2014年07月03日
中気下陥に間違いないのか?
2009年7月3日のボクチン(5歳) posted by (C)ボクチンの母
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年齢 : 30歳〜39歳の女性
簡単なご住所 : 関西地方
お問い合わせ内容 :
はじめまして。私は酷い胃アトニー・胃拡張で、胃の中に常に食べ物がパンパンに詰まっています。この状態が5年も続いています。内科の西洋薬や、保険のきく漢方薬や、自費の煎じ薬など色々試してみたのですが、ピンと来るものがなく、途方に暮れています。顔にアトピーも出ており、年々酷くなっています。
これまでの経過は、幼少期から胃下垂でよく胃もたれし、小食で痩せていた。→中学、高校で運動部に入り食欲が増し、ジュースや菓子を大量摂取、アトピー発症。→20代前半、アトピーを治したくて食生活改善を試みるが、白砂糖・糖質依存からなかなか抜け出せない。→26歳で胃アトニーとなる、胃がお腹の底まで落ちてしまった感じ、いくら食事量を減らしても胃から排出されず、胃がからっぽになることが無くなった、どんどん痩せて体重29.8kgに。→胃は苦しくても、食べたくて、無理やり食べることを続けていたら、下がった胃がどんどん横に広がってく、伸びきっているので満腹感、満足感が全くわからない、徐々に過食傾向になり、体重は増加するが、胃拡張がどんどん酷くなっている。→現在は体重48.5kg、 常に胃がパンパンで苦しいのに、エネルギー不足になり、過食が止まらず、悪循環です。
試した漢方薬は、ツムラの六君子湯、 人参湯、 クラシエの補中益気湯(白朮が入っているため)+六味丸、 保険外の香砂養胃湯、平胃散です。どれも2〜3週間で全く効果がなく、体質に合っていないのだったらどうしよう、と思い服用をやめてしまっています。保険の漢方を出す病院では、胃下垂だというと、皆決まって六君子湯を処方されますが、私は、六君子湯は下がったものを上に上げる作用はないと思っています。
こちらのホームページを読み、もう一度補中益気湯を試してみようと思いました。以前、クラシエの補中益気湯を出して頂いてた先生に「私は甘いものを多食した為このような体質になった」と話すと、六味丸を追加されました。その時は3「私は頻尿も、むくみもないし、なんで?」と不信に思いました。補中益気湯をか月飲んでも胃はびくとも動かないし、補中益気湯に合わせる薬を行くたびに変えられていたので不安になり、六味丸を捨てしまいました。しかし、村田漢方堂のホームページを見て、あの組み合わせは方向性としては間違っていなかったのかも、と思いました。
質問なのですが、白朮配合のクラシエ補中益気湯を3か月服用しても効果を感じられなかった場合、イスクラ産業の補中益気丸や、煎じ薬の補中益気湯を飲んでも大して効果は得られないでしょうか?
服用量を少し増やしたりしたらいいでしょうか?
漢方薬について自分でも色々調べたのですが、私は内臓全体が下垂していて中気下陥が著しいので頼れるものは補中益気湯だと感じています。この場合も、ほかの薬(ホームページにあった猪苓湯や六味丸など)を合わせて飲んだほうが効果的なのでしょうか?
本当に胃がぶよぶよに伸びきって広がって、為すすべがなく何年も経ち困っています。長文になり、申し訳ありませんでした。どうかお返事よろしくお願いいたします。
2012年7月3日のボクチン(8歳) posted by (C)ボクチンの母
お返事メール:
アトピー性皮膚炎で、しかも本当に中気下陥であればイスクラの補中丸が無難です。
というのも、本物の補中益気湯には本来、生姜と大棗は含まれないものですから、一般的な補中益気湯は正しい配合とはいえません。
さらには、アトピーでは朝鮮人参が配合された補中益気湯は人によっては敏感に反応する場合があるので、朝鮮人参の変わりに党参が配合され、しかも生姜と大棗が含まれないイスクラの補中丸の方が安心なのです。
といっても、貴女が本当に中気下陥の補中益気湯体質であるのかどうか?
