2014年02月15日

多くの漢方薬局が最低限の基礎理論さえ真剣に学ぼうとしなくなった理由

2008年8月3日のボクチン4歳
2008年8月3日のボクチン4歳 posted by (C)ボクチンの母

 前回までのように関西の若きサムライが漢方界の現状について悲憤慷慨されるのは尤もなことではあるが、そのような情けない現状になったのは大きな理由がある。

 漢方薬というものは、その人にフィットしたかなり正確な弁証論治にもとづいて方剤の必要な配合が決定されるべきものであるから、当然、相談者に直接会って根掘り葉掘りと細かな点まで詳細な病状や病歴、全体的な体質傾向などかなり時間をかけてはじめて可能となる。

 それゆえ、各漢方薬局では昔から勉強熱心な人でなければ開業は不可能とさえいわれたもので、一般薬局からは尊敬と嫉妬の眼を持って見られ、通常の薬局とは一線を画す矜持を持つことができる時代があった。

 ところが昨今では、漢方知識が乏しい人たちでさえ、安易にネット通販を行なえるようになった。

 手間暇をかけた漢方相談の苦労によってせっかく効果が得た途端に、ネット通販業者に横取りされるのではという恐怖心から、必然的に奥深い漢方の勉強に勤しむよりも、いかに客を引き留めて売り上げを伸ばすかという死活問題が大きく浮上して来たのである。

 それゆえ、窮余の一策として漢方薬の方剤名を秘匿した販売方法を取って、相談料を暗に含めたつもりで相場よりもかなり高価な価格で販売する手段を取る漢方薬局すら横行する。

 このような現実を直視するとき、彼等も死活問題であるだけに、批判するだけで済む問題でもないのである。

 必然的に学問に励むよりも、いかに販売していかに利益を上げるかという生活のかかった切羽詰まった状況に追い込まれていることは否定できない事実のようである。

 せっかく苦労してフィットする漢方薬を提供できて喜んだのも束の間、まるで「大阪のおばちゃん」たちよろしく、突然、無音となる。

 効果が出る配合が見つかった途端に現金なもので、もっとも手間暇のかかる弁証論治の苦労だけをさせておいて、さてはネット通販に逃げたなと憶測逞しゅうして、「配合の微調整が必要になっても、二度と相談には乗ってやらないからな!」と意固地になるのが人情というもの(苦笑。

 いずにせよ、漢方薬の勉強に専念できた以前のようなのどかな時代が去って、漢方薬の原料が高騰しているのに、安易に値上げもできないジレンマにも陥っているのが多くの漢方薬局の現状のように推測できるのである。

 ところで病院による保険漢方については、本当の漢方専門薬局にとっては、ぜんぜん脅威どころが上得意さんと言ってもよいくらいで、保険漢方が効かずに辟易して保険のきかない漢方薬局に出向く人が多いのではないかと思われる。
 但し、この推測部分は、もしかして多くの漢方薬局に当てはまるかどうかは?であるが、少なくとも我が薬局では保険漢方があるおかげで漢方専門薬局の存在価値が光っていると思っている。

スコちゃん
スコちゃん posted by (C)ボクチンの母

 
posted by ヒゲジジイ at 00:33| 山口 ☁| とんでもない話や、信じられない困った話 | 更新情報をチェックする