2007年04月11日

空気嚥下症

性別 : 女性
年齢 : 50歳〜59歳
簡単なご住所 : 東北地方
お問い合わせ内容 : 以前「おなら,げっぷ,不眠」についてお聞きした者です。
2006年03月17日げっぷ・おなら・不眠の悩み
2006年03月18日げっぷ・おなら・不眠(2)

 あの時は本当にご丁寧な返信をありがとうございました。すぐにでも村田薬局に飛んでいきたいと思いましたが,あまりに遠方で,またお出かけ恐怖症になっていて大事な予定をキャンセルするような状態でしたので,なんとか近辺で探してみようと思ったのでした。
 そして某薬局を見つけてお世話になって1年になります。さまざまな症状は消失いたしましたが肝心の「げっぷ,おなら,」(不眠症はややまし)の方がほとんど改善されない状態です。
 半夏厚朴湯を主体に,2,3の方剤を組み合わせた物ですが(例えば「半夏瀉心湯」+酸棗仁湯」)最近,胃のもたれをなんとかしたいとお願いしたところ「半夏瀉心湯+小建中湯+酸棗仁湯」になりました。

 ところがこれを飲み始めてから舌の黄色が濃くなり,口内炎ができました。それで薬局の先生に相談しましたが大丈夫このまま続けてくださいということでしたので,ちょうど急に寒くなったりしたのでそのせいかとも思い,続けて飲んでいました。
 しかしその後,胃の調子が悪く,おなかがもやもやしたり張ったりしてとても落ち着きません。
 ガスもたくさんたまります。

 それできのうから服用を中止してみたらお腹は楽になり,舌も黄色が薄くなりました。
 また以前安中散を1.5グラムでしたが配合された時にも(半夏厚朴+半夏瀉心にプラスして)お腹がもやもやして苦しくなりました。その時も先生に話し安中散をやめてもらったことがあります。

 先生は薬とは関係ないとおっしゃるのですが,私の思い過ごしなのかわからないままこれ以上このお薬は怖くて飲めません。
 先生は,違和感を伝えるとご自分の調合を否定されたと思われ気分を害されるようです。
 私としてはかなり気をつけてお話しているつもりなのですが。

 なのでこれ以上お話することはむずかしいと感じています。
 それでかねてからずっと心にあった村田薬局さんに思い切ってお世話になりにいこうかと思いメールを差し上げた次第です。

 ここまで書いて迷っておりましたら,一昨日から一睡もできなくなってしまいました。
 お薬を飲んでいない不安感もあるのかもしれません。大変につらいです。
 村田様がお引き受けくださるようであれば,●●●●●にお伺いするつもりでおります。
 よろしくお返事お願い致します。


お返事メール:拝復
 今、一年前のブログを読み直してみました。そのとき提案した開気丸が一部有効なようでしたが、開気丸を中心にした方剤の組み合わせは色々と試みられたのでしょうか?
 今回頂いたメールには、開気丸の「か」の字も出てきませんが、どうして開気丸を中止されたのでしょうか?

 ところで、すでに病歴は16年になられているようですが、漢方薬の服用歴も長いようですので、これまでの経験からも漢方薬それぞれの処方を服用しての体感も、貴女なりに感じるところがあったことと思われます。

 貴女のように漢方歴もほどほど長い人の場合は、通っている漢方薬局さんに(当方でしばしば行うように)必要な可能性がありそうな処方を常備されておいて、許容される範囲内の配合変化を、漢方薬局さんのアドバイスをもとに、臨機応変に配合を変える工夫をさせてもらうべきだったように思います。

 漢方服用歴の長い人は、各処方の癖を自然に覚えられて来られるのが通常ですので、当方の常連さんなどでは、様々な処方を当方からのヒントに基づいて、症状の変化に応じた臨機応変の配合変化を許容範囲内でご自分で工夫してもらうことも多々あります。

