2007年3月4日のボクチン(2歳半) posted by (C)ボクチンの母
最近、小太郎漢方さんから千金内托散というやや特殊な方剤が新発売された。
千金内托散の製造許可が取得できるくらいなら、托裏消毒飲(たくりしょうどくいん)こそ、と思うのはヒゲジジイだけではない?と思うのだが、漢方後進国の日本では千金内托散と同等以上に重要な托裏消毒飲の製造許可を取得することは不可能なのだから、話にならない。
それが可能なら、とっくの昔に小太郎さんがやってくれていること間違いない。
歯がゆい愚痴はともかく、タイトルのようにしばしば見られる歯科領域の疾患である内歯瘻(ないしろう)に悩む常連さんに使ってもらったところ即効を得た。
歯茎の下部に米粒くらいの白い膿を持った袋を形成しては潰れて排膿し、いつまでもこれを繰り返すので気になって仕方がないので、何とかしてくれとの依頼ゆえ、この千金内托散の連用半月でほとんど消滅してしまったが、治療を徹底すべくさらに連用されている。
この内歯瘻というのはウィキペディアによると
歯の根尖部にできた病巣から口腔粘膜に形成された交通路(瘻孔、フィステル)の事。根尖病巣内に溜まった膿が歯槽骨の中を通り、歯茎の表面に出てきている状態で、歯髄壊死の診断の一助ともなる。とあるように、実にしばしば見られる口腔内の疾患で、鈍感な人なら、いつまでも気がつかないで放置して、気がついたら抜歯せざるを得ないほど悪化していく場合もあ。
【効能・効果】体力虚弱で、患部が化膿するものの次の諸症:化膿性皮膚疾患の初期、痔、軽いとこずれ
とあるが、現実には適応すれば、耳漏や痔瘻の各種慢性化膿性疾患や、やや特殊な領域ではクローン病などにも応用される重要な方剤である。
類証鑑別が必要な方剤は托裏消毒飲であり、十味敗毒湯や荊防敗毒散が適応する状況とは大きく異なる。
千金内托散や托裏消毒飲が必要なときに、十味敗毒湯や荊防敗毒散で代用することなどはまったく不可能である。
前者の2方剤の共通性は黄耆・当帰が配合されており、それゆえに方剤名にも内托といい、托裏というのはこのためである。
後者の2方剤は荊芥が配合されており、それゆえに方剤名も両者とも敗毒(毒を消す意)が共通している。
2007年3月4日のボクチン(2歳半) posted by (C)ボクチンの母
ラベル:内歯瘻
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