2014年07月15日

体質虚弱な高齢者でも多種類の「実証用」方剤の併用で著効が得られるケースもある

2010年7月15日のボクチン(6歳)
2010年7月15日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 村田漢方堂薬局には医療・福祉関係者の相談件数がとても、というよりもメチャメチャ多いが、彼等や彼女らの話によれば、勤務する病院やクリニックあるいは調剤薬局で、患者さんに投与される医療用漢方で効果があった例は少なく、一度も遭遇したことがないという人まで。
 漢方メーカーに勧められるまま医師が投与する多数例でも、結果はハテナを目撃している人も多い。

 とてもじゃないが投与内容が見てられないという。
 ちょうど先日テレビで、話し上手な医師が出演してツムラ漢方を片手に、風邪に葛根湯、冷え性に当帰四逆加呉茱萸生姜湯、アトピーに温清飲と宣伝していたのと、まったく同レベルだという。

 そういえば、若い頃、身内の年下の医師に、アトピー性皮膚炎と喘息のシーソー現象のことを話題にしたら、自身の研究テーマが気管支喘息だったらしく、そんなのはあり得ない!と、あからさまにうんざり顔で頭から否定された。
 薬剤師だからと身内の医者でも馬鹿にするか!と当時は内心大いに反発と憤慨を覚えたが、昨今はヒゲジジイの顔を見るだに恐怖の色を浮かべている(呵呵。

 それはともかく本題である。
 昔から虚弱体質で身体にいつも苦情のある常連さんのご家族の相談。
 七十代という年齢ながら事務系の仕事を現役で続けられているが、昨今、腹部の諸症状に苦しんで、まさか癌であっても、あるいは重大な病気であっても絶対に病院へは行かないとダダをこね、説得しても無駄なので漢方薬で出来るところまでやって欲しいという依頼である。
 
 体力面で不安があるものの、あきらかな実邪の存在がオンパレードで内在しているので、扶正法としてハンピ末が主成分の第3類医薬品をベースにして、祛邪法としては大柴胡湯・柴胡疎肝湯・桃核承気湯・茵蔯蒿湯・開気丸によって諸症状がほとんど寛解するに至っている。

 だからといって、隠れた不明の疾患が治ったと言えるものではないが、意志強固な確信犯なので、病院での諸検査を受けるのを頑強に拒否されている。

 いよいよ漢方薬でも治らなくなって、苦しみに耐えられなくなったらその時は止むを得ないと考えられているらしいが、自己責任として構わないと断言されると困ったもんだと思いながらも、上記の方剤類によって明らかに楽になり、仕事を継続できているのだから、そんな生き方もアリなのかもしれない。

 ともあれ、日本漢方で常識化されている体力がある人にしか使えない「実証用」の漢方薬というのは、いったい何なんだろうと常々書いていることながら、実に馬鹿げた表現であると思うのである。

 かなり虚弱で体力のないご高齢者でも、上記の日本流で断言される「体力の充実した実証用」の漢方薬を多種類併用することで、腹部の諸症状が大いに緩和されている現実。

 現実離れした日本流の定説を参考にするよりも、正確な弁証論治こそ必須で、より適切な漢方薬の運用が可能となる。

2010年7月15日のボクチン(6歳)
2010年7月15日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

2010年7月15日のボクチン(6歳)
2010年7月15日のボクチン(6歳) posted by (C)ボクチンの母

 
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posted by ヒゲジジイ at 00:09| 山口 ☀| 医者の常識は世間の非常識 | 更新情報をチェックする