2009年7月18日のボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母
最近は女性の新規相談者が毎日続いている。男性は昨今は珍しい。
ともあれ、アトピー性皮膚炎に合併する「酒さ」あるいは「酒さ様皮膚炎」に猪苓湯が著効を奏する場合もあるという、ちょっと変り種の話である。
「酒さ」で思い出したのが、アトピー性皮膚炎に合併する「酒さ」あるいは「酒さ様皮膚炎」で、稀なケースとはいえ、猪苓湯で即効を得たケースもある。
いずれもステロイド軟膏使用歴があるので、おそらく「酒さ様皮膚炎」といったところだろうが、病名はどうでもよい。いずれにせよ、いわゆる「酒さ」である。
見かけは頬が真っ赤に紅潮している。(同じ意味のことを二重に連ねて下手な日本語ではあるが・・・。)
いずれも関東地方の女性たち2名。
一人は顔面がやや浮腫傾向があり、瘀血に胃もたれがある。
初回に茵蔯蒿湯・猪苓湯・ガジュツ製剤の併用で、10日くらいは順調に改善するかに見えたが、しばらくすると茵蔯蒿湯によって胃が冷えた感じがするようになった。
そこで茵蔯蒿湯だけを中止して、しばらく猪苓湯とガジュツ製剤だけで様子をみてもらっていたところ、やや効果があるものの体格に比較して薬用量が少なかったらしく、服用者の自己判断で、両者の服用量を二倍に増やしたところ、覿面効果があがり、かなりな即効で「酒さ」のみならず、他の部位のアトピーも比較的短期間でほとんど消失してしまった。
もう一人は最近のことで、まだすべての配合の方針が安定した訳ではないが、黄連解毒湯や桂枝茯苓丸、あるいは地竜、六味丸、茵蔯蒿湯、荊芥連翹湯、イオン化カルシウムなどで、それぞれ適宜組み合わせても効果がはっきりせず。
そこで不要と思われる方剤を中止して1から出直すこととし、五行草茶だけで出直すと、やや赤みが取れた。
梅雨時でもあり、掻痒部分から滲出液が明らかに滲むので猪苓湯を追加したところ、覿面、顔面の紅潮は雲散霧消した。
本人の体感では明らかに猪苓湯が「酒さ」に最も効果的だったと感じている。
まだまだ、アトピー全体は発展途上にあるものの、最も気になる「酒さ」あるいは「酒さ様皮膚炎」に対する猪苓湯の効果はほぼ確実なようである。
もう一人、これも最近の例で、ツムラ漢方の黄連解毒湯1日3回とステロイド軟膏の塗布を1日2回、驚くべきことに4年間もの間真面目に続けて、重度の「酒さ様皮膚炎」を合併してしまった模様。
逆効果となっているツムラの黄連解毒湯を中止してもらい、猪苓湯・六味丸・五涼華の三種類併用のみで、服用後僅か20日目には8割以上赤みが消退し、数ヵ月後にほぼ完璧に消退している。
但し、今後の課題は、ステロイド軟膏の完全離脱である。
いずれにせよ、特殊な例では、たとえ「酒さ」が超真っ赤であっても、上記3例のように猪苓湯が奏功するケースも稀にはあるということ。
但し、アトピー性皮膚炎が主体の場合、多くは、数種類の配合くらいではアトピー全体の改善は得られにくく、やや複雑多彩な配合と、季節的な配合の微調整を必要とするケースの方が大多数である。
2009年7月18日のボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母
2010年7月18日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母
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