文面だけから推測するとかなり怪しいと思われます。
>。現在は体重48.5kg、 常に胃がパンパ ンで苦しいのに、エネルギー不足になり、過食が止まらず、悪循環です。
という症状こそ、大柴胡湯や稀には半夏瀉心湯のいずれか、意外に大柴胡湯証であることが多いからです。
そもそも補中益気湯は「常に胃がパンパ ンで苦しい」という人に適応する漢方薬ではありません。
但し、例外もあって、食後に手足が抜けるようにだるくなって立っておれないというほどの症状を伴っておれば、大柴胡湯合補中丸ということも実際にはあり得ます。
そもそも中気下陥の人に「常に胃がパンパ ンで苦しい」という症状は無関係です。
中気下陥の症状は、肉体的に地球の引力が煩わしくて辛い耐えられないという症状を呈するもので、内臓の下墜感や食後に手足が抜けるようなだるさを覚えるなどです。
といっても、メールだけのアドバスと、実際にご本人に会って舌などの状態を観察し、五臓六腑の寒熱虚実を分析してみると、メールでのアドバイスはぜんぜんピントはずれで、とんでもない体質が隠れていたということもシバシバですので、上記はあくまで、メールの文面だけでの推測です。
そして、これからがとても大事な話ですが・・・
これまで治療に相当に苦労されているようですが、貴女のような「アトピーが合併して胃腸に大きな問題のある」というケースでは、自己治療はほとんど不可能で、また一般の漢方の勉強不足の医師ではとうてい不可能です。
医師であれば、漢方専門で、しかも中医学に堪能な医師でなければ、優れた配合は得られないと思います。
といっても、保険適用漢方レベルでは品質問題だけでなく、必要な方剤も不足ですので、中医学にも堪能な漢方専門薬局で7〜10日毎に通いつめて必要な配合の微調整を、場合によれば頻繁に行ってもらう必要があると思います。
アトピーの場合は、四季折々の変化を観察する必要がありますので、一年間を通じて同じところに通って、季節変化の傾向と対策を練ってもらう必要があります。
通う間に、運よくかなり改善することがあっても、季節変化によっては大きく崩れる場合もあるので、油断もすきもならないのがアトピー性皮膚炎の宿命です。
また一般的な漢方薬の配合レベルでは効果が薄いケースもあり、中草薬といわれる日本漢方とは無縁のものを併用が必須となるケースもありますが・・・・
とはいえ、貴女の場合、何よりも胃症状と過食の悩みが大きいようですので、そのほうを中心に配合を考えるにしても、意外に大柴胡湯証や半夏瀉心湯証のいずれかが、合併している可能性もないとはいえませんので、やっぱり本当の専門家を必ず通える範囲のお近くで見つけて、しっかり時間をかけて相談に乗ってもらうべきだと思います。
短期間で改善できるとは限らないので、まずは気が合う先生にめぐり合ったら、最低でも一年間通ってみることです。
取り急ぎ、お返事まで。
2012年7月3日のボクチン(8歳) posted by (C)ボクチンの母
折り返し頂いたメール:
お返事ありがとうございます。
初めのメールでは症状の明記が不十分だと思ったので付け加えます。
胃がパンパンで苦しいというのは、主におへそあたりから下の方です。
食後の眠気がひどく、すぐに横になってしまい、体が重くて動けません。手足の脱力感はあまり感じません。
夕食後に、寝ござマットで寝てしまい、風呂にも入らず、布団にも入らず、気がつけば朝になっていることもたびたびあります。
立っていても、内臓の重みがすごくて骨盤をすごい重力で押さえつけられている感じです。内臓の下墜感はかなりあります。横になっていても、すごい重力で床に引き付けられている感じです。
血圧は低い方で上が100前後、下は60前後です。猫背で胸板が薄く、下腹はぽこっと出ている。胃内停食がある。
臥床でお腹をたたくとチャプチャプ鳴る。食事と食事の間が空きすぎると、低血糖の症状になる(この時は手足の脱力感やふらつきがある。)
胃下垂が徐々に酷くなっている途中では、少しの量ですぐに満腹になってしまい、いつも食欲がありませんでした。それが、胃が完全に落ちた、伸びきった感じがしてから数か月後、壊れたように
いくらでも入るようになりました。空腹でなくても食べられます。その代わりに、満腹感・満足感が全くわからなくなりました。これは胃の弾力が失われてしまった為だと感じています。
過食といっても、普通の人から見ればそれ程多い量ではないと思います。しかし、子供の時から少食で、大人になっても普通の人の半量ぐらいしか食べられなかった私が、体重29.8kgまで痩せた
後に、突然、以前の2〜3倍ぐらい食べるようになり、さらに満腹感がないというのは異常なことです。胃が伸びきって、下腹部で広がっている感じがあるので、少しずつでも収縮させたくて
補中益気湯を試そうと思い、先ほどの質問メールを送りました。
お返事を読ませていただき、大柴胡湯証や、半夏瀉心湯証の可能性があるのならば、試してみようと思ったのですが、上記のような症状でも当てはまるでしょうか?
どうかお返事よろしくお願いいたします。
2012年7月3日のボクチン(8歳) posted by (C)ボクチンの母
お返事メール:
今回頂いたメールからは、ご指摘の通り、やっぱり明らかな中気下陥の証候に間違いないようです。
大柴胡湯や半夏瀉心湯は不適だと思われます。
今回のメールのようにかなり詳細・具体的な症状の表現があってこそ、はじめて理解できる部分で、それだけ漢方薬の弁証には多くの情報が必要なのです。
ところで、
過去の貴女の服用経験からは一般的な補中益気湯では効果が明らかでないようですので、やっぱりイスクラの補中丸を主体に、必ず適切な他方剤を併用する必要があります!
そのためには自己治療では難しいと思いますので、信頼できる専門家を必ず地元近辺で見つけて下さい。
相当に知識と経験のある専門家であっても、最低限一年間前後の苦労はほとんど必須だと思います。
しっかり治るには数年くらいは覚悟されたほうが良いかもしれません。
いずれにせよ、一つの方剤だけでは効果は弱い可能性も高いので、相談者との相性という問題もあるので、信頼できそうな専門家を見つける必要があると思います。
取り急ぎ、お返事まで。
2012年7月3日のボクチン(8歳) posted by (C)ボクチンの母
折り返し頂いたメール:
お返事ありがとうございます。ホームページを見ると、村田漢方薬局さんに通いたいと思ってしまいます。
信頼できる専門家なのかどうかを素人の私が判断するのはとても難しそうです。しかし、相談しやすい漢方薬剤師さんは近場にいるのでしばらくはそこに通おうとおもいます。今日早速行ってきて、コタローの補中益気湯しか置いてなかったので、イスクラの補中丸取り寄せをお願いしました。
補中丸が届くまで、これを試してはどうですか、とイスクラの晶三仙を勧められました。ただの消化薬っぽくて気休めにしかならないかもしれませんが、少しでも消化の助けになるのならと思い、短期間飲んでみることにしました。
お時間を割いて相談に答えてくださり、とても感謝しています。ありがとうございました。
2012年7月3日のボクチン(8歳) posted by (C)ボクチンの母
posted by ヒゲジジイ at 00:12| 山口 🌁| 補中益気湯や六君子湯中の白朮を蒼朮で代用する錯誤問題
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