2009年7月31日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母
教科書的な理論によれば、膀胱炎のファーストチョイスは、猪苓湯などではなく、五淋散や竜胆瀉肝湯である、などと漢方界では盛んに喧伝されるが、理論に溺れて臨床の現実を見ない部分なしとしない。
もちろん、五淋散や竜胆瀉肝湯が適応する膀胱炎も多い、のだろうが、しばしば膀胱炎に見舞われる女性達は、とても華奢な人も多く、これらの重い方剤では胃気に対する不安もあり、胃障害を生じたり、体力低下を招くばかりで、却って十分な効果が得られないこともある。
五淋散や竜胆瀉肝湯に共通して含まれる地黄や当帰、黄芩、木通、山梔子など、単なる膀胱炎レベルで、胃弱の人には向かないし、そうではなくても、これほど大袈裟な配合は不要なことが多いのが現実なのである。
だから、配合生薬も比較的シンプルな猪苓湯をファーストチョイスと考えるのが無難であり、炎症が激しければ、中医漢方薬学の本領発揮で、清熱解毒の抗菌中草薬をしっかり加えればよいだけのことである。
また、慢性化していれば、六味丸などを加えるなど、甚だ融通が効いて重宝な猪苓湯なのである。
要するに、よくみられる膀胱炎くらいで、五淋散や竜胆瀉肝湯などの重い方剤を使用すると、人によっては不快反応をもたらす現実を直視すべし、ということ。
数十年前、山本巌先生が、膀胱炎のファーストチョイスは五淋散であるとさかんに広められていた時代があったが、当時から製造メーカーさんの宣伝か?くらいに思うばかりで、猪苓湯で不足を感じたことは皆無だった。
むしろ五淋散は慢性前立腺炎に多用することが多く、これのみの常用1年くらいで根治した例もあったほどである(1例を除いて、その後はこの単方だけで根治した例はない。)
ともあれ、教科書的な理論に溺れて現実を見ない風潮は、世の中の学者さん達だけの悪癖かと思っていたら、実際の病人さんを扱う医師や薬局でも同様な現象がみられるようなので、老婆心ながら、敢えて憎まれブログを記した次第。
泌尿器系統の分野で、慢性前立腺炎や慢性副睾丸炎など、頑固な疾患こそ五淋散や竜胆瀉肝湯が出番となることが多く、かといってこれらの方剤だけでは不十分なことが多く、さらに猪苓湯も加えて玉金や各種の活血化瘀薬に清熱解毒の中草薬など、相当に配合の工夫を要することが多い。
漢方が得意分野でもある慢性前立腺炎、過去から現在に至るまで、根治に至った人多数。
といっても、そのすべてが五淋散や竜胆瀉肝湯が必要だったわけでもない。
猪苓湯主体の配合で、上記の合方や加味薬でよかった例も数多い。
蛇足ながら、猪苓湯については、各社優劣が大きいので、使用するメーカーには注意が必要である。
とりわけ医療用の中には首を傾げざるを得ない問題に折々に遭遇。
過去、専門誌にも証人多数の実例も発表しており、決してオーバーな話ではない。
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2009年7月31日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母
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