
2009年7月11日の茶トラのボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母
もともとアトピー性皮膚炎が補中丸・清心蓮子飲・茵蔯蒿湯・葛根黄連黄芩湯・莪朮製剤・当帰四逆加呉茱萸生姜湯などを必要とするものの、ここ1年以上はしっかり安定していたのに、春頃から肌が乾燥し、やや熱感を感じて、見かけ上は他人からは分かりにくいものの、本人は異変を感じていた。
久しぶりの異変に、六味丸や地竜も一時的に即効を感じても、次第に効果が落ちてくる。
そこで、思案の結果、補中丸が必須の体質であることから、皮膚表面のバリアー不足を配慮して、黄蓍が大量に含まれた玉屏風散エキス製剤(衛益顆粒)を追加してみたところ、即効を得て、肌は潤い、六味丸はそのまま必要としても、地竜はまったく不要になったという。
黄蓍は滲出液を調節するだけでなく、状況によっては熱感を伴う皮膚の乾燥にも効果が得られるのだが、熱感も取れたことから考えると、甘温除熱の作用を発揮したものと思われるが、上記の配合を見ての通り、実熱と虚熱が入り混じった虚実挟雑は当然としても、さらに寒熱錯雑しており、この人こそ、五臓六腑それぞれの寒熱虚実がバラバラで統一性に欠け、とんでもなく複雑化した体質であったことを伺わせる。
もともと高名な中医学の名医(日本の医師)の2名に、それぞれ比較的長期間、中医学治療を受けても治らなかったアトピー性皮膚炎の患者さんだっただけに、結果としてこのような複雑な配合とならざるを得なかったのかもしれない。
それゆえ、見かけ上はしっかり治っているように見えても、今後も漢方薬による長期間の体質改善を必要とすることだろう。
このようにアトピー性皮膚炎は、一筋縄ではゆかない場合も多いので、よっぽど気合の入った根性のある人でなければ、相談を受け付けないようにしている所以である。
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2010年7月11日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2012年7月11日の茶トラのボクチン(8歳) posted by (C)ボクチンの母
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