 逆に言えば、あるていどの漢方に対する勉強熱心で勘のよい人ほど、難航する疾患もお互いの努力のもと、次第に解決して次第に元気を回復していかれておられます。
 一見治りにくい体質病であっても、小生の経験から言えば、自分の腕の悪さを棚に上げるようなものかもしれませんが(笑)、病気の方の勉強熱心さと勘のよさが、漢方治療の能率を上げた事例を沢山経験しています。

 最近でも、慢性感染症?などで発熱や微熱を繰り返す方が、当方の漢方を数ヶ月続けるうちに、様々にお出しした処方の組み合わせの効率的な使用方法を御自分の体感から次第に習得しはじめ、
「この処方とこの処方の比率をこのように変えたら効き目が上がりましたが、四逆散は生理痛の時には役にたっても、それ以外のときに服用すれば却って微熱が続くので中止したら発熱することもなくなりました。」
 などと報告されるようになり、こちらのほうでは、
 「勘の良い方だから、その調子でご自分で許容範囲内で様々今後も工夫して下さいね」
 などと一見無責任なことを言うようですが、それまでには各処方の性質を繰り返しアドバイスし続けた成果が稔っりつつあるわけです。
 ご自身が病気を治したい一心で、様々に漢方処方の反応を敏感に感じ取って逐一報告してくれたお陰でもありました。

 このようなことは当方の常連さんではアタリマエの行為であり、当然分からない時は当方に執拗に質問もし、綿密な御相談に来られるからこそ、ご自身の身体をかなりな部分でコントロールできるようになっているわけです。

 漢方薬を利用される人の中には、いつまでもすべてこちらまかせで、こちらのアドバイスに従って臨機応変の工夫をされようとしない人ほど、病気治療と体質改善の長丁場に耐えられないようで、たとえ遠方から泊りがけで来られても、稀には一月も継続できなかった人もおられるくらいです。
 逆に自己主張ばかり強すぎて、こちらのアドバイスをなかなかヒントにしてもらえない人も、うまく行かないわけですから、互いの相性という問題もあるかもしれません。
 また、せっかく当方に来られても、来られている間はやけに元気で観光の方にも力を注ぎすぎて、帰宅後は長旅疲れで一時ほんとうに寝込んでしまった人もおられました。

 現実問題として、このトウヘンボク爺さんのところへ毎日遠近様々なところから新しい方が来られていますが、一般的な傾向として、あらかじめお問合せがあったり予告して来られる人よりも、例外はあるものの、何の連絡もないまま突然遠方から来局される人の方が、ナゼだか治りのスピードが良い傾向にあるのです。
 予約制を嫌う理由の一つにこの問題もあります。

 ともあれ、過去のメールを再読してみて感じたことは、貴女のような聡明な方ならご自身に合った漢方薬の配合をみずから体感して見つけ出すことは、当方のちょっとしたアドアイスをヒントにされれば、十分に可能だと思います。

 但し、あまりに遠方ですので、貴女の長旅の疲労が心配です。

 以上、書き殴りの乱筆、失礼ながらお返事まで。
                    頓首

        村田漢方堂薬局 村田恭介拝


【編集後記】その後、実際に下関まで二泊三日の旅程で来られたが、とても華奢で繊細そうなご様子ながら、舌証などから意外にも黄連解毒湯証が並存していることが判明し、当日から他薬と一緒に服用してもらったところ、翌日から胃の調子がとてもよくなったとの報告を得た。
 その後もずっと当方の漢方薬を愛用され、臨機応変の配合変化のコツを覚えられて、平成24年8月現在にもずっと当方の漢方薬を愛用されている。
 また、ご主人様(直接来られて後)や子供さんも当方の漢方薬をずっと愛用され、この奥様ご自身は当初の自覚症状のほとんどが消失して、とても元気になられている!
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posted by ヒゲジジイ at 00:11| 山口 | 徹底したポリシー | 更新情報をチェックする