2013年06月06日

不定愁訴の漢方相談におけるピントについてのご質問

2006年1月8日のボクチン(1歳半)
2006年1月8日のボクチン(1歳半) posted by (C)ボクチンの母

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年齢 : 30歳〜39歳の女性
簡単なご住所 : 関東地方
お問い合わせ内容 :

漢方薬がフィットする、ピントが合うとはどういう意味なのですか。

 今、近くの漢方薬局に通って1年経つのですが、今だ主訴が改善しません。
 しかし、全くピントがずれてるとも思わず、薬剤師が一生懸命な所以、情がわいてしまい、通うという状況です。

 不定愁訴なのですが、フィットすれば、一気に改善することはありますか。

 諦めて他の漢方薬局に行くか迷っていて、どうすれば良いかわかりません。
 ヒゲジジイ様のお知恵を何か頂けませんでしょうか。

 ご多忙中お手を煩わせ申し訳ありません。何卒よろしくお願いします。

2006年1月8日のボクチン(1歳半)
2006年1月8日のボクチン(1歳半) posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:
 漢方薬のピントという言葉は、いうまでもなく「もののたとえ」であり、カメラのピントのようにピントがしっかり合えばシャープに奏功するものの、ややピンボケからかなりピンボケまで、それによって効きめにも優劣が出てしまうというたとえ話ということです。

 貴女のお悩みは不定愁訴ということですが、症状の内容によってはなかなかくっきりとピントが合わないこともあり得ます。
 それでもややピンボケであっても、根気よく微調整を繰り返しながら継続服用しておれば、くっきりしたピントのあった配合が得られないままでもいつの間にかほとんど改善してしまうということも珍しくありません。
 ところで、

>近くの漢方薬局に通って1年経つのですが、今だ主訴が改善しません。しかし、全くピントがずれてるとも思わず、薬剤師が一生懸命な所以、情がわいてしまい、通うという状況です

 とありますが、そのように熱心な薬剤師さんがおられれば、お近くで頻繁に通える状況を幸いと思って、今後も諦めずに通いつめるのが最善だと思います。

 私自身も若い頃は、なかなか効果が出なくても、そのようにいつまでも頑張ってくれる人たちのお陰で実地の漢方相談の訓練と学習により少しずつ習熟して来れたのです。
 ですから、そのような熱心な薬剤師さんを育ててあげるくらいのつもりで、いつまでも頑張っていれば親しくなるにつれ、いつの間にか貴女の体質を深く知るところなり、いずれはもっとよい工夫と臨機応変の配合変化などをお互いに学ぶことがたくさん出てくるはずで、そのうち気が付いたらしっかり改善しているということになると思います。

 急がば回れで、本命の不定愁訴が治ったあとも、体質をよく知ってもらうことが出来たお陰で、その後の急性疾患や思わぬ病気のときにもそのときの状況に応じた漢方薬を適切に指南してもらえるようにもなり、後々にも得るところがとても大きいものと思います。

 翻って、私もそろそろ40年のキャリアとなりましたが、現在でも貴女のように熱心に通ってくれる新人さんたちのお陰で、この歳になっても新たな発見と工夫が得られているのが現状です。

>不定愁訴なのですが、フィットすれば、一気に改善することはありますか。

というご質問の件ですが、これも実際の具体的な症状と体質によりけりで、一気に改善できる運の良い人もたくさんおられる反面、人によってはなかなか難航することもあるのが現実です。
 たとえ一気に改善できた人でも、効果が出た時点で漢方薬の服用を怠ると直ぐに再発してしまう人もありますので、運の良い人でも一定期間は継続服用して体質を変える必要があります。

 蛇足ながら過去、以前のブログにも書いたことがありますが、特殊な不定愁訴の女性が本当に漢方薬の効き目を実感してもらえたのが3年後で、それまでは効いたり効かなかったりの繰り返しで大変気の毒な状態が3年間も続いたのですが、他所でも治らなかったので、ずっと頑張ってもらえた成果がようやく3年後にみのりはじめ、その後、現在では二十年以上のお付き合いの常連さんとなられています。
 その女性には折々に「私は漢方薬にめぐり合えなかったら2回は死んでいたと思う」と述懐されておられます。
 
 取り急ぎ、お返事まで。

2006年1月8日のボクチン(1歳半)
2006年1月8日のボクチン(1歳半) posted by (C)ボクチンの母

折り返し頂いたメール:ヒゲジジイさま

 早速のお返事と温かいお言葉ありがとうございました。(なんとなく怒られるかもと思っていましたので)
ヒゲジジイさんのご経験もお話頂け、とても参考になりました。
 ピントの説明がわかり易く、理解できました。
 もうしばらくだけ現在の薬局に通ってみようかとぼんや〜り考え中です。

 ひげじじいさんのおっしゃるとおり、ピンボケの繰り返しでも執拗に通い詰めれば、いつの間にか治っているということがあるかもしれないですね。このような結果に期待したいです・・・。

 私も最初のころは、薬剤師さんを育ててあげるくらいの寛容さで通っておったのですが、経費的にもきつくなり、漢方薬の種類もどんどん増えていき、少し疑問を感じることもあり、今でも迷っています。病気の辛さと、自分の欲と、治してくれるかもという期待と、無理かもという想いと・・・。何を優先すべきか・・・。病気とは本当に厄介なものですね。命にかかわる病でないことに感謝すべきなのでしょうが・・・。

 なかなかピントが合わないということは、その薬剤師の腕が足りないということでしょうか。
 そうではなく、難航するものはどんなに経験・知識・腕があっても難航するものですか。

 ピントが合わなくても、何度ピンボケで効果がなくても、そこに対して、薬剤師・医師を自分が、許容できるかどうかなのかもしれないですね。(多分、漢方に限らず、医療すべてにおいて・・・。)ヒゲジジイさんのブログももう一度勉強させて頂きます。

 長文失礼致しました。

追伸:ヒゲジジイさん、お体に気をつけて、益々がんばって下さい。

新入りのシロちゃん(メス)
新入りのシロちゃん(メス) posted by (C)ボクチンの母

ラベル:不定愁訴
posted by ヒゲジジイ at 16:49| 山口 ☁| 更年期障害・自律神経失調症や不定愁訴症候群 | 更新情報をチェックする