが続いているとのことです。

 私は娘で内科医です。
 漢方には詳しくなく、何か母にあっている漢方があればと思いご連絡させていただきました。

 抗生剤はメイアクトを処方されたのですが、内服を継続していると胃痛がでてきたため、点滴に変更しました。
 左耳の聴力が低下しており、是が非でも右耳は悪くしたくありません。

 遠方のため、受診させていただくのは難しいのですが、是非相談にのっていただきたくご連絡させていただきました。

 何卒よろしくお願いします。

2010年8月7日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年8月7日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:

 当方のHPやブログのトップに記載しています通り、直接通えない人には、最初からメールだけで漢方薬を販売することはできません。
 それでなくとも、なかなか困難な弁証論治をより正確に行うことは不可能に近いことです。

 ただ、文面を拝見すると、可能性のある方剤が1〜2種類ほど考えられますが、かといって絶対に責任が取れるアドバイスとはなりません。
 貴女が医師であるということなので、あくまでヒントしてその方剤を記載させて頂きますが、必ずお近くの漢方薬を一定レベル学んだ医師か薬剤師に相談して、貴女の責任で作ってもらうという条件付です。

 もっとも考えられるのが、托裏消毒飲(当帰 川芎 白芷 桔梗 皀角 陳皮 黄耆 金銀花 人参 白朮 茯苓 防風 厚朴)という煎じ薬ですが、これにはエキス剤が存在しません。

 また、相談する専門家は、中医学専門でなくとも、日本漢方でもしっかり学んだ人の方が、この方剤を名前だけでも知っているヒトが多いと思います。

 日本漢方専門の漢方薬局で相談して作ってもらうのが手っ取り早いかもしれませんが、自費になっても医師の指示で作るのであれば、合法的に作ってもらえるはずです。
(薬局製剤からは除外されている方剤なので、医師の指示がなければ、製造できないものです。)

 これをエキス剤で代用する場合は、3種類のやや特殊なものを組み合わせる必要があり、容易には入手しにくいものがありますので、日本漢方専門の薬局などで、直接たずねて、ほんとうにフィットしていそうかどうかを確認されるべきだと思います。

 メールだけで方剤をアドバイスした場合、この地に落ちた日本国民の中には、効果がなかったといって激しく抗議されて以後、トラウマになっていますが、貴女が本当に内科医であれば、あくまでヒントをもらったというだけで、あとは自己責任で、そちらの専門家と、もう一度相談してみて下さい。

 ただ、万全を期して、抗生物質は併用し続けるべきかと思います。

 ご心配なことと存じますが、必ずベテランの漢方専門医が漢方薬局で直接ご本人も貴女と一緒に出向いて、しっかり相談すべきです。
 托裏消毒飲以外の良い方法も考えてもらえることと思います。

 以上、読み直してないので、おかしいところがあるかもしれませんが、取り急ぎ、お返事まで。

ここで何度かのメール交換があったが、それぞれ省略

追伸: 右耳が問題でしたね!

 首の真裏を揉んで気持ちよければ、葛根湯加桔梗石膏で右耳の炎症が取れる場合がありますが、首の真裏を揉んでもなんともなければ、十味敗毒湯レベルでも治まる場合があります。

 絶対ではないのですが、日本漢方の教科書的な治療方法です。ただ、いずれも胃弱の人には胃に触る場合があります。
 葛根湯を飲みなれているのであれば、前者の可能性があり得ます。桔梗石膏が必須となりますが・・・。
あくまでヒントレベルです。

 右耳はまだ托裏消毒飲は使えそうもありません!

 まだまだ右耳は急性炎症が続いているのでしたら、托裏消毒飲の段階ではありませんでした!

 ありえるとしたら、葛根湯加桔梗石膏や十味敗毒湯の段階で、特にもともと葛根湯証があれば、前者の可能性が高いです。

 急いで読んでいたために、左耳に気を取られすぎていました!

2010年8月7日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年8月7日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

折り返し1週間後に頂いたメール:

こんにちは。
 葛根湯と桔梗石膏でおかげさまでよくなってきました!
 ありがとうございます。

 今日、托裏消毒飲を買いました。
 何軒か漢方薬局をあたったのですが、知らないというところも多かったです。

 明日から煎じてみます。ありがとうございました。

 また、経過をご報告させていただきます。

2010年8月7日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年8月7日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:

 効果が出てよかったです!

 急性の熱性炎症がしっかり治まったら、左耳も含めて(というか左耳こそ)托裏消毒飲が適応と思いますが、熱性炎症が完全に引いておれば、右耳も同様に托裏消毒飲がフィットして来ると思います。

 もしも、それでも炎症が引いたまま、後々になっても、いつまでも左の耳垂れが止まりきらない場合など、千金内托散証に移行している場合があります。
 この場合は唯一、コタローさんの販売店で千金内托散のエキス剤を入手することが可能です。

 といっても、急性炎症からはじまったほうをを優先するのが鉄則ですから、必ず右耳を中心に配合を考える必要があります。
 ですから、熱性炎症が完全に落ち着いたら、まずは托裏消毒飲が順当です。

 なお、葛根湯加桔梗石膏や托裏消毒飲、あるいは千金内托散を使うべきタイミングのヒントは、中医学とは無縁の日本漢方ではありますが、矢数道明著『臨床応用 漢方処方解説』の托裏消毒飲の項目をご覧になれば、参考価値がとても高いと思います。
 既にお持ちかも知れませんが・・・。

 それにしても、托裏消毒飲を知らない漢方薬局が多いとは、関東地方は不思議なところですね!

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2010年8月7日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年8月7日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

タグ:乳突蜂巣炎
posted by ヒゲジジイ at 02:25| 山口 ☀| 中耳炎(滲出性中耳炎・真珠腫性中耳炎など) | 更新情報をチェックする